• 北京の政治的智慧が問われる香港の民主派投票

    by  • July 5, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年06月26日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/PuGfc

    6.22の香港の民主派による投票運動は70万人を突破し、北京は明らかに香港住民の民主政治への熱い思いを過小評価していたようで、中国国内では報道禁止という”砂漠の駝鳥”方式をとる一方、運動に対しては激烈な批判、例えば「この投票には法的根拠が無く違法だ」といった国務院香港マカオ弁公室の発表のような、いささか当を失した観のある対応でした。

    《北京はなぜ普通選挙実施のタイムテーブル提出を遅らせているか?》

    香港の今回の投票運動は一日にして生まれたものではなく、97年の”復帰”後の香港人民と北京政権の矛盾の総爆発です。この投票運動が違法か否かをみてみましょう。

    1997年主権移行後、北京の香港に対するコントロールは日増しに強化され政治的トラブルも増加し、多くは「香港基本法」の枠内での民主的発展の問題です。

    民主派団体の「和平占中」(オキュパイ・セントラル)運動による普通選挙実施要求が日増しに強くなるなかで中国国務院(政府)新聞弁公室は6月10日に「一国二制度の香港特別行政区での実践白書」を発表し、単一制度国家の本源は「中央政府は香港を含む地方行政区に全面的な管轄権を有する。香港の高度な自治とは完全な自治ではなく、中央が与えた地方事務管理権にすぎない」とし、一部の政府系の学者は無遠慮にも「香港が普通選挙を要求するというのは”身の程知らず”であり、中央政府への挑戦である」と語りました。

    香港人はもともと日頃から香港の大陸化に大変憤懣を抱いておりますからこの白書の傲慢さは却って逆効果になりました。香港人が普通選挙を要求するのは確かに「基本法」にしっかり則っています。基本法の45条と68条にはハッキリと行政長官と立法議会の議席は「実際の状況に応じて順次すすめていく原則」が目標としてあります。

    香港が返還されて今年で17年たったのですから、いかに蝸牛の歩みであっても本来なら普通選挙実施の段階にはいってるべきでしょう。北京政府が多少とも基本法を遵守する誠意があれば、少なくとも2、3年以内に普通選挙を実施するタイムテーブルを明らかにすべきです。しかし北京はそれをしないどころか、逆に嚇しつける様な「白書」をだしました。なぜでしょう?

    まずこれは共産党独裁専制政権の天性のようなものですが、独裁専制政治は異端を許しません。人間の思想ですら「枠にはめてから入力」するわけで、ましてや自分の統治範囲内の統治形式ともなればなおさらです。香港はすでに「返還」されたのですから、中共の眼中には「大陸と次第に同化する」のがタダシイと映り、「50年は変えない」といっていたのが”繰り上げ”され「15年」になったところで全然問題にはなりません。

    自分達は「社会主義の道」を堅持しているのですから、もし香港にまず普通選挙なんかをやらせようものなら、国内の他の省の「御節介な連中」がなにを要求するかわかったもんじゃありません。

    環球時報が6月22日の投票の翌日、すぐさま「香港の違法市民投票者がたとえもっと多くても13億以上にはならない」と6.22投票運動は馬鹿げた御芝居、といいはなち香港は中国の一特別行政区に過ぎず、中央が許しもしない市民投票等してはならない、「もし中国各地で似た様な投票がおこなわれたら、天下大乱になる」という記事を掲載しました。

    《中国の地区別「白書」は危機管理の産物》

    この十数年、北京は司法改革等専門領域で各種の「白書」を出すほかに行政区別の「白書」を出したのはわずかにチベット、新疆、香港です。その共通点は中央権力離れが日増しに強まる地域だということです。

    チベットでいえば、「チベットの人権事業の新発展」(1998初版、2006年重版)、「チベットの発展と進歩白書」(2013年10月)。主旨は中共が如何にチベットの遅れた農奴制を”解放”し現代化し経済が巨大に発展したか、です。

    「新疆の歴史と発展白書」は2010年刊で、あきらかに2009年のウルムチの7.5事件(*死者192名、負傷者1,721とも死者三千人ともいわれる漢民族との衝突事件)について内外に宣伝する必要からだされたもので、主に中国の領土と東トルキスタン問題の由来と中国政府がいかに新疆の少数民族のために教育、科学技術で援助し、経済が進歩したかというないようです。チベット、新疆の「白書』は中央政府の功績を誇るというより、これらの地区で発生した治安危機が原因といえます。

    今、香港で中央政府が「白書」を出したのも当然、近年の香港人の北京にたいする信頼が大きく揺らいでいるからです。これらの白書の最も重要な効能は中共政府の意のある所を表すためであって、地元の人民の中共に対する本当の気持ちなどどうでもよろしいわけです。

