• 中国経済ー十指でノミを潰そうとしてもー2014政府工作報告を読む

    by  • March 13, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣 @HeQinglian 氏 全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi

    http://twishort.com/ZCVec

    中国人民代表大会/政協商会議のクライマックスは「政府工作報告」ですが、今年はちょっといつもと違いました。報告が出た後、「全国の歓呼の声」はいささか無理がありました。で仕方なく、新華社経由で中国国家発展改革委員会主任の徐绍史のインタビューで「中国経済の平穏な発展は「衰弱の兆し」論に反撃」なる文章で天下に中国経済は現在完全に世界の中国に対する”信用”にかかっており、それが強ければ中国経済は良くなり、「落ち目の兆し論」が高まれば中国経済はダメになっていくと宣言したわけです。

    実際には中国経済が良くなるか否かは完全に中国の基盤によって決まります。中国経済、実体もバーチャル(金融システム)も情況は楽観を許さず、だから「報告」には周到に色々記述があるのですが、却って「十指でノミを潰そうとしてもうまく行かない」という局面になってしまっています。

    《お金のかかる事ばかりだが、そのお金は何処から来るかわからない》

    報告は「中国経済の成長方式の転換と積極的財政政策と穏やかな貨幣政策等有利な要素の影響下に、中国経済は継続して安定発展をつづけようとしている」とあります。ハッキリ言ってこの前提自体が矛盾したものです。積極財政政策というのはつまり政府が沢山カネを使うということです。一方「穏やかな貨幣発行」というのは貨幣発行量をコントロールすることです。過去数年ひとつ政府のプロジェクトが増える度に銀行の貨幣発行で支えられてきました。もし貨幣や債券を発行しないならお金は何処から来るのでしょう? 報告にはそのルートの記述がありません。

    《報告中に大金を使うプロジェクトがたくさんあるが》

    軍事費と治安維持費用。

    政府報道によると、今年、軍事費は12.2%増加しました。合計8.802億元で役1.316億米ドルで昨年比1.5%増。治安維持の法は具体的数字はでていませんがここ数年の情況から軍事費より多いでしょう。ましてやネット世論の統制強化には人手や各種経費がかかりますし、新疆、チベットの混乱もあり、この「維穏」費用は増えこそすれ減りはしません。政府の2013年の財政収入が12.9兆源で軍事費と「維穏」費用で1.6兆元を越え、財政収入の12.4%を占めています。

    貧困対策費用。

    報告で2014年度には千万以上の貧困減らしを目標に掲げています。これもお金がかかります。全国政協委員の前農業部長・高鴻濱は中国の救貧目標は実際に合わないとして「基準が1元増えるごとに68万人口が増える」としており、貧困人口を減少させる関連記述は常識を欠いています。年度目標がそのようでは、その他の「貧困家庭を次代に伝えさせない」などというのはホラ話にすぎません。

    汚染回復費用。

    今年の政府の掲げた目標は陸海空(土、水、空気)の「汚染退治戦争」で環境保護と遅れた生産施設の淘汰を目標にしており決意は固く北京市長に汚染をなんとかしなければ首をもってこい」とか、汚染に関連する河北省では「鋼鉄生産が1tでも増えたらクビ」とかいいます。しかし問題はこの3汚染のどれもが容易な事ではありません。今年の一月に「土地汚染対策は日本の重金属汚染に学べ」で紹介しました。日本の選択した相対的に安価な客土法、土壌の好感でも修復には1ムーあたり33年かかり、ムーあたり18万元かかります。
    中国政府は公式に「中国の重金属汚染は5000万ムー」(調査にあたった専門家は3億ムー、と)としていますが、このような大規模汚染は客土法をしようにもどこから土を持って来るのでしょうか?修復費用はさらに難しいでしょう。予測できることは、この先、十年内に政府は「汚染撲滅戦争勝利宣言」をしてデーターを偽造するか、修復を手抜きするかで国民をだまそうとするでしょう。

    お金のかかることはまだまだほかにもありますが、いちいち例をあげるのはやめ、ではお金はどこからくるかを考えます。

    《新財源は容易ではない》

    如何なる政府も直接、物質財を直接創造することはできません。正常な国家、正常な政府なら増税と債券発行ですが、国債(地方債)には一定の比率があって、濫発はできません。でも中国はここ数年債券を発行しすぎて面倒なことになっています。報告では地方債の削減を重要目標に掲げています。ですから財政収入増は課税です。課税で税収増をはかるには2つの方法があり、ひとつは現有の企業税のアップ。もうひとつは新税源の育成です。つまり産業構造の調整、投資環境の改善、新投資の勧誘、企業の創設。

