• 中国の鼓動をどう判断するか

    by  • July 10, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年7月7日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/VoKfc
    私は海外に住んでいるのにどうして中国の現在の脈動を把握し中国国内の人々が私の分析に納得、信服するのか、とよく聞かれるのです。信服するかどうかは外部の評価で、それを量る基準は人々がRT して伝えるかどうかですから、ここでは如何に中国の脈動を把握するかについて御参考になればとおもうのでかいてみます。

    《”異常”を見つけることにたけている事》

    まず一例をあげましょう。最近、ツィッター上で話したことですが、NYタイムズが連続10日間に「一番読まれた文章」(*の中国語版らしい)のトップがなんと2012年10月26日の記事で「温家宝総理一家の隠し財産」だったのです。調べて見ると別にNYタイムズが古いニュースを再度トップニュースとして掲載したわけではありませんでした。

    どうやらこの一年半も前のニュースがトップになった理由としては、一番ありそうなことは最近、クリックされた数が爆発的に増えたからでしょう。それだけではなく、7月2日の「10のよく読まれたニュース」のうち6つが温家宝の家族財産のことでした。例えば「温家宝の家人がNYタイムズ報道にどう答えたか」(2)、「温家宝の家族と平和的勃興」(3)といったぐあいです。(*原文頁 http://urx.nu/9TTi に図あり)

    NYタイムズの中国語報道記事の数はすくなくありません。それが二年前の旧記事が読まれるばかりかランクトップに何日も続けてなっているのはものすごい数の閲覧がなければこうはなりません。大事なことはこの大量閲覧が中国の外からではないということです。なぜなら海外読者はとっくにこの名記事と関連記事を読んでいるからです。そしてもし中国大陸からならふたつの可能性があります。

    ひとつは突然NYタイムズの閲覧が中国国内で解禁、又は一部解禁され「壁越え」しなくても読める様になったか。もうひとつの可能性はあるグループ(例えば政府公務員)に開放され職場単位で壁越えソフトのはいったパソコンなら読めるようになったか、です。どちらだとしても、その意図は「反腐敗」の動きを温家宝に集めることでしょう。その目的はおそらく多重的なもので誰が背後で糸を引いていいるかはわかりません。

    しかし北京の習近平がすすめている「反腐敗」には、特にその「身分差別」は興味深いものがあります。これまで「反腐敗」で摘発され失脚した30余人の省部級(各地の省と大臣級)の官僚は全員が”平民”出身で、一番美味しい汁を吸っていた革命初代の子や孫、その家族である紅色貴族はふくまれていないのです。

    《政府側文献と外国メディアを比較解読》

    5月下旬に「汚職官僚特赦論」が熱い話題になったのに、6月中下旬になると今度は反対に「反腐敗」の動きが頻出しましたが、その細かい中味はわからなくとも北京が完全に方向感覚を失っていたようにおもえますね。でも実はそういうわけではないのです。私はこの間ずっと中共中央紀律委のネットと信用できそうなメディアのニュースを比較して、中国の脈動をみつけました。

    習近平が「反腐敗」の実行を決めて以来、中央紀律委の党内政治のおける力は急速に高まりました。中共の『声』をそのとおりにたれ流すメディアはいくらでもあるのですが、中央紀律委はメディアを経ずに自分のネット上に直接各種のニュースを発表しました。たとえば香港・マカオ工作委員会及び国営企業を監察対象範囲に入れるとか、副書記の楊暁渡の5.26談話は直接ネットで発表されました。5.26の楊の談話は大変重要で、外部の世界は一度は中国は腐敗を特赦するのだと思いました。

    しかし中央紀律委のネットと関連資料を精査した後、私は「習近平VS大物 腐敗摘発の戦いは暫時休戦に」(http://heqinglian.net/2014/06/24/fighting-corruption-japanese/)で分析しましたが、習近平はトップレベルの腐敗に対し、たしかに5月26日に一時停戦したのです。証拠は中央紀律委副書記の楊が「査問の対象は中共18回大会後もまだやめない、現在重要な地位に居て今後も抜擢される党員幹部だ」とはっきり18回大会を区切りとして本人がそれ以後重要な地位にいなければ例えば退職した政治局常務委員はその家族の腐敗もふくめて査問や調査をしないとしたのでした。しかしその範囲はきわめて限定されたもので、その同じ日に前湖南省の政治協商会議副主席の陽宝華は調査をうけているというニュースも同サイトに掲載されました。

    政府側の文献によるとこうなります。そして当時巷に流れた情報は「習近平は四面楚歌で、総書記でいられるのは一期ももたないかもしれない」という話でした。しかし十日もしないうちに事態は劇的な展開をみせました。

    NYタイムズが6月4日からはじまって3度にわたってトップ報道したのはまず4日に「天安門事件で運命がかわった商人・肖建华」という記事でそれには「取引相手には指導者の親戚の斎橋橋(*習仲勋の娘、つまり習近平の姉)がいた」とあり続いて五日の「明天グループのタイムズ報道にたいする声明」「肖建华企業が習近平家族の株を購入したことについての回答」という記事が報道され、筆者・傅才德(Michael Forsythe)はブルームバーグの前駐香港記者でした。

    同社が掲載した2012年6月29日の有名な「習近平家族の財産は億を越えるーエリート一家の財産の構図」は傅才德の筆によるものです。2013年11月末、ブ社は北京と上海で支局に警察による捜査を受け、香港メディアはその結果公安部副部長の李東生が610事務室の名義で資料をブ社に提供していたことが判明したと報道しました。傅才德が習近平一家の財産の資料についてよくしっていたわけですから、もし誰かが再び肖建华や斎橋橋の企業の資料を提供したならば傅才德はその価値あるニュースを掲載しないわけがないのです。

