• 中共に食わせてもらいながら飯茶碗を壊すのか?論の誤謬

    by  • November 2, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年10月29日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/0yLgc
    最近、新華社が「チャップマン・トウ(*杜汶泽;香港の歌手・司会者、中共政策に反対)どもよ、俺たちに飯を食わせてもらっていながら、その茶碗を壊そうとするのか?」という高飛車な論説を発表して、「飯茶碗破壊論」は中国のネット上で流行の話題になり中国大陸人が香港人の”忘恩”を責める新語になりました。香港の「明報」によるとこれに類似の表現の源はこの10月始め、習近平が大陸イデオロギー工作に関して出した指示で習総書記は内地の反対派に対して「共産党の飯を食いながら共産党の鍋を壊そうとする輩を許すな」といったことにさかのぼります。これは次のような問題があります。

    《中共の”飯茶碗”は納税者が作ったもの》

    「共産党の飯を食う」は1950年から60年に生まれた人ならみな聞かされて育ちました。それは「共産党がなければ、新中国はなかった」、つまり中共がなければ君たちの今日はない、という歌で、当時、中国全土で歌われており、中国の一般庶民はみな信じておりました。なぜなら現実に党と政府が職を与えていましたからそれがなければ食べていけなかったからです。 私と同世代の人々はあの「みんな考えてみよう、誰が飯をくわせてくれるか」という歌をよく知っていますし、「♪悪い旧社会では農民労働者が地主資本家を食わせていた」とか「♪共産党は人民を光明に導く」「♪中国人のすべては党が与えてくれた、だから呉運鐸(労働模範で労災負傷後に「一切を党に」の著者)に学んで一切を党に捧げよう」を覚えています。

    文革が終わったあと、大学生でもみな「納税者」という概念を知りませんでした。「未来に向けて」叢書(*1984年から、四川人民出版社刊行の一連の叢書、中国思想開放の最前線を担った)が出版されて一部の敏感で勉強好きな青年たちがやっと「納税者」という概念を知り、政府というのが神聖不可侵な存在ではなくひとつの公共サービス期間で人民と政府は委託・被委託の関係だということを知りました。

    この関係の中には三つの要点があります。ひとつは人民が部分的な権利を政府に譲渡し、かつ政府に税金を納め、政府に公共サービスをさせる。例えば国防、外交、治安、教育、橋梁、道路建設、福祉など。そして、政府は企業ではなく、本来、富を生産するものではないので、政府と人民との関係は公共サービス提供と納税者という関係であり、政府のすべての支出と公務員の給与はすべて納税者の税金であること。さらに納税者は政府に対してその責任を問うことができ、政府は納税者に優れたサービスを提供するのはその職務であり、もしそれをやらず質の悪いサービスしか提供できない場合、納税者はそれを追求する権利を持つことです。

    中国も地球上の人類社会に属していますから、上述のこうした人類社会の共通認識にたつ原理を免れません。中国の毎年の財政収入は国民所得から得られたものです。自分は中国政府に所得税を払っていないから納税者ではないと思っている人々もいますが、それは間違っています。

    《中国人は「消費税」の名目で税収に貢献》

    ここ数年、中国の課税最低限はアップされて月3500元以上になりその結果、全国で2400万人だけが「納税者」となりました。2013年の中国の税収入の個人所得税は6531億元で公共財政収入の5%を占めます。全国の納税者数はいぜん3000万人に足りず、サラリーマン層の5%にしかなりません。これは米国の個人税が連邦収入の半分以上なのにくらべて多くの中国人が自分は納税者ではないとおもっていますが、この誤解を生むのは中国の税制方式が異なっており、中国の消費税をわすれているからです。

    中国の現行税制の構造では7割以上の税収は付加価値税、消費税、営業税などの流通過程からです。のこりの3割が企業所得税と個人所得税などの税からです。こんなことができるのも中国の消費税ははるかに先進国をこえて米国の4.17倍、日本の3.76倍、EU15カ国の2.33倍もあるからです。米国等との違いは米国の消費税ははっきり明示されていますが、中国の消費税は内税で価格に含まれているために多くの中国人はみてもわからないのです。

