• 取らぬ狸の…中国版マーシャル計画(2)

    by  • December 1, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年11月18日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/nDVgc

    「シルクロードと海のシルクロードの夢計画」は中国に夢魔のように取り付いてしまったようです。その麗しい未来を語る「38億人を結ぶ道」とか「互いに連携、どれほどの中国の生産力を生むか?」といった文章が満ち溢れています。中国の海外投資のこれまでについて疎い人なら「だってこれらの地域は前からあったろう?なんで賢い中国人はとっくの昔に行かなかったのさ?」とおもうかもしれません。

    《投資は利益とリスクを秤にかけるもの》

    長年、中国の海外投資を追跡してきた経験からいうと、こうした文章は生産能力はどこへ出せるかという面しかみておらず収益はどう保証されるのか、という半面を全く見ていません。中国のこの種の行政主導型の「市場経済」はいままでずっとそうです。いかに上級政府に政策をやらせて銀行に金をださせてどう使うか、みたいなことで収益の計算はしていません。そして途中でうまくいかなくなって債務がのこると「授業料」にされるのです。

    この「陸と海のシルクロード」は幾つの国家を含むのでしょうか?人民ネットの図をみるとASEAN、南アジア、西アジア、北アフリカ、欧州もその中にはいります。この「シルクロード」の沿線の国家(海陸シルクロード国家と地区の経済指標一覧」の図 http://news.sina.com.cn/c/p/2014-09-23/145530901635.shtml を参照)の大部分は工業化初期の段階で工業がGDPに占める割合は3割前後であり、多くの国々のエネルギー鉱物資源などの資源型産業に対する依存度が極めて高いのです。また産業構造上、中国とこれらのシルクロード沿線国家ははっきりとした階層構造をなします。かつ労働力のコスト上でも比較的優勢(*安価)なのでそろばんを弾けば前途は明るいようにみえます。

    しかし図表のうち韓国、蘭、仏、独、ベルギー、ロシアなどは当然、工業化初期の国々ではありませんし、鉄道や高速道路、橋梁、港湾などの設備も整っていますから別に中国の過剰生産力を受け入れる必要などありませんしそのうえ、中国の「酢豆腐のようなお粗末工事」は世界的に知られています。インドはIT産業でも別に中国に遅れてませんし人口でも大国ですからなにもおいしいところを中国に持って行かせるはずもないでしょう。

    そうなると本当に中国の援助を必要としているのはせいぜいインドネシア、マレーシア、タジキスタン、トルクメンぐらいのものです。これらの国ならば中国の願いどおり大量の新規インフラを必要とし、中国の過剰生産能力を受け入れることもありえましょう。

    こうした国々との協力で中国は自己資金と同時に自ら工事従事者の部隊をひきつれていけます。投資の回収は何種類かの方法が考えられます。ひとつには中国が必要としている資源と交換。ふたつには中国が工事完成後に道路や鉄道の運営権でもって返還してもらう方法。三つ目は政府が負債を償還する、などです。しかしどの方法にしたところですべてふたつの前提があります。ひとつは当事国の安定。ふたつは対象国の経済が発展するためには良好な国家の信用をもち、また自らが信用を重んじる国家でなければなりません。

    しかし上述の国々は不安定だったり、国家的信用がなかったり、あるいはその両方だったりです。たとえばビルマの政府の密松発電所で、当初中国電力投資集団はビルマ政府と世界15位の大発電所計画を調印し前途有望に思えたのですが、当該地区の住民の強烈な反対にあって最後には座礁しました。損失は巨大で2011年9月に工事が停止されて以後、現場はそのままほったらかしになっています。中国の企業側はそのために毎月、数千万元の損失を計上しています。

    《中国の海外投資が直面する問題と損害》

    これまでの中国の海外投資は自国のエネルギーや鉱産資源問題を解決するための戦略的投資で自らが需要側でした。ところが今回は巨大な過剰生産能力の行き所探しです。今回は巨大な過剰生産能力を放出し、かつお金のない他国で必要としているインフラを施工しようという前提です。しかし中国もその国も収益を必要とします。

