• 生産力過剰が中国経済の”核の脅威”にー中国版マーシャル計画(1) 

    by  • November 18, 2014 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    2014年11月16日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/tIUgc

    2014年のAPECで中国が期待した「アジア投資銀行」の路線図は依然として机上計画のままで、メキシコが32億米ドルの新幹線契約をキャンセルしたことで「過剰な生産力」を輸出するという目的をもった中国版マーシャルプランのスタートは順調ではありません。生産力過剰という中国経済の「核の脅威」に対して北京はなんとかしないとなりません。

    《中国はなぜ”マーシャルプラン”が必要なのか?》

    中国国内の多くの論評は中国版マーシャルプランについて海外投資という面に着目しています。「生産力輸出」という場合も注意深く「過剰」というキーワードは使わないようにしています。まず、先に「マーシャルプラン」とは何かを説明しなければなりませんね。これは正式名称を「欧州復興計画」といい第二次大戦後戦争で深刻な被害を受けた欧州各国が経済崩壊の危機に瀕したとき、米国が復興と、ソ連の共産主義勢力の欧州への浸透を防ごうとたてた計画のことです。

    計画は1947年7月に始動し4財政年度持続しました。この期間、西欧各国は米国から金融、技術、設備など包括的な各種の援助合計130億ドル(2006年なら1300億ドルに相当)を戦後復興の良好な基盤を打ち固めるために受け取ったのでした。当時の国務長官の名前にちなんで「マーシャルプラン」と呼ばれます。

    中国が狙うアジアインフラ投資銀行は「シルクロード経済地帯」と「21世紀海のシルクロード」の建設し国外に向けて大量の過剰な生産力を輸出することをを核心としています。評論家はこれを「中国版マーシャルプラン」と呼びます。しかし当時とは国際環境や米国と欧州などの国々との関係、援助の性質など両者の違いは大きなものがあります。唯一の表面的な類似はすなわち技術、設備という生産力を輸出する、という点です。興味ある読者は童大焕の「中国高速鉄道版マーシャルプラン」が両者の比較分析しているのを読むといいでしょう。私がここで分析したいのは中国が中国版マーシャルプランを必要としているのは中国の大多数の産業がみな深刻な生産過剰に直面して中国経済の正常な運行にひどい脅威となっている、ということです。

    《生産能力過剰がなぜ中國経済の「核の脅威」とみられるか》

    いわゆる生産能力過剰(Excess Capacity)とは生産能力と消費能力の総和です。米国のかつて主要生産設備の輸出と違って、中国の生産能力の過剰はインフラ(鉄道、道路など)の分野と不動産業の上流・下流に集中しています。中国のそれは中国経済の成長とほとんど共に生じたもので、そうなった原因を端的に言えば「投資は社会主義、需要は資本主義だった」ということです。

    前者は投資資金が主に政府資金や国有商業銀行の資金だったということで、投資のリスクは最後には銀行の赤字となって実際に借りた者が本当のリスクは負わないのです。
    国営企業のボスは責任を負わなくていいのです。民間企業の経営者で破産して逃げ出した人はたくさんいます。一方、需要が資本主義、というのは生産能力は市場を必要としており、需要がなければ生産能力過剰になる、ということです。ですから中国の生産力過剰には二つの特徴があります。

    まずひとつは、生産力の過剰は政府が経済に干渉することによる必然的な産物だということです。中国の経済成長は往々にして政府の刺激政策と関連しています。政府が刺激策をとれば各地では必然的に大々的にプロジェクトをこうしたプロジェクトは極めて同質の構造ですからその結果、必然的に深刻な生産力過剰が生まれます。中央政府はマクロ的観点からある業種の過度の成長を抑制したいと思っても、往々にして徒労に終わります。古い生産過剰をなんとかしようとしているうちにもう次の生産過剰が発生するからです。2009年の人民代表大会経済委のレポートでは2005年以来、19の業界で様々な程度の生産過剰が生じ、国務院常務会議でテーマになりあました。しかし地方はGDPの政治的な功績を追求するため、生産能力過剰を抑制するすべはありませんでした。2013年なると、エネルギー多少日の電解アルミニウム、鋼鉄製造、あるいは新興産業のハイテク太陽発電と風力発電、さらには造船、鉄鋼業のミドル・ハイエンド産品の硅素鋼もみな業界も認める「生産能力過剰」になりました。

