• ニュース業界の不正利得を憂う

    by  • September 27, 2014 • 日文文章 • 2 Comments

    何清漣

    2014年9月18日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Ss2gc
    最近中国の「21世紀ネット」の編集長と関係役職者、インタビュー記者、およびPR会社がゆすり恐喝の容疑で逮捕されました。事件は株式を上場しようとする100以上の企業に「保護費」として数億元をとったというものです。海外の少数のメディアはこれは当局のニュース管制のさらなる強化でメディア業界関係者に打撃を与えるものとみていますが、しかし実際の状況は表面よりさらに複雑です。

    《メディアの不正金儲け》

    ❶ 21世紀ネットが企業に広告掲載を要求した事実は確かにあります。企業側がそうした理由は簡単で、メディアでマイナスの報道を消費者にされたらきわめて大きな影響があり、先に金を払ったほうが書かれるよりよっぽど割に合うからです。

    ❷ 当局はメデイア業界の不正利得を得ている現状はハッキリ認識しています。官僚たちの腐敗の状況に対してと同じことです。メディアで働いた経験があればそれが普通だということがわかります。腐敗は最高レベルの政府メディア(CATV・中国版NHK)から普通の商業メディアまで例外はありません。去年、陳永洲(新快報の記者)の事件がこの背後の事情をちらりと垣間見せましたが、すぐ蓋をされてしまいました。

    ❸当局が特に選び出した特定メディアの不正利得行為に打撃を与えたからといって、別にメディア業界全体のこうした汚点をやめさせようというような意味はありません。「21世紀経済報道」の支配株主が広東の南方メディア集団有限会社や南方系メディアで自由な(*爺注;政府に批判的な)カラーで知られていたことからみると、この種の政府の「自分の気に入らないメディアを選んで打撃を与える」やり方は政府のメディアコントロール強化に対する疑問を持たざるをえません。

    しかしだからといって、メディア業界側が政府のそういった恣意的な圧力(*爺注;当然、経営圧迫にもなる)を理由に、自分達がニュースを利用して不正利得を得ようとする行為の間違いや悪影響を反省しないならその結果はただ不正利益行為を一層深刻化させるだけです。

    《ニュース業界の不正利得連鎖;メディアー上場希望企業ー上場請負企業》

    21世紀ネットがなぜ暴利を貪ろうとしたかについての関連報道が既に指摘しているのは、主に数千万元の重要業績評価指標(KPI)のためです。21世紀ネットの2010の正月に「21世紀経済報道」から分離してできた独立運営、独立採算ですが毎年達成目標は次第に増え、2010年は4〜5000万元、2011年は9000万元、2012年と2013年は毎年7000万元、2014年は再び増加して9000万になっています。

    21世紀ネット事件はメディア業務のネットサイトー個人株主が支配権を持つ財経PR会社ー初上場して公開株式募集をする企業の一連の利益の連鎖をはっきり示してくれました。このうちPR会社はメディアと上場企業の仲介役です。21世紀ネットの責任者・劉冬はこう言います。「ある企業が上場しようとしたとき、やり方がわからないときに株式発行前に行う機関投資家向けの説明会をやる会社を捜す。発行市場での株の売れ行きにとってニュース媒体の書く事は『プロテクト』になる。こうしたPR会社は我々と協調関係をむすび、我々のネットサイト上に広告を出す。これが現在の21世紀ネットの収入の主な来源だ」

    CVATVの芮成钢(*汚職で逮捕された有名司会者)ど同様、21世紀ネットの管理者達はそこに目をつけ自分達で更に「関連会社」をつくって、マイナスになりそうな報道をするぞ、と上場企業を脅迫し、情状希望企業と広告宣伝会社とのあいだに”協約”を結ばせて違法な利益を得ていました。こうした企業には广州创众公司、湖南富礼公司、北京怀溪恒润公司が含まれます。

    こうした「利益イタダキモデル」は21世紀ネットからみたら「公私両得」といえました。「京華時報」は「21世紀ネットの100余社に対する『保護費』は数億元」という記事は大変詳細にこの事件を報じており、滅多に無い暴露モノです。

    《お金と権力の二重の圧力下の中国メディア業》

    21世紀ネットが達成しようとした業務指標は中国メディアではふつうの事です。中国メディアは権力とお金の二重の圧力の下でもがきづづけるのはなにも今に始まったことではありません。20世紀の90年代中期からです。鄧小平の南巡行後、市場経済の発展が政治の正しい方向になり、同時にメディアの市場化の過程がはじまりました。それはつまりメディアが経済的に独立し、国の財政に依拠しないか一部しか依拠しないということでした。

    この方向は確かに西側の発展国の慣例にも合致するものでしたが、しかし違っていたのは西側メディアは政府のコントロールの下にはなく、報道の自由と出版の自由を持っていたことです。中国のメディアはこの重要な生存条件を欠いていました。だから、国内メディア業は引き続き政府の管制下で「手足は縛られたまま市場化の海に放りだされた」のです。手足を縛られていてはいかに泳ぎの達者でも好成績はあげられません。

