• 中国民主化の長期手形はなぜ破棄された?

    by  • December 30, 2014 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2014年12月29日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Wiphc

    これはツィッターの論議からでてきたテーマです。唯色女史(*チベット人作家。ツェリン・オーセル/2013年6月19日から国当局により自宅軟禁)のフェイスブックの内容が削除された事件に始まり海外の「墙外楼」などの中国語ネット上の書き込みが五毛(*政府お雇いツィッター発信者)に占領され、中国ではなぜ五毛や”五毛義勇軍”(*無償で自分から進んで政府支持を書き込む)が”ツイ友”が「中国人の素質が低くて民主主義に向かない」論をまたゾロ持ち出したので、私も北京の中国民主化の態度の変遷と「中国民主化実施」のいまだかっておとされたことのない「長期手形」がいつ破棄されたか、という話をここでおさらいしておきましょう。

    《北京は昔、民主化の約束手形を切った》

    「中国人の素質が低くて民主はできない論」を吐く人たちは中共が昔、「民主化」の「長期約束手形」を振り出し一度も実行しなかったことをわざと忘れたふりをしていますね。わたしはこれを「史実」とは書きません。なぜならそれは今も”未完成”のまま続いていることなのですから。ツィッターではまとめてこう書きました。「元、中国が貧しかったころ、当局は『中国は貧しいので民主を実行する条件がない。中ぐらいになったら」。そして中国が景気が良くなったら「人民の素質が低く民主実行には不敵である。高まってから検討しよう」といいだした、と。

    そしてGDPが世界第2位になったら中共は「5つのやらない」(*西側民主主義的な5つのこと、後述)「7つの教えない」(*学校でも教えてはならない)を言いだしました。この「中国人の素質云々で…民主の条件がない」論は中国がWTO加入(2001年12月)の前にいわれたことです。中国はWTO加入にあたって西側国家、とりわけ米国の支持をとりつけるときにこの弁解を使いました。

    当時、米国の10数社の多国籍企業が米国国会や政界に対して説得活動をしたときには「中国のWTO加盟を認めれば、中国経済と世界経済が一体化して、国際的なゲームのルールを中国政府に守らせることができる、次第に民主化させられる」と言いました。同時に中国国内での政府の宣伝のテーマは;「貧しい国が民主をやっても質の悪い民主で動乱が起きる。、またインドを例に腐敗が広まり、分配が不公平になり、貧しい人が増える、として「貧困人口の多い貧国が民主をすべきでない」と中国人に思わせ、それは、いま多くの五毛連がありがたがる「金科玉条」の類いとなっています。

    「中国が興隆してから」とか「中国人の資質が低いから高くなってから民主を検討する」というのは次のような事実です。;

    中国が「平和的興隆」を宣言したのは2005年でした。そのとき中国は中進国の仲間入りを果たしましたが、このときから「中国素質論」が登場しました。しかしそのころの世論統制は今のように厳しいものではなく論争も可能でした。民主化に反対する人たちは「中国人の素質は民主に適さない」論を堅持し、民主化を支持する人は米国建国時の大衆の民主化の程度や中共・延安時代の辺区の文字を知らない農民が豆を使って計算して民主制度を実行した例を出し「資質」と「民主」の実行は無関係なことを示しました。2011年に呉幇国が「5つのやらないこと」(多党制、三権分立、両院制、連邦制、私有化の否定)を提起するまでは、どんどん厳しくはなってきましたがこうした議論はずっと存在してきました。

    人民ネット2006年8月28日付に「いわゆる『中国人の素質の低さが民主に適さないこと』がまだ掲載されているのはこれがながく討議されてきた証明といえるでしょう。ただ政府側の立場ははっきりしていて2003年、温家宝総理が訪米中にハーバード大學で講演した際、「中国はいつ民主を実行する準備をしてるのか?」という質問に答えて「中国人はまだ準備ができていない」と答えたのは中国人の素質がまだ低すぎて民主を実行できない、ということでした。

    《中国が第二の経済大国になってからすぐに手形は破棄された》

    以上述べた「貧国に民主は不適」論と「中国民衆素質低すぎる論」はつまりは当局が中国人に対して民主の長期手形を切ったとおなじで、そこには「いつの日か、中国が富強になった暁には…」あるいは「中国人の資質が十分高まった時には…」民主を実行するという暗黙の含みがあったわけで待ち続ける中国人にとってもいつの日か、中国が富強になり、国民が豊かになったら中国当局は結局のところ「民主を実行する」というこの長期手形を落とすだろう、と引き続き希望はあったわけです。

    しかし2011年、中国当局はついにこの長期手形をビリビリと破いて屑篭に放り込みました。2月上旬、2010年日本の名目GDPが54742億ドルで中国より4044億ドル少なく世界第3位になり、中国がGDP総数で世界第2位になったのです。中国メディアは欣喜雀躍し中国は一躍世界第二の経済大国になって、これで日本は第二次大戦後40年以上にわたる米国に次ぐ地位を失い「経済奇跡」は終わった、と書きました。

    この素晴らしいニュースに政府に長いこと約束していた民主実行の手形を落とすべきだと要求するのを中国の一般庶民が思いつくのが間に合わないうちに、中国当局は予防措置の先手を打ったのでした。それが3月10日の第11節全国人民代表大会4次会の席上、人大委員長の呉邦国の「5つのやらないこと」、つまり多党制、思想多元化はやらない、三権分立、両院制、連邦制、私有化はやらない、だったのです。

    《「中国人は現政権を支持」と「五毛義勇軍」》

    この間の討論はもうひとつ面白い問題がありました。@newchinajoeが「五毛義勇軍」現象にこんな質疑をだしました。;「五毛義勇軍は底辺層から中間層さらに特権層までいるし数も多い」。「なのに民主運動人士らはその原因を考えないで単純に中共のせいにしたり、情報が封鎖されているからだという。でも中華民国時代に情報は自由だったし、中産階級は豊かだったが、大多数の知識人は逆に中共シンパだった」「五毛義勇軍は自分たちの世界観をもっている。そのすべてがデタラメだとはいえまい」というのです。

    私の答えは;「とっくに研究済みですよ。中産階級は安定をのぞみます。ゆっくり進む改革を希望します。自由は欲しいけど この数年の底辺層が毛沢東左派とつうじるのをみて、『地主土豪をやっつけて財産を分けろ』といった気分が広がっているのを見て、上層富豪連が次々に中国を逃げ出すのを見て、自分はそうできないので暴政と暴民のどちらかを選ぶなら、せめて害の少ない方をえらんで、現状を選んだほうが何がおこるかわからない危険よりはましだ、とおもっているのです」と答えました。

    またあるツイ友は「五毛」がなぜ存在するのか、そしてなぜそれが海外のネットにまでどんどん広がってくるのかを研究すべきだといいました。これに対する私の答えは二つあります。ひとつは現実の状況で習近平は最も悪劣な方法で下層民とと結んだのです。こうした五毛の大多数は中上流家庭の出身ではありませんし、多くは3、4流の大学か専門学校卒で、家族に人脈もなく、世間体のいい仕事にありつけません。でも生きていく術は必要です。政府の五毛に対する需要というのは餓死しない程度の劣悪な就職先ではありますが、こうして「毒水を飲んで乾きを癒す」ということになります。この「毒水」は政府にとっては大量の五毛使用は社会を害するものですし、五毛本人にとっても長い間この種の「鹿を指して馬という」類の真実をあべこべにいいつのる「お仕事」を続ければ自らの心にも知性にも悪影響を与えざるをえません。

    またあるツイ友ははっきり自分は「五毛義勇軍」だと称して自分の気持ちを分析してくれ、というのでした。私は;「別に君の気持ちを分析しないでもそれは中国人の普通の心理状態よ」と答えそれは「1に民主では飯が食えない」「お金をくれる人が母であり、お金さえあればオッケー」「3;中共があてになるならそれに頼り、ダメだったら大きな潮流の後ろのほうでスローガンを叫ぶ」ですよ、と。

    最後の話は20世紀のソ連が崩壊した時にあった史実で、2000万人のソ連共産党員が滔々たる世界の民主の大潮流に対して正しい選択をしたこと。ゴルバチョフがソ連共産党の解散を宣言した時、誰一人として反対や疑義を唱えなかった。この現象は中共の習近平総書記に言わせると「一人の男もいなかった」になるけど。わたしがいう「大きな潮の流れの後ろからスローガンを叫ぶ」という意味はね、かつてソ連共産党が崩壊したとき2000万人のソ連共産党員は誰も自分の血肉となっているはずのソ連共産党政権のために正面切って防衛しようとはしなかった、ってこと。五毛のようにお金のためにやってる烏合の衆は当然だれも中共政権の存亡の時に身を呈して守ろうなんてしないでしょう。

    また誰かは、習近平が大変今、人心を得ているということ、中国人は民主を気に入らないということを研究すべきだとか。これに対する私の答えは;もしそうなら、中共は民主実行の大実験をしてみたらどうかしら?まず、あなたのいう「五毛義勇軍」の数がそんなに多くて、社会の基盤がそれほどしっかりしているなら、選挙でも勝てるはずでしょ?次に、ハーバートの調査で(ケネディ管理学院の「グローバル指導者認知度調査」)がついこないだ証明したように(何清漣氏の別稿あり。2014年12月29日“习近平认可度居首”背后隐藏的秘密” http://www.voachinese.com/content/heqinglian-20141221/2568292.html )中国人が習近平を支持しているわけだし。中共は昔から「実践こそ真理を検証する唯一の方法である」でしょ?(毛沢東の言葉)だったら、民主の実験をしたって「天が覆る」ことにはならないわね?といいました。

    中国の最近20年の民主化討論と北京の対応の策略を総括して言えば、経済が発展していない時には中共は条件が成熟していない、といい、条件が熟してからといっておいて、中国が世界二位の経済大国になるとそれは中共の政治が良かったからだといい、社会主義制度を堅持すべきだといいます。経済情勢が良くないと、中共当局は民主は混乱を招くからと一党独裁堅持を強調します。

    結局のところ、中共当局の眼中には中国は初めからおわりまで民主主義を実行する適当な時期などないのです。(終)

    拙訳御免
    何清漣さんの原題は;中国民主化的“远期支票”为何被撕毁?http://www.voachinese.com/content/heqinglian-20141228/2576769.html
    何清漣さんの他の論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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