• 中共高官がなんで中国のインターネット遮断壁をわざわざ”壁越え”するのか?

    by  • December 1, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年11月30日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/ATbhc

    最近の英雑誌・ファイナンシャルタイムズの中共上海市委員会書記の韓正へのインタビュー記事はうっかりすこぶる”中国的特徴”のある面白い事実を漏らしてしまいました。中国の高官が毎日、専門にネットで部下に「全世界の情報」を「中共政府のつくったインターネットの壁」を越えて集めさせているというのです。この種の「自力食料採集」的情報収集方は、中共がやっている政府高官・官僚への「情報特別提供(秘密保持提供)」がネット時代に既に時代遅れであるというばかりか 中共の情報管制それ自体がもういかに馬鹿馬鹿しいことになっているかを表しています。

    《ネット制限の壁越え;中国社会各層の必要性》

    「韓正インタビュー」の内容は豊富で、韓正は毎日部下に「全世界の情報」を集めさせるという話は他の重大な話に埋れてしまっているようですが、元の話はこうです。

    記者;「あなたのアカウント名を聞くわけにはいかないですけど、毎日多くの時間、ネットでいろんな資料あつめているんですか?ということはあなたも(中共政府の遮断の)壁を越えていらっしゃる?」
    韓正;「毎朝、全世界の関係ある情報が私の仕事場に届けられます。ときには非常に激しい批判の声もありますが、直接私に渡してくれます」。

    インタビュアーがここで言った「壁越え」は比喩的な意味で使ったのだろうと思います。とっくに暴露されたことですが中共はインターネットにアクセスする制限管制を身分制でやっています。ふつうの一般庶民は当然、国内情報にしか接しえず、壁越えは禁止。(ときどき捕まえるのはみせしめ効果を狙ってのこと)。しかし共産党内の政治機関では職階と必要に応じてインターネットに接続できます。韓正は政治局インで上海委の書記ですから、こうした大官は全世界のインターネットサービスにアクセスできるわけです。海外の中国語のネットで活躍する国際五毛たちも外部接続できます。その程度はそのボスしかしりません。

    問題は情報社会において、人々が情報を渇望するのはすでに日常的な要求になっているころです。中共がクラス別や政治上の必要に応じて「世界的な情報」に接するのを段階制限しようとも、多くのネット企業やメディアも何台かのパソコンに「壁越えソフト」をインストールして仕事につかっています。これは当然、政府高官らのような合法的なものではなく、「半合法」的なものというべきでしょう。この「合法」「半合法」両方とこっそり自分のパソコンに壁越えソフトをいれている普通の庶民が一緒になって中国の「壁越え」大軍をなしているわけです。当局側はいつもその壁越えソフトを無効にしようとしてますから、ソフト開発者側もやむをえずさらに新しいソフトを開発せざるを得ません。ある人は壁越えするのに2、3時間かかるがそれでも、もう慣れた、といいます。1日、外国のネットに繋がらないといてもたってもいられなくなってしまい、つながりにくい日にはとにかく何時間でもつながるまで頑張って、やっとつながるともうそこで満足してやめちゃうとか。

    つまり中国政府は巨費を投じ「鉄の壁」を築いたが、結果は「鉄条網」程度のものしかできなかったわけです。鉄条網なら決意さえ硬ければ自由にくぐれますし、これが「情報への満足希求」といいます。

    《「情報をもとめて満足したい状態」とはなにを意味する?》

    この「満足」の中身はなかなか複雑なものがあります。

    1;中共高層が党事務機関や政治機関をクラス分けしてインターネットにつなげるようにしているのは、つまり国内でコントロールされた情報は真実性を失っていると当然知っているからです。もともといわゆる新華社の編集とか内部情報としての「大参考」や「内参選編」などの秘密文献で官僚の等級別に情報を特別提供するやりかたは、このインターネット時代には到底、内部の人間を満足させえないのです。

    ましてや官僚社会では特に海外メディアの中南海に関する情報に特別に関心度合いが高いのですが、そうした話は「秘密文献」などからはうかがえるものではありません。しかし、海外のサイトをみれば、それも「敵対勢力」のサイトならそうした情報は新旧いろいろいっぱいあります。

    このふたつの要因の他に、政府高官たちにはまた別の必要性もあります。中央文献はある種のデリケートな問題についてはその分析ははなはだはっきりせず、どっちとも取れる内容でさっぱりわからないのです。こういうときに外国の専門家の見解はやはり役に立ちます。官界を泳ぐにあたってもしこうした情報をしらないと「メクラがメクラ馬に乗って、夜中に池にドボン」と落ちるような羽目になりかねません。ですからより地位が上がれば上がるほど、目を光らせ、耳を澄ましておかないと官界の「起き上がり小法師」としていきていけないのです。

