• 2014の中国の政治キーワードは「狠」(*「ヘン;」冷酷;英;ruthless)

    by  • December 27, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年12月18日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/sCkhc

    2014年が過ぎようとしていますが、この一年の中国政治を表すのにもっともふさわしい文字はなんでしょうか?私は「狠」だとおもいます。三つの方面でそういえると思います。ひとつは本当の「狠」、もうひとつはある基準のある「狠」、そしてそうあるべきではないのに特別に厳しい「狠」。ここから一見複雑な中国の政治の中から一本のはっきりしたラインをみることができます。

    《政敵にはとことん打撃を》

    政治的に失脚した者、例えば徐才厚(*国家中央軍事委員会副主席、軍のトップだったが失脚)や周永康らには、中国メディアは「国賊」とか「国妖」とか「反逆者」などの筆誅を盛んに加えています。70年以後に生まれた中国人は知らないかもしれませんが、”文革”を体験した世代からしたら、「またやってる」ということでかつて劉少奇国家主席には「内奸」「工賊」「反逆者」とか多くのレッテルがはられ、そのうえ「大」の字で最大限に強調されたものでした。

    中国の政治宣伝文化は二面性でできており権力さえ握っていればどんな阿諛追従の類でも簡単に堪能できます。反面、失敗でもして権力を失おうものなら昨日まで賛美の歌を歌ってくれたメディアの大合唱がたちまち「水に落ちた犬をやっつけろ」となり誰が一番、大きな声で罵ることができるかという競争になります。この特徴は前にも言ったけれど「中共の役人は権力の座にあればだれもが『聖賢』で『文武両道』だけど、一旦滑ったら「獅子身中の虫」で「ゴロツキ野郎」になる、です。

    徐才厚の例をみれば、18大会前は「中国の空に燦然と輝く将星」で、その故郷の遼寧省瓦房店から30人以上の将軍が出ていることで「将星キラキラ」と言われた美談でした。が、いったん落馬した後はたちまち「輝く将星」は「国賊」となり「徒党を形成した」となり、お金で軍の地位を売ったという批判はもうだれもがいわねばならない曲目ですが、鳳凰週刊が一番乗りを買って出て11月20日に「国賊徐才厚の蓄財の内幕」を掲載し、元々は徐財(!)厚の身内だったはずの「解放軍報」もここぞとばかり「大義、親を滅する」(*正義のためには身内も犠牲にするw)精神を発揮して12月10日には「ヤヌスのようになってはならず、真面目にやるべし」という論説を掲載して、徐を「国賊」から「国妖」にグレードアップしました。

    周永康に対してはトロ火で熱するかのような家庭で最初は遠まわしの「周浜(*周永康の息子)の父」から「かの人」となり本名が登場するまで半年かかって、いまや6つの罪を加えられたばかりか、さらに「他の犯罪に関わった疑い」まで登場、まるで、かつて一族誅滅された中共の反逆者・顧順章(*1930年代の中共中央のスパイ組織の元締めで国民党に走った)さながらです。こうした「待遇」は以前の地位からいうと似たような三人の政治局委員であった陳稀同(*北京市長、失脚)や陳良宇(*前上海市党委員会書記、失脚)、薄熙来(前四川省書記、失脚)らが味わうことがなかったものです。

    彼らは秦城監獄(*公安部直属監獄)入りしましたが周や徐のようなメディアの大攻撃は受けませんでした。党や国のイメージダウンを避けるためにこれまでは彼らの罪の内容は曖昧に「組織上の」と言われていたものですが、それが今では、そんな体面など繕う努力も不要になり、「組織上の不都合」などという言葉も消えて以前より冷酷な扱いになっています。

    《対汚職公金拐帯官僚作戦ー海外へ逃げても追い詰める》

    公金の官僚による拐帯・海外逃亡は20世紀の90年代から大問題になっていましたが、江沢民、胡錦濤はこの問題を身を入れて解決しようとはしませんでした。どうにも理解し難いのは2006年に中国商務部の官僚が二年前に発表した中国の資本持ち逃げに関する10大拠点に関する研究報告をむりやり撤回させられたことでした。しかし、習近平が権力を握ってからは王岐山が中央規律委員会を掌握し国際的な追及にようやく本格的に取り組み始めました。いまでは63国家が107項目にわたる司法援助協定を結んだといわれます。

    2014年に国際調査記者連盟が発表した「中国オフショア金融の秘密レポート」の後、中国当局は「”キツネ”狩り」を開始し、10月には国際的な公金横領.拐帯逃亡官僚追跡のために中紀委の指導下に8つの政府組織を連合させ、他国との引き渡し交渉や司法互助の請求などを行う機関がうまれました。APECサミットで中国がACT−NETの主催国となり「反腐敗」の指導権を握ったことでこうした国際追跡はさらに容易になりました。現在、同事務局は8000人の持ち逃げ官僚のリストをつくって全地球的に追跡中でその一部は「逃亡先国家」に手渡され、西側国家から早速反応も得ています。

