• 国家の安全と中国人の生きる恐怖ー国家安全青書の分析とその背景

    by  • May 27, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/yhufc

    最近、公布された「中国国家安全研究報告2014」は初の「国家安全青書」と言われ大変重要です。で、私はネットで見られる限りの関連内容を極めて熱心に読みましたが、この書の題名はひどく間違っていると思います。これは「中共政権安全青書」と名付けるべき書でした。

    《中共利益集団は国家を代表していない》

    まず最初に「国家」と「政権」とは何かをはっきりさせておきましょう。

    中共は党と国の一体の体制で、自分は人民の代表であり国家の象徴であり、さらに中華五千年の最優秀文明の伝承者だと自称します。ですから、国家と政権は同一で、反政府腐敗、政府の怠慢に反対する行為はすべて反党、反政府行為であり、つまり中国人民および中華民族の敵だ、というのです。これに対しては色々書いてきましたが、このあいだ「国家の義と自由の意」という文章に詳しく説明しました。

    重要なポイントを簡単にここに記します。中国政府のこうした宣伝は完全に「政権」と「国家」をごっちゃにしたものです。英文にするとはっきりします。つまり「state」 と「country」ですね。前者は国家機構.機関で、後者が国家です。「country」は狭義の意味では中国人の「私を産み育ててくれた土地」の意味です。英語では「 I love my country」とは言っても、絶対「I love my state」とは言いません。米国映画の「国家の敵」の意味は政権の敵、であって「country」の敵ではありません。

    国家と政権の区別をはっきりさせると、なぜわたしが「国家安全青書」を「中共政権安全青書」と改名すべきか、といってるのかがわかっていただけるでしょう。

    《『テロリスト』と反対者とは人民のこと》

    青書は、2013年中国国内にはテロ活動が再び頻発し、新たな特徴となった、拡大する傾向にあると指摘し、政府機構や軍、警察が主要な攻撃目標だといっています。「現在、国内の安全が直面する最大の脅威は暴力テロである」「テロリストはナイフなどの粗末な武器を使う」とある、この話はそれだけで重症な事実を証明しています。中国のテロリストは自国内から生じており、中共の暴力装置である統治国家機関を襲撃目標としているのです。そして使用する刀、刃物などろくでもない武器で事件を起こす…ということはつまりプロじゃないということだし、事件も計画されたものではなく突発的で、外部勢力から武器を提供されてもいない、というわけでこれは甚だ、世界で言われるテロリストとは違うイメージです。

    通常、テロリストとよばれる連中はカラシニコフや殺傷力の大きい爆弾など各種の進んだ装備をし、ときにはミサイルで飛行機を撃ち落としたりします。この経済世界一の大国中国のテロリストはなんでこんなにお粗末な装備なんでしょう? 答えは明白でこの「テロリスト」の多くは社会の行き場のない底辺層に属し、その不満は国家に対してではなく、その国家の代理人たる「政府」にむけられて他の社会構成メンバーがその暴力の犠牲になっているのです。少数民族の「テロリスト」というのも多くは社会の中底辺層にぞくする、マルクス・レーニン主義的に言えば神聖なる「人民」なのです。

    中国はこの種の庶民を迫害した結果生まれた”テロ”に、高圧的に挑むことしかできず防ごうとしても防げない状態で、この種の行動がうまれる根源を絶つべきで、さもなければますます社会の矛盾を深め、社会不安を深めるだけです。

    《思想・情報の自由が政権の安全の敵》

    「安全青書」は中共政権の安全が直面する様々な脅威を「西側国家が輸出する民主が中国の政治思想構造に脅威であり、西側は現代のメディアや文化を輸出して西側国家の価値感を大々的に宣伝し中国の改革開放に疑問を抱かせ、中国の社会主義的特色を持つ社会主義の性質に疑問を抱かせる。平和的手段で社会主義を崩壊させようという西側の目的で有る」としています。

    報告はもっぱら2013年1月、米国が中国の「南方周末」新聞の「元旦の言葉」で中国の民主政治体制のごたごたを指摘した事をあげ、「中国政府がもし西側の民主輸出をうまく防がなければ自国の政治思想建設に重大な影響を与え マルクス主義とその中国化の主流イデオロギーの安全構造に潜在的な脅威になるだろう、としています。中共政権の安全を保障する為にはまず、国民を愚昧蒙昧な状態におかなければならず、そうしてこそ中共イデオロギーへの忠誠と信仰を維持出来るさもなければ、中億の民主政治体制は西側の伊民主政治に対抗する事はできない、と。