    以上述べたことで簡単明白でしょう。中共政府が人民を養っているのではなく、人民が中共政府を養っているのです。そして中国の納税者の負担は決して軽くなく、中国のGDP総額の36.34%を占める多額の税金の負担のなかでGDP総額の22.06%は住んでいる中国人が負担して払っているのです。このほかにGDP総額の14.28%を企業が負担しています。ということは習総書記の「共産党の飯を食いながら共産党の鍋を壊そうとする輩を許すな」という前提が間違って居るということです。

    体制内で就職している人々からみれば自分たちは政府の財政によって養われているのですが、実は彼らを養っているのは納税者なのであって、中共ではないのです。この種の「飯茶碗論」は汚職役人にとってはあるいは役に立つでしょう。中共が抜擢してくれたからこそ、うまい汁を吸える機会があるのですから。8000万中共党員のなかの公職者や「八大民主党派」(*中共ダミーのお飾り政党群)の人々が食べているのはみな納税者の飯、なのです。それが「人民に代わって」などといえばまた共産党の”言葉の迷宮”に陥るだけです。

    つまりすべてのことは「人民」の名においておこなわれているわけですから。事実上はただ「チャップマン・トウの輩」の大陸での公演切符を買うことのできる客たちだけが、「「チャップマン・トウの衣食の元」と言えるわけですがそんな人たちは多すぎて統一行動などできはしません。ましてや彼らは新華社に自分たちの代言人になってほしいなどと委託したことなんかないわけです。

    《中共高官にはなぜ納税者の存在が意識にないか?》

    納税者に対する認識では中共官僚群の意識は知識人や中産階級よりはるかに遅れています。この5年来、中共の高官では温家宝が任期の末期に原因不明の民主の普遍的価値に向かうということを口走った以外、汪洋(第18期中国共産党中央政治局委員、 中華人民共和国国務院副総理)がかつて「人民の幸福は党と政府の恩賜であるという誤った認識を改めねばならない」と発言しただけです。それに比べると中産階級と知識人はとっくに常識にたちかえっています。私は前に改革以来30年で政府と人民は誰が誰を養っているかについては中国人は以下のような変遷をたどってきたと書いたことがあります。

    改革前の10年は納税者の概念を持って、政府が財を作るのではなく、政府が人民を養うわけではない、と知っていた中国人はきわめて少なかったのでした。改革20年になって、より多くの中国人が「納税者の権利」を知り、政府はその仕事を公開すべきであって、人民は政府を問責する権利があると知り始めました。そして30年に中国の民間でも憲政主義の税収の考え方が理解され、つまり「代表なくして課税なし」(*No taxation without representation)は、アメリカ独立戦争(1775年 – 1783年)時のスローガン)ということです。

    この方面では北京の「伝知行研究所」が多くの普及事業をおこない、「伝知行研究所ハンドブック」「税収の真相」「税と中国経済の苦境」「日の当たる財政」「中国納税者権利辞典」などを含むシリーズで知識と「代表なくして課税なし」理念の普及を図ってきました。この「常識」と「宣伝洗脳」の力くらべは大変困難なものでまだまだ時間がかかるでしょうが、その可能性はおおきなものがあります。

    近頃流行しだしたこの「飯茶碗論」は当局者がまだ毛時代の「共産党の飯をくわせてもらっている」という認識の水準から脱していないこと物語っています。憲政の発展というのは財政の「税収理念」の発展の歴史です。中国が憲政の実現からまだどれほどの道のりにあるかというのを知りたければ、中国の財税理論の核心をみればよろしい。つまり収税に「強制性」がどれほどあり、「対価」がどれほどあるかということをみればその距離はまだはるかだとわかります。習近平の今年何度かみせた「読書カード」は大変豊富ですが、国を治めるものは文学書だけでは十分ではありません。もしできることなら一連の「伝知行研究所ハンドブック」にも目を通したうえで、膨大な官僚たちにもよませてもらえればと思います。

    さもなくば、中共の人民と政府にとの関係のあべこべ状態は永遠に直されることなく続いていくでしょうから。(終)(《中国人权双周刊》第142期 2014年10月17日—10月30日)

    拙訳御免。
    何清漣さんの原文は;“吃饭砸锅论”错在何处 http://biweekly.hrichina.org/article/22552
    何清漣さん日本語拙訳;http://heqinglian.net/japanese/

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