• データ捏造が起こした中国の”国際抗争” 

    by  • October 20, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年10月16日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/fNEgc

    この十年来、中国のメディアは中国経済がいつ米国を追い越すかを予測し続けてきました。もしファイナンシャルタイムズの報道でなければ9割以上の中国人は過去一年間、中国政府が世界経済トップの地位を拒絶するためにこの一年、頑強に抵抗してきたことを知らなかったに違いありません。ずっと西側の反中勢力が中国の強大化を怖れ、中国を弱体化させようと声を合わせて願っていた、はずなのにいざ肝心の場面にきたら、却って中国が「強大にされてしまうのを嫌って」「国際抗争」を行うなどということは頓知クイズではありまいし、大多数の人はなにがなんだかわけがわからないことでしょう。これは中国の統計捏造が招いた”禍”なのです。

    《中国国家統計局の二枚舌》

    世界銀行であれ、IMFであれ、一国の経済規模のGDPを予測するデータはすべて当該国の提供に基づきます。中国では国家統計局です。世銀は各国が送って来たデータを統一分析しますから、問題は世銀ではなく国家統計局から発したものです。 拙著「霧に閉ざされる中国」(「中国の噓―恐るべきメディア・コントロールの実態」扶桑社 (2005/02)/英文pdf;http://urx.nu/d3if)の14章は「中国GDPの高速成長の神話」です。

    なぜ、メディアのコントロールを研究した本にこの一章を設けたかというと、中国の統計データはとっくの昔から中共の宣伝の重要な”化粧セット”になっており、「宣伝工作」の重要な構成部分になっていたからです。その章の「中国国家統計局の何枚舌」の一節で私は「中国国家統計局の仕事は民主国家のそれではなく、データ収集、処理、発表と同時に「党の発声器官」としての役割を担っており、その重要任務の一つは統計データ捏造によって、中国経済繁栄の「事実」をつくりだすことだ、と指摘しました。

    国家統計局が公開発表するデータ出版物は中国各地の書店で毎年発売される「中国統計年鑑」や」中国統計摘要」で列挙されるデータの特徴は「耳ざわりのいい話は伝えるが、悪い話は伝えない」です。

    ただ一般大衆が知らないのは中央政府の各省や官僚にはもうひとつ別のデータ源があり、それが国家統計局が別に出しており、政府機関の”内部用”の分析レポートです。全ての政府が「マイナス面」だと認定したデータや中共当局に不利な結論のデータは中国ではすべて”国家機密”とされ公開は許されず、ただ”内部”の出版物に”指導者参考用”として掲載されるだけです。そのうち秘密の度合いの一番低いものは「統計資料」とよばれ「機密級」で 中央政府各部署に送られます。人民日報、新華社、経済日報の少数の何人かも読む事ができ、かつその一部の抜粋を中国の経済情況に関連するメディアに掲載します。

    国家統計局内部出版物の機密の一番高いレベルのものは「統計報告」で「絶対機密級」とされ、通常中央政治局員、国務委員(国務院副総理級)、全国人民代表大会の各党(*爺注;実質お飾りの「民主党派」がある)の副委員長に送られ(非中共党員の副委員長には送られません。)そのトップ連は読む事ができます。「報告」は高層レベルに真実の経済の姿を報告するために最もデリケートなデータや判断に触れるわけで本当の話が多いのですが、しかし中国でこれがみられる立場の人数は少なく、一説には全部で100人を越えないといわれています。

    《政府側データはしょっちゅうコンフリクトを起こす》

    国家統計局の舌が何枚もついているため、ひとつしかない中国の経済発展状況に対して説明が幾通りもできてしまいます。「データの迷宮で目を回す北京」(2011/7/15 中文;http://urx.nu/d3FZ)で書いた事ですが、2011年6月24日に温家宝総理が英国でファイナンシャルタイムズに文を寄せ中国はすでに国内インフレを抑え込み価格圧力を抑制したと言いました。

    しかし、その十余日後の7月9日に中国統計局は6月の消費者価格指数が6.4%上昇し3年来の新高値となり通貨緊縮政策下のインフレ上昇過程は依然として継続していると発表しました。同様の事は温総理には一度成らずあり2009年2月1日、温総理はファイナンシャルタイムズのインタビューを受け中国の失業農民工は1,200万人と述べた翌日、中国政府は中国には2000万人以上のの農民工失業者が帰省したと発表し800万人も増えたのでした。なんという偶然か、そのとき国連の中国代表団の李保東代表は人権委の席上で中国農村の貧困人口は三十年間で2億五千万人から1400余万人に減ったと公言し、一方中国政府は国内向けに厳かに同期間で2億五千万人が2000万人に減ったと宣言しました。欧州なら一国の国民の総数にもなる数百万人の人口が中国にあっては「正常な統計誤差」の範囲におさまってしまうのです。(*爺参考;スエーデン;930万、スイス;760万、オーストリア;830万)

