• アリババ株米国上場への3つの大きな視点

    by  • August 8, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年7月28日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun
    http://twishort.com/yXUfc

    ニューヨークタイムズの7月21日「アリババ(*支付宝やヤフー中国など傘下に置く大ネット企業)上場の背後の”革命紅貴族二代目の勝ち組達」は大変読ませる記事です。同企業の株主の来歴を調べてみると少なくとも3つの見逃せない問題があります。

    ▼⑴;革命貴族二代目が国の資源を”きれいな白手袋”で米国市場でマネーロンダリングしようとしている事。

    記事によるとアリババに投資している中国の4つの企業の経営陣の中には2002年以降の中国政治局常務委員の経歴を持つ20数人の息子達がいます。その全氏名のリストを公表してはいませんが記事を読めばその紅色貴族連は中国のピラミッドの頂点の連中だとわかります。

    前国家主席・江沢民の孫の江志成(Alvin Jiang)は博裕投資会社の共同設立者ですし、温家宝の息子の温雲松が創立した新天域、王震の子の王軍、退職した政治局常務委員の賀国強の子、賀錦雷らが経営を握る中信資本、現任の常務委員・劉雲山の子、劉東飛が副総裁の国開金融(CDB Capital)です。

    これらの連中が株を持っにいたった道筋は曲がりくねっています。この種の隠匿持ち株は90年代中後期にはもう中国資本市場の「隠れたルール」になっていました。権力による市場化の受益者達はその来源と由来を隠すため、互いに株を持ち合ったり互いの息子名義で株主に成り合ったり、多数の家族が参加して互いに株をやりとりして分からなくしたり、といったぐあいでさすがに「天下にできないことはないカシコイ中国人」と言われるだけのことはあります。

    では連中はどのぐらい株を持っているのか?なのですが記事にによるとアリババは現在の株主の情報はきわめてわずかしか公開していません。今回の新規公開(IPO ;initial public offering) の標準的な流れでは、アリババは届け出書類で7割の株主を発表し、その中にはヤフージャパンやソフトバンクなど大型外資企業があり、取締役会のトップは馬雲(*アリババ創設者)と副社長の蔡崇信(Joe Tsai)らが重役でがいます。

    ということはつまり明かされていない持ち主が3割いるということです。興味深い事にアリババの公式微簿に発表された声明では市場だけが後ろ盾だというのです。2014年6月30日、博裕、中信、国開金融がその管理下の金融実体種別ではそれぞれ0.55%、1.1%、0.47%の普通株です。この3つを足しても3%未満ですから、まだ27%もの誰が所有してるか不明の秘密にされている株があります。

    しかしアリババの今年、ニューヨークでの新規公開(IPO)の市場価格予測は2000億㌦ですから、上述3者の持ち株の合計でも40億米ドル(4000億円)を越えています。馬雲の民営企業の殻に身を隠し米国のウォール街でお金を回すーこのような権力の資本化(国家資本も含めて)ーしかし、民営のふりをしてーウォール街でマネーを動かす国際操作はあ米国の資本界の後押しがあってこそできるわけで、その手法のスゴさは中東や北アフリカの独裁者らの遠く及ぶ所ではありません。

    「この取引は中国歴史上、最大規模の私的企業部門の融資」と宣伝することでこの冨は堂々と「俺たちが米国でかせいだ米国人のお金で中国とは無関係だ」と言い張れるので、多くの中国の民族主義者達も大喜びで「さすがは俺たち大国だぜい!」と得意に思う事でしょう。

    ▼2;2012年というビミョーな時期について

    紅色貴族二代目たちの企業が自分達の基金でアリババ株に投資したのが2019年9月だった、というところに注目です。新天域はすこしおそいですが、このころの1年とその前に何が起きたか、ということをみてみましょう。

    2011年から中国の高層の権力闘争は白熱化しました。政敵をやっつけるために多くの高層指導者の家族がやっている事業の資料が各種のパイプを通って外国メディアに流れ大きな話題になりました。江志成の博裕资本(Boyu Capital)は2010年成立の日から外国メディアの注目の的でした。温雲松の新天域は数年来、ロイターやファイナンシャルタイムズの注目の焦点で、国内の21世紀報道の“郑建源事件”、2012年10月のNYタイムズの「総理(*温家宝)家族の隠し財産」が代表する一連の報道は天下に有名となりました。習近平ですらその家族の財産の話はブルムバーグが2012年6月に重要ニュースで何度も「習近平の家族の冨は億を超すーエリート一族の話ー」として報道しました。

    膨大な財産が暴露される圧力の下で紅色貴族達は財産をはやくキレイにする必要に迫られました。一番いいのは当然米国の株式市場に上場する方法を考えれば濡れ手に粟で(すでに米国上場の300以上の企業が見本でしたし)、また財産をまっ白にクリーニングすることができます。ただこれをやるにはそれにふさわしい企業が必要でした。

    まさにこのときうまいことに馬雲のアリババが面倒な状態に陥っていたのでした。2011-2012年当時のアリババの状態をお話しします。(主に「最も孤独な億万長者・馬雲」、ブルムバーグ中国語版2012年6月15日による)

    馬雲の企業はかって中国消費者のネット購入で71%をしめていました。しかし2011年になってその電子ビジネスネットのアリババは詐欺だという醜聞にまみれました。米国政府は公開でアリババグループに属する「淘宝(タオバオ)」はニセモノを売ると批判し、また数千の小売業者がネット上や馬雲の故郷で有る杭州のアリババ本部で集会を開き、タオバオの手数料値上げに抗議しました。2011年に詐欺とにニセモノの悪評がたってから馬雲と政府官僚は40〜50回も会談、おもに政府側からの行政指導ですから

