• 『ファーストレディ』とネットの反響

    by  • March 23, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣 @HeQinglian

    全文日本語概訳/@Minya_J Takeuchi Jun

    2013/3/22  http://twishort.com/viddc

    彭麗媛女史(習近平の妻・著名歌手)のロシア訪問がネットでホットな論議を読んだ。中国世論と内外各方面の論者のレベルが垣間見え興味深い。

    《新華社ファーストレディの魅力に自己陶酔》

    北京政府はこれを中国の新リーダーのフレッシュなイメージを宣伝する好機ととらえて、新華社は「新俳優の新舞台ー彭麗媛、習近平と海外訪問」と特集記事を 掲載し「彭麗媛は新たな役割を帯び、新しい舞台で中国の”ファーストレディ”の魅力を振りまいた」「多芸多才の美人でよき”ファーストレディ”は必ずや世 界の人々に愛され国家の為に好印象を与える」とか、「アメリカのオバマにミシェル夫人あらば我等に彭麗媛夫人あり」とべた褒めした。新華社のこの記事の愚 かしさは、国家のイメージづくりを「見栄・面子プロジェクト」と勘違いしている点にある。

    現在、政治上の独裁腐敗、人権抑圧、全国的環境汚染、そして国際的に孤立している中国政府の現実が「美人で素敵なファーストレディ」が海外訪問しパーティ で好印象を与えたからといって覆い隠せる筈も無い。さらに「ファーストレディ外交」とは何たるものかをわかってない面々が「イデオロギーや文化の違いを越 えて、感性や人間の本質において彭麗媛は他の先進国ファーストレディ同様、分け隔てなく優雅な話し振りで素晴らしい効果を発揮した」などと高説を述べてい る。

    この話が笑える点は、論者が「ファーストレディ外交」とは主として儀礼的なものであり、実際の機能は無いということがわかってない。国際社会で異なる国家 から「対等の待遇」を受けるかどうかはファーストレディの容姿物腰で決まる部分はほとんど無く、国家のイメージ、政府の行ってきた行為によるということ だ。かって江沢民が夫人の王冶坪女史を伴い海外訪問したとき、夫人のイメージがどうであるかを本気であれこれ気にしたのは外国人ではなく、もっぱら中国人 で、いまだに当時の話が国内では揶揄いのタネになっているのを見かけるほどだ。

    いまの、誰もが外交ニュースなど映像でみられる時代に、ファーストレディが単独で活躍出来るのは世界夫人代表大会ぐらいだ。それ以外の重大な場面で各国元首と話に花を咲かせるファーストレディのシーンとか見た事があるだろうか?

    《海外中国語メディアのトンデモ誤解》

    海外の中国語メディアも一社ならず「海外メディアは、彭麗媛が中国の歴代首相夫人がいつも黙っているおとなしくしているだけという伝統を打破し、中国の” ソフトパワー”を見せた、と評価した」などと報道した。「海外メディアが云々」というのは国内報道が記事の権威付けの為に使う常套手段だが、「ファースト レディの性格や容姿」が国家の「ソフトパワー」のうちに入っているなどという話はこれまで聞いた事がない。

    国際政治学者のジョセフ・ナイ・ハーバード大学大学院ケネディスクール教授は、国家のソフトパワーとは3種類で、ひとつは他国に影響をあたえる文化。そし てその国が内外で実現使用としている政治的価値観、合法と認められ且つ道徳的威信ある外交政策 、だと言っている。別のニコラス・欧维纳 (*爺注;わ しゃこれ、誰だかわからんw)氏は「軍事以外の影響力はすべてソフトパワーで、イデオロギーや政治価値の吸引力、文化の影響力も含む」といっている。

    もし北京や海外中文メディアが何が何でもファーストレディの歌唱力はソフトパワーだといいたいなら、2005年以来、彭麗媛が歌って来た革命歌曲の数々、 とりわけ、かの『江山(*山河.国家)』の「天下をとったら誠心誠意、庶民を幸せにするために尽くす」を聞いてもらえばよかろう。この中共の教典通りのた わ言の歌は、まあ、聴衆が歌詞なんかわからなくてもいいからその美声だけに感動したいというなら別だろうけど、誰が歌っても強制的な洗脳能力の”実力”し か表現できまい。。

