• 深刻な汚染は”特別提供”の安全感を崩壊させた

    by  • February 25, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    ー中国の生態システムにおける階級差別を解読する(その1)

    何清漣 @HeQinglian 氏ブログ

    全文日本語概訳;@Minya_J Takeuchi Jun

    2013年2月25日  http://twishort.com/5tXcc

    ますます悪化しつづける深刻な環境汚染、とうとう毒の霧は中国各地の大都市を覆い特権階級も遂に『汚染は全ての人々に平等に』という容赦ない現実に直面し自分達の”特別提供食品システム”は大丈夫、という自信はいまや大きく揺らいでいる。

    中国社会の階級制の根は深いものがあるが、最近十数年は中国環境汚染という背景のもとに一種の奇形の花が咲いた。環境産物ー農作物、食品などーの供給系統 が階級化されたのである。人類は生存の為にいろいろな例えば大地に育つ農作物や、農作物をエサとする畜産品、また空気や水などの消費物資を必要とし、これ らは何一つ環境と無関係なものはない。

    当然のことながら、中国でこのような 意識が形成されたのは比較的遅かった。遡れば90年代初期から大学の政治経済学教科書には「価値は使用価値と交換価 値」などという章にはこんな説明があった。「ある種のモノは使用価値はあるが価値(交換価値)はない。例えば空気や水など人類にとって使用価値があっても 交換できないものである」と。こんなこと書いてる人達は、さっさとこの一文は削除しないと、いまや水が一大市場になりそうな現代にあっては時代遅れの編集 者だってバレるよ。

    中国の環境汚染はこの十数年、大変深刻で、その害から逃れるため、中国の環境産品の供給系統は、特権、購買力の有無によって階級別に分割された。「供給 市場」、ではない。なぜなら市場など通さず、特権によって供給されるシステムなのだ。これと同時に、重要な環境情報は『国家機密』として社会に公開されな かった。土地汚染を例にとると、2006年にはじまった「全国土壌環境調査」はとっくに完成しているが、政府は公表していない。関係した役所の役人は「環 境データはかなり”敏感性”(*政治的にヤバい、の意味)があるので」という。土壌問題は土壌だけに留まらず、中国の輸出農産品の安全問題に関わるのだ。

    今年は指導者の改選期にあたる。中国には離任にあたっての監査などないから、後任者はただ情報公開方式で引き継ぐしかない。こうして環境情報は公開に至っ た。(*爺注;「前任者の実績を後任者がチェックするシステムが無い。が、自分達が前任者の失政をかぶるのも嫌で、公表を禁止しなかった。前任者が有力な ら多分やらなかったが、胡温の立場が弱いから習李はできた」、と何清漣氏。)まず空気中のPM2.5の測量方法が改められ、深刻な汚染を認めた。そして全 国の97%の地下水がすべて様々に汚染されており、64%近くの都市地下水が深刻な汚染だと。そして中国環境保護省の木曜日発表の「化学物質環境汚染を防 ぐ25規則」では「癌村」の存在を挙げ、水と空気汚染の深刻さは高度の癌発生率を産んでいる事も。(2007年で空気汚染死亡者が年65万人と)

    《中国の生態系毀損は既に修復困難に》

    多くの人が今回の情報公開は、政府が環境問題の解決に本気で努力するのだろうとおもっている。アリババ総裁(*情報技術関連企業グループ)の馬雲友が「全 人民が平等に毒霧を吸えるのは大変喜ばしい」と言ったのは、特権階級が水と食品は特別ルートから仕入れられても、空気はそうはいかないことを言っているの だ。馬雲友の「喜ばしい」は問題の解決はまず問題を認めることから始まるからだ。が、私はそう思えないのだ。ここ数年環境関連の資料、特に日本の重金属汚 染土壌回復のを読んでいるが、はっきりしていることは、中国政府と汚染企業が本日ただいまから翻然と改心して、これ以上汚染を進展させないと決心したとし ても、人々が生活習慣を改め、省エネや生活汚染を減らしたとしても、中国の環境生態の全面的修復には数百年かかるからだ。

    そして言っておくが、この「たとえ」という2つの条件は中国が再び”公共地の悲劇”(Tragedy of the commons”;無理な用地使用による土地荒廃)を起こさないという前提である。(爺注;Tragedy of the commons”=公共の土地と使用権をテーマに自然破壊に警鐘をならしたGarrett Hardinの著作=で公共牧草地に収入を増やそうと羊が増え続けると土地がダメになる、という話はきいたことがある。) しかし、この前提は、まあ、中 国人が自分自身の中にある阿Q精神を捨て去ると同じぐらい幻想にすぎないのだ。

