• 軍の粛正ー習近平の勝たなければならない”戦争”

    by  • February 1, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年1月23日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/bh2hc

    習近平の「反腐敗」は600余日を経て、警察、軍、情報特務の三大系統で少なからぬ「大鰐」たちが捕まりました。米国の専門家は習近平の軍の粛正は「賭け」だといっていますが、もしこの三つをやらなければ 彼の玉座は火の上に乗っかっているようなもんです(*いつ燃え上がるかわかったもんではない)。最近、「解放軍報」のミニブログ「軍報評論」で、習近平が「今後、軍人の収入は主にサラリーにすべし」と宣言したとして、その粛正が単に人事異動のみならず、さらに軍が独立した経済収入源を持つことを防止する深謀遠慮があるということを示しています。(*なんせ中国の軍というのは一般用のキャバレーまで経営しとりますからのうw)

    《土地収益;軍隊のブラックマネー政治の連鎖の端末》

    「軍報評論」は「習主席は軍隊の重要な会議の席上で、『今後、軍人の収入は主としてサラリーとすべきであり、その他のいわゆる”灰色収入”を持ってはならない。ましてや違法所得などもってのほかで そのようなことがあれば厳しく追及する』と述べた」、ということです。

    中国の軍隊の腐敗のあれこれはこれまで論じることはタブーであり、もし習近平の粛正がなければ中国民衆はいまだに宣伝にごまかされて「中国軍は依然として『偉大で正しい』く、全国人民の模範である、などと思わされていたかもしれません。谷俊山事件と徐才厚事件(*谷俊山;総後勤部のナンバー3。3000億円の汚職事件。徐才厚;制服組トップ、巨額蓄財、汚職容疑で党籍剥奪、)が軍の府内の氷山の一角を暴き出しました。いくつかの問題が考察に値しますが、そのひとつは中国軍隊の「ブラックマネー政治」の連鎖の根っこはどこにあるのか、ということです。谷俊山事件は中国軍隊の特殊な収益の来源を暴露しました。

    軍隊の基地建設と住宅地という資源を調査した中央軍事委員会の范長龍副主席は「何度も廃統合を繰り返してきた中国軍は膨大な土地を持っており、その3分の1は地権証がない」ことをあきらかにしました。解放軍の持つ土地と不動産の全貌は未だに不明です。公開されたデータによると、1990年代、中国の不動産の20年の繁栄の期間、軍隊の地産は膨大な軍産利益の連鎖関係を生みました。軍所有の不動産は往々にして独立して外部にはうかがい知れず、地方(*政府)と比べてさらに多くの権力による旨味追求の余地がありました。軍隊の不動産資源から上がる土地収益金は総後勤部が一手に取り仕切り、地方政府は分け前に与れません。

    ただ中央財政に収益の5%を納めるだけで、その他はすべて部隊のものになり、独立の資金として幹部の住宅建設などにつかわれました。10数年の不動産開発で、軍隊に属する土地収益の金額は途方もない金額になってそれは本来の軍費以外の軍の余分な利益収入となり、総後勤部が使い道を支配しました。軍隊の住宅や基地建設と土地開発を掌握していた谷俊山は二つの道を通じて無数の方法で金儲けして漁夫の利をえたわけです。

    ひとつは全軍の土地を支配し、全軍の土地収益資金を流用してもうけ、ふたつには不動産業者と結託して軍隊の土地を安く開発して高値で売り出すという方法です。軍の灰色収入を断ち切るには軍隊の土地問題を精査することは必要不可欠な切り口です。徐、谷の事件は軍隊の腐敗の一端の幕をあけ、これによって中国民衆もついに“满朝文武藏绿卡,半壁江山养红颜”(*浅学のジジにはようわからんが、高官は米国緑カードをもち、美女に狂ってる」みたいな意味の対句らしい…ネットで大流行とか)

    《エジプト軍との相似性;軍がビジネス経営》

    1998年以前、軍隊のビジネス経営は大変盛んで少なからぬ分野が「カーキ色のマーケット」と言われました。1998年7月22日、時の総書記・江沢民は「中国の軍隊は今後ビジネスをしてはならない。全国の軍隊、武装警察部隊経営の企業はすべて切り離せ、と言いました。しかしこれはただ段階的に、という話だったので胡錦濤の任期中に中国軍はまたビジネス領域に次第に舞い戻り成功を収め、その規模と実力で大中小の3クラスに分類できる企業が形成されました。注目に値するのは国家級の軍企業で、例えば総後勤部の三九グループ、新興グループです。総参謀本部の保利グループ、総政治本部の凱利グループ、国防科学工業委の新時代会社。こうした企業の創業資金の一部は軍隊の固定資産からきています、一部は自分の部隊の体制内資金で、パーセンテージの最も大きい部分は銀行からの借金です。企業の経営者はおもに軍事委の3総本部が任命し”特殊”な専門の経営権を享受します。これらの軍企業はすでに多くが総合貿易開発会社に発展し、資金、人員とも巨大なものになっています。

    たとえば鄧小平の娘婿の賀平曽が長期にわたって総裁を務めている保利集団は軍事品の貿易から出発し、最後は航空運輸、旅行、不動産、貿易を扱う総合大グループに成長し、現在の資産は140億人民元と言われます。そしてふたつの持株会社を香港で上場しています。総後勤部の新興グループは100の子会社に18万人の社員、年収は10億を超えていて、業務内容は保利とそっくりです。推計によると15000社以上の軍隊をバックに持つ企業の中で95%が中小企業で、三総本部の大型軍事企業がすべての軍事企業の営業収入の4分の3強をしめています。香港の中国軍の経営ビジネスを研究している専門家の張大銘は数年前に、この15000社の軍事企業の販売総額は1500億元で中国のGDPの2%を占めるとしています。

