• 中国環境汚染の共犯構造ー中国2013”経済改革”の焦点(2)

    by  • June 9, 2013 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣氏 @HeQinglian

    2013年06月06日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/E2wdc

    2013年06月06日

    環境汚染の危機は中国の国土の安全を脅かし、汚染退治、国土の回復は一刻も猶予なしだ。国務院は『2013年の経済体制改革深化の為の重点に関する意見通達」で、「排出権取引制度」を採用し税収と取引可能商品化した。官僚の成績査定と財政予算の2大体制の下で、汚染企業と政府は早くから一種の共同正犯になっている。この2大体制を変えない限り、「排出権取引制度」は役人が新たに喰いものにする徴税空間を与えるだけのものになるだろう。

    《経済改革の重点;排出権・炭素は移出権の商品化》

    この『通達』は至る所で環境や環境保護・資源について言及しているが、本当に実施したいのは「一部の厳重な環境汚染と過度の消耗資源の生産物等を徴税対象にして」「排出権取引を一層進めるテストケースとして、全国に排出権・炭素排出権の強制安全責任の市場を展開」なのである。中国政府はこの”改革”によって汚染を市場で売買する”権利商品”にしようとしている。

    政府の表向きに公言する目標は「汚染企業に重税を課してコストを高め、排出権・炭素排出権の商品化によって総排出量を規制して汚染を防ぐ」というものである。

    中国の汚染の深刻さは癌の発生率の多さから証明される。「2012年中国腫瘍登記年表」によると「6分毎に1人が癌と診断され、毎日8550人が癌患者になり、7〜8人に1人が死ぬ」。専門家によると癌の高発生率と頑強汚染は密接な関係が有る。

    しかしこの種の高度汚染から中国人が逃れる術は無い。農作物と食品汚染は耕作者から生産者全員が共犯構造をなしており、空気汚染、水汚染は無い所が無い。その主役を務める重化学工業はすべて中国の大型国営企業で、各地で大量の投資をしておりその地元のGDPに大きな助けとなっている。この種の利益の共謀関係は容易に地方政府と共同正犯関係をつくりあげ、環境資源の規則などおかまいなしの乱用にむすびつく。

    《中国環境汚染共犯関係はいかに形成されたか》

    官僚の成績考査と財政予算のシステムが二大要素となって中国の汚染企業といともたやすく地方政府と共犯構造をつくりあげた。

    まず、地方市クラスの共産党政治の指導者の出世という利益から考えると、必然的に経済発展(GDP増進)と環境保護では、GDPがまず優先考慮される。地方官僚のこの種の考え方は、中国の官僚成績考査システムと関係がある。

    5月23日、財経ネットは「中国官僚出世指数分析」を発表した。「市長はどう出世するか?」と題する文はシンガポール国立大学、精華大学等4つの大学の調査報告で、2000~2009年、287の市、976人の書記と1075人の市長の相関データを分析したものだ。その結論は「下級政府が上級の指示を執行するにあたって条件があり、上級の省級指導者がもし交通インフラを重視していればその下の地方幹部は交通インフラ関係の設備投資を強化する。しかし、もしそれが環境指標なら、地方幹部は必ずしもそれに迎合しようとはしない、というものだ。

    その理由は地方役人の態度を決定する要素は、交通インフラの投資なら短期間に土地価格がさらに上昇するから、更に多くの土地収益をあげGDP増につながる。そうしたら抜擢されて出世するチャンスが増える。しかし環境インフラはGDP増加に繋がらないから、出世の助けに成らない。それどころかマイナス面すらある。

    この結論は中国の官僚界では公然の秘密だった。この報告の価値はなんとそれを数字データではっきり示したことにある。それは「GDP増加率が1 標準偏差上がるごとに、市委員会書記の昇進率は4.76%、市長の昇進率は10%上がる」。一方、市が環境対策支出を増やした場合、市書記と市長の昇進率は逆に下がる。その他の条件が同じ場合だと「環境投資が1標準偏差上がると市書記は8.5%、市長は6.3%昇進率が下がる」という内容なのだ。

    この報告はまさにかって2005年に時の国家環境保護総局副局長の潘岳が推進した緑色GDPエコ試算の試みが2年後に地方政府の一体となっての反対で立ち消えになったのを証明している。(爺注;環境コストを各影響を与える観点から試算、警鐘をならした p.tl/Vwad

