• 中南海星占術の秘密の鍵

    by  • March 10, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年3月9日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/1hMhc

    今回の全国人民代表大会(*両会)では「調べを受けないで済む”鉄の帽子”王などいない」がホットワードになりました。しかしもうひとつ別の重要な情報が見逃されています。それは「鉄帽子王」(*清時代の罰せられない特権をもった王族)だった曽慶紅の秘書で全国政治協商委員の施芝鸿が海外メディアが中央規律委の文書の「慶親王」の文字を深読みしたことを痛烈に批判して、初めて中国構想の権力闘争の中で「関連部門が故意に情報を流す」という事実を実証したことです。

    《施芝鸿の身分と”関連部門の資料”》

    財新ネット3月5日に目立つ場所に「施芝鸿;大虎をやっつけるのに伝説を根拠にするな」という文章が掲載され、施芝鸿はカンカンになって「海外のメディアが最近、中紀委のネットの文章の中の清朝の親王の名前を指して大記事を書いて、謎解きをしているのは新聞記者倫理に反する」「国を挙げて広親王をあてっこするのは滑稽の極みだ」と書きました。

    通常は、「海外反中勢力」に関する文章には中国政府や官僚はこういう反応を示しません。もし本当に反応するときは外務省の役目です。温家宝前総理がかつてNYタイムスに「総理の家族の財産」などの報道を打ち消そうとしたときは、香港の友人呉康民を使って温家宝の手紙を公表し、自らの潔白を訴えるという方法をとりました。しかるに、施芝鸿の今回の反応のは極めて異例です。そこで私はこの文章をつぶさに読みましたが、二つの興味深い事実をみつけました。

    一つは文末の略歴で「施芝鸿;上海市政研室所長……中共中央事務局曽慶紅同志の秘書、中央事務局調査研究室政治小組長、副主任、2007年1月中央政策研副主任」で、もうひとつは施の談話の中でこう言ってることです。「報道には根拠が必要で、根拠もないのに爆発させようとしてはならない。特に海外メディアは根拠もないし、大陸の関連部門にもらった餌もないという状況のもとで、無理やりネタを争って、でたらめを書き飛ばす。最近の状況では中紀委のネットの文章からなんとかの清王朝の親王の名前をネタにして文章をでっちあげるのはあきらかに無から有を生じさせるもので、いかにももっともらしく、なんたら中紀委が某親王をさしてとかまったく笑っちゃうよ。こうしたニュースの規律を逸脱した業者はみな職業倫理というものにそむいている」と述べています。

    中紀委の文章というのは「大清の”裸官”慶親王の問題点」という2月25日に発表された文章です。発表後はたしかに海外の「真意探りゲーム」が始まりました。理由は概ね二つあって、ひとつは曽慶紅、二つは贾慶林、(*どちらも「慶」の文字がつく)、ふたつには慶親王(*wiki;慶親王は、清の皇族。乾隆帝第17子永璘が、1799年に慶郡王に、後1820年に慶親王に封ぜられたのを初代とする。以来、郡王の地位として受け継がれた。1894年、永璘の孫奕劻は西太后によって慶親王に封ぜられ、その後1898年には世襲が認められ、清朝第十二位の鉄帽子王とされた。)の得た恩寵と所有した権勢の程度が曽慶紅に似ているからです。

    施芝鸿はかつて曽慶紅の秘書で、その出世の道は上司の命運に直につながっていますから、今この時に登場して弁護を買って出るのも理の当然といえましょう。もし恩人が無事でしたら点数稼ぎになりますし、もし恩人に何かあって失脚するぐらいなら自分もどうせ一蓮托生なのですから、いましゃしゃりでて言い訳したって別にちょっとした小さな罪が増えるだけで、別にどうってことはありませんから。

    《「リーク」はともかく、「関係部門」は奇》

    よく考えてみると「関連部門がリークした資料も云々」というのは実に意味深長です。つまり「資料リーク」ということがたしかに存在するうえ、「リーク活動」が個人の行為でないというばかりでなく、「組織上」行われていた、ということになるからです。

