• 虎退治の英雄・武松と大虎連のあぶなっかしい平衡状態

    by  • April 20, 2014 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/MMifc

    「大虎」は中共の「老同志達」を指します。(*武松は『水滸伝』の登場人物だがここでは習近平のこと)習近平の「反腐敗」の大業は三峡集団まで及び、ついに竜虎相打つ切所に至りましたが最後に月14日の新華社ネットが「三峡集団の指導者交代の背後にある指導者層の不和が公然の秘密」という記事を転載し、「老同志達」とあやういバランスをとることに成功し、4李鵬一族は当面は「軟着陸」に落ち着いたようです。

    これは李一家の力ではなく「老同志」が火の粉が自分達の子女にかかるのをおそれて共通の敵、にあたったからです。

    《李鵬は周永康より手強い虎だった》

    広州の「時代周刊」2月27日が「三峡は個人の金儲け道具」なる記事を掲載し、「退職したある指導者」がプロジェクトに介入していると報じ「三峡の両雄」と言われた2人のトップが免職されて人々は「英雄武松が李鵬の虎をやっつける」ことを期待したのですが、同時に馬鹿ではないので「李鵬は周永康ほど楽な相手じゃない」ことは皆知っていました。

    果たして、「李鵬一家」の反撃は比較的高姿勢でした。4月上旬、李小琳(*李鵬の娘で電力のトップ)は香港の『文匯報』で自分のインタビューをさせ、自分に関するオフショア会社が海南で暴利を得たというのはデマだと潔白を訴えました。「我々は孤立していない」ということを表明する為に、ずっとなりを潜めていた周永康の弟嫁と米居住の姑も相次いで声をあげて、周永康に関する腐敗の話はすべて習近平の権力闘争だ、といいだしました。

    そのあとにあの新華社が財経国家新聞の「三峡集団トップ交代の背後に」を掲載したということは、対外に向けて「双方が『あやうい平衡』に辿り着いた」という合図なのです。「財経国家周刊」は新華社が主宰する財経ニュースを主とした定期刊行で2009年に創刊された新華社の身内であり、この文章の「やり口」をみればその一班から全豹が伺えます。

    その要点はというと、一、三峡計画は問題ない。内部不和がコトの発端だとして、三峡指導層の不和は「公然の秘密」である。査察が入る前に大量の情報と電話が高層部にあった。内部の不和は制度の問題である。理事長と社長の双頭体制は問題を起こしやすく、指導者間の関係をビミョーにするが、ワンマンだと民主が行いにくく、二頭制だと団結がむずかしい。三峡計画に腐敗は存在しない。中央の第9巡視班が2013年10月に入る以前の10年で三峡計画には20回調査が入っているが部分的な問題があっただけだ。さらに三峡総公司の主任総経理・陆佑楣中国工程院士の口から「三峡の最近の波風は、三峡計画自体とは無関係である。部分的な問題にすぎない」として、メディアが報じている入札の黒い噂とか規定違反の大半は三峡計画とは無関係で本体は北京の総本部のようにしっかりしている」と。

    これはつまり「小さな非をみとめて、大きな問題は免れる」作戦で、武松の前に小さな犠牲の小動物を投げ出してコトをお仕舞にしようというものです。つまり三峡入札のブラックボックス化だとか「退職した元指導者」の話はなかったことにするわけです。

    三峡の「二巨頭」だった曹广晶、陈飞のあたらしい就職先も「湖北省と国務院の三峡担当」とか。こうした話の真の意味は「習近平武松と李鵬大虎の間ですでにあぶなっかしいバランスが生まれている」というサインです。

    曹广晶が湖北省の副省長になれるということもし(しばらくは)李小琳がその父、李鵬に三峡集団に20億人民元を出資させて愛人の黎亮の中味の無い企業・香港電力新エネルギー公司に出資させたことも追求しないということです。この”軟着陸”によって周永康の運命もどうなるか様々な推測がうまれれています。

    《危ういバランスの背景》

    「武松」と「大虎」の群れの間にあぶなっかしいバランスが取られたのは、このバランスが双方の実力のパワーゲームの上になりたったからです。一旦実力に変化が生まれたら、変わるでしょう。

    習武松が周永康をやっつけたとき、「老同志」達は「これは周永康が薄熙来を支持した仕返しだろう」と思ってまだ気にしませんでした。しかし三峡集団の背後の「退職した老指導者」が目標となると、まだ健在なかつての国家指導者達は「唇滅びて歯寒し」と危機を感じました。

    もし習武松が反腐敗を歴代の「老同志達」の家族の是非を糾しはじめたら、おそらく「老同志達」は免れられないでしょう。彼らも昔、任にあったときは公権力を利用して灰色の運用をおこない自分の主管領域で自分の家族で「家族も国家もいっしょくた」の利益吸い上げ体制を作ったのですから。

    これは中共高層内部の「誰もがわかっているので、これ以上は言わないこと」です。今年1月、国際調査記者団が発表した「中国オフショア金融の秘密」レポートでも、中国高層指導者の親族とバージン諸島等の匿名後座の密接な関係には少なくともずっと数期にわたる指導者の国家指導者の家族・子弟によるものがあります。(世界に「盗賊型政権」を認識させた「中国オフショア金融報告」の意義 http://heqinglian.net/2014/01/28/capital-flight-japanese/ http://p.tl/JfSf