    このためには少なくとも3つのことをしなければなりません。

    まず中共の主悪な歴史を改竄隠匿することです。現在、生きている中国人の大部分が三年大飢饉、文化大革命、天安門事件を経験していたとしても、当局は国民が事実にそってこの歴史を語る事をゆるしません。さもなくば社会主義的価値感を維持するのは難しくなります。これがまさに徐友漁らが今年の五月に私的にあつまって天安門事件を記念して逮捕された原因です。

    その次にはメディアのコントロールで、国民生活を中国中央テレビのでっちあげた「共産党の春風」の中におく事です。五月上中旬にの境目におきた杭州市のゴミ焼却場建設反対の市民運動は新華社によって「うちこわし事件」として報道され、53人の自分の家を守ろうとした勇敢な市民は公安機関によって「公共秩序を集団で乱した、公務執行妨害と器物損壊事件の容疑者にされました。

    第三には、社会主義価値感を「国教」とすることで、中国の一般庶民にその他の宗教を信じさせないことです。安全青書は「宗教浸透の教師は社会主義信仰の賛美を危うくさせる、と指摘しています。以前活動をゆるされていた三自教会(*中共が認めた外国からの支配をうけない自治、自養、自傳の基督教会)活動にしても、その長老はみな中共の統一戦線工作の対象であり、最近破壊された浙江省の三江教会(*http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140520/264948/)も、三自教会だったといわれています。

    《政権の安全が民衆の生存の恐怖の上に》

    安全青書は「インターネットは時空の境界とイデオロギーの封鎖を破り、中国の国情と政治理念にそぐわない政治制度と各種の思想潮流を伝播し、民衆思想を攻撃し、中国の主流のイデオロギーの社会に対する主導的作用の効果的な発揮を妨げ、主流イデオロギー形態の凝縮力を下降させ社会の穏やかな安定と民族の団結に危害をあたえ、ひいては中国の国家の安全をおびやかす、とみとめています。

    中共のイデオロギー防衛戦は大変な苦労で、長年中国政府と知識人のメディアの間ではシーソーゲーム的な戦いが続いてきました。中国政府が優勢なのは完全に一切の政治、組織、経済のリソースを独占しておりそれによって巨大なネット防護壁をつくり、厖大なネットコントロール産業をつくりだし、多くの人々の就職口となって、五毛等のネット評議員がネット上で出鱈目を書き込むと同時に、誰でも書き込みを理由に逮捕することができます。

    北京の老記者・高瑜が「7つの喋っていはいけないこと」に関する文件漏洩で逮捕され、中央テレビで「罪を認め」させられたり、去年このテレビで見せしめ、を北京が採用して以来、これまでに陈永洲、高瑜、向南夫という3人の全く背景のことなる記者がこの種の、精神的に残酷な刑をうけています。

    この種の窒息する様な厳重な管理のもとで、中国の記者は一種の高度に危険な職業になっています。4月28日から5月8日の10日以内に、前後して新華社の安徽省支社の副社長で編集局長の宋斌杭州の都市快報の福編集局長・徐行ら4人のメディア責任者が自殺しました。自殺事件の集中発生は中国のメディア業界でも論議されましたが、記者が抑うつ状態になる原因として、記者が政権の広報機関で上部からの命令に苦しんでいる、ということがまた指摘され、特に、調査報道記者が腐敗や暗黒をあばき、記者としても中堅で、心身ともにつかれ、さらに生命の危険を冒している、ことが原因としてかたられました。

    国家安全青書のいうところの国家の安全とは政権の安全にすぎません。このレポートは中共が自らの政権の安全のためには中国人民の思想の自由、言論の自由、政治の権利、をいさいかまわず奪い取り、政治的高圧姿勢による恐怖で服従を強いていることをしめしています。中共政権の安全は前民衆の生存の恐怖を前提になりたっているといえるでしょう。これが中共政権と人民のあいだの「維穏」戦争の終りのないたたかいが続く根源なのです。(終)

    拙訳御免。
    原文は「国家安全与中国人的生存恐惧 ——剖析《国家安全蓝皮书》及其产生背景」(《中国人权双周刊》第130期    2014年5月2日—5月15日, http://biweekly.hrichina.org/article/17327)

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