• 政府の投資大号令ラッパでリコノミクス破産

    by  • December 27, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年12月16日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/PBkhc
    今や経済バブルは理念のバブルをも伴うご時世のようで、一つの理念があっという間に破産してしまうので、その成否を論証する間もありません。今年6月にバークレイが「リコノミクス」となずけ国際投資業界も歓迎した”李克强経済学”がまさにそれで、その中身の「高成長から中成長に軟着陸させるために景気を刺激せず、信用を圧縮して構造調整」の主要部分「景気を刺激せず、信用を圧縮」が中国政府の投資の大号令でふっ飛び、本来ならゆっくり行われるはずだった「構造調整改革」もこの政府投資の刺激策のもとでは元の木阿弥のままいくしかなさそうです。

    財政部長(*財務大臣)の楼継偉がG20の席上で「中国政府は経済刺激策をやめる」と言った舌の根も乾かぬうちから、江蘇、安徽、重慶、四川、貴州、陕西など多くの省と市は大量の文書を下部に発して、会議を開き、下級政府にさっさと「十二五規格(*地方インフラ整備 http://www.cncdm.jp/cat25/)」(民生保障・改善に注力し、基本的な公共サービスシステムを逐次完全にする)に基づいて鉄道、道路、飛行場を建設せよと要求しました。

    約36の都市の発展改革部門が地元に都市交通プロジェクト建設を開始することを批准したのです。こうした”鉄っぽい仕事”と都市のスラム街改造は新地方政府の投資のホットポイントになりました。中でも都市の電車網建設はプロジェクト中の重点で2020年までに中国の電鉄網は約6000kmとなりこの方面での投資額は4兆元に上るとみられています。各地で電車網の整備が急がれる理由としては都市インフラの建設強化、つまり有効な投資と消費を呼び込み、都市の総合負担能力をアップし、人間を核心とする新しい街づくりの質を高め、大経済圏都市を連結することができる、というものです。

    このニュースには中国交通運輸部の証言があり、部長の楊伝堂は最近、交通部工作会議ではっきりと都市軌道交通の建設は今年後半の五大重要項目のひとつだと述べました。総理と財政部長がどちらももう経済刺激策はやらない、と言っているのに地方政府はあえて中央政府に逆らっても自らの道を行くのでしょうか?そういうわけではありません。バークレイキャピタルは6月に「リコノミクス」という名称をつけたとき、気がつかなかったのかもしれませんが、それより早く2013年5月に中央政府はすでに地方政府に大きな政策の抜け道を用意していました。

    「国務院のプロジェクトの権限を下に任せる決定」がそれです。その中で下部に権限解放された行政の批准権限は全部で117項目もあり、その中に発展改革委から下に渡された投資批准プロジェクトは25もあります。下部に移した理由は「さらに一歩投資体制の改革を深化させ、市場の資源配置における基礎的な働きを十分に発揮させ、しっかりと企業に投資の自主権をもたせるため」とのことでした。

    ですから、中央政府は自分は約束をしっかり守っている、これは地方政府が自分たちの投資の批准自主権に基づいておこなったものだ、ということができます。しかし中国政府のメカニズムをよく知っている人ならこれが「耳を塞いで鈴を盗む」類の措置だとみな承知しています。なぜなら地方政府がキチガイのように承認している都市・鉄道プロジェクトは地方が主体に名目はなっていても、実際に建設段階になれば資金集めは中央によって「政策をやっていただく」ことがなければ一歩もすすみっこないからです。

    《中央政府の方向づけられた金融援助》

    国際投資業界が「信用圧縮」によって中国の金融は市場化の方向へ改革されるだろうと歓呼の声で迎えていたとき、中国政府は銀行に地方政府を大規模にサポートするように決めていたのでした。今年7月に国務院は「経済の金融サポート構造の調整とモデルチェンジ・アップグレードについての指導意見」というのを出して、ひきつづき重点領域と「弱い鎖の輪」に対する金融指示を持続・強化するように要求していました。

    8月12日に国務院の出した「小規模企業の発展実行への金融サポートに関する意見」は明確に、小企業、零細企業に対する金融サービスにより力を入れるようにもとめていました。上海は金融政策のサポートの重点です。8月6日、中国農業銀行と上海市政府は上海向けの2500億元の借款に調印しました。この金額は上海の昨年のGDPの12.5%に相当します。この借款はディズニーランドや上海自由貿易区に関わる都市改造と向上計画に使われるものです。「毎日経済新聞」によればこのサポートは上海に対する6大領域の金融サポートの一部にすぎません。

