• 習近平の「反腐敗」は何故、「孤剣」か?

    by  • July 5, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年06月26日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/3xGfc

    中国官界の放埒腐敗状況は資源の分配、富の流れと社会の価値感を深刻にねじ曲げ社会矛盾を異常に先鋭化させています。なので習近平の「反腐敗」は大喝采で迎えられると当初思われたのですが、豈図らんや今では特権貴族集団内部の強烈な抵抗に遭遇し、民間ではこれを笑い話を聞いてるような反応なのです。さらに奇妙なのは少数の外国メディアもこれに否定的な態度をとっていることです。

    《「反腐敗」は政治トップ家族のチーズを奪う》

    習近平の「反腐敗」の動きは王岐山(*第18期中国共産党中央政治局常務委員、中国共産党中央規律検査委員会書記)と謀ってから動き出しました。中国石油系列と四川グループへの反腐敗は周永康(*第17期中国共産党中央政治局常務委員、中国共産党中央政法委員会書記、中国共産党中央治安綜合治理委員会主任。党内序列は第9位)利益集団をやっつける前奏曲でした。去年から今まで、習近平の「反腐敗」は三つのビッグマッチがあり、回を追うごとにより難敵との対戦になりました。周の次は李鵬(*国務院総理 2003年に退任し、政界から引退)の家族とさらに太子党に兄貴分とされ、いささか謎につつまれた曽慶紅(*第16期中国共産党中央政治局常務委員)(香港マカオの工作委を反腐敗の目標にして、その行為を”売国”として調査するとして)でした。

    李鵬と曽慶紅に対する攻撃は今年2月末と3月上旬に相次いで宣言され、同時に中央紀律委は今後の反腐敗摘発チャート図まで明らかにし、その重要目標はエネルギー、電力、金融の領域に集中するとしました。これらはまさに新旧の紅色貴族の子弟たちが集中しているところです。それら貴族たちが自分のブランド化している”チーズ”を奪おうというのですから、権力内部の略奪戦だといえましょうし、当然反撃も覚悟の上だった筈です。

    李鵬の娘の電力女王の李小琳が目標になってはじめて、退職した政治局常務委の老メンバーは習近平が目標にしているのは反「腐敗」を通じての江沢民・胡錦濤時代につくられた利益分配構造の改変だとしって深刻な危機感を持つに至りました。周永康をやっつけるときはまだ紅色貴族家族の「核心利益」に触れなかったので習・王組は遭遇した反対に対処できました。しかし曽慶紅となると背後には江沢民と言う大物が控えています。さらに紅色貴族がツルのようにからまっています。これは尋常な相手ではありません。

    私は「習近平VS大物 腐敗摘発の戦いは暫時休戦に」(6/22 http://urx.nu/9Hal)で詳しく分析しましたが、中央紀律委の楊暁渡副書記が5月26日のインタビューに答えて18回大会を境にで線引きして、それ以前の当事者が重要な地位にもう居ない場合は(退職した歴代政治局常務委メンバー)家族も含めてその腐敗を再調査しない、という話をしましたがこれは習近平が相手に申し出た妥協です。

    しかし相手側はこれで習近平攻撃をやめたかというとそうではなく、この後に起きた動向は注目に値します。それは外国メディアを使ってまず攻撃が開始されるという薄熙来打倒で登場した新しいやり方ででした。

    《国際メディアの対中国政治”賑やかし”》

    「賑やかし」(帮场)というのは中国伝統の民間用語で、街頭芸人が芸をみせるときにお辞儀をして「お金のある人はお金で、ない人は賑やかしを」と挨拶します。悪い意味では使うのではないですが、近年の国際メディアの中国情報を大雑把に言えばこんな感じですね。国際ニュース業界人や読者も理解を示しています。というのも最高トップレベルの権力闘争から漏れ出て来るネタがなければこうした黒幕内の話はわかりっこないからです。国際記者連盟が今年一月に発表した「中国オフショア金融企業調査報告」(*中国要人の海外資産を暴いた)がそうです。この資料には江沢民、曽慶紅、周永康、朱鎔基の4家族のデータはありませんでしたが、賢い読者はこの情報は選択的にリークされたのであって、国際記者連盟の不純な動機を疑ったりしますまい。

