• 習近平VS大物 腐敗摘発の戦いは暫時休戦に

    by  • June 24, 2014 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    2014年06月22日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/KcEfc
    今年4、5月に各種のニュースの通り、北京の腐敗摘発をめぐる息詰るシーソーゲームにおいて習近平が強大な「超大物」達の反抗に遭遇した事は世界が承知するところです。5月26日、中央紀律委副書記・楊暁渡が公式ネットのインタビュー頁で大変明確な”信号”を送りました。それは「超大物の虎を目標にした腐敗摘発は暫時取りやめ、内輪もめをしばし中止しよう」というものでした。

    《紅色貴族家族は「あやういバランス」に》

    楊暁渡の話は長ったらしいのですが、肝心なのは「調査の力をもっと強めて、十八回大会以後いまだに腐敗をやめないケースを重点に。問題の手がかりの報告は山ほど強烈にあがっている。現在、役割を重視しさらに党員幹部を抜擢する」という部分です。以前、中央紀律委の官僚が表立って論じた「腐敗特赦論」をこれに結びつける意見もありますが、それは半分だけ正しいといえます。つまりしばし高官・家族の腐敗追及を止めるという点です。

    楊が強調したのは「中共18回大会後」(*2012年11月8日から14日)が赦免が与えられるか否かの「区分線」だということです。そして語られてない残りの半分は「この赦免は制度ではなく歴代の政治局常務委員というトップ層だけ」ということなのです。それは中央紀律委のネット上に、楊の談話と同じ日に湖南省の政治協前副主席の陽宝華が綱紀の深刻な違反で調べを受けていると発表されてことでわかります。

    陽は十八大会後に調べを受ける28番目の省級高官で3年前に隠退しており、現在重要な地位にはありません。それでも今回の中央紀律委の「特赦」には与れませんでした。このふたつのニュースが同時にアップされたということはつまり、「腐敗摘発から免れうるのは主として『党と国家の指導者』つまり政治局常務委員とその家族であり、すでに地位を退いているならオッケー、ということです。それならもう査問や追求はしないってことですね。

    中共は腐敗に対して一応「一切容認しない」という態度をとっていましたが、実際には腐敗官僚はどんどんハイクラスに及び、その数ものうなぎ上りで金額も天井知らず。これに対して打つ手無し、の状態でした。1991年と1997年、2012年の党代表大会の前にかって三度、かっての香港のやり方を真似て特赦を前提にあたらしく「清潔な制度」をリスタートさせようとしましたが、議論ばかりで実行されませんでした。

    今回の楊暁渡が十八回党大会に境界線を引いたのも、これまでの中共トップ層が汚職撲滅闘争の後に妥協したのと同じ事で、本当に腐り切った中共高層の面々はホッと一息ついたことでしょう。ここ数年、中央軍事委、中央紀律委、全国人民代表大会国務院などの前指導者の家族の不正蓄財が不断に暴露されて習近平、王岐山の強い腐敗撲滅の姿勢は、紅色貴族の反発を招き集団で反撃させることになり、今年の二月には著名な”公共知識人兼異議人士”の某氏の名で「中央紀律委は法律を破壊する」という文章がでて海外にも大きな反響をよび、世界が”中国の汚職官僚の人権”に注目するようになりました。

    《習近平の腐敗撲滅の戦いをどうみるべきか?》

    習近平が首席就任したときにすでに「赤い国土とその冨」は深い腐敗の泥沼状態でした。外部世界からは「腐敗撲滅をやらないと党が亡ぶが、それをやると党が持たない」と揶揄われる始末でしたが、実際、中共が腐敗撲滅をやらないと党滅亡の危機にありました。前に私はこれを沈没寸前の船に譬えて中国は大きな船で、船長から航海士、水夫、その家族子弟までがみんな船の備品を盗みだし、新米水夫ですら策具をかっぱらって売り払う状態でもし止めなければ、党が滅び国が傾くどころか船そのものがバラバラに沈んでしまうだろう、と指摘しました。

    つまり、腐敗撲滅をやらなければ中共は最後の政治的合法性をうしない完全に民意は去ってしまうし新船長の習近平も一緒に沈没するだろうということです。2012年の党大会前、中央紀律委の李永忠と学者の呉思の2人がまたもや「汚職役人特赦論」をとなえたので、私は「汚職役人を特赦して政治をすすめるのはなぜいけないか」という一文を書いて、もし中共がそこまでアホならその結果は「汚穢を洗い流しリセットする」どころか政治的合法性を喪失するばかりか、官僚を支配できる権力の武器を失うだろう、といいました。江沢民時代から、「腐敗撲滅」というのは中共の内部権力闘争の道具であり、権力者がこの利剣を捨て去るというのは、みずからの爪をひっこぬくに等しいのです。

    習近平のこの一年ちょっとの腐敗撲滅の戦績をみると、これは改革開放30年のなかで最大の力をいれてやった反腐敗だといえますし、また「政治局常務委員は何をしても罰せられない」というこれまでのしきたりを打ち破りました。誰かがこれを、「習近平の腐敗撲滅の動きは中共の寿命を延ばした、中共がトコトン腐敗したほうが中国はよりよい再スタートをきれたのに…」というのですが、これは単純化し過ぎた見方ですね。