    《食品特別配給パス;権力と政府責任の放棄》

    空気汚染の前ではどんな人でも平等だ。だがこれまで、中国の特権階級は愚かにも「食品と飲用水を特別にゲットしていれば、自分たちは安全圏に居られると信 じていた。それで、中国にはいかにも中国的特徴、ともいえる食品・水などの供給ルートに差別がうまれたのだ。それは中央政府が率先垂範してつくったもの で、この”国家機密”は”三鹿毒ミルク事件”から暴露された。 2008年北京五輪の数ヶ月前、「三鹿毒ミルク事件」が露見し、これによって乳製品の安全 問題に波及、そして家畜の飼料と土地汚染に行き着いた。「咏蘭主任の中国国家機関への特別提供食品事業スタート儀式における講話を祝って」というスクリー ンショットが海外の中国語ネットに掲載された。

    これで中国人の一部は、食品安全問題が社会公害になっているのに、政府部門は問題を根本から解決しようとせず、2005年から全国で中央94部門に食品 を提供する為に全国に数百の基地を作ったと知ったのだ。つまり、党中央のために食品の安全を保障したわけで、これで却って政府に夜食品の安全監視はさらに 形式的なものになってしまった。ネット世論の轟々たる非難に、国務院は「それはデマだ」と打ち消すのに躍起となったが、残念ながら誰も国務院の言い分を信 じなかった。

    かくて、各省の政府や大型国営企業、金融企業、実力のある民間企業、上場企業は続々とこれに倣って、カネにものをいわせ各市郊外に大小さまざまな土地を借 りて、”食料自給”に乗り出したのだった。またちょっとでも土地がある別荘の主なども、自分で畑をつくりはじめた。各地の不動産業者は至る所に”食料自給 基地”ができたのをみて、つぎつぎに「家を買えば、畑をプレゼントします」と広告しだしたものだ。

    つまり2005年からは、中国の野菜供給市場は2回に分けられ、最初は中央政府が権力によって作り、国務院が”国家機密”を握って全国のどの土地が安全か を調べ、まっさきに自分達の食品基地にした。次に権力とカネによって第一次の残った比較的マシな土地をゲットした。ただこの分け前にあずかったのは権力の 中心からは相対的に遠い連中で完全とはいえず、まあ、「ないよりマシ」と自分を慰める程度のものであった。絶対多数の中産階級と、都市貧民と農民は、基本 的には汚染した土地で汚染した水によって作られた農産品や乳製品、肉類にありつけるだけ。中産階級と貧民・農民の差はお金でキレイな飲料水が買えるか否か が違うだけ。

    だが中国特有のこの種の「特別提供」システムは実は自らを欺くものである。水、土、空気は自然の循環系等であり、軽い汚染、あるいは中程度の汚染ならこの システムは一定程度の安全を保障できよう。しかし、酸性雨や毒の霧は環境生態の一部であり、この種の汚染の危険の前には誰もが平等、なのである。呼吸はみ な同じと同様に、「特別提供」野菜だって汚染された水で育ったのだから。 今年になって空気と水の汚染資料が発表され、人々がみな深刻に汚染された空気を すっており、とある研究では「毎分6人が癌と指弾されて、癌による死者は140万人をさらに越えている。発病率の一番高いのは食道癌、肝臓がん、直腸が ん、胃がん、肺がん」だと知れば、自宅と事務室に空気清浄機をそなえた特権階級も特別提供食品を食べているから安心だとおもっていられまい。

    政府高官やその家族なら癌にかからない、などという保証は無い。せいぜい楽観的にみても「貧乏人のほうが発ガン率が高いし、治療できない」が「高官なら 低くて、数年は公費治療のおかげで余計に生きられる」、という程度の違いだ。 中国政府の高級官僚は自分の成績を上げたり、税金をもっと取ろうと、長年に わたって監督責任を放棄し、汚染企業とともに中国の山河を汚し尽くした。そして、アタマを絞って自分達のために「特別安全食品」をつくり汚染から逃れよう としたが、あにはからんや、空気の汚染と癌の発生は誰にも平等なのである。

    中国というこのおそるべき身分社会におて、汚染のために生命という代価を払う、というのはあるいはひょっとすると「平等程度」がもっとも高い領域なのかもしれない。(終)

    原文は voachineseblog.com/heqinglian/2013/02/china-air-pollution/ 拙速翻訳御免。

    Share Button

    About

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *