• 習近平の腐敗撲滅が引き起こした輿論の波乱

    by  • August 8, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年8月8日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/7lcgc

    今や中共の宣伝システムは完全に混乱しているようで8月4日、ローカル紙「長白山報」に出た「習近平;生死や毀誉褒貶を度外視して腐敗撲滅する」が鳳凰ネットに転載されて流れて後、たちまちのうちにネットから削除されました。そのためネット上で、習の腐敗退治にはまだ今後まだ情勢の”変数”があり、大きな困難に直面しているのだろうと様々な推測が生じました。抵抗は当然巨大なことはの腐敗撲滅が引き起こした輿論の波浪をみただけでもその一班が垣間見えます。

    《重点は軍・警察・特務》

    この削除された文章は実はネットの上でまだ残っています。その中で重要な情報は「習近平総書記の重要な講話は腐敗撲滅情勢に新たな言い方として『腐敗の勝敗は両軍が対峙して膠着状態にある」「総書記は固い決意で腐敗には個人の名誉・生死はどうでもよい。党と国家の前途の命運が我々にかかっている以上、その責任を担うのだ』とのべ、王岐山はさらに『これは立場、態度、陣営、気持ちの問題であり、その後ろには党と中国的特徴の社会主義の道への決意の問題がある』といった」という点でしょう。

    「膠着状態」が腐敗撲滅の困難さであれ、トップレベルの”部隊”の問題を示すのであれ、とっくに秘密でもなんでもないわけで、関係方面は背景の異なる各種の香港メディアや外国メディア、或は直接間接の”離れた距離から攻撃して相手を倒す”的な報道、それに故意に流される少なからぬニュースで物事をちゃんと解読できる人達はとっくにこの2年間の中国トップレベルの政治がどうなっているかわかっていたことです。

    明らかにされている腐敗撲滅の戦果からみると「三大要害」は警察・軍・特務のようです。警察と武装警察の指揮権は周永康が握っていましたが習近平はすでに権力を奪取したようです。軍事権は郭伯雄と徐才厚の2人が握っていましたが2人を勾留したので次第に人事も調整されるでしょうし習も自信をもっているようです。残る特務、国家安全系統は結構厄介です。もともと裏も表もある組織が全世界的に広まっていますし、現在国外から見た北京の腐敗撲滅の価値判断(形勢判断ではない)は混乱しており、それはこの系統が働いています。国家安全に関する系統はずっと曽慶紅が長らく握っており、彼の退位後もずっとコントロールし影響力を保持してきました。
    しかし現在、江沢民・曽慶紅が警察・軍の二大系統を抑えていた情勢は過去のものとなり、国家安全系統は(*習近平の反腐敗に対して)混乱を起こしたり威嚇することはできるとしても、クーデターまで発動しないでしょう。党代表大会などの制度的なやりかたでも習近平の総書記としての任を解く事ができるわけですから。

    《個人独裁と寡頭政治の優劣について》

    今回の腐敗撲滅に対するはっきり対立している主要な価値判断は二種類の観点です。習支持の理由は一つにそれが大変必要な事、腐敗分子をそのまま残すより捕まえた方が良い、ということと習近平が政局安定後に大権を掌握して政治改革を行うのを期待しているからです。一方、反対派はこれが政治的粛正であって正当性がないことと、これまでの利益集団メンバーに憲政実行を願うという期待しています。

    どちらも半分はあたっています。支持派は腐敗撲滅は大変必要だとしているのは絶対に正しいし、反対派が政治的粛正だというのも摘発対象が選別されて(*革命元老らの子の「紅二代」達が摘発を受けていない)ことから事実といえましょう。しかし前者が習近平が政治改革をやるだろうとか、後者が既得利益集団であるこれまでの指導部メンバーが憲政を実施するだろうなどというのはまったく根も葉もない架空の期待にすぎません。これまで、習近平は如何なる民主政治にも(*人権など)世界共通の普遍的価値感にも興味を見せた事はありませんし、あるのはただ「それぞれの国民にあった靴」論とか「三つの自信」(*要するに共産党は正しいから自信を持て」演説)とか中国的社会主義のありかたばかりです。

    しかしだからといってこれまでの利益集団の面々に憲政推進を期待する、というのはもっと馬鹿げたことです。利益集団の代表ともいうべ江沢民、胡錦濤時代の政治局の常任委員たちが実権を握っていた当時、温家宝が任期最後の二年間に空文句を並べた政治改革や普遍的価値を口にした以外は、みんな「5つのやらない事」(*要するに民主的改革はやらない)とか中国的社会主義路線の支持者ばかりでした。この連中の政治的態度というのは前進はせず(*民主制度推進はしない)、なぜなら特権を失いかねないから腐敗をともなう現存制度を守る)し、毛沢東式の文革はきわめて不利なので「過去への後退もしない」です。

