• 中国式の「老いて寄る辺無しー清華大養老年金案ー

    by  • September 22, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣氏 @HeQinglian

    2013年09月20日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/PtTdc

    老人問題は世界の難題です。発展途上国の中国にとってみると老齢年金は何も無い状態から発展へ、少ない状態から多い状態への問題です。高福祉国にとっては如何に減らして国民の同意も得るかが問題です。8月中旬、清華大学が出した「老人年金最高額設計案」は激しい論議を呼び起こしました。中でも最も論議の的になったのは老齢年金の受け取りを60歳から65歳へ伸ばすという点でした。この延期措置の正当な理由として「米国の67歳養老年金受領」改革を根拠としたり、ある評論は聞いてビックリの「米国人は前半生を苦労して住宅ローンを払い、退職後はそれを売るしか無いほど貧しい」と宣伝したものです。米国には「67歳にやっと養老年金が出る」などという硬直した規定はなく、それに中国と米国の老人対策制度はまるで違いますからこれを考慮にいれて考えなければならないのです。

    《国別比較は支給開始時だけに限らない》

    で、国家のだす養老年金を「政府養老年金」と呼ぶことにしましょう。

    まず、仕事には職場が必要なのですが、大多数の中国の都市人口(共産党関係者を除く)は現実には60-65歳まで働けないのです。所謂「40、50歳現象」とはつまりこれらの人々が40歳や50歳を越えた時、自分では望まないのに「退職時期繰り上げ」になるのです。実際は失業にほかなりません。これらの人々は「退職後」の生活のために必死にならなければならず、もし清華大学方案が実施されたらそれは彼らへの僅かな養老金支給はさらに数年遅くなることを意味するのです。中国内のネットでは新方案は実際にはとっくに失業している人々に引き続きカスミを喰ってろというものだという嘲笑の声がきこえます。

    国内のいくつかの官側メディアが”タイムリーなニュース”を載せました。例えば英国は2013年1月に養老年金改革を発表し、その核心は受領年齢を2020年に最低年齢を66歳に、2028年ー2046年の間にさらに68歳にするものとか、米国は67歳にするとか、です。

    実際のところ、養老年金制度でただ受領開始年齢を比較しても意味がありません。なぜなら養老年金は退職者の福利の一部分にすぎないからです。英国の福利制度は揺りかごから墓場までといわれ、教育、医療、暖房、燃料など全部含まれています。 中国語で簡単に英国の福祉制度と個人税収補助」について簡単明瞭に紹介してるから興味があれば読んでみると良いでしょう。(www.cometomyfunworld.com/blogarticle.php?id=724 )

    英国の養老年金受け取りが延期されても退職者に取っては生活水準が低下するだけの問題ですが、中国の絶対多数の老人にとっては、これは基本的生存の問題なのです。誰かが言ってる「米国の退職後の年金が67歳に延期」の話にいたっては、これで中国の延期も筋が通るということを証明したいのでしょうが、論者が分かっていないからこんなことをいうのです。米国が数年前に国民が政府の養老年金を受け取るのを遅らせるのを奨励する新措置を発表したのは事実ですが、これは強制ではなく、かつ自分の希望が原則なのです。

    米国の政府養老年金の制度は完備しており、大体納税記録が10年(最低限度の収入がある人)でそれが「40クレジット」(*1クレジットは日本の3ヶ月分、最高で1年に4クレジットになる)になると養老年金の全額を受け取れます。66歳になると全額受領できますし、早い需給を希望すれば62歳から需給出来るが受け取れるのは75%ぐらい。延期受領すれば、例えば70歳なら130%ぐらいになります。なぜ「ぐらい」かというと個人個人の情況が違うから計算方法が非常に精緻なのです。
    ただハッキリしているのは受け取り時期は強制ではないという点です。公民の自己決定で決められています。一番重要なのは英米の政府養老年金は本人が死亡後も配偶者が一定の比率で受け取れることで、中国の様に受取人が死ぬとつぎこんだカネが泡と消えることはありません。
    だから中国側が養老年金制度を他国と比べたいならば、ただ受け取り開始年齢をくらべて英米両国の養老年金の他の重要な方面を無視してはならないのです。

    《中国の養老におけるいくつかの独特の問題》

    経済大国の中で中国の養老問題は非常に”中国的特色”に満ちています。まず支給が等級制であること。公務員以外、カバーしている範囲が極めて狭いこと。福利の種類も数量もきわめて薄いこと。GDP世界第二の国の地位には全くふさわしくないのです。
    それに全社会的な制度がまだできてないのに、すでにある部分は維持できなくなってきてしまっています。