    これが中国メディアがしょっちゅう直面する政治の圧力です。次にインターネットの圧力によって中国メディアはニュースを利用して不正利得を求めました。典型的なのは当然、山西省の鉱山事故でしょっちゅうでてくる「偽記者」現象です。しかし事実は事件に関係する「偽記者」は多く無く、大多数はメディアの名刺をもつ契約記者で、同時に広告取りもシゴトにしており、鉱山は格好の銭儲けの対象となったのでした。

    これまで暴露された報道の不正利得問題は実は氷山の一角にすぎません。この問題は中国のメディア業界に、記者は政府の役人の腐敗や堕落を批判するにあたっては、自らの職業的廉潔も保持しなければならないという問題をつきつけました。

    2013年、陳永洲事件が発生してから、真相が次第に明らかになるにつれ国内世論は紆余曲折を経ました。逮捕されたときは勤務先の「新快報」は新聞社の名誉をかけて陳を守り、微簿ネットでも陳を支持し、二日連続で一面トップで特大活字の見出しで「釈放せよ」「再び釈放せよ」と呼びかけ、一時は海外、国内の広汎な同情と支持をあつめました。しかし、陳が中央テレビで自ら50万元の金を受け取った事を認めたため状況は急転しました。

    「財新ネット」の編集長の胡舒立は「ニュースで不正利得は許されない」という一文を書き、ニュースメディアは公器であり、『不党、不売、不私、不盲でなければ信用を失い、この職業は完全に生存の基盤を失う」と書きました。しかしこの呼びかけは同業者のなかに賛同を得るどころか、嘲りの批判を受けました。もっとも代表的な意見はニュース業界からしたら「役所側が要求する”自律”てのは例外無しに役所に批判的な意見削るところまで落ちぶれろ」ということだ」というものでした。

    オブザーバーがかつて発表した「 胡舒立の陳永洲事件に関してのメディア自律の呼びかけと南方同業への抵触」はこの論争過程を記事にしています。2013年のこの討論を下敷きにすると、メディアが企業の醜聞を飯の種にするのは秘密ではありません。今年の21世紀ネットの話が暴露されて以後、その処理は「新快報」の時よりもはるかに厳しいものですが、公開された各種の発言をみると国内のメディアは基本的にこの事件とニュースのコントロール体制とを関連付けで考えてはいないようです。

    《中国メディアは業界の自律体制の作成が急務》

    ニュースメディアは社会の公器であって、西側では「第4の権力」と言われており、その社会に関与する能力は同じく文化的な権力に属する教育や宗教などよりはるかに大きなものです。21世紀ネット事件の発生後、外からみると中国のニュース業界は社会の公器としてはすでに法律、医療、教育のつぎに道徳が失われてしまった場所のように見受けられます。ですから中国のメディア業界が自律の体制を作るのは急務なのです。

    この十余年来、中国国内の有識者はメディアに自律能力が欠けていることから生じる危機を予測して、不断に外国、とりわけ米国のメディア業界が自由と自律の中でいかにバランスをとっているかを紹介してきました。米国の業界が自律するようになったのは20世紀の20年代から始まり次第に発展してきました。相当長期にわたってメディアに対する批判は一つの職業として民主主義社会の誇りとみなされてきました。

    コロンビア新聞学評論はかつて「一千万の様々な声が花開く」とその繁栄ぶりを形容しました。メディア業界はこの種の批判に猛反発しましたが、しかしその批判の声を知らん顔するわけにはいきませんでした。ですから、メディアがいかに外からのコントロールをとりわけ政府のコントロールを免れるか、ということは米国メディア業界の発展を担うものにとっては基本となる一線なのです。不断の観察と実践から研究者たちは以下の様な結論を得ました。

    メディアが生産者と消費者の関係を処理するには3つのモデルがあり、そのコントロールは消費者によるもの、第三者によるもの、同業者によるもの。プロの専門家によるものは同業による監視にあたります。政府によるものは第三者にあたります。ですから、プロ化の核心はその専門家の従業者が自分のシゴトをコントロールする程度であり、消費者やが政府を見張ったり、企業管理者によるコントロールとは違うのです。ニュース業界にとってはセルフコントロールこそが一番重要なのです。

    The Commission on Freedom of the Press は1943年につくられ、最初の議長はロバート・ハッチンスだったのでハッチンス委員会とも言われますが、彼は「もしメディアが改革の努力に至らず、いつまでも批判されるようなら必ずや将来、政府によるコントロールを受けるであろう。それがいやなら必ず自分達で自治をおこない、他の権力によらず、自ら律しなければ成らない」といいました。これは社会のプロフェッショナルの共通する特徴でありニュース業界もその例外ではありません。ですから中国メデイア業界がニュースで不正利得を抑制させようとするなら、政府は力によるコントロールを放棄し、法に依って管理しなければなりません。

    それと同時に中国のメディアは自律の機構を作る必要があります。この双方の努力によってこそ、中国メディアのニュースを利用した不正利得現象ははじめて抑制されるでしょう。(終)

    拙訳御免。
    原文;中国“新闻寻租”现象的忧思(《中国人权双周刊》第139期    2014年9月5日—9月18日)
    http://biweekly.hrichina.org/article/21289

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    2 Responses to ニュース業界の不正利得を憂う

    1. October 6, 2014 at 19:18

      Your articles are for when it abuolstely, positively, needs to be understood overnight.

    2. Pingback: メディアの地方記者支局を撤廃;遅まきながらの報道腐敗掃除  | 清涟居

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