• 紅色貴族のビジネスにも「反腐敗」のメス?「安邦保険集団」は試金石か? 

    by  • February 1, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年1月31日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Te5hc

    ここ数日の中国の政治とビジネス界は中国国内メディアの超級爆弾ニュースで卒倒しそうな勢いです。1月29日には国内で「南方週末」系のニュースで「安邦集団の影の支配者、沈毅の子。3度奇跡の政府からのゴーサイン」(《安邦实际控制人系陈毅之子 三次获监管层开绿灯》)という記事がでてなんと鄧小平の孫娘の夫の呉小晖に触れており、さらに安邦グループが持っている民生銀行の頭取の毛暁峰が中央規律委にひっぱられた、と。民生銀行は土曜日に緊急理事会を開き対策を協議。この二年間の「先伝言して取り締まる」というやり方からすると、習近平と王岐山は紅色家族のビジネス界という「硬い骨」の部分に手を入れ始めたことが明らかになりました。この前王朝(*胡錦濤時代以前の歴代指導者)の残した巨大な”政治遺産”に手をつけないままでは、習近平の「反腐敗」の政策も「対象を選り好みして、自分の政敵だけを摘発している」という誹りをまぬがれません。

    《安邦保険集団の「深さ」》

    上述の文章が中国で注目された大きなポイントがいくつかあります。

    1;まずこれは中国メディアによる紅色貴族のビジネスに対するはじめての調査報道だということ。内容の詳細、精確さにおいてこれに比肩するのはNYタイムズの2012年10月以後の「総理(温家宝)の家族の隠された財産」の一連の報道だけです。南方週末(*これまで独自の先鋭的な報道で有名だったが北京の相次ぐ圧力に最近は屈したといわれる)も最近では政府の圧迫を受けて苦境にあり、最終掲載には広東省共産党宣伝部の審査があります。それなのにこの記事が突然目立つ形で掲載されたということはその来原と信用性というのは疑いの余地がないのです。

    2;この記事は初めて紅色貴族と政府の監督部門が「ネコとネズミが一緒に仲良し」という関係を明らかにしました。安邦企業の来歴がいかに大きいかはその「ツートップ」の身分が示しています一人は開国元帥の沈毅の子の陳小魯、もう一人は鄧小平の外孫の孫女卓女史の夫、孫小晖(苹果日報1月29日)、陳、卓の二人は記事で「金の匙を咥えて生まれてきた」貴人と書かれています。

    なぜならこの背景のもとに度々、改組された理事会メンバーの名簿は「群雄綺羅星のごとく」すべてが「スーパー級大物」でさらに3人の政府側監督官の孙沛城(*中国保监会政策研究室巡视员、中国保险学会 会长)、王新棣、朱艺までいるのです。安邦の業務は保険です。保険監督管理委員会はその業務の監督機構です。監督側と被監督側が公然と利益共同体を結成しているのは実にこれは「中国的特色」です。

    同記事はさらに特に安邦が「3回にわたる”ゴーサイン”獲得」に言及。「土豪の安邦が民生銀行のトップを夢見る」(新浪・1月31日)には、安邦は「自由放埓にすきにできる資本」プラス金と権力で、中国の「すべての業務をこなせる金融集団」になる野心を持っていた、と書いています。民営企業はひとつの分野の金融業務の許可証を得るのにも大変な苦労をするにもかかわらず、安邦はいかなる許可証も獲得しており、なぜそんな大仕事ができたのか?と。

    3番目は、この企業は中国でも珍しいほど早く巨大化したことです。拡張の目的の一つはまさに株の権利の源を曖昧にして「スーパー級の迷路」にすることでした。設立10年足らずで5億元の登録資本が6000億元になったのです。2014年は経済情勢は良くなかったのですが安邦人寿(生命保険)はものすごい勢いで発展し、保険監査会の2015年1月26日の発表によると安邦人寿の収入は529億元で、2013年から劇的な3700%の増加を記録しました。安邦理事長の陳小魯は苹果日報のインタビューに答えて「紅貴族二代目人脈は会社の発展の助けになった」と語っています。

    この報道は「鉄の帽子王」(*開国の元老。人民日報の指す「鉄帽子王」は誰? 参考;http://heqinglian.net/2015/01/19/power-struggle-japanese-3/
    )の「娘婿」と、「国の大功臣」の御曹司にも言及しています。ネットにあっという間にこの報道が伝わった獣数時間後に、陳小魯は財新記者に「自分は安邦の黒幕ではなく」「私は小晖と15年近く協力しているがただの顧問だし、後援してるが株は持っておらず給料ももらっていないし企業の具体的な経営管理にもタッチしない戦略の相談に預かるだけ」と強調しています。

    《鄧小平王朝の娘婿のビジネスは習近平の「反腐敗」の”試金石”?》

    呉小晖の動きは目立たず秘密につつまれています。彼に関する多々ある”伝説”は四川省副書記の李春城の失脚から始まり香港の「亜州周刊」(2012年12月9日号)は、李春城が関わっていた分野は極めて広く、周永康以外、鄧小平の外孫の夫の呉小晖も巻き込まれ、安邦の旗下にある和谐健康保険の総本部は成都に本社を移し、呉小晖は李と一緒に式典に出席。2014年1月6日の財形雑誌のトップ記事「ダークホース安邦」に呉小晖は国内メディアで初めて「神秘的印象」で登場し、以後「安邦背後の’謎の人’呉小晖」「ダークホース安邦の挙牌(*株式の5%購入のことか?)の論理」、「安邦保険『美味しいソーセージ』、頻繁に増資」などに度々登場しました。

