• ノラは遂に家をでたが…前途渺茫ー遅く来た戸籍改革を評す

    by  • August 24, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年8月11日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/9Degc

    中国政府は数日前に「戸籍制度改革を一歩推進する事に関しての意見」を発表し都市や農村地区にすむ人々が自主的に居住地を決める」を戸籍制度改革の基本原則としました。これは中国が遂に明の太祖・朱元璋以来の賦役黄冊(戸籍台帳)制度を放棄し、国民が自国の中を自由に移動することを許すということです。この受益者は全国の2.89億人の戸籍分離者のほか、農村人も自分の住みたい所に引っ越せるようになるということです。

    《ノラは家を出たが前途は渺茫》ー戸籍制度改革は「遅い秋に来た早春」ー

    この中国社会の進歩はゆっくりゆっくりではありますが、しかし個人の自由の一部を認めたということは言えましょう。国際社会の個人の人権というのは個人の自由として人身の自由、通信の自由、言論の自由、結社の自由、宗教信仰の自由、移動の自由です。この「晩秋の早春」は結構ですがただあまりにも遅すぎたのです。中国の現代の経済部門が提供できる就職機会の最良の歴史的機会を逸したからです。

    長年私は改革は時間が資本だと言い続けてきました。つまり改革の時期が大事でそれを誤らなければ効果は倍増しますが、時を間違えると波及効果は逓減し、どころかマイナスの影響を伴います。そしてそうしたマイナス面への予測と備えがなければ中国の戸籍制度を改革する最良の時期は2001年からその後3、4年間だったでしょう。WTOに加入して世界の工場となって十年間の景気の良い時期には中国農民に大量の就職機会を提供できました。

    ただ中国のこの『世界の工場』の労働者雇用体制はかつての英国のそれとは大分違っていて、英国の産業革命時には妻子を伴い工場地区に住めましたが、その地区はつまり巨大なスラム街でした。エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』は自分が1842年から1844年まで英国居住の間に労働者居住区を直接観察したものです。

    現代の中国は戸籍制限のために都市で労働する農村人は家族を同伴して来られず、身分上も都市労働者と差別があり「農民工」と呼ばれ普段は家族と別居し毎年の正月にやっと家に帰って家族と短い団らんを過ごせるだけで、毎年春の帰省ラッシュはこのような渡り鳥的人口のすさまじい勢いの現象です。

    2009年から、中国は「世界の工場」の地位から滑り落ちはじめ、外資は次々撤退し、他の発展途上国に活路を見出しました。経済発展の勢いを維持する為に、全国的に大規模な「農村破壊運動」(政府は「都市化計画」と呼ぶ)を繰り広げました。この種の産業の支えが無いまま農民を無理矢理追い出して「都市化」しようとした結果大量の農民は失業遊民と化しました。

    世界の都市化の歴史はまず先に産業が起こって大量の人口を吸収し、それから都市の発展が興隆するのです。しかし中国の近年の都市化はまさにその反対のやり方で行政権力によって都市がつくられてそこに人口を注入しようとしたわけです。今年2月の「経済参考報」の記者が河南省、江西省、安徽省などの省市で発見したのは産業がなく行政によってつくられた都市化が多くの問題をかかえていることでした。

    一部の地区では完成して何年も経っているのに農民が入りたがらず、元の村も壊せずという状況でした。記者は「都市化のぶつかった二次空洞化;一部農村の新区は幽霊団地に」と書いています。経済の遅れた地域だけでなく、江蘇の発展した地区でも農民はそうしたアパートに住むと仕事が無くなってしまうのでやはりたくさんの幽霊町ができているそうです。戸籍改革は幽霊町解消にはなりませんが、農村人口が自由に移動すれば大都市に行って生存のチャンスを捜すでしょう。

    《中国は『都市スラム』を公認する必要がある》

    今回の戸籍制度改革で中国の中、大都市、特に北京、上海、広州は現実問題に直面します。すなわち「スラム街」を直視し合法的な存在にしなければなりません。そしてこれまでのように「違法建築」として取り壊すようなことをしたら大きな反対に直面するでしょう。

    スラム街出現は実は中国の様な人口大国では宿命なのです。中国同様に人口の多い大国インドや人口は中国に遥かに及ばないブラジルでもスラム街はあります。ここ数年、中国人もインドやブラジルに観光にいってやっとブラジルやインドのスラムはその住民の暮らし、居住条件、衛生設備、治安情況などをみてもつまり中国大都市の中の村と都市部が結合して出現した粗末な借家群落とそっくり同じだと気がつくようになりました。

