何清漣 @HeQinglian 氏ブログ
@Minya_J Takeuchi Jun 御免。
http://twishort.com/pyUcc
2013.2.12
①中国の都市化について、多くの人々は中国の都市に貧民窟がないから、インドの民主主義制度より優れているという根拠にして自慢する。
★《中国は数億農民の自由に移動する権利を奪った》
中国の都市に”貧民窟”がない、というのは真実の状況ではない。貧民窟の定義は「標準より以下の住宅と貧困を特徴とする人口稠密な都市区域」だ。
もし中国を、北京、上海、深圳、広東四大現代化のショーウィンドウの基準で全中国を比べるなら3、4線級の都市は大量の貧民窟でいっぱいだ。
少数の大都市に”貧民窟”がない、というのは、この虚栄の裏に隠されているのがまさに中国政府が人権を尊重せず、都市をきれいにするために中国農民の移動の自由を犠牲にしているという現実である。
この点、中国の役人は自信を持っている。2011年4月に中国・ASEAN都市交流・共同研究会で、マレーシアの代表が何度も中国側に「どうして中国の都市はこんなにきれいなのだ?」と質問した。
この質問に対して、中国側の都市町村発展センターの李鉄主任は割と率直に「政府としては超大都市にブラジルやインドの様な貧民窟現象が起きない様にしてお り」そして「農村人口は自由に都市に入れない、つまり都市で営業はできても、都市住民の様な公共サービスはうけられない浮浪生活しかできない」と。「この 制限政策は中国経済発展を抑制し、中国農村の発展をさまたげている」とも認めた。
言葉やお国柄の違いもあって、ASEAN諸国代表は或は理解できなかったかもしれないが、でもこの言葉の背後には大変残酷な事実が隠されている。つまり都 市の清潔快適のために、政府は目に見える壁(戸籍制度など)と見えない壁(都市の高家賃や高価格公共サービス)で何億人もの基本権を奪っているのだ。
★《貧民窟現象は都市化の必然の産物》
貧民窟はその国の能力の発展を表している。工業化が始まったばかりの欧米では小農経済が消滅させられる中で大量の農民が都市に生活の糧を求めた。英、仏、米みな貧民窟現象を体験している。
エンゲルスの名著「英国に於ける労働者階級の状況」はロンドン東の貧民地区の状況を描き、NYのスラムは世界的に有名だ。英米の国家の力が強まるとともに、伝統的な意味での「貧民窟」は消失した。ただ、貧富の差はある。
ラテンアメリカと東南アジアは発展途上国で国家の力はまだ貧民窟の問題を解決するほど強く無い。だから、いまだに最も深刻な社会問題である。これらの国の 貧民窟の発生原因は欧米と大体同じである。大量の小農民が土地を失いやむをえず都市に流入した。しかし、都市には彼らに提供する十分な就職口がなく、都市 の農村化と農村の都市化の双方向のマイナス作用で大量の土地を失った農民が都市周辺貧乏人の集まる貧民窟を形成したのだ。ケニアの首都ナイロビ、ベネズエ ラのカラカス、インドの金融センターのボンベイやインドネシアの首都ジャカルタの貧民窟は世界的に有名で誰でも知っている。
2003年10月、国連(UN-HABITAT)は「貧民窟の挑戦」という重要報告をだし、貧民窟は全世界にあることを指摘した。スラムがその名前だが、 国連は「低水準と貧困を特徴とする高度人口密集区」と定義した。「2007年世界人口状況報告」の中で、貧民窟は色々な住宅を指す代名詞としてつかわれ、 改良を要する住宅、バラックが密集する地域、非正規住宅、バラックハウス、低収入者地区、などもふくまれる。
伝統的な用語としては貧民窟は一度は結構な居住区域だったのが先住民がさらに良い所に引っ越して、その後、荒れてしまった居住地。現代では発展途上の市域 における臨時住居みたいなものもふくまれる。2008年、全世界の都市人口が初めて農村人口を超えた。しかしそのうち3分の1の都市住民(10億人)は貧 民窟で暮らしている。国連の予測では今後25年以内にその数は倍増する。
★《中国の貧民窟住民数は世界トップ》
中国で貧民窟に住む人口はどのぐらいだろう?政府側は統計をだしていない。国連の「世界都市報告2010-2011」によると二千年から翌年にかけて中国 の貧民窟居住人口は37.3%から28.2%に下がった、インドは1990年以前の41.5%から28.1%に。この報告は「中国に貧民窟は無い」という 中国の誇りを台無しにしてくれるものだが、人口比から計算すると中国の貧民窟人口は3.84億人、インドが3.43億人、中国がインドより4100万人多 い。
中国には東南アジアやラテンアメリカ式の貧民窟は形成されていないので表面上はうまくいってるようにみえる。しかし仔細に検討するとこれは中国の栄光、な どではない。なぜならインドやブラジル等の貧民窟の人権状態は中国よりすぐれているのだから。インドを例にとると、インドの憲法は「一切の公民はインド国 内を自由に移動でき、いかなる土地に住んでいても居住、就業、子供の教育、医療等の各方面で当地の住民と同様の権利を有する」とある。
同時にインドの法律では土地を30年使用すると自動的にその土地の所有権が与えられる、とある。インドの法規定では「政府が住んではいけないといわないか ぎり、どこでも居住できる」と。だから都市の中心の繁華街や海岸川辺の生活に便利な土地でも国公有地でも貧乏人が住みついている。
中国の都市経済は農村のすべてのリソースを吸い取ってしまい、2億5000万の農村人口はやむを得ず都市で働いている。そのうち2000万人は都市に住 みゴミ拾いなどの仕事をしている。これほどの農民が都市に住み、なお貧民窟ができないのは完全に政府の権力が強すぎ、基本的生存権を奪っているからだ。大 部分の青年男女は工場や建設飯場で働き、集団宿舎にしばしば10数人がせまい一室に押し合いへし合いして寝泊まりしている。。普段は妻や子と離れ、孤独で 差別されて。こんな暮らしはインドやブラジルの貧民窟のせまい家で暮らすよりさらに非人道的だという論議もある。
二千万以上の都市でゴミ拾いをしている農民にも家族は有るだろう。彼らは街のはずれに部屋を借りたり地下室に住み、或は少しの隙間があればバラックを建て る。しかし、各地の役所は「街の浄化」の名目でこれらを見つけるや都市管理員を出動させて破壊する。これらの、バラック、あばら屋、発展に置いて行かれ居 住区としてとり残された村は事実上の貧民窟なのだ。
このほかに、中国の農村の大部分は資源や人口がどんどん空洞化し、経済的な機能も文化的な機能も急速に衰えて、すでに世界最大の”隠された貧民窟”になっ ている。2012年11月、21世紀教育研究院が出した「農村教育の配置調整の十年の評価報告」は2000年から2010年に中国の農村では毎日平均63 カ所の小学校、30カ所の教育施設(*教学点? 何だろ?)、3つの中学が消滅し、一時間ごとに4か所の農村学校が消失している、と。教育の衰退は中国の 未来の生産への負の影響ははかりしれないものがある。
今年3月以後、中国は全面的に「新都市化計画」を押し進めようとしている。中国の執政者は忘れてはならない、この過程で中国都市の貧民窟現象は不可避になる。
いかにして貧民窟居住者に最小限度の生活条件と平等な教育、医療等の公共サービスを与えるか、は中国の恥辱であるばかりでなく、中国の人権の進歩をしめす指標でもあるのだ。(終)
(原文はvoachineseblog.com/heqinglian/2013/02/cities-china/)