    しかし英国のファイナンシャルタイムズが6月24日に発表した署名記事「習近平の独裁的反腐敗に懸念」(Xi Jinping’s anti-corruption drive in China takes autocratic turn)はその内容からみるに記者の観察というよりは、記者が北京の誰かの”消息筋”(友人)の見方を鵜呑みにして書いているようにみえます。その主旨は習近平の”独裁的な反腐敗摘発”を批判する内容でした。

    それは現在おこなわれている全面的な政治の洗い流しの跡をたどり、中共統一戦線部長の令計劃(*息子がフェラーリ事故死事件で左遷された高官)の兄の令政策が取り調べを受け、令計劃は胡錦濤の大番頭だったとかの例をあげています。そして「多くの人々がこの種の懲罰的洗い出しにともなう独裁的な面に多くの人は結局だれが腐敗か否かをきめるのは習近平とそのおつきの連中だ」と不満を持っていると述べています。この記事の問題点は3つあります。

    1;筆者は知らないかもしれませんが中国政治集団内部では1989年以降はイデオロギー的対立はなく、あらゆる対立はただ利益の分け前の方法をめぐるものです。そして反腐敗洗い出しを政敵に使うのは別に習近平だけでなく江沢民が(陳稀同にやったように)開発した技術です。

    2;習近平がもし独裁式の反腐敗摘発をやらないとしたら、彼にはもう他のやり方の選択肢はないのです。なぜなら中国の裁判システムと検察システムはとっくに腐敗汚職のたまり場だからです。

    3;江沢民、胡錦濤時代の政治利益集団の共同山分け制度はもし腐敗を糾そうとするならこのふたつの政治集団を洗い直すしかないという必然性を生みました。もしそれがいやで腐敗摘発者に反対するならそれは中共政府としての反腐敗という最後の一線を放棄するに等しいのです。

    NYタイムズはこの6月4日に習の家族親族の資産売却に関連する記事をのせました。情報提供者には多分別の狙いがあったでしょうが記者は事実を報道していますから、とやかくいうことはありません。しかしファイナンシャルタイムズの記者は自分が中国国内の政争に一役買っていることを隠そうともしていません。

    《民間は笑い話となぜ思う》

    習近平からすれば腐敗摘発は国家と党の一大事で、自分がこうやって頑張って一年内に30人もの省・大臣クラスの高級官僚をつかまえたら、きっと民衆は大喜びするだろうとおもっていたでしょう。ところが当てが外れて、民間では習近平の反腐敗摘発が強力な抵抗にあっておわらいぐさになってしまっています。これには二つの原因があります。

    ひとつには習近平の誠意への疑念です。中国の腐敗はその制度こそが原因だと一部の人々は気がついており、政治改革を望んでいます。また別の人はそこまでははっきりしなくても公務員の財産公開が腐敗摘発の効率があがるとおもっています。(*どちらも習近平は拒否し、後者を要求した市民は逮捕された。)

    ふたつめは習近平はこれまで一切、下から政治を支持しようとする気持ちを汲み取ろうとはせず、一切の民間の声には協力な弾圧で挑み、知識人だろうが企業会だろうが、民間穏健派だろうがすべて打撃を加えて、ネットを封鎖し言論を理由に人々を逮捕し重い刑を課して牢屋にぶちこみ、親衛隊の部下を四方八方にはしらせそこら一面赤色テロルのようにしてしまいました。