    養老問題については中国は少なくとも以下の様な問題があります。

    ❶中国の老齢人口は数が過大である。

    「中国老齢事業発展報告2013」は2012年末までに中国の老年人口は1.94億人に達し、総人口の14.3%だ。老齢人口の急速な増加を呈しており、高齢化、自立できぬ老人の増加、独居化の趨勢は明らかだし、それに加えて「豊かになる前に老いる」情況と家庭の小家族化の構造が重なって老人問題は大変深刻な事態になっている。上海は中国で「白髪一番多い都市」(かっての知識青年都市復帰政策と関連)、人口の2割が60歳以上、2030年までにこの比率は4割に。北京の老齢人口も総人口の15%をすでに越えている。

    ❷農村の老人問題は異常に厳しい。中国の1.94億の老齢人口のうち、6割以上、1.2億人の老年人口は農村に居住している。清華大方案がもし実施されたら、影響は都市の職員と労働者。中国農村の老人には老齢年金保険システムは有名無実の存在だ。2012年8月27日、中央テレビネットは「農村人はどう養老?1月3毛、70歳老人も仕事に」という記事で記者がいくつかの村を回ったところ、毎月の養老年金は0.3元。(*1元=16円)。月に1元。一番良いケースで月55元だった。大多数は子の仕送り頼りで、少数の70歳の老人は働きにでていた。

    ❸中国で現在、養老年金の不足2兆元。これらの資金不足は中国の経済の高速発展中に徐徐に形成された。今後中国経済の発展が減速したとき各地の政府の債務は山の様になっており、果たして本当に支払い能力が存続できるか疑問が有る。

    ❹子や孫が老人の脛を齧り、両親の貯金が借金になる。中共が政治を担ってから中国の老人を養う方式は3種だった。貯金、退職金、子供に頼る。現在農村はいまもってこのモデルだ。しかし80年90年後に産まれたなかには多くの失業者や安月給の人が多く結婚や住宅費用が高騰し、都市の中産階級以上の家庭だって少なからず子女が親の臑をかじっている問題が有る。これには2種類あって、ひとつは基本的生活を両親に頼る。老齢科学研究センターの数年前の調査だと65%の家庭で「老が若を養う」現象がある。3割前後の大人も基本的に両親に頼る、と。当時の予測ではこの比率は拡大して行くと。第二には両親に家や車を買わせる。四十歳以下で家は6〜7割、28歳以下の家購入者では過半数。父母が出資するケースは5割を越えている。

    老人の臑を嚙る現象は90年代の末にもう出現していて大量に報道されましたが、その後、その現象がますます当たり前になってしまい、それじゃいっそ日本や欧州のイタリーのような深刻な事態を迎えた国の事情を報道して、これは中国だけの現象じゃないという方に力がいれられるようになりました。しかし、なんといおうと、父母にカネをださせて自分は家や車をかって自分だけ”中産階級”の暮らしを繰り上げ楽しもうというのは、世界で中国だけでしょう。

    《米国人が家をうって老後資金にするのは貧乏だからじゃないよ》

    最後に、米国で家を売る老人が多い事について。これは米国人が年取って貧しいからしょうがなくてそうするわけではありません。米国では住宅を買うのは一種の投資の方法で退職してから投資回収の時期だからです。米国人はほとんど貯蓄しません。2008年金融危機の後消費習慣が少し変わって、貯蓄率が増加しましたが、アジアの国と比べると比較にならない程度です。米国政府はずっと税金を使って家を買う事を奨励して来て、不動産税は主入から控除されるので不動産購入が投資の重要な手段になりました。米国の自宅所有率は65%。しかし米国の不動産税は比較的高く、各地いろいろですが、毎年住宅価格の1.5%から3%ぐらいになります。大多数の米国人は退職後、負担の大きい大面積の宅地を売って比較的安い住宅地に引っ越し、その差額を老後の資金にあてるのです。

    米国の老齢年金は基本的生活を保障するだけですから、余裕のある老後を送ろうとしたら、住宅投資は重要なのです。こうしたお金があれば、子どもたちの仕送りに頼らないですみます。2008年金融危機以後、住宅価格が下落し、住宅価格が低い時に家を売った老人は大きな影響をうけましたが現在、住宅価格が回復してきており、この影響は小さくなってきています。

    中国人も将来「家を売って老後資金に」という道をあゆむことはできるでしょう。しかしそれには中国の不動産市場が更に成熟し全社会が老人にそれ相応の住居(主に医療と生活サービス)を提供する必要がありますが、この方面での中国での道のりはまだまだ先は長いのです。(終)

    拙訳ご勘弁。
    原文は「中国式的“老无所依” – 也谈清华养老金方案」
    www.voachinese.com/content/hql-elder-china-20130919/1753330.html

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