    反響のうち、一群の女性が「ファーストレディの服装をみて大変誇りに感じた」などといってるのは、嘗てネット上で「プーチンのお嫁になりたい」と大騒ぎしたミーハーゴシップの類いで論じても仕方が無いだろう。

    Lily Kuo式のバカらしい感想》

    でも、このわけのわからない”ファーストレディ熱”がただ私達中華民族だけが如何にアサハカであるかを表している、というのもまたちょっと言い過ぎだろ う。習近平が中共の権力を引き継ぐ前後には数多くの外国人専門家達が自信満々で「習近平は必ずや改革をやる」「なぜなら父親が改革派で、娘はハーバード大 に留学したから西側的価値感を認めているし、魅力的な人気歌手の夫人がいるから」などと”予言”していた。これらの予言は、習近平が「三つの自信」「邪道 歩かず」(*爺注;西側的な民主はやらない)と表明してこれらの評論家は面子丸つぶれになったわけだが、今回のロシア訪問で、またゾロ、外国メディアの中 にはしたり顔で「彭麗媛が点数を稼いだ」などという。

    中でも米国の「The Atlantic 」誌の3月14日号は“China’s Hip New First Lady”はゴマスリの見本のような記事を北京大卒のLily Kuoに書かせて、その無茶苦茶な結論は「彭麗媛はファーストレディに必要な全ての資質をもっており〜中略〜平民の家に生まれながら早くから名声を勝ち得 た彼女は、共産党がその特権や腐敗等といったマイナスイメージから脱却する助けになるかもしれない」などと書いている。こうした人達は「ファーストレ ディ」の素敵な魅力が中国社会の各種様々な痛みを治癒し、その輝かしい魅力で、外国人も中国政府のおそるべき腐敗や悪劣なる人権状態を忘れるだろう、と。 まあ、このLily Kuoにしても中国の癌発症村の多くの病人もファーストレディのおかげで痛みが軽くなったとか、未来に希望を持てる様になった、とは書いてないのはまだ幸 いだったといえるか…。

    《微簿上の声》

    普通の中国人はどうだろう。微簿上には、「ファーストレディの初外遊でみんな『服がきれい』『美人だ』『海外に出せる』とか喜んでるけど、これが我が国 の”核心価値”なの?俺たちどぶ溝廃油喰わされて、PM2.5吸わされて、その上2割の不動産税取られてるのに、ホントにファーストレディならこのどうし ようもない国の国際イメージが挽回できるってか?おまえら馬鹿の骨頂、サイテーの能無しだよ」。

    別の女性は大国のファーストレディっぽい写真をアップして「微簿で皆、彼女を賛美してるかとおもったら、褒めてる人いないじゃん、ハンドバッグが2万元と かばっかりいって、(*もっと褒めなきゃ?)だめじゃん」みたいなことを書いていた。(*このヘン、翻訳いい加減でスマン)

    で、私も微簿に「誰も賛美してないのは国内の中国人の痛みはもう1人の慈悲深いファーストレディにナデナデしてもらっても治らないからよ」と書き込んだ。 (*ネットの文章の感じはどうもよく翻訳できない)すると、「もし一つの国家がファーストレディの顔だの気質だの細かい事をとやかくいって、そういうこと で「大国のイメージ」が形成される、というなら情けない話だ」と反響があったっけ。

    個人として、私は彭麗媛女史に対して別に何ら先入観を持つ者ではない。彼女をとりまく外の世界が彼女に対してこんなに多くの現実的でない希望を背負わされ たこの成功者の声楽家に同情を覚える。紅色高官家族がますますお金を増やす事に狂奔し、汚職役人が自分達の腐敗と贅沢で中国の「大国のイメージ」を傷つけ ている時、「ファーストレディ」の肩に背負いようも無い「中国のイメージ改善」の重荷を乗せられ、たまらないだろうな、と。

    新華社のまるで彼女が国家イメージを救うのではないかといわんばかりの、ワラをもすがるような興奮とか浅薄な内外の論評からは、私は中国の「教養の向上」など見えない。見えるのはただ中国のますます暗くなる未来と、一部の人々の愚かさだけである。(終)

    拙訳御免
    原文は voachineseblog.com/heqinglian/2013/03/china-first-lady/

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