    では中国の以前の投資収益損はどうだったかををみてましょう。

    The Heritage Foundationがchina’s global reachというデータベースを作って中国企業の一億ドル以上の海外投資のプロジェクトを追跡記録しています。それによると、債権以外の中国の投資プロジェクトはエネルギー、鉱業、運輸、銀行など多数の業界にわたっており、2005年から2012年6月までに中国企業が海外で投資した429の一億ドル以上のプロジェクトは合計5011,5億ドルになり、その約九割が国有企業です。エネルギー業界は最も中国のお気に入りです。海外投資プロジェクトの目的地別にみると中国企業は地域を限らず、米欧でもアジアアフリカラテンアメリカの遅れた地域でも、市場と資源があればすべてに中国企業の足跡があります。いわゆる「陸と海のシルクロード地区」にもすでに少なからぬ投資をしており、2013年にはインドネシア(307億ドル)、ナイジェリア(207億ドル)、イラン(172億ドル)、カザフスタン(235億ドル)など、2012年度に比べ極めて急速に増えています。

    同データベースには「問題になったプロジェクト」という項目があり、管理側が投げ出した一部、または全面的な失敗プロジェクトがあります。2005年から2012年には88、総額1988.1億ドルになります。当初、大部分はエネルギー業界関係だったのですが、のちにはプロジェクトも多様化し、2013年中国企業の海外投資や合同での損失の多かった国はオーストラリア、米国、イラン、ドイツ、ナイジェリア、リビアが「問題プロジェクト」の6割を占めています。

    しかし「問題になったプロジェクト」というのはThe Heritage Foundationの算出方法で、中国側は自分でも損益計算方式をもっております。今年8月に中国経済貿易促進会の王文利副会長は、中国の2万以上の企業の海外投資はその「9割以上が赤字」で その原因は資産的な評価の罠や労働の罠(労使紛争など)、反独占や国家安全問題(問題の多くはこれによる)、税収、環境保全、パブリックリレーション関係などあげています。王は、投資家自身の管理職が私利を図って横領したというのはあげていません。

    いずれにせよこうした要素はすべて依然として存在し、「陸海シルクロード計画」の投資だからといって変わることはありません。

    《誰が中国の海外投資の真の受益者なのか?》

    中国はこの十数年に海外に大規模投資をしてきましたが、これは国際社会ではこれまでなかった現象です。この現象は資本主義国ではありえません。なぜなら資本主義国での投資はすべて私的資金ですから、いかなる他国世紀企業でもいつまでも7割〜8割もの損害をだしながら長くこのような投資を継続することはできないのです。

    また、かつての社会主義国家でも出現したことはありません。なぜなら1990年以前の社会主義国家は内部の経済交流以外、他の経済体とこのような多様な関係を持ったことはなかったからです。1990年以後、わずかに存在した社会主義国家で中国だけが改革開放で蓄積した財力をつかって国家の力量として国外にこのような大規模で収益の上がらない投資を行えました。

    この状況は国際社会の資源配置状況を変え、中国というこの社会主義国家と世界各国との関係を非常に複雑なものに変え、かつ中国は広い国際的空間を勝ち得たのです。そして民主世界と社会主義先生国家を対立と衝突の時代から共存関係に変えました。このような状態は冷戦以前にはかってないことでした。客観的に言えばそれが中共政権の延命に役立ち、その内部矛盾が深刻になっても、外圧がないという状態を生み出しました。
    しかし中国にとってみれば政治上の巨大な収益の他には、経済上ではマイナスの状態です。

    「陸と海シルクロード」戦略が実施されても依然としてこの状態を変える術はありません。かつての中国の対外援助は最後には数億、ないし数百億の債務減免となって、最終的にはお金で友好を買うかたちとなりましたが、それなら、今にいたるまで中国の海外投資の引き起こした損失というのは完全に丸損です。現在中国の海外投資は依然として継続していますが、中国商務部の公表によれば、今年中国の1〜10月の対外直接投資は819億ドルにのぼりそして外国からの対中国投資は959億ドルでした。両者はすでに接近しています。こうした状況のもとで「陸海シルクロード」投資はこれまでの収益を無視した投資と同様にこれが正常な投資行為とはとても思えないのです。

    広州の「時代週報」が今年9月2日に伝えたニュースはあるいは中国海外投資が巨額の損害をこうむりながらそれでもやめられないという鍵かもしれません。それによると多くの中石系と中石化系の中級役人らが中央規律委の追求の網が絞り込まれる前にカナダや米国、UAEなどへ移民となって逃げ出し、その海外に持ち出された金額は200億から400億元の間だとみられています。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;“一带一路“只算了半本帐-中国版马歇尔计划述评(2) http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-marshall-part2-20141118/2525497.html
    何清漣氏のこれまでの論考の日本語拙訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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