    2012年3月薄熙来事件以後、英文メディアが中共高層に対してのセンセーショナルなニュースはあとをたちませんでした。少しでも常識のある人ならNYタイムズの温家宝の家族についての報道や戴相竜(wiki:中華人民共和国の政治家、元中国人民銀行総裁・天津市長・第15〜17回中国共産党中央委員会委員)の家族の平安保険持株の詳しい状況、ブルムバーグによる習近平の姉の家族の財産の報道は絶対に内部の人間が「リーク」したものだからこそ、こうした偶然では手に入らない深い報道がなされたとわかっていました。

    のちに、ブルムバーグ社の上海、北京の支局が捜査されて、公安部副部長の李東升が漏らした証拠がみつかったというニュースがあきらかにされました。しかし李東升のセンセーショナルな材料はあきらかに中央の正式な指令によるものではなく主人を守ろうとする個人の行為でした。その時、周永康はすでに退職していました。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のレポートの「中国オフショア金融の秘密」もそのデータはあきらかに「関連部門のリーク」ではなく、周永康系から流されたものでした。しかし、いわゆる「関連部門のリーク」となると当然、リークした人物は組織的な命令を受けてやるわけです。では、どんな「関係部門」がいかに「リーク」活動を組織しているのでしょうか?

    中央規律委の王岐山の「反腐敗で相手を倒すときにまず噂を先行して流すやり方」では英文メディアにはリークはしません。「大きな虎をやっつける」という情報を広めるやり方をみると、主要なルートは中央規律委観察ネットの発表した情報です。しかし、その家族や部下についての詳しい報道は、おもに財新ネットなどがまず常に噂の道をつけるわけです。例えば周永康の家族、令計劃の家族がそうです。またさらに常にわざと秘密めかしたムードを盛り上げときには文章は一二日後にはもう消されて、その影響だけができあがってあたかもそのニュースは上層部の認可を得ていなかったものが手違いで流れたかのような印象(*より強い印象)を人々に与えるのです。

    こうした「猛打」以外に、まだ威嚇的な”警告ほのめかし”攻撃の場合もあります。この場合はよく南方メディアや香港メディアが使われます。ただ香港・マカオ工作委の傘下にある文匯報や大公報は使われません。このふたつは長く香港・マカオのボスだった曽慶紅の地盤だからです。

    例えば、李鵬の家族についての報道は「警告ほのめかし攻撃」です。2014年2月27日、広州の「時代周刊」の「三峡は個人の暴利をむさぼる道具と化した」や「退職元指導者が頻繁に三峡プロジェクトにちょっかいを出す」、3月9日の香港の「亜州周刊」のトップ記事「李小琳(*李鵬の娘)王国のオフショア企業の秘密」があり、国内ネットは次々に前者を転載しました。

    その後、「亜州周刊」が誰一人罰せられなかったことからみても、これはまさに「関係部門のリーク」であって、李鵬に圧力を加え、三峡グループの指導者を順調に変えさせる意図があったとおもわれます。舞台裏取引が成立したのちの4月上旬に李小琳は香港の「文匯報」のインタビューで自分の潔白を表明し、そんなオフショア企業や海南島をめぐる汚職のうわさなどみなデマだといっています。そして4月14日の新華ネットの「転載」した「財経国家周刊」の記事「三峡グループの指導者交代の背後に、指導層の不和はかねてから”公開の秘密だった”」という記事は、「双方の間で暫時、和解が成立した」という対外向けのサインです。

    《「ほのめかし」と「猛攻撃」;どっちか?その意図は難解》

    「リーク」は中南海の星占い術で形成を判断する材料にはなりますが、しかし、「重攻撃」や「ほのめかし」の形跡が最初に現れた時、それがどちらかというのは判断が難しいところです。というのは攻撃目標にされた側が「潔白を訴える」チャンスが与えられたからといって、その人物が無事でいられるとは限らないからです。かつてのソ連のクレムリンの占星術と比べてここは中南海占星術の直面する新たな問題です。