    彼らの理想状態は今の半ば行政に干渉出来て、半市場経済の権力と経済の癒着状態なのです。なぜなら権力さえもっていれば資源の配置を独占して経済活動に介入出来る状態こそ彼らの一家がこれまでどおりうまいことつつがなく荒稼ぎできるのですから。これらの連中は改革をする権力をもっていたときもできるだけ現状を維持しようとしていたわけです。それをいまさら悠々と退職した彼らに憲政推進の望みを託すなどというのは、習近平の腐敗撲滅に反対する一派の願望でまさにその利益集団のメンバーが本当に言いたい事だとまではいわないとしても、彼らの直面する腐敗撲滅へのプレッシャーを思えばこういうことを言い出す人々の誠実さはいささか疑わしいものがあります。

    腐敗撲滅のこの先にあるものは容易に判断できます。もし習近平が勝てば個人独裁が確立するし、もし敗れれれば結果はこれまで同様の江沢民・胡錦濤時代の寡頭共同統治です。民衆にとってはどちらも独裁で本質的な差はありません。

    政治学的に言えば国際社は独りかまたは少数者が絶対権力を握って憲政や法律の制限を受けない政治体制です。この種の体制の統治権は独り又は一集団が独占し、様々な鎮圧機能をもってその政治的権威を発揮します。二度にわたる世界大戦の間に、学会は当時の現実に基づき独裁体制を憲法独裁、共産独裁(名目上はプロレタリアート独裁)、反革命独裁、ファシスト独裁。20世紀の60年代のアフリカ各国で民族独立解放運動後は例えば宗教独裁、家族独裁等があります。独裁政体はその政治的実戦であきらかに世界に対して、この種の政体は深刻に民衆の利益を侵害しそむくもので、どころか人民の生命・財産の安全に危害を与えることを証明し、であるがゆえに、人類社会から見捨てられつつあります。

    中国の民衆から見た場合、個人独裁と寡頭独裁のどちらがいいかというのは判断のしようがないことです。唯一の違いは寡頭の方がそれにくっついている輩がより多くて養うのがより大変というぐらいの違いでしかありませんから。かって「9人の竜」(*中共中央政治局常委)がいたときは大多数が自分が掌握している部門を自分の家族にやらせて国の利益を頂戴するチェーンをつくりあげ、それぞれのチェーンに利益を求める連中がいっぱいくっついていました。もし中国の政治体制が変わらないなら、腐敗は必ずやまた巻き返してくるでしょう。たとえ習近平と王岐山が清水の様に清らかでも何千何万の官僚が利権を漁るのを防げうる筈もありません。

    《民主・人権を期待する人々の政治改革は天から降っては来ない》

    自由はダダでは手に入りません。憲政改革はまったく中共独裁政権の政治的必要性に合わないのです。ましてや中共利権集団の利益にも合いません。現在の情況からみるに、政治改革が天から降って来るというようなことはありえません。理由を以下に述べます。

    中共はこれまで危機のときだけ改革を推進しました。危機がなければ決して改革など考えませんでした。中共の改革への判断は丁度、清末の皇帝一族同様、自分達に有利か否か、できまります。それは清を守り中国を守る必要があるとき、清を守る事が中国を守る事より優先しました。

    戊戌政変後、清朝は康有為とその一党の罪状を挙げましたが、その中に目を剥くほどはっきり「国会を平光として中国を守ろうとし、清を守ろうとしなかったのはまことに怒り心頭に発する行為だ」とあります。以後この言葉は何度も慈禧太后が憲政を拒否する理由として登場します。この話は清朝朝廷はすでにはっきりと中国の利益と清皇室の利益は一致等しておらず、憲法に基づいた政治などやったら中国にはいいかもしれないが、清皇室の天下は危うい、と分かっていたということを示しています。

    これはまさに、中共が絶対に憲政など受け入れないのと同じ理由です。中共はずっと自分達の政権の「国家の核心的利益」という包装をほどこして天下に示し続け、米国等にもそれを尊重するように要求しています。習近平本人も「ゴルバチョフ(*政治改革をおこない結局ソ連共産党独裁を崩壊に導いた)なんて奴は男じゃない」とはっきり斥けており、現在、急に考えがくるりと変わるということはまずなさそうです。

    というわけで、私はやはり自分が2003年に「中国の強権統治の現状とその未来」で書いたとおり、中国は長期に渡って「爛れて膿むが、しかし潰れない」状況が続くとおもいます。社会を維持し支える柱は4本、それは環境生態、倫理道徳(宗教文化という言い方もある)、基本生存条件(職業)等が深刻に破壊された時、中国にはただ政府の独裁管制という柱しかありません。もしこの柱が倒れる前に中国が新たな制度的出口を作れないとするなら、中国の未来を楽観視することはとてもできません。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;「习近平反腐引起的舆论波澜」http://biweekly.hrichina.org/article/19954 《中国人权双周刊》第136期    2014年7月25日—8月7日)

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