    このような大規模な借款は外の世界からみれば政府は「一連の新しい経済刺激策」を取ろうとしてるのではないかと思わざるを得ないものです。それに各大商業銀行の他に今回は国家政策を対象にしている国家投資開発銀行も加わっています。最近、国家開発銀行は前後して江蘇、河北、青海など多くの省政府と多くにお地級市(2線級都市)と少なからぬ協定に調印しました。同銀行の理事長の胡懐邦はインタビューに対して今年上半期の新たな借款は数千億になるといい、その8割が石炭、電力、石油、農林水産、通信と公共インフラ施設などの「ニ基一支」(*長期投融資の対象)の分野のものだと言いました。

    国家開発銀行が入ったということは地方債発行は依然として資金集めの主要な来源になる、ということです。誰でも承知のように国家開発銀行は債券発行をもって資金を集める債券銀行です。そして財政部に次ぐ第2の債券の大量発行機関で、俗に「第二財政部」と呼ばれる存在です。前任の理事長である陳元はファイナンシャルタイムズで「世界のどこでも皇室級の待遇を受ける」と書かれたほどでした。商業銀行が地方に大幅な融資をするのが商業行為なら、国家開発銀行がおこなうことは国家戦略と国家政策です。地方に大々的に借款を与えるというのは完全に財政による経済刺激策ということになります。

    《地方政府はどうやって債務の連鎖を断つつもりなのか?》

    内外の経済関係者の大多数は中国政府の巨額の債務とシャドーバンクは中国経済と金融危機の両方を引き起こす危険地帯だという認識です。政府系の経済学者でもそうです。今年7月、清華大学のだした年財政透明度報告では、全国289歳の透明度は全体に大変低く、一番上だった上海市ですら合格点に達しませんでした。さらに深刻なのは多くの市政府が地方債の現状隠匿にかかわっておりたった13の市が債務情報を公開していただけでした。地方債はとっくにもうめちゃめちゃだということです。
    古い借金を返し終えないうちに新しい借金を大規模に借りるというのは民主主義国では大変困難です。 米国ではそのような政府は破産宣告するだけです。例えばカリフォルニア州南部のオレンジ郡がそうでした。しかし「中国共産党がおそれるものは何一つない」ですね。

    8月13日、「瞭望ニュース」は「役人の地方債務転嫁;前期政府の借金は今期政府は返さない」という記事で、記者が東、中、西部の省区で取材して発見したのは「各地方政府の収入構造は同じで各種支出は不断に増加し、都市化というのはインフラに資金投入すること、と理解されており、これによって地方政府の借金は毎年増加している」「しかし最大の問題は債務の増加ではなく透明度の問題で一体、借金がいくらあるのかということを地方政府自体がわかっていない。特に注目に値するのは市や県(*日本の村)の基層レベルの幹部は「借金の意識」がないばかりか、「債務繰り延べ」や「債務は自分のせいではない」といった気持ちで、「前期の政府の借金は今期の政府は返す必要がない」と思っている、と。

    このような「経済」は信用できないことはいうまでもありません。支えるべき「信用」がない経済体というのは投資だろうが生産だろうが、すべて近視眼的な行為となり「今朝、酒があれば朝から飲んで明日のことなんか知ったものか」ということになります。

    ここまできてわかるのは、人々が長いあいだ期待していた李克强の「経済改革」とは前任の温家宝が2008年以来やってきた政府の経済発展刺激のための投資政策の延長で、それどころか「古い瓶に古い酒」をいれて新しいレッテルだけを、つまり「不動産業を経済の先頭にする」という代わりに「新市街化」と言い換えただけで、また農民をそこにいれることが都市戸籍をもたせる「福利政策」ということです。

    これは当然、李克强だけの責任に帰することはできません。私は2013年6月に「李克强経済学」の制度基礎は何処に?」http://urx2.nu/fhiO )でその実施基盤がないこと、「この時勢下では各方面の圧力で政策を弱めなければなるまい」、と指摘しましたが、その私もまさか「この時勢」なるものが3か月足らずだとは思い至りませんでした。(終)

    拙訳御免
    何清漣氏の原文は;http://www.voachinese.com/content/he-qing-lian-likonomics-failed-20130813/1729168.html 政府投资号急吹 “克强经济学”破产
    何清漣氏のこれまでの論考の日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/ に。

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