• 中国vsロシアの”ズボン舌戦”故事再現の背景

    by  • August 9, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣氏 @HeQinglian

    2013.8.8

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/h6Edc

    2013.8.9

    最近新華社が王小石のチン奇なる文章「中国が激動したらソ連より悲惨になる」を掲載した。中共が政治改革をやらないのは極めて賢明だということを証明したいために作者は90年代初めのデータをもとにロシア人民の生活が中国人より遥かに悲惨だとした。これはたちまちロシアを怒らせることとなり、「他人のズボンのチャックが開いてるといいながら、自分の尻は丸出し」と皮肉たっぷりな反撃をくらった。(爺注;御参考/中国微博:嘲笑别人裤子拉链开了竟然忘了自己还光着腚!radiovr.com.cn/2013_08_02/232101858/

    「ズボン論争」は中ソ両国の口喧嘩で出てくるのはこれが二回目。最初に使使ったのはソ連共産党のフルシチョフ書記長で、1958年のこと。毛沢東が世界共産主義運動のヘゲモニーをソ連と争ったときだ。中共はこのとき「大躍進」運動と人民公社運動を繰り広げ、この年5月「7年で英国に、8〜10年で米国に追いつく」とした。9月にはなんと「5年で米国に近づき、7年で米国を抜く」と。中国がソ連に先んじて共産主義社会を実現する、という話になってはソ連は兄貴分として同意できるものではない。

    1960年6月、ルーマニア共産党の時、ブカレストで世界共産党会議が開かれ、6月22日午後、フルシチョフは中共代表団との会談で「あんたら中共は大躍進とかいうてるが、人民ははくズボンも無いチョー貧乏じゃねえか。百花斉放どうなった?咲いたかね?スターリンが大好きなら棺桶ごとくれてやるぜ」「あんたらは東風が西風を圧倒するとかいうとるが、おまえさんらの中国が勝手にそうおもってるだけじゃねえか」と言い放った。この話は中共をカンカンに怒らせ、1963年、毛沢東はフルシチョフを似非共産主義者と罵倒した原因の一つになった。

    フルシチョフの「ズボン論争」は中ソ外交史上あまりにも有名で、中共がいつまでも心にかけて忘れないだけでなく、今回の「ロシアの声」の記者も頭にきたとたんにこれを思い出したに違いない。前と違うのはフルシチョフは事実を指摘し、毛沢東と中共が貧乏な現実を顧みず世界の強国・共産主義の領袖になろうとしたのを嘲笑した。今回は王小石の奇文が事実を無視して恥知らずなのを嘲笑している。

    《ロシア人の経済生活は”悲惨”からほど遠い》

    もしロシアの経済状況がすでに米国、カナダなどと並び、政治は高度に民主化され、人権状態も西側に追いついた、といえばそれは事実ではない。しかし中国と較べるなら優れた点は実に多すぎるほどだ。まず、中国人の最も関心のある生活水準。生活の質を決定するのは平均収入ではなく、収入の差と社会福祉と環境の質である。世界銀行の公開データによると190国家中、2012年のロシアの平均収入は14037元で世界50位。中国の平均収入は6091㌦、同90位。分配の公平度をみるジニ係数ではロシアはずっと0.4。中国のジニ係数は政府発表だと2008年の最高値0.491が2012年に0.474。だが国家統計局長の馬建堂の記者発表会でメディア側がこの数に民間調査では2012年で0.61だと疑義を提出している。

    社会福利の主要なるは教育、医療、住居である。中国政府はこの三つを”市場化”した結果、中国人の「新しい三つの山」となり、その重みに耐えかねた国民の怨嗟の的となっている。(*爺注;解放前中国人民を抑えつけていた帝国主義,封建主義,官僚資本主義が「3つの山」と毛沢東が言った。)ロシアではいまも医療と教育は無料。教育は学生の就学は一律無料、教科書は無償提供。すべての学校は一律に無料の給食で朝食か昼食を提供している。住宅も方針転換後長い間居住する住宅は無料だったが、今世紀になって改革が行われ公有住宅が個人に払い下げられ、また18平方メートル以下の部分は無償で与えられた。18平米以上の部分の家賃も格安である。