    《エジプト軍ー「国家の中の国家」の経験の教訓》

    軍隊がビジネスに参入し、産業を擁するというのは多くは独裁国家の特徴です。中国のお隣のビルマは「脱軍」化し民主化推進しているので、エジプト軍だけが中国の軍隊の参考になります。エジプト軍は強大で武装部隊の現役だけで46.9万人おり、すでにアフリカ・中東地区での最大の武力を擁し、世界第10位です。エジプトの軍部は大変強力で2011年のジャスミン革命期間に元の主人のムバラクを捨ててなお政治局面を左右する力を持ち、反対勢力の大統領に対してクーデターを成功させ、民選大統領のムルシを廃し、かつ民意を操縦して軍隊のトップのアブドルファッターフ・アッ=シーシーを大統領に”当選”させ再び同国を軍政下におきました。

    エジプト軍がこのように強大な力をふるえたのはその長期にわたる商業活動で、エジプトの「国家の中の国家」となっていたからです。ムバラクはかつて第4次中東戦争の空の英雄でしたが、2011年のエジプト革命ではかつて自分が抜擢した同僚によって放り出される命運を免れませんでした。エジプト軍の歴史は古く、豊富な経済資源を手にして、国家に匹敵する富を持ちました。政局に対しても長時間、軍をうまく使って次第に巨大な経済利益と特権を独占するに至りました。軍事収入は国家機密ですが専門家の推計ではエジプト軍の将軍たちがにぎっている年収は1000億米ドルとみられています。軍の産業はあらゆる分野に及び、ガソリンスタンドから結婚式場、食品、家電、服装、不動産にまでいたるところに軍のマークがついています。軍系の企業は国家経済総量の15%から40%に及ぶといわれています。これはウィキリークスの数字ですが、氷山の一角にすぎず、誰も軍の資産のはっきりした数字を知りません。

    2011年にムバラクが長年の独裁の座から転落しても、エジプト軍の力はなんら打撃を受けていません。世界の腐敗度を毎年公表しているNGO「トランスパレンシーインターナショナル」が2013年に行った世界の賄賂腐敗蔓延度の調査では64%のエジプト人が腐敗の度合いが高まったと述べており、78%のアンケート回答者が警察が一番ひどいといい、司法機構が腐敗していると答えた人は65%にのぼり、軍隊の腐敗にたいしては45%でした。

    2014年のトランスパレンシーの清廉指数では中国とエジプトは極めて接近しており、中国は36点で世界100位、エジプトは37点で世界94位でした。

    《習近平の粛軍はやむを得ざる”豪胆な賭け”》

    エジプト軍の力に比べると中国の軍隊はまだ直接政治に干渉してトップを変える力はありません。しかし胡錦濤時代末期にはすでに軍はコントロールを受けない傾向がありました。軍部の人ガンが外交や軍事、はたまた政治にまで発言するというのが常態になっていました。薄熙来事件のおきたあと各種のソースの細かいデータでわかったのは軍隊が事実上、中国のトップ層の政局の争いに巻き込まれていたことです。

    これは双方の情報から伺い知ることができます。薄熙来と軍隊の関係では「ウォール街ジャーナル」があつめた各種資料で2012年5月27日に発表された「薄熙来事件背後の軍の要素」というなかに二人の薄熙来と親密な関係にあった軍の太子党メンバーの解放軍総後方部勤務の政治委員劉源上将と第二砲兵政治委員の張海陽上将がいます。(張は最近”年齢”を理由に引退)。二つには中国の解放軍法が頻々と発表した文章で軍隊に中共総書記と中央軍事委主席の胡錦濤への忠誠を求める記事です。

    解放軍報2012年8月1日に発表されたびっくり仰天の社説は「我が国歴史上、形勢がどれほど悪化しても正規の一部隊が敵に投じて反逆することはなかったどれほどずるい野心家がいようとも軍隊が個人の陰謀に利用されることはなかった」とあります。中共政治文化の「解読法」に従ってこの文書を読めば、その意味は誰かが軍隊を利用して陰謀をたくらみ、ただ成功しなかったというだけだった、ということなのです。

    つまり、習近平の粛軍の目的はアメリカの国債評価と戦略研究センターの研究者のリチャード・フィッシャーがいうような新米派と反米派の一派のどちらを選ぶか、というような話ではなく(*ほんとにアホですなあ、アメリカの中国研究者ちゅうのはw)習近平はただ反腐敗でもって一部の人間を洗い出し、自分の権力基盤を強化しているのにすぎません。習近平は軍部に根をもっていません。総書記になる以前の肩書きはお飾りにすぎませんでした。しかし、もし胡錦濤のようになりたくない、ムバラクのような命運を辿りたくないのであればこの軍隊の粛正をやって権力を自分に集中するしかなかったのです。そして反腐敗はそれを実現する一番格好な切り口だったのです。

    軍隊に対して手術する、というのはうたがいもなく「硝煙なき戦争」です。当然のことながら一種の「賭け」ではあります。しかし習近平にとってみれば命がけで頑張るらざるをえないばかりか、絶対に負けるわけにはいかない戦いなのです。(終)

    拙訳御免。(*〜)はジジの駄弁ですw。
    何清漣氏の原文は;「整治军队:习近平必须赢的一场“战争」http://biweekly.hrichina.org/article/24816
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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