• 山西省のブラックマネー政治と血まみれの石炭

    by  • September 10, 2014 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    2014年9月04日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/uMtgc

    山西省の政治は名にし負う「ブラックマネー政治」です。この「ブラック」は政官の闇の暗さとともに山西省の役人と商人が結託して銭儲けするときの共同資産である「石炭」のことでもあります。現在全部で八人の「山西系」の官僚が査問されていますが、同省の石炭資源を利用することによってうまれた莫大な利権はまさに中国の資源地域の省における腐敗の典型であり、それはまた中国における「血まみれのGDP」の背後にある残酷な、そして同省民が生態環境の廃墟の上に暮らさねば成らないという悲劇を暴露しています。

    《山西省の政治生態と地方の道徳観の劣化現象》

    この度の中央政府による山西省官界の”大掃除”の主たる理由は「山西省の政治に深刻な問題がある」からとされています。同省の政治生態の悪辣さは、現地の「何を名誉とし何を恥とするか」という道徳観念がいかに劣悪なものになっているかを見ればその一班がみえます。それは個人の名誉はカネであり、そのカネをえるには手段を選ばないということです。これは全国的な問題ともいえますが、*炭坑事故後に新聞記者が取材に行くと炭坑主が「幾らや?」とまず尋ねるという様な山西省の特殊性がいうまでもないほど発揮されておりあの映画『さらば復讐の狼たちよ』(譲子弾飛 Let the Bullets Fly 姜文監督)にでてきた鹅城の街の現実版なのです。

    山西省の政治経済は「石炭」が核心をなしています。この三十年来、同省の政治と社会ニュースのキーワードは「炭鉱事故」であり、「ヤミ鉱山」、「児童炭坑奴隷」、「炭坑王の贅沢」、「官職売買」、「偽記者詐欺」、「官僚の炭坑株保有」「炭坑採掘による地盤陥没」等の、どれもが全中国を揺るがした大事件と腐敗事件の原因はみな炭坑関連です。山西女商人の丁書苗が鉄道大臣に巨額の賄賂を贈った劉鉄軍事件も炭坑の下流産業がらみでした。つまり輸送です。炭坑によって大金持ちになった人間が地方エリートのすべてを占めるようになって、現地の道徳観念の”主流”になりました。

    山西省の前省委副書記の候伍傑ははっきりと世の中にその恥を名誉とする道徳観をみせつけました。候は入獄する前にふたつの「カッコよさ」で汚職役人のヒーローになりました。ひとつには取調官に対して「あんたら、おれをどうこうするつもりなら山西省の役人の大半が全滅だぜ。まあ、2,300人はいるな」と脅かしたことと、2013年に繰り上げ釈放されたとき、現地の役人、炭坑主ら名流人士が提灯行列で出迎えたのでした。

    小さな採掘鉱に少年奴隷労働者を酷使する現地民の鈍感さもまた有名です。2001年、榆次(Yuci)村民の胡文海は銃をもって14人の村の役人とその係累を撃ち殺しました。村の歴代幹部が村の鉱山のあがり四百万元を山分けし胡が何度訴えても門前払いされ、馬鹿だと村民に嘲笑されたからです。村民の正義への鈍感さに絶望した胡は殺人をおかしました。裁判では「自分は収入が4〜5万元毎年あってこんなことにかかわらなくてもよかった。しかし、自分の良心がこうさせた。これをほおっておくことは自分はできない。役人が民に反抗を強いるのです。こんな虫けらどもが人を苦しめるのは許せない。自分は死刑になるがそれがすこしは役人たちの薬になればそれでいい」と言いました。

    勿論、胡文海の殺人事件も候伍傑の入獄も山西省の炭坑で大金儲けの事例に比べれば小さなことでした。山西省の役人達の「オイシイ石炭をゴチになる」のも元通りでしたし、炭坑王たちの贅沢も「邢利斌の七千万元の結婚式」で世の中を驚かせたものです。

    《血に染まる石炭;国家資源は一が権力によってねじ曲げられて》

    2010年代中期に頻発に起きた鉱山事故は全国を震撼させ、炭坑の役人と炭坑王たちの結託問題を浮き彫りにしました。これは全国的な問題でした。国内メディアも多くの山西省の炭坑問題を暴露しました。一二の例をみてみるとその一班を窺う事ができます。全国の炭坑の腐敗のすべての原因は中国の鉱山採掘権が国家にあるということからです。しかし「国家」とは抽象です。国家権力は役人によって代表されますので、鉱山の採掘権は彼らの商売のタネになりました。また国家の部門は多岐にわたりますから、役人達が独り占めするのは不可能で利益は均しく、その近くにいる人間達にわたります。

    つまり鉱山の開発採掘権を請け負うものと請け負わせる側は職権を乱用する権力部門すべてが石炭によって大金儲けできるわけです。山西省の専門記者の調べだと大体27の部署や団体が石炭に関して何らかの権限をもっています。ですからこの27部門の役人達はみなこの「食物連鎖」の上にタカって、炭坑に対する「株主の権利」のようなものを体現しており、それぞれに「秘訣」をもっています。

    2005年11月1日、中国国家安全生産監督管理局長・李毅が公開の席で調査結果を発表し「役人と石炭業者の結託問題は権利と金銭の取引であり、類型としては❶政府の役人や国営企業の責任者が小さな炭坑の株主になる。❷役人がひそかに炭坑を経営したり親戚にやらせる。❸役人が許認可権を濫用して賄賂を受け取る。❹違法な炭坑経営を守ってやる。❺炭鉱事故発生後に役人が隠蔽する、でした。