    薄熙来はかって重慶で「革命歌を歌い悪をやっつけよう」とやったときは、毛沢東を掲げ都市住民への福利サービスをアップするなど下向きの支持向上政策をとりましたが、習近平は一人、馬にまたがり「虎を倒せ!」と高調子に叱咤しておいて、それが突然、超大物虎と妥協し小物虎で員数だけ合わせて同時に民間に高圧的政治姿勢で弾圧を加えてきますから、当然、民間からみてればその反腐敗摘発のフラフラとぐらつく様子は「わらっちゃうね」という話になってしまいます。

    《孤立した道は窮し、力窮すれば即ち勢い無し》

    ところで「反腐敗」はどうしたら成功するでしょうか?これは大変複雑な問題です。人類社会の資源分配と社会管理は公共権力システムの力を使う必要があります。ですからいかなる公共権力も誕生したその日から、腐敗がつきまとうのです。これはつまり「反腐敗」というのはどんなに異なった政権でも直面せずにはいられないひとつの永遠の課題だということになります。

    しかし腐敗との戦いはすべて政治体制によって決まるというわけではありません。世界に目を向ければ民主制度で比較的うまくいっている米国のような国がありますが、民主制度でも成功していないインドのような国もあります。独裁的な手段で腐敗との戦いに比較的成功しているシンガポールのような国もあれば、独裁国でもまったく失敗している中国のような国もあります。これは多くの複雑な要素によってきまってくるもので

    米国でうまくいってるのはその政治体制のバランス、例えば司法の独立と完全に法治であることが理由としてあげられますが、インドの腐敗の原因は中国がいうような民主制度のせいではなくて、その国の文化の影響とチャンスのすくなさが関連管理部門の役人達にチャンスがあれば上手い汁をすう光輝だとおもわせてしまうわけです。

    シンガポールの李光耀の独裁式の腐敗撲滅が成功したのは、彼が立国の大手柄をたてた人物と言う個人的権威がものをいいました。習近平の独裁式の腐敗撲滅が成功しえないのはひとつには相手が強すぎること、統治集団内部の利益分配構造を揺るがすことがきわめて難しい事、そして習近平本人には李のような政治的声望がないこと、です。

    ですから習近平が楊暁渡に5月26日に「超大物の虎達」への挑戦はしないと発表させた後、NYタイムズが引き続き、習近平の姉の財産問題を報道したのは結局習近平は「虎退治の習」ではなくて、本当は「大虎の仲間」だと世界に印象づけ、その反腐敗はホンモノではなくて、政治的なクリーニングにすぎないのだという印象を与えようという狙いです。30余年の権力改革と市場化の弊害で習近平のできることは多くありません。

    習近平が低支持率という「孤軍」になってしまったのはいくつか原因があります。

    1;もともと統治者集団の内ゲバ。多くの大物達は習近平が自分達の蓄財道を阻害し、自分や家族に危害をくわえると危機感を持ったこと。

    2;国際社会が彼への希望から懐疑に転じた事。理由はさまざまで人権団体は人権抑圧、資本集団は中国の外資の腐敗摘発に不信をもち、新聞業界は対外メディアへの厳重なコントロールと弾圧姿勢に、各国政府はその強硬な外交姿勢、といったぐあいです。

    3;中国民間社会の不満。習近平が指導者になってから政治のコントロール、言論やメディアのコントロールは胡錦濤時代に比べて大幅に強化されました。

    独裁者はみな自分の能力を多分に信じています。習近平の任期のはじめ、我こそはと勇気凛々紅色国家の「中興の祖」たらんと思っていた筈です。でも彼が直面したがらなかったのは中共のシステムはすでに末期がんてきな症状を呈する病人で、全身にガンが回ってしまっており、彼がいくら腐敗撲滅の決心をくだしたところで起死回生などおきはしないという事実です。1、2年後に経済が振興の希望がないまま、様々な実験の努力が終わってしまったら、習近平の大政治方針は重大な”調整”時期をむかえることになるでしょう。(終)

    拙速御免。
    原文は;习近平反腐为何势孤力单 http://biweekly.hrichina.org/article/18769

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