• 習近平が「紅二代目達に『ビジネス界から引退せよ』か?」

    by  • January 22, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年1月3日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/xOzhc

    2014年の最後の日に、シンガポールの「聯合早報」は陳傑(*中国政法大研究者。現在最も有名な評論家)の「習近平の反腐敗政策は親族の企業にまで及ぶ」という文章を発表し習近平が「紅二代にビジネス界から引退せよ、と?」 内容は習近平が一族会議を開き、その姉の習安安とその夫の呉龍に自分たちが経営する新郵通訊(*IT企業)を解散するようにさせた、という内容です。このニュースは驚くべきものですが、その信用度は誰がそれを述べたかによるのです。そしてこの600日余りの反腐敗政策が「まず”風”向きの噂を先に流す」、「一見デマみたいだが実ははるかに先んじて最初に流されるメッセージ」といわれるとおり、私もこれは分析に価するとおもいます。

    《何度か浮かんだメッセージ;習一家がビジネス界から引退》

    まず、この筆者が信用できるかどうかその身分から。陳傑人は中央人民放送局の論説員で、中国政法大学法制新聞研究センターの研究員で、「聯合早報」は 北京政府の友軍です。陳本人は騰訊ネットに「傑人ウォッチ」というブログを開いており、このニュースは彼が「外国メディア;習近平が親族企業を整理、中国の反腐敗、さらにネジを巻く」と題して掲載されて、削除されていません。ということは陳傑人がこの文章を書いて、”外国メディア”に発表したということは政府側の意図に沿ったもので、さもなければ「違法に公人の個人情報を得た」罪や「国家機密漏洩罪」という罪名にはことかきません。

    さらに内容をみてみましょう。文章はまず大型民営IT企業の新郵通訊が中国移動(*国営通信のまあNTT)への入札をやめたこと。そしてその実質的支配者が習近平の姉夫の呉龍と姉の習安安であることを述べ、その呉龍に対して習近平は最高指導者に就任後、まったく猶予なしに経営をやめろと申し渡した。今回の新郵が中国移動への入札をやめることを宣言したのは、同社の重大な変化のちょっとした始まりにすぎない」としています。陳はさらに「確実な情報をは、新郵は全部の業務を停止するだけでなく企業そのものを解散する。このかって中国IT業界にかなりの成長空間のあったハイテク企業は雲散霧消して、その資産は現金化されて数千人の社員に分けられるだろう」と書いています。

    この文章の肝心な点は「新郵の解散は習近平が自分の親族の経営行為に対して『壮士が自らの腕を断つ』姿勢で、かつ『正しい人はまず己を正す』と胸を開き心を明らかにする、これは数百万の共産党員、特に権力を持つ政府高官連にとっては、習近平のこの行為は『命令せずして行わしむ』という声なき号令なのだ」と書いています。

    習近平はもう一組の姉夫婦である斎橋橋とその夫に資産を処分させビジネス界から引退させたことはNYタイムズの二つの報道があります。「天安門が運命を変えた商人・肖建华(06/04/2014)「習近平が親族に商業投資から手を引かせる」(06/18/2014)で、ともに「新たな証拠があきらかにしたことは習近平はずっと自分の家族・親族に価値が数億ドルになる資産を売り払わせ、自分の政治上の弱みを減らそうとしており反腐敗行動にさらに指導者としてさらに腹を据えて取り組もうとしている」とあります。

    《習近平はあえて「紅二代のビジネス界からの退去」という虎の山に入るのか?》

    中国において、革命で功績のあった初代の子孫である「紅い家族」たちをビジネス界から退出させるのは決して容易なことではありません。ひとつには人数が膨大で、中共高層の子弟はその絶対多数がみな商業界に足をつっこんでいます。それは2014年1月の「中国オフショア金融報告の秘密」でも明らかになっています。ふたつには多くの家族が自分が権力を持って管理している国営企業を自家用の現金自動出納機としてしまっていることです。紅二代のなかには少なからぬ連中が基礎産業、エネルギー産業金融産業などにかかわっており、二足のわらじを履いています。つまり国営企業の高官であろうと、国営企業の「偽経営者」であろうと、おおくはそれ以前の企業改革のときに、つまり経営者に自らに株をもたせておりいます。ですから、こうした連中にとっては「どっちもやめるのか、人だけやめればいいのか?株は前の通り持っていていいのか?」ということがすべて利益にかかわる大問題なわけです。

    自分で商売を始めた企業の二代目にとっては、退出するにはふた通りの見本があります。ひとつは習一家の姉たちのとった道、もうひとつは薄熙来事件にかかわってビジネス界退出を迫られた谷望江の道です。 2012年5月に薄熙来が拘束されて二ヶ月後、中国の国内のネットにほとんど全文が掲載された「時代周刊」の文章「谷望江資本の系譜。喜多来グループ傘下の20以上の企業から援助」には薄熙来の妻・谷開来の姉の谷望江は「中国資本マーケットの大姉御の一人で」「喜多来という資本のプラットフォームに助けられて、内外に20以上の合資会社や自己資本会社をもち営業内容は鋼鉄、印刷、製紙、包装材料、シッピング、環境保護、建築材料などに及ぶ。ではこの喜多来グループという巨大な資本帝国はいかにできたのか?(*喜多来は香港にある谷と陳新、石林3人だけの持株会社)谷望江の複雑に錯綜した資本の構造はどれほどの秘密を隠しているのか」と。巨大な圧力のもとで谷は引退して保身の道をえらびました。詳しくは「谷望来は東港を退き全株式をパートナーと娘に譲渡」を参照されたし。