    政府の役人は炭坑からの高額な賄賂を隠しますが、炭坑王たちは公然とみせびらかします。胡潤の「中国エネルギー富豪番付」によると山西省の富豪は3分の1を占めます。
    この数字から炭坑が資源産業の中でどれほど「うまい汁」があるかということがわかります。石炭を査出する省でいわれている話は「小さな炭坑を開けば一台の紙幣印刷機を手に入れたと同じ」です。しかしこの「紙幣印刷機」で刷られたお金は炭坑主ひとりで独占できるわけではありません。請け負った側からすれば企業の利益は多く無ければ成らず、請負費用もそうですし、役人への上納金もまた然りです。

    炭坑主からすれば1元(=10角(毛))を稼ぐには各種の”関係先”に4、5毛はださなければなりません。この’関係先’は役人ばかりでなくたかって来るマスコミの記者や偽記者にもそれなりに出さなければなりません。そうなると炭坑主が削れる費用としてはふたつしかありません。労働環境と、労働者人力資本、です。ですから中国の炭坑業は世界で最も悲惨に危険な職業なのです。まず労働環境が危険きわまりなく、ほとんど何の安全設備もありません。

    そして給料の低さです。ある計算では異なった様々な鉱山のコストで、2004年で1トンの普通の石炭の売価は70元が年末には400元に高騰しました。このときの国営企業の鉱山の採炭費用は1トン133元でしたが、私営小規模炭坑ではわずかに40元程度でした。この”節約”された費用の80余元分の「コスト」はつまり炭坑労働者の生命に関係する給与と福利なのでした。炭坑主は”株主サマ”の役人や政府官僚、各種の利益関係者に貢納するお金というのはまさに労働屋の「命のコスト」になっているのです。

    山西省の炭坑経営者と官僚たちはこうしてひとつの利益共同体をなし、役人は炭坑側に「保護の傘」を差し伸べ、炭坑側は役人のカネのなる木、となります。鉱山労働者の命と山西省の自然環境はかれらの蓄財の源となっています。

    《山西省の我が物顔に喰い荒らす地元出身の”エリート”たち》

    この狂った探鉱開発はまず山西省の国土の自然生態を深刻に破壊しました。かつては「土地は肥え景色は美しい」といわれた山西省はいまや人類が住むのにふさわしくない土地になりはてました。国内メディアの報道でさえ、山西省の炭坑の地下空洞は2万平方㌔に及び、全省面積の8分の1に(或は7分の1説も)なります。

    山西省政府もかつてこうした地下空間が引き起こす生態災害として;
    ❶ぼた山の大量累積による環境汚染の悪化をあげ、2010年山西省のボタは推定10億トンで、毎年さらに5000万トンづつ増加しているとしてます。ボタの有害成分は水に融け、空気中のチリとなって周辺の土地、水、大気を深刻に汚染します。
    ❷次に水資源の漏失と人畜の飲む水が入手困難になります。炭坑採掘による水資源破壊面積は2万余平方キロにおよび、1678の村の80万人口、10万頭の家畜の水が入手困難になりました。毎年排出される鉱山汚水は5万トンで、全省の汚染を受けた河川の総延長は3753㌔、太原、大同、陽泉、長治、晋城、臨汾などのトシの水は含塩量が様々な度合いで上がっています。
    ❸第三に水と土地の流出面積拡大で植物が深刻に破壊されています。探鉱開発は土地を掘り土壌を荒廃させますので食料生産の減産、どころか酷い場合は全くとれなくなります。 国内メディアの山西省の炭坑地区の調査では300万人がこの影響を受け、いたるところに幽霊村(無人村)が生まれています。

    いまや、この山西省に幽霊村をつくりだした金持ち商人や役人の一部は獄中の身となり「秘密の役人と炭坑主のお友達サークル」圏は「前代未聞の打撃を蒙り」「石炭の地盤上の黒金帝国は風前の灯火」と国内メディアはいいますが、私はだから山西省人がこれから良い日々が過ごせる様になる、などとは信じません。山西省の汚職役人の金持ち炭坑主らのダーティなお金をすべて注ぎ込んだ所でおそらく山西省のもとの姿の自然生態環境を10分の1も回復することはできないでしょう。

    ましてやその政治生態の悪劣なことは一朝一夕に生まれたものではないのです。どこからか降って来た一人の省委書記が奮闘したらなんとかなるというものではありません。これは山西省共産党委書記だった袁纯清(2010年07月〜2014年9月1日まで、吉林第一書記の王儒林が後継)の努力が足りなかったというのではなく、彼は小さな炭坑を整理し山西省の主人として一年以内に鉱山の総数を1053カ所にまで減らし、山西省の役人を勉強させ鍛え直しました。

    前者はポイントをついたものといえましょうが、後者は堕落の極みまで堕ちた山西省の役人には効果はのぞめますまい。山西省の地方政治を立て直す事は、どんな目的からであろうと必要なことです。ここはながいあいだまったく羞恥心のない役人たちが治めた「神に見捨てられた土地」だったのです。そしてさらにおそろしい問題は、山西省は中国の資源豊かな大省のひとつの縮図にすぎず、中国中には一体まだどれほどの「山西省」があるのだろうか、ということです。(終)(《中国人权双周刊》第138期    2014年8月22日—9月4日)

    拙訳御免。「*炭坑事故後に新聞記者が取材に行くと炭坑主が「幾らや?」とまず尋ねるという様な山西省」の原文は「但山西的特殊性在于连牌坊都不要了」ですが、筆者におききしてこのように翻訳させてもらいました。
    原文は 山西的黑金政治与带血的煤(《中国人权双周刊》第138期    2014年8月22日—9月4日)http://biweekly.hrichina.org/article/20819

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    One Response to 山西省のブラックマネー政治と血まみれの石炭

    1. October 9, 2014 at 21:49

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