    第二には中央政府の調整政策が往々にしてさらに多くの生産能力過剰を生んでしまうことです。中国の鉄鋼業を例にしますと、この十数年来何度か”輪廻”(*スクラップ&ビルド)しましたが、)一部の地方ではいつもなんとか方法を探して抑制を逃れてきました。例えば数年前に政府は生産能力の都田基準を200立米以下の高炉として小工場を淘汰したかったのですが、多くが300立米や500立米時にはさらに規模を拡大してしまいました。のちに基準は300立米に挙げられましたが「水高くなれば船も高く浮かぶ」でさらに大規模に改造する方向にいってしまいました。このような国家基準に適合させる改造は結果として国内の鋼鉄の実際の生産能力をますます大きくしてしまいました。現在の状況は鉄鋼業の過剰な生産能力はすでに何年も続いており、企業の増産意欲は依然として旺盛です。2013年の鋼鉄生産の過剰は3億トンでECの二倍もあります。中国連合鉄鋼ネットの統計によると2014年、中国には24基の新たな高炉が投入され年産予定は3500万トンになります。これは2013年の7000万トン増に比べると半分ですが景気低迷の状況下で、生産能力が依然として増強を続けているということです。

    この二年間、不動産投資もブレーキがかかって不動産関連のセメント、鋼鉄、平ガラス、アルミ合金などもすべて生産能力が過剰な状態です。そればかりでなく、発展改革委の文献によりますと、コークス、カーバイド、メタノール石炭化学工業、多結晶シリコン、ビタミンC、風力発電設備製造なども同様です。ある分析では中国ではすでに過剰生産ではない業界など見当たらず、この過剰な生産力が中国経済の”核の脅威”になっているといいます。
    なぜ、過剰な生産能力を抑制することがそんなに難しいのか?先に分析した問題のほかに地方政府の考慮するふたつの重点があります。ひとつは生産能力を淘汰することによってうまれる大量の失業問題が社会を不安定にすることで、これは社会の「穏健な安定」という政府目標に反します。河北省を例にとると、同省では唐山市が5年以内に4000万トンの鋼鉄生産能力の削減任務を割り振られましたが、そすると十数万人が失業します。

    二番目は債務の危険です。現在、中国鋼鉄工業協会の  会員企業の負債率は約70%の高きに至ってますが、借款の総額は1.3兆元です。これに非会員企業を加えると全業界の債務総額は2兆元を超える可能性があります。もし企業を退場させたら借金の穴は大変大きなものになります。

    《アジア投資銀行計画策定ーなぜ困難の上に困難を重ねる?》

    中国自身の状況を考えると、過剰生産能力を輸出するというのは進むべき方向のように見えます。これが習近平が就任後に周辺国に投資銀行建設計画を談判する主要な原動力です。2013年、習近平がインドネシア訪問の最、アジア経済の一体化を促進しようともちかけ、中国側は「ASEAN諸国を含む本地区の発展に向け、中国はインフラ建設の資金をサポートする」とし アジアインフラ建設投資銀行設立の提案をおこないました。中国の構想では各国がインフラ建設の主要な問題は融資だとみており、2011−2020年の間、アジア地区のインフラ建設需求には8兆米ドルの資金が不足するとし強い需要があれば、中国側が供給方にまわれば協議を達成するのは別に難しくはないと。

    このあと何回の多方面との懇談を経て、今年10月24日、中国、インド、カザフスタン、ベトナムなどが参加して 北京でアジア投資銀行設立覚書への署名がおこなわれ、2015年内に定款をつくり署名への運びとなって2015年末までに起動することになっています。しかし中国が提唱するアジア投資銀行の出会う困難は幾重にもあります。ひとつにはアジア太平洋地区の主要な経済体が興味を示していません。覚書署名時にどう地区の4つの主要な経済体である日本、韓国、インドネシア、豪州は欠席し、中でもインドネシアはASEAN10か国中唯一の欠席でした。ふたつには米国と日本が反対の姿勢です。米国は中国提唱のこの銀行加盟を慎重に考慮するように求めたといわれます。

    アジア開発銀行総裁の中尾武彦ははっきりと、基本的に同一目的で中国が牽引する別の地域性銀行があらたにできることは歓迎できない、と表明しました。 中国主導のアジア投資貸し出し業務がなければ、中国の対外へ過剰生産力を輸出する計画は困難になります。(「なぜ中国版マーシャルは労あって功なきか」、に続く)

    拙訳御免。
    原文は;产能过剩成中国经济“核威胁”-中国版马歇尔计划述评(1)  http://www.voachinese.com/content/heinglian-blog-china-marshall-20141115/2521813.html
    何清漣氏の他の論考の日本語拙訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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