    《GDPデータ偽造は氷山の一角》

    中国統計情報のあてにならないことは深刻で政府高層が政策決定時に参考にすることができません。なぜなら各種の統計情報の主な役割は政府に関連業務の実状を了解させ、政府がそれに対応する政策決定をおこない予算配分を決める参考にすることなのですから。

    中国経済の算定体系にGDPが使われる様になった歴史はわずか三十数年です。鄧小平や華国鋒がかつて言った「工農業総産値」を数年で倍に、というとき使われたのは社会主義計画経済のソ連式MPSを基礎としたものでした。1985年からGDPが使われる様になり国家と省でGDPを中心とした体系となりました。1992年鄧小平の南巡講話後に、中国は「社会主義市場経済」体制建設のために翌年からMPS体系を廃止、全面的にGDP中心のSNA体系となり国際的に通用するシステムになりました。

    幹部の成績査定にGDP増加速度が中心とされたため、これ以後、GDPは中国の大きなお荷物と化し、数字だろうと政治的業績だろうと国家の実力だろうと「役人が数字をでっちあげ、数字が役人をエラクする」という悪循環に陥りました。米国経済学会を2001年から2008年の間に二度中国のGDPの真実性について議論させることになったのは、電力量とエネルギー消費量がGDPと合わないという疑問からでした。中国でも水増しGDPについてはずっと論議され続け2003年2月の「21世紀経済報道」は「GDP平均増加率;なぜ地方は中央より2ポイント高いの?」の記事のなかで、国家計画委政策法規司長の曹玉書がその内幕を「地方は往々にして中央の増加指標に2ポイント足すから」と述べ「たとえば中央が8%と決めたら、地方は10%にする」と、そして中央のそれに対する対策は「地方の数字から水増し分として2%減らす」ことだと答えています。

    こうした数字捏造の報道は途切れる事無く続いてきました。GDPの数字に対して疑問をもっている李克强総理ですらそれをまともなものにする術をもちません。今年1月、国家統計局の発表した2013年の全国GDP総量は 56.9兆で28省市区GDPの総和は58.9兆でその誤差は2兆元でした。データ捏造の批判をうけて困った国家統計局は「地方の水増し分を除き……政府の職能と政治実績観転換させ、経済成長方式を変える事が本質的な解決策で幹部昇任、任用にあっても現地の経済成長だけをみるのでなく人民の反応や環境の状態、債務状況をみて総合的に判断することが、GDPの水増しの内在的な原因をなくす方法」としています。

    《”一番”を拒否するおわらい劇》

    最後に中国のこの一年の新たな国際抗争を簡単に述べておきます。毛沢東以来、中国政府は経済で英米に追いつくことを目標にしてきました。江沢民、胡錦濤時期にもメディアはこれについて具体的な日時を論じ2020年から2030年まで実現する年の予測は全部揃っていました。中国経済への批判と懐疑は往々にして北京の愛党、愛国主義者によって「反中国勢力が中国の発展をのぞまず騒いでいる」とみなされました。

    今や中国はその”理想”が実現し、米国を抜いて世界第一の経済多一句になる夢が繰り上げ実現したのですが、まだ計画経済の残滓が骨からぬけていない中国政府はこの繰り上げに大変不満を感じているようで、この数字そのものが中国の国家統計局が提供したデータに基づいているにもかかわらず、固くその栄冠を受け取ることを拒絶してきて、このために頑強に国際的に頑張ってきました。問題はどこにあるのでしょうか? 賢明な読者諸氏はご自身でご判断ください。

    2007年、世界銀行はレポートで中国の毎年の汚染による死者は75万人になるといいましたが、中国政府は”抗争”の末、世銀にこれを修正させました。いまやナンバーワンの経済大国になったのは中国政府が夢にまで見た強国の目標なのに、やはり一年間もあらそってきました。

    中国政府をよろこばせる方法というのはどうもおもうに、北京自身にお好きな順位を選ばせて「天下を自由自在におれの好きに」やらせることでしょう。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;「数据造假惹出的中国“国际抗争”」http://www.voachinese.com/content/heqinglian-20140505/1907507.html
    同氏の論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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