    《紅色国営企業という巨大なワニはどうやって退出?》

    本当の難題は紅二代目のなかで国営企業の管理者を兼ねているものたちです。彼らが海外オフショアにどれほど金をもっているといったことはさておいても彼らを国営企業から身を引かせるということだけでも極めて難しい仕事です。地位だけならば異動が可能でしょうが、共通する問題は彼らが持っている国営企業の株の「原罪」は一体追求するのかしないのか?です。紅二代目の父親の世代は「無産階級革命家」を自称し、多くの人が「気、正しく、両袖には風が吹き抜ける(*金など入ってない)」と言われましたから、当然、子女に多額の遺産など残しませんでした。しかし彼らは別の種類の一種の中国的遺産を残しました。すなわち権力の庇護です。紅二代がどうやって富を築いたかはそれぞれのやり方があります。国営企業改革の過程で最も流行ったのは経営者の持株制度です。この制度が実施されたころは「国営企業社長や重役の責任感を強化するため彼らに株を持たせ企業と運命を共にさせる」といわれました。

    ではその株を買うお金はどこからきたのでしょう?銀行(*国営)の貸金です。通常、企業が彼らのために銀行の担保を株購入代金の分だし、その後数年間に株の利益で償還しました。こうした電力、エネルギー、通信など独占型公営企業は当然儲かりましたから数年のうちにこうした国営企業の管理者たちは黙っていても儲かって、その上サラリーもあがり、それぞれ王侯のような富を築きました。そしてその収入は「合法」ですからおおっぴらに見せびらかすこともできました。これが「電力界ナンバーワン」の李小琳が着飾って人民代表大会に出席して、「自分は自分の力だけでここまできたの」と言い放った余裕の所以でした。

    紅二代目の間でずっとはやってきた言い方があります。「天下はおれたちの親父がつくったんだから、おれらも商売やろうぜ」というのですが、問題は彼らの商売というのは普通の国民とは違うことです。その多くが父親の政治上の”株”を経済的な”株”に変えたのでした。もし今、彼らを退場させようとするならおそらく集団的な抵抗に出会うでしょう。一番の言い分としては朱鎔基、温家宝と二代の総理が奨励した経営者の持株なのに前言を翻すのか?ということでしょう。しかしもし彼らが身を引かなければ、今の支配者の習近平はこうした彼らの言い分を聞くわけにはいきません。

    まず「国家財政はまだ大型国営企業に頼らざるを得ない、それなのにお金は君たちの懐にどんどん流れ込んでいる。国家は今、いたるところでお金が必要だというのに、国家財政はいたるところボロボロである」そして「私企業を始めた紅二代目が反対するといっても父親たちとは地位が違う。電力、エネルギー、金融などを昔から独占していたわけではないだろう?退くとなれば全員、退出しなければならない」。三つ目に国際的評判の悪さはいまもそうだ。それは(習近平の反腐敗は紅二代目には手を出さないという)「選択制の反腐敗」のせいではないか?だからです。

    《誰を最初の突破口にするか?》

    習近平は当然、「鐘は撞かなければ鳴らず、テーブルは運ばない限り自分ではあるかない」と深く承知しています。しかし第一歩としては率先垂範して「行くべき道」を示せるだけでした。同時にいうこと聞かなければ「罰杯」も準備しなければなりません。その杯の強烈さをどのぐらいにするかは彼とて様子を見ながらやるでしょう。

    しかし、すでに誰かさんやかれかさんは、もうそのままではいられますまい。例えば李鵬(元国務院総理)の家族です。2014年12月25日、新浪経済は「エネルギー」誌の「李鵬が同意した華能グループ成立の背景;会社には多くの資金」という記事を転載しました。作者の王伝剣は華能グループの創始者で最初の社長でした。この文には80年代の創業のころの話と資金源が書かれており、最後の三章の話はなかなか意味深長です。

    うまくやるためにこの会社は「おばあちゃん」(*後ろ盾=ここでは李鵬の主管する電力省)が必要でした。そのために華能グループを分割して華能精煤が神華集団と名前を変えてスピンアウトした以外のこった華能グループは電力省の管理下になりました。作者ともうひとりの指導者は当時この「おばあちゃん」を必要としたことを深く後悔して「慎重に過ぎた」と書いています。作者は口にはだしていませんが、ほんとうに言いたかったことは、その「おばあちゃん」がやがて会社を丸ごと李鵬一家の私物にしてしまった、ということでしょう。

    李鵬が総理になってからその妻の腐敗のニュースはメディアにしょっちゅう載っていました。2001年11月には「中国証券市場週刊」に部隊作家の馬梅林が書いた「摩訶不思議な華能国際」ではこの国有企業が事実上李一家の私企業になっており、妻の朱琳が華能国際の親会社の華能国際電力発展会社の理事長で、その息子の李小鵬が華能国際の社長である、と指摘。激怒した李鵬によって作家は逮捕され今だに行方がわからないままです。

    習近平のこの二年間600日の反腐敗の大業は大虎たちには基本的に「噂を風にながして、予告する」方式でした。もし陳烈人の放った”風”が、王伝剣の文章と一緒によめば なぜ習近平が「山を叩いて虎を震え上がらせる」ことを始めたか理解できるでしょう。私は陳の文章の総括に賛成です。つまり、習近平がその二人の姉たちをビジネス界から引かせたのはたしかに「ただしき人はまず自身を正す」合図です。しかし、それが「率先垂範、命ぜずしておこなわしむ」になるかどうかはまだこれからどうなるかわかりません。なぜならば「紅二代」たちは、習近平の親戚たちのように物分りがよく彼を支持しているわけではありませんし、口でそうするように言っただけではまだまだはるかに足りないでしょうから。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;「习近平号召“红二代”退出商界?」http://www.voachinese.com/content/heqinlian-20150103/2584325.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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