    表面的には肖建华の明天グループと「NYタイムズ』が互いに連動しているようにみえます。しかし傅才德は6月18日に「習近平の親族、多数の商業プロジェクトから撤退」の記事のなかで「習近平の親戚が大量の資産から手を引いたのは、あるいは腐敗摘発の際に弱みを見せない様にするためかもしれない」とも言っています。これは前の3編の記事に比べるといささか”路線の変更”のようにもおもえます。

    《疑問点をさがし、それにふさわしい質問をしてヒントをつかまえる》

    残された問題は;習近平が少数の最高レベルの”大虎”たちへの網を緩めたというのに、なぜ誰かが引き続きNYタイムズにネタを提供し続けるのか?です。

    ふたつしか可能性はありません。ひとつは資料が楊暁渡の5.26談話の前に手渡されていて、NY記者が何時発表するかはネタ提供者には決められなかった。肖建华のニュースのポイントは彼が天安門事件当時、「北京大学学生会首席」だったので記者は天安門事件の日(6/4)を選んで掲載したという可能性です。もうひとつは誰かさんが習近平の”お約束”をあまり信用できずに習近平の家族の蓄財状況を報道して「高官家族はみな同じく腐敗している」ということを明らかにしたかった場合です。

    如何なる原因であろうとこれらの事実は必ずや習近平を激怒させたにちがいありません。姉の斉橋橋の財産のことは2012年にすでに暴露されていますが、この習近平という「虎をやっつける大将」は自分も大虎の親戚だ、といままた蒸し返すことによって、習近平に対して「鉄をうつなら自分が堅くなきゃダメよ」(*自分の手がきれいでもないくせに)というのはどうみても嘲りです。

    《以後発生したことを日付順にならべるとおもしろい発見がある》

    6月14日、全国政治協商副主席の蘇栄が規律違反の疑いで調査されました。現任の副主席は23人もいますが、これは名誉職的肩書きにすぎず、ポイントはこの職階が(*5/16中央紀律委談話で”免罪符”を手に入れたはずの)「党と国家の指導者」のうちに入るということです。そして6月19日には、山西省の政教副主席の令政策が突然、調査を受けました。令政策の本人の身分は別にどうということはありませんが、その弟の令計画は現任の全国政協副主席で、長期にわたって胡錦濤に仕えた人物ですから、これは胡錦濤攻撃の前奏曲では?との声もありました。

    おかしなことにはこのとき丁度上手い具合に令計画への当てこすりのような「令狐(*令狐绹,(795-872)のこと?晩唐の政治家)事件と帝国政争」という文が発表され、その中の重要な文句は「令狐绹の退場は新皇帝が前任の君主とすべての”最高学府派”を清算する前兆か?いや、事実は反対に令事件は唐帝国官僚に令狐绹ほどの権力ある臣でも没落したのはたまたま彼が間違った派閥に属したからで、官僚たるものはタダシイ派閥に身を置かねばならず主人にそむく家付き奴隷はかならず良い酬いはないだろう」というところで、この意味は新皇帝がこの度の挙にでたのは胡錦濤にそむいた奴隷をやっつけるためであって、胡錦濤一族をやっつけようとしたのではない、と外に向かって”タダしい解釈”を教えたものです。

    さらに6月30日には、前軍事委員会副主席の徐才厚が収賄の容疑で党籍を剥奪されたニュースが発表されました。同時に徐の系列に繋がる数十名の将軍が調べを受けました。徐は江沢民の統治期間に頭角をあらわし、胡錦濤が軍事委員会首席になったとき副主席に昇格した人物で、以後、中央政治局入りし十年の長期に渡って任にあった軍の実権派で、ずっと江沢民系の軍人だと認識されていました。多くの人々は徐を除くことは江沢民系の人脈を粛正する合図だとみています。

    《思考を柔軟に組み替え、各種の変化を総合し、動向を判断する》

    反腐敗の一連の動きで今後どのようなことがおきるかは、習近平と江沢民や曽慶紅ら”老同志達”の行動をみなければなりません。この種のあやういバランスが崩れるかどうかです。 以下に私が考える要素をあげておきます。

    NYタイムズが温家宝家族の旧文が突然、熱心に読まれる様になったわけですが、それなら誰が温家宝一家を反腐敗の注目点にしたいのか?ですね。そうなると、一度は「免罪符」を手にいれたはずの大元老らの家族は本当に安全なのかどうか?ということです。

    習近平はこの戦いで優位をしめています。党も軍の大権も掌握し、反腐敗で、道義的にも優位です。徐才厚の党籍剥奪後、解放軍報はただちに「党中央の決定を支持する」という文章を発表しました。江沢民、曽慶紅、李鵬などかっての指導者たちは自分達がかって配置した昔の部下がまだあちこちにいるとはいえ、中共内部の親分子分の関係は利益をもって構成されていますから、現役首席の習近平には敵いません。習近平一家のスキャンダルや温家宝の財産の話を蒸し返してももういまとなっては「冷えた炒飯」を暖め直すようなものでさしたる「殺傷力」はありません。つまり習近平に敵対するならもっと強力な手札がないと、今後のゲームのなかで5.26の中央紀律委談話以上の好結果を得る事はできないでしょう。

    ましてやNYタイムズの6月4日以後の習近平の姉についての数編の文章は、習近平に対抗する勢力が5.26以後のあやういバランスを崩してしまったともみることができます。

    インターネットの時代、分析者が見ているデータは同じ様なもので、同じではないのはそれを見る側の観察力と知識の蓄積なのです。(終)

    拙訳御免。原文は「如何判断中国脉动?」
    http://www.voachinese.com/content/he-qinglian-20140704/1951356.html

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