    現有企業の税金値上げの余地はほとんど限られています。過去三年、多くの企業家が増税に不満をつのらせており、もうとれるところは取り尽くしていますし、事前徴税も当たり前です。事前徴税は「卵をとるのに鶏を絞めるもの」としょっちゅうメディアに報道されています。
    政府側の報告でも、中国のマクロ的課税は重すぎると認識しています。2月に中国社会科学経済戦略研究院の「全面的財税体制の改革を着実に」では13年のデータを根拠に中国の公共財政収入は12.9兆元で一人平均1万元に近く、これ以上負担増は不可能だとしています。

    産業構造の調整はさらに難しいのです。江・胡時代の経済発展モデルは主筒牽引型に政府が大量投資でインフラ建設しました。それを内需牽引型にしようというのが新しい目標です。「報告」は多くの改革目標を掲げますがしかしそこへの道のりも的確な改革措置もありません。以前、経済をひっぱっていた「3頭だての馬車」のうち、政府投資は「穏健な貨幣発行」で暫時停止で、現在の外国貿易は虚構の上に立っており、目的はホットマネーの洗浄(拙文;誰が中国経済を拉致した? heqinglian.net/2014/02/23/foreign-trade-bubble/ 参照)なのです。

    不動産バブルの崩壊は時間の問題です。経済構造の調整が実現する以前に就職と国民収入を向上させるなどというのはホラ話です。中国人の8割は中・低収入水準にあり、大量の失業者はなんとかかんとかやっと生存しているだけで、低収入者は生活に必要以外にお金は使いません。中間階級は住居取得のためにローン奴隷になっておりこれまた景気よく消費などできることではありません。

    以上のべたように、中国経済が消費牽引型に変わるにはまだまだ長い道のりが必要です。

    《あちこちピョンピョン跳ぶ蚤を10本の指で押さえようとするようなモグラたたき》

    報告が実現しようという目標は多過ぎてお互いに足の引っ張り合いになります。ノミを指で捕まえようというようなものであちらを抑えればこっちが跳ねる…モグラたたき状態です。例えば、中国経済成長方式の転換だ、土、水、空気汚染の回復だ、など言うだけならば容易ですが実行は困難です。厖大な汚染量を別にしても、汚染の増加を止める事すら極度に困難です。中国の税収を支える柱が石油化学か高汚染工業だからです。

    汚染企業を停止しようとしたらまず大国営企業の中石化や、中石油などからやらないといけませんが、現在の情況で不可能に近いのです。湖南省等の所謂経済発展は鉛や亜鉛など有色金属業が主体です。河川も湖も総汚染状態でも湖南省に豊かになるな、とは言えません。そんなことしたら『持続的発展」の根本が崩れます。今年の両会席上でも湖南省長は中央政府がもっと財政支援支出をしてくれろ、わが省は貧困人口が640万をこえて。遼寧や青海省より酷いのだ、と訴えています。

    報告は「積極的財政政策」の実行を強調してますがこの提案はこれまでもありましたが、今年は新しい解釈が加わり、「財政支出は民生中心の社会建設領域に傾斜配分」といいます。民生関係となれば、これは政府がやる投資なのですがそれにはまず財源を確保する必要があります。

    中国政府は過去十年、不断に紙幣を増刷して地方債を発行し、さらに政府投資が経済を牽引してきました。その結果世界最大の紙幣印刷機になり、高度のバブル化をとげ地方政府は債務の泥沼です。報告は「穏健な貨幣政策」を唱ってますから、これではもう紙幣印刷で地方債を増発できません。

    ですから、報告中の「積極財政と穏健貨幣政策」という二大目標の間には極めて大きな矛盾があります。ましてや多くの地方政府がまだまだ中央の積極政策に依る経済発展を期待しています。青海省長は「過去一年ニュースを経済刺激の合図を常に見たし、青海省同様の省が多く、皆、中央の財政刺激が自分の省にチャンスをくれる事を期待している」とのべ李克强に苦々しい思いをさせました。

    中国経済を論じるに、GDPの増加を語っても大した意味はありません。なぜならその速度はみな各段階の政府部門でコントロールされた数字だからです。”信用”は一定程度、遊休資本、例えばホットマネーなどを誘い込みますが、しかし長期にわたって一国の経済を支え続ける事はできません。ましてや人々の一国の経済に対する信用は、宣伝・逆宣伝などによってではなく、その国の経済の基本的な諸要素、すなわち実体経済とバーチャル経済(金融システム)が健全であるかどうかで判断されるとなればなおさらのことです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏 @HeQinglian の原文「中国经济:十个指头按跳蚤—读2014年《政府工作报告》」はwww.voachinese.com/content/heqinglian-blog-china-econ-20140313/1870845.html に。

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