• 中国民衆の感情と政治間の複雑な変化

    by  • April 20, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣 @HeQinglian 氏

    April 18, 2013

    全文日本語概訳/@Minya_J Takeuchi Jun

    4/20/2013 http://twishort.com/Zdkdc

    近頃、陕西の省宣伝部常務副部長仁賢良が共産党最高理論機関誌「求是」の下にある「紅旗文稿」で「二つの世論を統合して社会の正しいエネルギーに」なる一文を発表した。強い力を持つマスコミとオピニオンリーダーに対して「警告すべきは警告し、アカウント剥奪すべきだし、ブログは閉鎖しろ」と殺気立った悪意にみちたこの文章に対して微簿上ではネット民が浴びせる罵声一色になった。

    しかし、私が逆に興味を感じたのは、この文章は政府の『世論』と民間の『異論』があるという事実を仁が認めているという点だ。北京は依然として頑固に「世論コントロール」路線を突き進んでいるが、微簿の大きな広がりの前に完全制御不能になっている感を免れず、仁の発言にはこの気持ちが良く出ている。

    《民衆世論の陣地出現は官民の利益の深刻な衝突を産んだ》

    だが、仁賢良らが気がついていないのは、インターネットの普及が人々を真相に気がつかせたから「2つの世論」ができたのではなく、中国社会の利益分配がすでに官民の深刻な対立の局面にあるからなのだ、ということだ。

    もともと実利実益に極めて敏感なる中国人にとってみれば、権力や資源、世論を独占する政府の「真相」がわかるだけでは不十分であり、”では、そのような状況とどう決別するか”が問題となる。自分達人民がすでに統治者集団に見捨てられ、自分がその捨てられた側の一員だと気がついた時、中国人は初めていたしかたなく政府と”お別れ”することを考え、一歩一歩自分達で対抗する道を歩み始めるのだ。

    財経網系の《LENS視角》雑誌で今年第四期で報道された*「馬三家強制労働収容所囚人虐待日記」が証明しているとおり、中国人にとっては、ただの真相だけでは十分ではない。(*爺注;この事件はGoogleで「馬三家」で検索すると沢山ある)。この労働教育所は実は新しいニュースではない。2001年2月13日国連人権委員会はRadhika Coomaraswamyによる婦人に対する残酷な刑罰の調査報告を出しており、その内容は今回明らかになったものと酷似している。その細部は聞くに耐えないが、今回の《LENS视觉》にないものでは2000年10月、遼寧省沈陽の馬三家で、18人の法輪功女子信者が服を脱がされて、素裸にされたうえ、男囚の牢屋に放り込まれた。しかし、この報告はほとんどメディアの注目を集めなかった。

    その原因ははっきりしている。2001年は世界が両手を上げて中国のWTO加入を熱烈歓迎したいた時期であり馬三家の恐るべき女囚虐待のニュースは世界中で奏でられた”中国交響曲”の中でそぐわないものであったからだ。ましてや大多数の中国人はみな国家の強大さこそは国民の幸福の保証であり、中国政府が法輪功を邪教と決めつけた宣伝をまったく疑わずに信じたのである。だからこの報告が国連人権委で発表されても国際メディアの目はみな中国経済の発展の輝きに吸い付けられ、このニュースをきいた海外の中国系も国際反中国勢力による「中国に泥を塗る」ものだとおもった。少数のこれは真実だと知っていた中国人も「労働教育所に送られるようなやつはどうせみな社会の屑で当然の報いだし」と自分に言い聞かせたのだった。

    今回《LENS视觉》に掲載された馬三家の虐待囚人日記で明らかにされた話と12年前の報告内容の差はほとんどない。しかし引き起こした社会的反響は全く違った。この理由は中国社会の矛盾が日々尖鋭になっており、民衆の政府への信用がほとんど尽きかけており、暴力的弾圧へ執着する政府はいまや普通の人の尊厳や命までも労働教育制度によって暗黒のうちに飲み込まれようとしているとわかってきたからだ。国防白書の数字からも、中国武装警察の11_12年の出動回数は延べ人数160万人、毎日平均4384人。この出動の頻繁さをみても政府と人民の関係が水と火のような互いに相容れないものだとわかる。仁賢良等は各種の精巧な噓をバラまいて世論を操作することはできるだろうが、人々が自分の暮らしの中で感じる実感を変えさせることはできない。

    微簿などのメディアの出現で民衆は自分の意見を発言できる足場を持った。更に重要なのは微簿がニュースを伝える内容の豊富さとその早さで、今や国際・国内記者がニュースを取材する重要なソースとなった。中共が民衆の利益を奪い、宣伝マシンをいかに使い続けても、「官の見解と民の異論」があるという事実はどうにも変えることができないのだ。ソ連のKGB全盛期だって人々が台所で情報を交換するのは防げなかった。ましてやインターネットのある今日である。

    この体制に寄生する仁賢良等は全く中国人の絶望感がわかってない。環境生態の深刻な悪化は中国人から清潔な水と新鮮な空気を奪い、危険な食品は健康を脅かす。子らに安全なミルクをと処罰を覚悟で香港に求めに行く。この絶望的な生存状態は多くの中国人に、自分が政治的に絶対服従したとしても、中国では安全な暮らしを送ることは難しいと認識させるに至ったのだ。