    生活関連の水や電気は中国ではますます負担が重くなっているが、ロシアでは水道、24時間供給のお湯、暖房はずっと無料。天然ガスと電気は有料だが値段は安い。こうしたことは中国のメディアは紹介しない。多くのロシアを訪問した中国人がこの事情を知るや仰天して、幾人かの人々がこの違いを紹介している。ロシアの環境がよく、資源の多い事は言うまでもないが巨大な差がどこからうまれたか、は地球人ならみな知っている。

    これがロシアの人民が「体制変換」以後おくっている”悲惨な生活”である。この悲惨な生活は中国人にとっては”夢の様な生活”である。ソ連崩壊後最初の数年はロシアは確かに悲惨な一時期があったが、いまは新生にむかっている。中国の政府系メディアの報道だけが「ソ連共産党崩壊”のまま何年も報道がとまっているのだ。

    《政治の自由度の比較》

    ロシア人民は西側世界から本当に”悲惨”だとおもわれているのは言論の自由の方面だ。インターネットの自由が政治的自由をはかる度合いになるが、王小石の文章には一字もこのことは言及されていない。Wikiがこの3年以来、自由の家による「世界自由度調査」や、米国のHeritage Foundationの「経済自由度指数」、国境なき記者団の「報道自由度指数」、エコノミストニュースの「民主指数」等、世界中の国々一括番付では民主指数;中露両国とも等しく独裁政権、世界自由度調査;両国とも不自由。経済自由度指数;比較的圧政。報道自由;ロシアは「困難な状況」、中国は「非常に深刻な状態」。この報道の自由の差はどこにあるかといえばロシアも報道管制はするが、中国の比では無いし、少数だが非国家系のメディア(ロシア独立テレビ)が存在するし、ネット規制も中国に較べると緩い。

    国境なき記者団の「ネットの公敵」ランキングリストに中国は登場しただけでなく、十余の「パブリック・エネミー」のうちいつも上位にあり、ときにはナンバーワンであるが、ロシアはランク外である。同じ独裁国家といっても、ロシアは少なくとも民主選挙と集会結社の自由を形式上は持っており、ただますますプーチン政府の厳重な管制と操作を受けている。しかし、中国ときては村長や居民委員会の長を選ぶ権利すらない。集会・結社は違法活動と見なされる。
    反腐敗でも中露両国政府の態度は異なる。今年からロシア内務部は腐敗行為の存在した内務部官僚、連邦移民局官僚、一般市民と企業法人のブラックリストを作成し、四月には国家公務員が海外資産を持つ事を禁止した。これに対し、中国政府の反腐敗活動は声ばかり大きいが中味が無く、民衆が公務員の財産を発表せよと要求しても、激しい弾圧で答える始末だ。四月中旬以来、北京でそれを要求した袁冬、张宝成、侯欣、马新立等は交流されたまま。最近、許志永が刑事勾留されたのも、その罪状のひとつが公務員の財産公示を要求したことだった。

    他国や政治的ライバルを貶める為に自分を高い位置に置いてみたり、自分がタダしいと”証明”するのは中共が延安文芸座談会以来の宣伝のお家芸である。毛沢東時代の中国は鎖国して情報封鎖し、伝達技術も劣っていたから、国民の情報パイプは一本しかなかったから、「全世界の3分の2の人民は地獄の様な生活に喘いでおり、中国人民が解放してくれるのを待ち望んでいる」というような宣伝を多くの人々が信じたものだった。しかし、現在インターネット時代となり、情報伝達の即時性はかっての比ではない。中共は相変わらず昔ながらの宣伝手法をとって、国民を馬鹿にしようとしても果たせないばかりか、自らの馬鹿ぶりをさらけ出している。

    今年5月の人民日報は「徳無く、信無き米国人」なるコラムをつくりったが、米国の朝野からなんの反応もないうちに国内で痛烈な批判がよせられてしまい、一ヶ月でこっそり「あなたの理解不能な米国人」に改称した。この度の王小石の奇怪な文章も発表されるや否や、国内のネット上で痛烈な批判を浴びたばかりか、ロシアの声の強烈な反撃をくらって、面目まるつぶれで青くなったのだった。(終)

    拙訳御免。
    原文は 「中俄口水仗“裤子”典故两现的背后」;www.voachinese.com/content/heqinglian-china-russia-20130807/1725615.html
    何清漣氏のこれまでの論評は;Webサイト 清漣居・日文文章 heqinglian.net/japanese/ に収録されています。

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