    というのはまず腐敗そのものは政権を迅速に崩壊させる直接の要素ではないのです。次に中国の今の社会の土壌と文化伝統からみて、民主化されたとしても腐敗はそれからも長い間中国の政治とともにあり、なくならないでしょう。第三に中共の今の腐敗は深刻に民生と民権に悪影響を与えています。ですから中共にとっても民衆にとっても習近平の強力な腐敗撲滅の動きは江沢民や胡錦濤の時代の放埒なままにするよりははるかにマシであって、疑いなく王岐山は歴代の中央紀律委書記のなかでももっとも能力も気合いの入った人物です。

    《”身内の争い”の潜在規則》

    中共高層部のいまの「身内の争い」ははすでに香港や国外メディアに「噂を流す」やりかたをやってますがこのやりかたは実は敵と戦うにあたって互いにあの手この手をつくしてやりあって「落としどころ」を捜すためです。まえに「虎退治の英雄・武松と大虎連のあぶなっかしい平衡状態」(http://heqinglian.net/2014/04/20/fighting-tigers-japanese/)でも書きましたが、習や王岐山と退職した「老同志達」は矛盾した利益共同体なんです。所謂利益共同体の双方の命と生死存亡はみな共産貴族政権の今後の安定にかかっているということです。

    2011年前には太子党のメンバーの多くが「賢いウサギは逃げる穴を三つもっている」やり方で外国口座や外国籍さえあればいつでも逃げ出せる態勢で、しかも孫や子の時代まで中国を食い物に蓄財できるとおもっていました。

    しかし2011年のアラブの春、でベンアリやカダフィが米英によって各国銀行の資産を新政権に返還させたことで、中国の共産貴族達も、米英に巨額の財産を隠しておいても世界一安全なスイス銀行も2011年に独裁者資産法を米英の圧力下に制定してしまい、つまり独裁政権が滅亡すると結局ダメと知りました。

    中共政府と紅色貴族一族は、自分達のなかの大物が海外に巨額財産を隠し持っていても追跡は不可能ですが、しかし政権が交代したらその海外の財産もベンアリやカダフィと同様になってしまうから政権内部でいかに互いにあらそっても「船そのものは転覆させない」が暗黙のお約束なのです。ですから、所謂「高層内部の矛盾」の存在は「歴代の指導者家族が巨額の冨を積みあげながらも、その子達や親族が依然として経済領域で各種のオイシイ利権のある要職を握って放さないでいる」というところにあります。

    たとえば中国の国営企業や金融企業の肝心のポストは「自らは身を引き賢者にその地位を譲る」などという風にはまったくみえません。習近平は当然、毛沢東の名言「鉦は叩かねば鳴らず、ゴミは掃除しなければ自分からは無くならない」を知っています。

    紅色貴族の子弟たちが美味しい地位にいつまでもしがみついているなら、習近平は中央紀律委という「鉄の箒」でもって、「四方に部下を走らせ」、まず周濱父子と石油利権集団を全滅させ、三峡集団のボスを取り替え、李鵬前首相を叩き最後に、今年4、5月には「鉄の箒」で香港、マカオを掃き掃除し、長年監察をうけない特権をもっていたこの地も中央の監督下におき、香港の国営企業の汚職行為と売国行為(機密漏洩など)を厳重に取り調べると宣言しました。

    こうしてさんざん「薮を突ついて」みせた結果、二匹の超弩級の大物がついに山林のなかかからウォーっとばかりほえて飛び出しました。曽慶紅が中央政治局委員兼上海市委書記の韓正と江沢民の息子・江綿恒を従え上海韓天衡美術館を視察し続いて、江沢民がプーチンとの面会に胸を張ってあらわれたではありませんか。

    この表面上の「力比べ」の水面下では当然、双方がアヒルの水かきで争いを繰り広げていたわけで、最後にこの文章のはじめに書いた楊暁渡の5月26日の談話に至って、双方が暫時妥協したのです。その妥協点は「十八大会以前のことは追徴しない。前党と国家指導者の子弟家族は『手や足を洗う』ならそのまま平和的に隠退を許し、財産もそのまま持っていてよい」もし、さらに重要な地位にとどまりたいし、もっと上にいきたい(李鵬の娘)なら、きっと『手足をしっかりあらってキレイにする』ということです。

    また現在、前中央政治局員の子、周濱(周永康の息子)と賀錦涛(賀国強の子)が牢屋に入れられていますが、事件に対する寛容の度合いはじつは多くの(*既成利得をもっている)紅色貴族メンバー達がはたして「足を洗う」かどうかにかかっているわけです。

    現在の特権の上にあぐらをかいていられる中共政治利益集団とそのおつきたちにとっては習近平の党内の腐敗退治と社会への締め付けは「中共が潰れそうで潰れない」状態が「天からあと十余年」延長される、ということなのです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣さんの原文「反腐鸣金收兵 萧墙干戈暂息」は;http://www.voachinese.com/content/he-qing-lian-anti-corruption-20140604/1929837.html

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