    ソ連のトップ層内部の争いの特徴は事前に秘密の出来事が続いて、共通認識が形成されていき、最後に目標は突然、政治的理由で防衛する間も無く粛清されました。たとえばラヴレンチー・パーヴロヴィチ・ベリヤが1953年6月26日に政治局の譴責を受け逮捕、そのあと、政治的罪名で処刑されたlこと。外部のウォッチャーはソ連共産党中央の某高官が公にある活動に顔を出したか否か、公式談話を述べたか、外国の賓客とあったかなどからその無事を確認するしかなく、これがクレムリン占星術と言われました。

    しかし、中南海占星術は違います。中共高層のゲーム参加者がみなそれぞれ自分の対外につうじるパイプとなるリーク先のメディアを持っており、争いに決着が着く前には双方がお互いに相手の足を引っ張り合う過程がありました。(これは現在は安全系統の人事などが洗い直されて、権力を取ったほうが勢いを失った側の足を引っ張っています)、最後におもに「腐敗」の理由で粛清されますから、さらに見通しがつかないものになっています。

    某高官がなになにの式典に顔を見せたから、談話を発表したから、外国賓客にあったからというだけでは無事に「着陸」したかどうかはもうわからないのです。これはウォッチャーだけの話ではなく、当事者にだってわかりません。

    周永康は何かあるぞ、という噂がたったあとの、2013年10月1日に母校の中国石油大学の祝典に出席しましたが、しかし2ヶ月後に身柄を抑えられました。令計劃は20414年12月15日に中共中央の機関紙「求是」に「深く徹底的に習近平同志の中央民族工作会議での重要談話を学習せよ」なる文章を発表し忠誠を表したのですが、しかし22日には逮捕されました。

    今春の春節前夜に中央テレビは2月16日の夜、習近平が訪問を受けるかつての同志のリストが発表されそこには様々なよくない噂がささやかれている江沢民や郭伯雄の名前も全部ありました。で、外からはこれで郭伯雄(*郭伯雄;中華人民共和国の軍人。蘭州軍区司令員、第一副総参謀長、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会第一副主席)は平穏無事に着陸するだろうとみていましたがその息子の郭正綱は3月2日に逮捕された14番人の軍人の中にいました。郭正綱は今年の一月に少将に抜擢されたばかりなのにです。

    つまり中南海の占星術をやるには、もうクレムリン占星術の単純な模倣ではわからないのです。ソ連の高官の場合なら無事平穏に着陸していたケースでも中国では判断の根拠にならないのです。

    これまでに起きた事例を総合してみるに、今の反腐敗リストに載っているのか、これから載せられるのか、外されるのか、載せられるならいつか、などはすべていかなる情勢かによって形勢を判断するしかありません。つまり、中国で昔からいうところの「狐疑」(*猜疑、疑りぶかく)というのが一番適切な言い方でしょう。習近平はまさに氷の上をいくキツネのように、用心深く、数歩あるいては、伏せて耳を氷にあてて割れないかどうか音をたしかめ、そしてまた数歩前進する、のです。

    2015年の人民代表大会は表面的には穏やかでめでたいようですが、だからといって中共の退職した常務委員といえども安心はできません。なぜなら「調べを受けなくて済む『鉄帽子王』はもはやいない」というのが大会のホットな文句だったのですから、そして王岐山はまたすでに個人となった歴史学者田余慶(*北京大学歴史学教授、1924年—2014年12月25日))の「東晋門閥政治」を褒めちぎって公開の場で家族ぐるみの腐敗、徒党を組んで利益をむさぼる者たちにたいして極めて厳しい発言をしました。中共のこれまでの「鉄帽子王」が最後を無事全うできるかどうか、家族の富をそのままもっていられるか、それはまだ天も決めてはいない、ということです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;中南海占星术的“密钥” http://www.voachinese.com/content/heinglian-blog-zhongnanhai-20150306/2671183.html

    何清漣氏のこれまでの論考の日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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