• 陳永洲事件が明らかにした3重の暗黒 

    by  • October 29, 2013 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣 @HeQinglian

    2013年10月29日
    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/zJkec

    「新快報」記者の陳永洲が逮捕された事件がおきてから、評論は沢山でましたが、その原因となった事について触れた文章はほとんどありません。陳永州事件は中国の政界、企業界、メディアの三重の黒幕の相互作用で事件全体が『大きな悪が小さな悪を喰う』時代の一幕だったのです。

    《「新快報」陳永洲事件のいきさつ》

    陳永洲事件が起きた直後、新快報は10月23日「一寸の虫も五分の魂」という文章を掲載し記者の解放を要求しました。

    陳がまだ中国国営中央テレビによって”正体を暴かれて”いないとき、ツィッターで誰かが私にこの事件をどう思うかと尋ねました。私はこの事件はきっと三一重工(三一集团有限公司)と中聯重科(中联重科股份有限公司)の利益をめぐる紛争だと疑っていました。ですから、その人には「同城記ー三一重工VS中聯重科」を読むようにといいました。

    私はかって「梁稳根(梁稳根,现任三一集团董事长,第八、九、十届全国人大代表)現象」を研究したことがあってこの両企業の間の怨みを知っていました。中聯重科は複雑な利害がからみあった湖南地方の政治勢力に取り入っていましたが、梁穏根は十八期中央委員と候補になろうとして果たせなかった後、三一重工を湖南から移転して北京を安心立命の地に選んだのでした。

    私のツィットではこう説明しました。陳永洲のことは世に知られているより遥かに複雑で中聯重科と三一重工は何年も泥仕合をしており、双方ともメディアを使っています。ネット上で多くの関係文章がある、ということと。陳永洲は一介のただの記者で、原稿を掲載するには社の幹部のOKがないと無理。でないと原稿を書いても無駄になるだけ。だから、まだこの話は続きが必ずある、と。

    10月26日陳永洲は中央テレビの「朝聞天下」の報道で警察に自分が確実ではない報道を連続して上場企業の中聯重科を狙って虚偽の報道をして、何千元から何万元の報酬を受け取ったと認めたとされました。 同日、新快報の親会社の「羊城晩報」はトップ記事で新華社の「他人からカネを貰って大量のインチキ記事を書いた」という報道をのせ、自身の立場を明らかにしました。

    これによって陳を応援していた人達はきまりのわるい羽目になってしまい、親会社の支持を失った新快報は10月27日のトップで陳がカネを貰って噓記事を書いていた事を謝罪しました。ネット上には「一寸の虫にも五分の魂」の記事がかくも簡単に粉砕されたことについて大量の揶揄があふれかえりました。

    中国記者協会が陳永洲事件に対する数日間で手のひらを返した態度は、この事件全体のなかで意味深長なのですが、しかし、もうすでにそれは余り重要ではありません。というのは今やあらゆる非難を一身に集めている陳永洲は、政治権力と経済権力と文化圏力が利益の為に形成する食物連鎖関係のなかの末端の小者にすぎないからです。

    この事件は大変はっきりと中国の三重の暗黒という現実を見せているのです。

    第一の暗黒;(企業間の政治勢力がらみの泥沼競争)梁稳根の三一重工と同じ長沙の中聯重科は今年、まるでマラソンのような泥仕合を続けていました。そして2012年財経関係雑誌のニュース報道記事の焦点、ハイライトでした。私が梁稳根に注目したのは当時、彼は十八回大会の中央委員(候補)になるために数多くの人を驚かせる変わった発言を続けていたのと、米鉱区の投資先に選んだ土地が軍事基地に近く許可が下りなかったことをオバマ大統領に告げたことからです。一民営企業家がどうしてこんな政治的になったのか、その理由を知りたくて関連報道を読んでいたのでした。

    梁稳根の文章には2種類あって、ひとつは梁の表の顔で経済界でスーパーマン的成功をおさめ、政治的には共産党好きというもの。もうひとつは三一と中聯の泥沼戦争に関するもので、最初に紹介したもののほかに「三一移転の三つの隠さされた真相」(《第一财经日报》,11/23/2012)等があります。中でも「梁稳根、移転理由を弁明」(《环球企业家》11/29/2012)が詳細です。それには「スパイ、拉致、陰謀、誹謗、三百億元融資お流れはどんな悪計略、中国最大の工学機械メーカーはなぜ長沙を追い出されたか。梁が語る長年のガマンと怨み。本誌独占告白」とあります。