    《外部によって内部を強化する宣伝方法は中共をメクラにした》

    ニュース伝搬の重要な原理は情報の「宣伝」は多くの人々に影響をあたえる結果まで到達できるとはかぎらない。この点は中共宣伝部が永遠に理解できないところである。彼らは「絶え間なく情報を注ぎ込めば必ず洗脳効果が得られる」と信じている。この”信念”の元に、彼らは一切のリソースを動員して国内のメディアを使うばかりか、全世界的な「外国向け宣伝」システムにも巨費を投じている。さらに高給で外国記者を雇って(最近、各国でメディアが倒産し記者が失業中でもあり)、”発言権”を買い取る。同時に中共はベテラン中国専門家にも手を伸ばすという伝統を忘れず、彼らに自覚的に英文メディアで中共の為にその進歩に賛嘆する記事を頻繁に寄稿させている。

    海外にある大きな中国語系メディアはとっくに中共の直接投資や間接投資を受けており、様々な中共コントロール下にある。国務院新聞弁公室は会議や学習会等の形で定期的にこれら中国語メディアの編集長らに教育訓練し多くのメディアの本部は中国にあり、中国本部から原稿を供給される。そして人民日報や新華社、環球時報などはいつもこれらの「外国メディア」を引用し外国の専門家の論評を利用して海外では中国の改革開放の成功を高く評価し中国指導者層の戦略眼と卓越した指導能力を褒め上げ、中国の国際社会における地位と影響力はすでに米国と並び、近くそれを凌駕するであろうなどといわせているのだ。

    「GFW長城」(*中国の外部情報遮断ファイアウォール)が中国の情報を世界とを分離して依頼、中共はこの種の「デタラメの中に一部真実を混ぜる」宣伝方法を使って「国内用宣伝」と「外の世界の宣伝」を結合させ、一定の欺瞞・愚弄の働きをCCTVや人民日報から情報を得ている層に対して確かに成功させてきた。だが問題は、「噓をホントに、ホントを噓に」のやり方は中共自身も自分の宣伝と一部外国人のおべんちゃらで騙されてしまうことになったのだった。

    「国内用宣伝」と「外の世界の宣伝」の二系統のシステムが党内にあるため、一部の党内の理論家さえ、その引用ぶりをみると、とっくに味方陣営にはいっている星島日報、南華早報、聯合報など多数の外国メディアの論評が、本当に海外の中国評価だと思っているようなのだ。

    これが今年、中共中央宣伝部が誤ってファーストレディの美貌と魅力を中国のソフトパワーとして大宣伝戦を繰り広げた由来だ。これらの香港台湾メディアは確かに多くの外国人専門家の関連論評を掲載したし、その中には大変有名なニコラス・クリストフ(爺注;オピニオン・コラムニスト/配偶者は中国系アメリカ人三世の作家で投資家のシェリル・ウーダン 伍潔芳)がNYタイムズに発表した。これには「習近平の父は会各区派で遺伝」「婦人は美貌で中国人が愛している」「習の娘はハーバードで西側文明を学び受容する」などという「習近平は必ず改革をやる3要素論」もあった。

    国内用宣伝に息のかかった外部メディアの記事を使い、”中共に有利な国際世論”を作り出し、さらに一切の批判的な意見を”反中国反共勢力”と軽蔑し、五毛サクラ軍の動員でネットで賛美させるという中国執政集団の宣伝システム。それは今や中国人民と政府の関係で、本当の民意に対して基本認識を欠き、バカバカしくも自分達が作り出した”民意”を自分達で本気にしてしまうほどの愚かな自己完結型システムになった。

    4月15日の人民日報旗下の「人民論壇」の「信心・信念・信仰調査」というネットアンケートによる世論調査は「中国共産党だけが人民を中国的特色ある社会主義に導く」に賛否を問い、中国の一党独裁多党参政制度に投票を募った結果、半日で三千余名のネット友が参加。その結果、「不賛成」と答えた人が8割を越えた。人民論壇は瞬殺でサイト頁を消しさり、自信満々ではじまったこの調査は、アワを喰って早々に退散するはめになったわけだが、これは中国政府の情報管理・操作が民意の真実の伝達阻止だけではなく、自分達ですら真の民意を知る術をもはや失っていることをあらわしている。

    歴史はいかなる政治集団も銃・剣と嘘っぱちで一国家をいつまでも長く運用できた試しは無いことを証明している。かってのソ連、中東北アフリカの諸国がその例だ。中共は命がけで宣伝マシンを動かし、巨費を投入して海外宣伝の’発言権”を購入して、古くさい専政独裁政治のコントロール方法で中共の腐敗統治を救おうとしているが、その結果は「盲人がメクラ馬に乗って」深淵に墜ちていく日がやがて来ることだろう。(終)

    (《中国人权双周刊》第102期    2013年4月5日—4月18日)

    拙訳御免。原文はbiweekly.hrichina.org/article/6489

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