    次に、現場の環境保護局はすでに汚染企業の寄生的存在になってしまっている。地方の市や県クラス(爺注;県は市より小さい単位)のリーダーはGDPの高度成長を追求するにあたって、同級の局は当然対をなす指導的地位にある。

    環境保護機構は管轄地域の企業に対し、環境評価や環境変化の監視、企業違法行為に対する懲罰を行う。不幸な事には、無数の事例が証明している様に、多くの地方の汚染企業は現地の地方政府の「トップダウン工程」なのだ。トップの意志は常に環境保護制度の効果を失わさせ、さらに監視監督まで骨抜きにしてしまっている。環境部門現場はとっくに「銭儲けして人を養い、養った人で銭儲けする」悪循環に陥っている。もっとアカデミックに言えば「監督者と被監督者が一種の共同正犯関係にある」のだ。

    今年四月十六日、湖南の「潇湘晨报」は「環境保護現場レポート」を発表し「汚染企業がその収入源になっている」と報じた。記事では、現場の職員が自分の職責は環境保護なのに、汚染企業がその部門の「養い親」になっている困惑を紹介している。近年になって中国各地では汚染排出に伴う費用を環境税としてとりたて、銀行が集め、財政部門が統括する「二本線」システムになっており、「環境回復用途にあてる汚染輩出費を確保」ということになっている。しかし新華社の記者が調査し発見したのは、地方財政部門は環境保護部門が集めた「汚染排出費用」を国庫に納めた後、予算操作を経て環境部門に戻して、名義上は環境保護につかう事になっているが、実際は環境部門がこの費用を人件費に充てるのを黙認している。

    湖南省の会計検査部門が2009年に某市6県区に行った会計検査では6県区の環境局の765人の職員がおり、自分達で食い扶持をかせいでいたのが606人、総数の79.2%だった。これらの人件費は汚染企業から徴収していた。現場環境保護部門と汚染企業の共犯関係によってあらゆる検査や監督管理は全く効果がないものになっている。6月5日の「21世紀経済報道」によれば環境保護局には汚染企業のスパイがごろごろいて、「検査がきまると工場は『休暇』になる」と。同紙によると四川眉山の汚染調査では、現地の民衆が「環境局が調査を検討すると、環境局内の誰かが企業に通報し汚染企業は休業し、現地の人達が政府に訴えると、企業主から脅されたり報復になぐられる、という。

    《排出権取引が新しい税源になる》

    現在の制度では中国のこの種の政府管理部門の職員と管理される対象が共同正犯関係にある構造はなにも環境保護だけにかぎったことではない。中国のネット上では「汚染がなければ環境局餓死、女郎がいなけりゃ警察餓死、過積載なけりゃ交通局餓死、ニセモノなければ工商局餓死、駐禁なけりゃ城管餓死…違反者は政府部門の養父母よ〜」とからかわれている。

    これまで私が何度も言って来た事だが環境保護では西側国家は3つの牆壁を設けている。一つは法律。二つ目は企業立地前の環境評価。三つ目は企業に対する汚染監視。中国の3つの壁は形式上の完備と現実の深刻な汚染状況はまったく正反対。法律だけでも2007年から全部で2000項目もあるのは中国の法律でも最多である。中央から地方まで全部環境保護部門はある。しかしこの3牆壁は中国を却って環境保護の効き目ゼロ状態に陥入れ、反対に環境監視から評価、すべてに役人のフトコロを肥やす巨大な利権の連鎖となっている。

    私は中国のトップ層は確かに汚染をなんとかしたいとおもってると信じる。しかし成果をあげたければ、まず役人の成績査定と財政予算の2大体系を変えなければ成らない。さもなければ、中国の環境汚染は回復するどころか、排出権取引によって環境保護の利益の連鎖のうえに新たにまたひとつ鎖の環をつけ加えるだけのことだとおもう。(終)

    拙訳御免。原文はwww.voachinese.com/content/chinas-environmental-problems-and-corruption-20130606/1676397.html

    なお何清漣氏のこれまでの文章の日本語拙訳は heqinglian.net/japanese/ にあります。

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