    馬雲は創業以来、最も困難な時期だったわけせす。しかし、その後明らかに、上の方から”助け”が入りました。2012年9月、アリババ・グループは76億㌦でヤフー所有のアリババ株を買い戻したと宣言しました。「アリババ上場の背後の”革命紅貴族二代目の勝ち組達」記事によるとこの費用のもとはトップ投資家集団が株を売り調達したカネの一部だとし、そのうち主要なものは中国のソブリン・ウエルス・ファンドと三つの有名な中国投資会社だと。そのうち国家開発銀行はアリババに10億㌦の借款を提供し、ヤフー所有分買い戻しを助けました。

    国家開発銀行の株主は、中国国務院、発展改革委員会と為替会社で前二者は中国の政府機構で最後の為替会社は中国最大の金融機関の政府の企業のひとつです。これ以後、馬雲は中国の最高レベル層とのパイプが通じ、苦境を脱したばかりか米国株式市場に上場する大きな夢実現にまた動きだします。これは普通の企業にとってはほとんど不可能なことです。なぜなら米国では130社の中国関連株(*中国国内に主要収入源があるが,中国国外で上場している中国企業の株券=中国概念株とも呼ばれる)にまつわる財務詐欺の容疑(*財務諸表の偽造容疑)がまださめやらぬ時期で、その問題は未解決のままでした。

    まさにこのときに米国でIPO規模2000億㌦の中国の企業、馬雲のアリババをを引き受けさせようと言うのはどのようなロビー活動ができるグループでしょうか?

    ▼3;米国政府の対応や如何?

    アリババが米国市場に上場する審査結果が発表される前夜にNYタイムズが発表したこの「「アリババ上場の背後の”革命紅貴族二代目の勝ち組達」に対する中国側の怒りのほどは「環球時報」の「NYタイムズの記事は不純な目的」の中に垣間見えます。

    NYタイムズの記事中にもJPモルガンとこれら太子党の関係が米国司法機関の注意を引き、米国証券取引委員会と検察局もモルガンの「子女プロジェクト」が例えば「反海外腐敗法」に違反しないかを調査中とあります。(*子女プロジェクトは中国高官の子女をモルガン銀行が優先雇用することで一種の賄賂行為の疑いもあるといわれている)。しかしすでに報道されてもいますが、こうした利益はきわめて秘密裏に運ばれるため、モルガン銀行が実際に違法行為をしたという証拠が(*子女と直接の関係)立証できず、放置するしかありません。

    この種の事件はきわめて追求がむずかしく、たとえばさきの中国関連株(*概念株)財務詐欺容疑事件もそうです。2001年から始まり2005年にピークを迎えた300社の企業の一連となってのちに財務詐欺の容疑をうけ、130社が営業停止され、のこりの会社の株もゴミになりました。

    これらの多くの企業が米国証券取引委員会の調査を受ける前に米国株式市場からそっと逃げ出したのでした。しかし財務詐欺に関係した米国の5大四大会計事務所(*アーンスト&ヤング 、デロイト トウシュ トーマツ 、KPMG 、プライスウォーターハウスクーパース 、エンロン事件で解散したアーサー・アンダーセンを含む)はいまだになんの懲罰も受けていません。それは証券委から請求されたデータの引き渡しを拒否しているからでその理由は四大会計事務所は「中華人民共和国の法律がデータ提出を禁止しているから」というもので、中国政府もこの逃げ口上を裏書きして支持しています。つまりは一切の責任を米国証券取引委員会がどうしようもない中国の法律におっかぶせてしまうのは
    確かにこれは身をかわすうまい方法です。

    しかし米国の株式市場で損失を蒙った投資者の損害はだれも面倒をみませんから、米国の株式市場の安全性と信頼性はこれによって深刻な損害を蒙ります。これらに関しては、私は《“中国概念股”与中国特色 2011-06-23 http://www.aboluowang.com/2011/0623/208886.html》と別稿《从APO产业链看中国如何改变世界 2014年07月29日http://www.voachinese.com/content/article-20101224-china-apo-112429799/775128.html》、《信誉:“五大”在中国淘金的质押品 2014年07月29日http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-credit-collateral/1755390.html》に書きました。

    米国のビジネス界にだって多くの利益追求だけをして社会的責任感の欠如した企業やエリートがいます。5大会計事務所の仕事ぶりはまさにその一例です。中国の三大主権基金と新天域投資会社はもともと外国資本と超密な関係をもっており米国の財団は「K街政治」(*K街はワシントンのロビイストの蟠踞するストリート名)に長けており、米国の弁護士と会計事務所は「法律が禁止しないことは自由」ということを十分承知しており、触法スレスレの抜け穴をみつけるのが得意です。

    アリババの背後には彼らの支持があり、米国市場の上場に成功する可能性は大変高いものがあります。米国政府がこれに対してどのような対応をするか、我々はしっかり目を見開いて注目しましょう。(終)

    拙速御免。
    原文は;「阿里巴巴美国上市的三大看点」 http://www.voachinese.com/content/alibaba-usa-ipo/1966219.html
    「中国概念株」;訳者はこの方面、全くのシロウトなので、こちらなどを参照してください。
    中国概念股の危機で見えてきた諸問題
    ― 上場手法としての反向収購 reverse merger (RTO) ―福光 寛 http://www.seijo.ac.jp/pdf/faeco/kenkyu/199/199-03fukumitsu.pdf

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