    記事では何人かの名前を挙げ「その数名は地元の共産党指導者の親戚で長く中聯重科の重役をつとめておいて、この私有化で一番利益をえたのが詹纯新(中聯重科創始者)本人でその家は並みの家ではなく父親が湖南省高裁長官で祖父は湖南省委員会第一副書記だった」とかいてあります。湖南省のメディアの数は多いのですが、この梁稳根に関する報道は多くありません。普通と違って「垣根の外の方が注目している」状態で私は梁稳根がメディアに暴露した情況には幾分かの真実があると思います。中聯重科側はこのような「マイナス報道」を座視できず、彼らは敵の弱みを狙って虎視眈々と反撃のチャンスを狙っていたでしょうし、陳永洲をその突破口としてみつけだしたのでしょう。

    《第二の暗黒;権力とカネのもとで泳ぎ回る中国メディア》

    権力が中国メディアの生存空間を縮めて押し込めどのような状態にあるかは私はかって「霧の中の中国」で詳しく研究しました。本文ではおもに中国メディアのもうひとつの傷を指摘するにとどめます。すなわち記者に賛助金や広告投入、あるいは有償ニュースをかくことを黙許することは業界での公然の秘密になっていますし、腐敗した少数の記者が企業の弱点を利用してカネを強請り取る事件も発生しています。山西省の炭坑報道ではこの種のことが大変おおく、いわゆる「偽記者」現象は氷山の一角にすぎません。

    2012年9月29日から2013年8月8日までに「新快報」は合計18回にわたる中聯重科の報道をおこないましたが、そのうちの14回が陳永洲の名前です。この密度で企業紛争報道をおこなうのは陳個人の行為ではないでしょう。メディアを利用して企業間の泥沼紛争に介入するのは危険がきわめておおきいですし、ひとり陳だけでできるようなことではありません。一班に、記者がこの種の原稿を書いたら、すくなくともそのデスク、主管、編集長など出稿権を握っている上司の了解が必要です。さもなければ原稿は握りつぶされてしまいます。このように集中的な出向は、新快報のトップ級のなかに事情を知った者がいるはずです。現在、この新快報の「汚いものを掘り起こしてであえて報道する」ことがこの先どこまでやるのか、だれが切られるのかは三一と中聯の双方が頼る勢力の交渉能力にかかっていますし、親会社の羊城晩報グループの広報・ロビー活動の能力にかかっています。

    《第三の暗黒;権力の事毎の介入がすべてをねじ曲げる》

    三一と中聯の紛争では権力の介入は多重的です。トラブルのもとは当然権力が商業競争に介入し各種のタチのわるい事件、「賄賂事件」「スパイ事件」等等をひきおこしました。 今回の事件で、省境を越えて新快報の陳永洲が逮捕されたのは中聯が権力の強制介入によって自分の有利な方にもっていこうとしたことを明らかに示しています。この省越えの逮捕は法律界では「先に逮捕して後で証拠をさがす」と批判されています。

    また法執行の権限の問題、手続きの過程にも違法だといわれます。しかし中聯はこのようなことを怖れ憚る事無くやれたしいまも強気です。中央電子台から新華社という高級な政府系メディアが介入して中国記者協会がみずから二度にわたる自らの発言を取り消したという事は権力の使い方では誰でもわかりますが、明らかに中聯が今回、有利な立場にあるということです。

    近代以前には人類社会には政治、経済、軍事、文化が4大権力の柱でした。その中の文化はおもに宗教と教育でした。近代以後、文化の権力はメディアが主役になりました。西側ではよく”第四の権力”といわれます。民主国家ではこの4種の権力が分立しているのですが、中国ではこの4つとも中共にすべてコントロールされていて、党内の異なった利益集団がそれぞれ分けて握っています。

    陳永洲事件は、中国の政治、経済、文化権力の堕落は甚だしいものだと明らかにしました。この3種の暗黒が混ざり合って最後に「大きい悪が小さい悪を呑み込む」という局面をつくりだすのです。

    陳永洲事件の最後は結局、不公平な結果になるでしょう。なぜなら、結局事実に基づいて何かがきまるなどということはなく、どちらのバックの勢力が強大かということで決まる、からです。(終)

    拙訳御免;
    何清漣氏 @HeQinglian: の原文はこちらです。“陈永洲事件”揭开的三重黑暗 www.voachinese.com/content/heiqinlian-20131029/1779285.html

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