    中共18回大会以来はじまった習近平の「反腐敗」ですが、これまではずっと紅色貴族の一家という膨大で謎に包まれたビジネス界には触れてきませんでした。それなのになぜ「安邦」がメディアがお上のもとで一斉攻撃を受けるのでしょう?可能性としては最近の株価の乱高下と関連がありえます。2014年末の株式市場の上げ相場はきわめていかがわしいもので、中国国内では安邦との関連が取りざたされました。

    「南方周末」に「安邦はいかにして”銭経”を唱えたか」という記事にこの一節があります。実は「株の神様」としての安邦の役割は半分以上それまでにも報道されており、例えば「強気相場に特別強い」とか「安邦が何を買ったかによって他の投資者はついていく」といわれ、これは株相場の仕掛け人の役割を率直に描いています。中国の株式市場は政策や、情報によって動く市場ですから大資本は連携して様々なやり方で株価を吊り上げ、他の投資者を誘い込み、高値までもっていって売り払うのです。ですから安邦が強気相場に強いというより、安邦が株式市場を作っている連中の一つ、といった方がいいのです。

    いかに紅色二代目の経営者に対応するかというのはこの二年間の「反腐敗」の中でどうするかはまだ明らかにされていない部分ですが、事実上、次々と習近平とその政敵たちとの力くらべの焦点になっています。もっとも習近平にとって耐え難いのは「反腐敗」が紅色家族二代目(*彼自身も属する)を含んでいないということが彼の「反腐敗」への政治的正当性を疑わしめる原因になっていることでしょう。

    安邦がすでに「切られた」以上、いかに安邦グループを処理し、そして今後、どうやって類似した企業を処理していくのか、という話になります。習近平が自分の姉たちの財産を処理したやりかたによれば、当然、紅色家族たちが自ら進んでビジネス界から手を引く、というのがいちばん望ましいわけですが、しかしこれを実現するとなると、少数の何家族かを処理するのとちがって、巨大な数ですから、極めて困難でほとんど不可能です。

    まず先に実行が簡単な方をいいますと、紅色二代目を国営企業の指導者から退かせることです。これは別に難しくない。真正の二代目はすでに退職しているか、それに近い年齢ですから。せいぜい、政府機構に職を与えればいいわけで、過去数年に役人とビジネス界の互換性は大いに高まっています(-_^)。李小鵬は国営企業のCEOから山西省の省庁に”ヘンシーン”しました。

    しかし、二代目の国営企業の持ち株をどうするか、というのが国営企業への「反腐敗」が直面する闇取引問題になります。 しかし、二代目の経営する”民営企業”への「反腐敗」のメスは比較的難しいものになります。というのはこうした企業は中国企業の約半数を占めており、多くの人の就職先でもあります。いわゆる紅二代目企業は大体二種類あって、ひとつは自分で起業した、習近平の姉たちや、温雲松(*温家宝の息子)新天域キャピタル、谷望江(*薄熙来の妻、谷開来の姉)の喜多来(*持ち株会社)のようなケース。これらの企業を譲渡させるならその受け手が必要です。NYタイムズ(2014年6月18日)の「習近平の親族が多くの商業投資から退場」の記事で習安安(習近平の姉)の「新郵通讯」(IT企業)はきっぱり解散し、所有資産は現金化された後、数千人の従業員に使われるとのこと。もしこの安安のやり方で紅色家族の企業を処理するならいちばんハッキリわかりやすいわけですが。このやり方を習近平の一家以外の紅色家族にやらせようとしたらまず不可能でしょう。

    もし、紅色企業を他の民営企業に買わせて、従業員の就職を保証するという斉橋橋(*周の姉)モデルで処理させようとしても他人が習一族のように素直に言うことをききません。株の処置にはいくらでも抜け穴があります。偽の譲渡とか、代理人名義にしておくとかあの手この手はつきません。たとえ中央規律委員会の人員を何倍にも増やしたところで、こん泥沼のなかから根っこの端まで引き抜くなどということは無理です。さらに紅色貴族が株を投資している企業があり、それも甚だ多いのです。中国のトップの富豪の企業はすべてこうした株式を持っています。

    最も有名なのは当然、かの馬雲(ジャック・マー/アリババグループ総帥)の「常委会社」です。NYタイムズの7月21日付「アリババ上場の背後に”紅二代”の勝ち組”という記事にアリババに投資している4つの中国企業のトップには、2002年以後中央政治局常務委員を務めた一家の子弟が20人以上入っているとあります。この記事にはその名前は出ていませんが、資料で明らかな中には全国家主席江沢民の孫の江志成の博裕キャピタル、温家宝の子、温雲松の新天城、王震のこの王軍、退職した政治局常務委員の賀国強の子、賀錦雷、現役常任委員の劉雲山の子、劉飛任が副総裁の国開キャピタルがあります。

    こうした「龍の王子様」たちをみなこの種の企業から退出させるには一体どれほどの「虎の子供」たちを捕まえなければならないでしょう?そしてあのこっそり財産をオフショアに資産逃避させた「虎の威を借りる狐たち」に対しては知らんふりをしてほっておくのでしょうか?そんなことをしても、大衆はきっとこうした問題をどうなったのだ?と問い続けることでしょう。

    最大の「鉄帽子の王」である鄧小平の「娘婿様」の築いた富が暴露されて、国家商業総局の白書でアリババが「偽ブランド商品」販売を非難するのと、「アリババの消費者にたいする5つの罪」をネットで追求する事態が同時に起きたのは偶然でしょうか?それとも「先に伝言予告する」ということなのか?まだ様子を見る必要があります。現在、安邦の上には雷雲が密集しており、アリババの頭上にはまだ暗雲がやや漂っている、というところでしょう。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;反腐进入红色商圈,拿安邦试刀?;http://www.voachinese.com/content/he-qinglian-20150131/2622592.html

    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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