    2;中下層の役人は上述のような高官用の「特別提供情報」にありつけません。ですからやはり「情報に満足したい行列」に並ぶことになります。彼らは中南海の紅壁の向こうの動きを知る一助とし、自分が自信をもって動くために世界のニュースを必要としています。この人々の政治情報への興味には高層の連中の家庭生活や高層指導者間の親疎の別、仲が良いか悪いか、敵対関係か否かなども含まれ、対外の情報への需要は中国政治の内部闘争の方面に偏っています。

    インターネット時代以前には、彼らは香港の政治ゴシップ雑誌を通じてこの種の需要を満足させていたんですが、いまやインターネットで語られないことはないという時代です。薄熙来の「革命歌を歌い、悪をやっつける」運動や「重慶モデル」、その後の高層内部の闘争以来、国内の官僚たちは高層内部の闘争も海外へニュースを漏洩させ世界中に知らせていることで、なにも国内の茶飲話や酒飲みの噂話ではなく、自分でネットの壁越えして調べたほうがいいわい、ということになりました。

    当然、こういう連中の壁越えは比較的こっそりおこなわれ、勤め先の機材をつかったり、あるいはこっそりと行われるわけです。普通の中国人にとっては壁越えはおもに情報を知りたいという気持ちからおこなわれます。彼らと自分から主導的に壁越えをする中共内部の人間との間にはひとつ共通点があります。つまり中共コントロール下の公開情報はまったく信用できず、だから真実を知るためには壁越えするしかない、と深くわかっているということです。

    自国の政権の宣伝が嘘っぱちだというのはあらゆる共産国家の通例です。フルシチョフはその典型でした。彼以前のレーニンやスターリンはみな死ぬまでその地位にありましたが、しかしフルシチョフは失脚し、その後の暮らしは寂しいものでした。そして、彼に共産主義専制体制の欠陥をかんがえる立場にさせました。フルシチョフは急速に体制内の批判者から、ソ連体制の反対者になりました。政権に異議ある者の大きな特徴ですが、ほとんどラジオを手離さず、特にVOAやBBCといった「敵側放送局」(かってボスだったときにその放送を妨害せよ、と命令したこともあるのですが)を聞くのが好きでした。こうして「敵の放送局」をきいているうちに、かれはかつての「党の喉と声」といわれた自国メディアに強烈な不満をぶちまけソ連共産党機関紙「プラウダ」に至っては「まったくのゴミクズ」と呼び「どうやってこんなものを書くのだ?これがなんの宣伝だというのだ?誰がこんなものを信じるというのか?」と述べました。

    情報封鎖についてはフルシチョフは「反動的」な話をしました。「この国の扉は閉じられそのうえ鎖でがんじがらめにされている。これは一体どんな社会主義だというのだ?人民を鎖でしばりあげなければならない秩序とはどんな社会だというのだ?私を何度か門戸を開いたのがけしからんとかいうが、もし神が私に再び執政の機会を与えるならば、私はこの国の扉を大々的に開いてやる」と。

    でも、中共の退職した指導者からは当然のことながら”フルシチョフ”は出現しません。 なぜならば彼らの家族がみな中共権力とその庇護の陰で巨額の財産を蓄積しているからであり、その身と財産の安全はこの政権と一蓮托生なのですから。ですから彼らは「壁越え」することはあっても、決してフルシチョフのような異議申立はしないでしょう。

    フルシチョフは生きているうちにソ連共産党の鉄の壁が崩れ落ちるのをその目で見ることはありませんでした。しかしソ連人民はアンドロポフの窒息するようなKGB統治を経て、ついにゴルバチョフの新思考改革を迎えました。

    1987年、レーガン米大統領は「壁をぶちこわせ」の呼びかけのもとに1989年11月9日、ベルリンの壁がついに倒され、並ぶものなき社会主義強権国家だったソビエト連邦と東欧の共産党政権は相次いで崩壊しました。

    学者の呉国光(*「趙紫陽の政治改革案」起草者、在米)の言う通り、「メディアのコントロールは中共の強みであり、国家機関としてこの方面ではものすごい実績と経験を積み、水も漏らさぬ完璧な力と斬新なアイデア、想像力に富んでいる」です。

    しかし、情報封鎖と思想統制は最高にうまくいったとしてもただ悪政の死亡過程を延命できるだけで、起死回生とはいきません。

    今回の台湾の馬英久と国民党の落日はまさに中共のメディアコントロールの失敗をあらわしています。台湾のメディアは香港同様、中共がその力をきわめて深く浸透させてきました。いくつかの大メディア手段はとっくに中共の支配下にあります。しかしこうしたメディアを読むのは45歳以上の人たちです。ネット世代は基本的にこうしたテレビや新聞をよみません。

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