    上述の行動は王岐山が「持ち逃げ役人に海外に生存する空間を与えない」という言葉が本気であることを意味しますが、ともに「冷酷な手」はどちらも身分によって手加減されることもあきらかです。すなわち、父親の権勢を利用して不義の財産を築いた紅二代目には適用されない、ということです。

    《”異端”に対しては容赦ない弾圧》

    ここでいう”異端”とは胡錦濤時代よりはるかに広い意味です。胡錦濤時代には中共当局は特に目立った人物だけを対象にしていましたが、それでも 比較的穏健な人物やNGOは残しておきました。習近平時代になって異端と民間機関に対する姿勢は「秋風が葉っぱを根こそぎにふるい落とす」ような政策で胡温時代には多少活動できた北京の公盟法律相談センターも習近平のもとでは存在を許されません。

    許志永(*人権活動家 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%B1%E5%BF%97%E6%B0%B8)がまず「騒動を挑発した」として4年の刑になり、2014年後半には純粋に公益のために活動していたNGOや枠内での発言しかしていなかった人士も次々に狙われました。資深ニュースの高瑜女史(https://zh.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%91%9C)の例だと今年4月に「国家機密漏洩罪」で逮捕されましたが、その理由とされた「7つの講義してはならないこと」(*言論の自由や市民の権利といった西側の価値観を学校で教えてはならない、という通達)の「9号文件」はとっくにネット上に流れていましたし、「漏洩先」とされた明鏡ネットは高女史から文献はまだ受け取っていない、と声明をだしましたが、いまにいたるまで高女史は勾留されています。

    国境なき記者団が発表した2014年度のレポートでは全世界で178人の職業記者が囚われており、そのほかに178人の市民記者が拘束中。中国はこの両方でトップで、いまだに29人の職業記者が獄中にあります。 さらに中国の知識人界が訝しんでいるのは財新ネット文化編集者の徐暁が逮捕されたことです。徐暁のあらゆる言論記録を調べても、現実の問題について彼女は一切発言していないのです。彼女が捕まった理由として「立人大学」(*NGOの開くスクール)活動に関係したからだと言われましたが、立人大学創始者の李英強は否定しており、無関係で他の理由だとしています。(「亜州周刊」12月6日付で「徐暁逮捕、知識界は不確定の季節へ」)。徐暁同様、訳のわからない理由で逮捕された人には他に、公益活動人士の寇延丁女史がいます。

    胡錦濤時代には伝知行研究所(*NGO)や立人図書館は存在できましたが2014年どちらも壊滅的な打撃を受けました。前者は長年、おもに財産権保護、市場の深化、個人と企業とNGOの活動空間の開拓を行い、かつて「市民税権利手帳」を出したことはありますが、直接政治に介入したことはありません。立人図書館は2007年に作られ、農村地区への文化的サービスを主旨として平時は大変注意深く「政治化」するのを避けてきており、「発禁図書」や「違法出版物」とは無縁でした。しかし今では伝知の郭玉閃、立人図書館の薛野理事長、副総幹事の建樹も前後して拘束されたままです。このような穏健な批判者や民間組織の生存空間もなくそうという厳しさは、まさに中共が全国人民に「雷峰(*中共が理想とした兵士)に学べ」の大号令そのままで「敵に対しては秋の風が落ち葉を一掃するように情け容赦なく」です。

    ということで、2014年の中国の政治を一言でいえば「狠」の一字です。

    政敵や公金持ち逃げ役人への「狠」は、習近平が意図的に江沢民時代に始まり胡錦濤時代に盛んになった政治利益集団の萌芽を潰そうとし、同時に持ち逃げ役人の海外の逃げ道を防ごうとするものですが 形は厳格なようでも、紅色家族はその目標とはされないという留保つきです。しかしNGOの「狠」は違います。これは習近平が社会空間を圧殺しようというものでたとえその組織が政治的反対者でなくとも、いかなる生存の余地も与えない、というものです。

    この三つの「狠」を重ね合わせると、習近平が中共政権というこの宝の座の乗っかっている専制制度の毒地の上であちこちから隙間風が吹き込み、シロアリに蝕まれて穴だらけの巨大な建物の柱だけを取り替えたいと願い、傷みの激しい土台の一部に手を入れることはあっても、土台そのものを変えようなどとは決して思っていないということがわかります。ですからこの巨大な建物に住む人々は、依然として様々な毒をその身に受けかねないのです。(終)

    拙訳御免

    何清漣氏の原文は; http://www.voachinese.com/content/he-qing-lian-20141217/2563303.html 2014中国政治关键词:狠
    何清漣氏のこれまでの論考の日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/ に。

     

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