    違いと言えばブラジルやインドではスラム街は合法的な存在ですが、中国政府は違法建築だとしてしばらくたつと強制取り壊しをするということです。中国がこれまでスラム街現象の存在を認めなかったのはおもに二つの理由があります。

    その1;まず中国政府はずっとスラム街は社会の遅れている証拠で、国家のみっともない傷だとしてきました。去年、人民日報の旗下にある雑誌「大地」がインドのスラムを「インドの暗黒面で深刻に国際イメージを損ねている」と書きました。

    その2;中国の中、大都市の管理者は都市建設と管理を自分達の政治的成績のショーウィンドウとして、これまでスラム街の出現を堅く禁じ排除してきました。2012年4、5月に国家発展改革委都市化プロジェクトチームが浙江、広東、江西、貴州省で研究した結果、2011年で中国の都市化率は51.27%でしたがそのうち都市戸籍人口はわずか35%しかおらず、その差16%には億単位の農民工が都市戸籍を与えられないで本当の都市住民にはなれないという残酷な現実がありました。

    一家を挙げて移り住んだ農民工3071万人の大多数が区域外戸籍でした。戸籍制度のために都市に移り住んだ農民は都市住民がうける公共サービスを受けられず職業と生存で極端な状況におかれており、この種の不平等は社会の発展に深刻な影響を与えます。

    戸籍制度は直接、教育や社会保障、医療など多くの福利に関係するので都市戸籍の制限を取り払うと必然的に地方政府は大量の財政支出を強いられます。ですから国家都市化プレジェクトチームの調査研究では「ほとんどすべての市長が反対」であることを発見しました。

    2001年から戸籍改革の文献が2011年まの国務院文書「積極的に戸籍管理制度改革を推進する通知」まででて地級市(二級市;例;南京、ハルビン等)以下の市区に戸籍制度解放を伝達しましたが強烈な反対で実際は遅々として進んでいません。

    中国の都市建設は自然に形成されたものではなく、主に行政の力で推進されてきたため、政府が資源を集中して高水準のハイエンド都市をつくりました。これらは中国農村人口の都市化をすすめるためのサービスではなく、主に現在の都市住民の要求に合わせたもので、また地方役人の成績を上げるという政治的必要に応じたものでした。

    ですから中国の中大都市は他の発展途上国の都市に比べて美観にも優れており、中国のや国がニューヨークや他の都市を見学旅行すると自国現代化のショーウィンドウのような上海、北京、深圳の美しさに遠く及ばないと馬鹿にします。

    いま戸籍を解放して農民を自由に都市に棲める様にすると全国の中・大都市はもはや以前の様に都市整頓の名でスラム街を取り壊すなどはできなくなりこれは中国の都市化の重要な転換点となります。実は今までの中国の都市かは完全に中国社会の発展水準とはかけ離れたものでした。見栄えのいい都市を作るには必ず大量の貧困人口を犠牲にすることが前提となっていました。

    中国には実際には数億の貧民がいますが、中・大都市にスラム街は許されませんでしたので大量の貧困人口はただ分散して就職の機会もない農村地区に住んでいました。その結果結局は農村経済社会を疲弊困窮させてきました。

    近年になって多くの農村から都市に向かったサラリーマンや文化人は口々に「おれの故郷は悲惨に零落した」と嘆きますが、最後に結局発見するのは零落したのは「すべての人々の故郷が零落した」ということで、実際は中国の農村経済が疲弊しスラム化の肖像なのです。

    現段階の中国では数えるほどの大都市と周辺地区でしか就職のチャンスはありません。これはこれら数都市が不可避的に超大型になっていくということです。都市が超大型化すればするほどその社会サービスインフラ供給の圧力も増大します。

    このような状況下で戸籍制度を改革すればかならずスラム街の問題が浮かび上がります。これに対して中国は「駝鳥政策」をやめてブラジルやインドの経験に学びスラムを現在の中国では一種正常の生活状態だと認めて相応する制度を作るべきです。そしてスラム街の住人にも最低限度の教育、医療の権利と人としての尊厳のある公共衛生設備を享受できるようにして、同時に相応する脱貧困戦略をつくり社会の痛苦を減らすべきです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は: “娜拉”终出走,前程尚渺茫 – 评析迟来的户籍制度改革 http://www.voachinese.com/content/he-qinglian-china-registration-system-reforms/2409219.html

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