    中国では以前は「刑罰は政治局常任委員には及ばない」という言い方がありました。これは当然、「内部文件」とかではなく、高層内部の”見えざるルール」だったのでした。しかし、習近平の直面する難題は;反腐敗を行わないならばそれは大小さまざまな虫歯菌が祖父らが作った自分達の共産王国を喰い荒らすのを放置するに等しいわけです。

    自らを崇祯帝(*宦官・魏忠賢を誅殺し、名臣として名高い徐光啓を登用するなど国政改革に取り組んだが、後、景山で首をつって自殺)になぞらえた習近平としては反腐敗をおこないながら、これらのホンモノの大虎”をやっつけないのであれば、それは単なる政治的なゲームになりさがってしまい、王朝内部の身分の低い役人達は内心では大変不満に思い、やはりこれまでどうりのやり方で悪辣に儲けてうまく捕まらない様にしようとするだろうし、こうした連中は一家ともども、簡単に海外に雲隠れできてしまいます。

    自分が明朝第17代(最後)の皇帝の崇禎帝のようにならないために、習近平は新著運一歩一歩晋やりかたで「虎退治」をすすめてきました。人民代表大会の前に「電力界の虎をやっつける」という予告をしたときも、習近平は反撃に遭いませんでした。それは李鵬大虎は中共紅色家族達の間での勢力はおおきくはなく、つき従う家来たちもおおくなかったからです。

    3月18日に新華社が「中央紀律委が香港・マカオを勢力下に置く」というニュースが、曽慶紅ちおうこの地で長年勢力を振るって来た「太子党の大兄貴」を動かしました。曽慶紅は当然、香港中国資本構造の腐敗してないところなどないことを熟知しており、ここで反撃しないで習のなすままにまかせておいては遅かれ早かれ自分達”老同志達”はおしまいだ、とわかりました。ですから、李小琳や周永康の家族等を香港メディアに登場させて「潔白を訴えさせた」わけです。

    「老同志達」と「武松」のゲームの細部は当然、口にはださぬ秘密でありますが、結果は新華社の転載記事が天下に示したように李一家は軟着陸に成功したのです。

    《習武松と”老同志達”の矛盾した利益共同体》

    孟子はかって「政治は難しくない。国の柱石たる大家臣に罪(遺恨や恨み)を得なければよい。大家臣が慕うところのものは、国中がこれを慕う」とのたまいましたが、この教えは千年を経て発展しつづけ「紅楼夢」では「互いにたすけあう権勢者の名前を書いてある護身符」(*この味は翻訳無理。これを http://p.tl/gDk8 読んでw)となり、中国の改革開放の時代にまで続いています。すなわち「腐敗への打撃は、政治局常務委員には及ばない」です。

    腐敗が中国政治にかかわるグループの共犯構造になってしまったため、数年前に誰かが「いっそ大赦して、これまでの腐敗は許して、これから新しいものだけを罰して、『民とともに新しい政治をおこなう』ことにしたら?と(*おバカなことをw)いいました。こんな主張をする人は「反腐敗というのはとっくの昔から中共内部の権力闘争の道具であって、もし腐敗を赦免するなら、それは自ら政治的ライバルをやっつける道具を手放すに等しい」ということをお忘れのようです。「反腐敗」という剣は絶対手放したりしません。

    数多くの「老同志」達は長年、百鬼夜行の役人世界で浮沈を繰り返してきており、国のまつりごとにはたけておらずとも、身の保身については精通しています。多くの中国人が共産党二代目や役人二代目がカネをもって海外に逃げるのが最上の策とおもっていたころ「老同志達」やその子女は、2011年の「アラブの春」をみ「独裁者の海外に積んだ巨額の各紙財産だって独裁政権が倒れたらおしまい」で「スイス銀行という世界一安全な禁固だって2011年2月の法律改正以来、もう安全ではなくなった」「中国がインタポールに加入したからには北京が追跡捜査しようとおもえば逃げ切れる奴はいない」周永康の子の周濱とその妻の父が逮捕された事件をみても、こうした大物が隠れるのは極めて難しく、いま追求してくるのが中共政府だとして、その中共が崩壊しても新政権が追求するだろうと悟りました。

    習近平は各種小組の組長になる面倒を引き受け(*「何故中共は「小組」大好き?」参照 http://p.tlsiHf)。また今年の新華社が発表した退職中共高層新年挨拶名簿で「老同志」の範囲を江沢民や胡錦濤等に絞ったのをみても、習近平は自分の任期中、「老同志」達の掣肘を受けたく無いことがわかります。

    今回の三峡集団に対するテストも、実は「老同志達」にたいして、その腹を探る意味がありました。現在うまれたこの「あぶなっかしい平衡」がどれほど続くかは、双方の今後の出方をみなければなりません。「老同志達」にとっては、この事件は「そろそろ身を退くべきだ、さもないと家族の安全はながくはもたないぞ」という意味です。

    習近平にとっては去年から今年にかけて十数人の省部級の腐敗官僚を退治したあと、大物の虎達の抵抗にであって、ここはちょっと手を緩め、今後は時機を見て適切に処理しよう、といったところでしょう。(終)

    拙訳御免。
    原文は 「习“武松”与大老虎间的危险平衡」 http://biweekly.hrichina.org/article/16461 (《中国人权双周刊》第128期    2014年4月4日—4月17日)

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