    これらの地区の人民の本当の生活状況を研究すれば、我々はこの「白書」と現地の人々の言葉の間には相矛盾する深刻な価値感の衝突があり、「真ん中あたりをとる」のではダメだとわかります。

    3つの白書で言えば、中共はダライラマとチベット仏教のはたすチベット人の命にかかわる意義を理解できませんし、香港人がどうしても”大陸同胞”の暮らしに落ちぶれたく無い気持ちも理解できません。

    かって香港で「50年は不変」と言われたときの言葉は「馬も踊りも前のまま。香港人の暮らしは変わらない」でした。しかし、英国領だった時期に香港人が享受してきた出版報道の自由は北京からみれば返還後に取り上げてしまえばいいと最初からおもっていた全く尊重にあたいするものではありませんでした。

    《ではなぜ北京は香港の市民投票を気にするのか?》

    香港の6.22民主派投票に対して北京はそれが合法か否かを気にしているというより香港人のこの種の挑戦に手を焼いているといったほうがいいでしょう。

    香港の特別行政区行政長官”選挙”は長年、選挙委員会の投票によって決まりました。この委員会は38の各界代表”から選ばれた800人のメンバーからなります。これらの委員は心中で意中の候補がいようといまいと、最後には結局「共通認識」に達し、北京のお気に入りを選んでいます。そうでないと結局のところ交渉すらもできないからです。

    1949年以後、香港には表と裏の権力の中心が存在しました。”復帰”以前は表は香港英政府で裏は”新華社通信香港分社でした。(内部的には香港・マカオ工作委員会といわれ、かって深圳の同僚が”中共香港市委員会”と冗談でよんでましたっけ)。この機関の主な任務は许家屯(元新華社香港分社社長)と「文匯報」総編集長の金尧如が天安門事件で中共と決裂以後、回顧録で詳細にのべています。香港”復帰”以後、新華社香港分社は2000年に再度改組され、その政治的使命を終え今はただの政府系メディアのボスになってました。

    これと同時に中共は香港・マカオ工作委員会から中央人民政府駐香港特別行政区連絡弁公室をつくり、これは香港特別区政府のさらに上位に存在する権力の中心としました。中共は大陸を制覇したときにはそれまでの社会エリートを打ち倒し、消滅させ社会底辺層を新政権に参加するよう支援育成しましたが、香港では完全に異なったやり方、おもに上層の親北京ビジネス人士に発展(利益)の機会を与え、香港のエリート層をコントロールし香港を治めました。

    ”復帰”以前や初期には香港の中・下層の人々はもともと政治に関心はなかったのです。中共の目からみれば彼らはご飯と就職先、シゴトさえあればオッケーでやりやすい相手でした。

    しかしこの十数年来、香港経済は深刻な変化がおきています。70年代以来、香港は経済発展の4大産業だった電子、衣服、玩具はとっくに珠光デルタに流出し、唯一のこったのは宝石業だけです。本来の中継貿易の地位も中国がWTOに加入して優位が失われ、オフショア金融の灰色業界だけが大発展し、香港はいまや大陸証人と役人たちのマネーロンダリングのセンターになってしまいました。つまり”復帰”十数年でかっての”アジアの4匹の小龍”から中国の属国に成り下がってしまったのです。中・下層の就職も深刻な影響を受け、若い世代は閉塞感に悩まされています。これによって、香港の民間社会も中共と否応無しに向き合わねばならない社会勢力になったのでした。現在、香港人は英国統治時代の自由な4匹の小龍時代の豊かさをなつかしみ北京への不満は日増しに強くなっています。

    これがこの度の民主派投票運動の背景です。香港人は永年、多くの大規模集会やデモをおこなってきました。古くは1989年の天安門虐殺抗議デモから邵阳の民主活動家・李旺阳の怪死事件抗議、さらに毎年天安門事件のローソク集会があります。でも今回の抗議の戦いは性質が違います。香港人が自分達の普通選挙の為に北京の強烈な大音声にから独立して声をあげたのですから。

    北京はたとえ香港人民の要求に直ちに回答しなくとも、それでも「基本法」での約束を履行すること、普通選挙へのタイムテーブルをだすこと考えないといけません。政治ゲームで妥協や譲歩はべつに弱さを表すわけではなくて、一種の政治的な智慧の成熟度と自信のほどを表すものなのです。(終)

    拙速御免
    原文は「香港民间公投考验北京的政治智」
    http://www.voachinese.com/content/he-qing-lian-20140624/1944263.html

    About

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *