• 中パ協力の影に

    by  • May 1, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年4月26日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/5ngic
    4月中旬、習近平国家主席はパキスタンを訪問し460億米ドルの経済協力に調印し、中国・パキ間の「経済回廊」とし両国のメディアは大きな興奮一色となりましたが、しかしこの商談の影にあり表にはでなかった計画の鼎の軽重に影響する第三の勢力、すなわち、パキスタン国境内のテロ組織については全く触れることはありませんでした。

    《「戦略的意義」の影に隠れた第三の不気味な影》

    中国側の中・パ協力への宣伝は大変なもので、「1+4協力体制」と称して経済回廊建設を中心として、港湾、エネルギー、インフラ、産業協力を4大重点とし。両国メディアは大戦略の意義を強調しています。その一つは経済戦略の意義ですなわちエネルギー供給の安全です。中国は石油を6割対外依存しています。人民日報海外版の「侠客島」氏は「現在中国の主要石油輸入ルートは海上輸送に頼っており、中東からホルムス海峡をへて、インド洋を抜けマラッカ海峡をとおって太平洋をへてから南海、東海に至る。このルートの喉にあたるのはマラッカ海峡であり、シンガポールが守っているが、米国の軍事基地もある。このような状況で中国の石油戦略の潜在的な危険は極めて大きい」、としています。そして、パキスタンのグワーダル港から新疆・カシュガルへの中・パ回廊ができれば欧州から中国への石油輸送の近道ができ、わざわざマラッカ海峡を経なくてもよくなるというものです。

    第二には地政学的な戦略的意義であり、これは国際メディアの報道の重点ですが、パキスタンは以前から全世界的なテロリストの活動の中心となっています。新疆の東トルキスタン組織とパキスタン国境のテロ組織は密接な連携をとって中国国境内で何度もテロ襲撃事件を起こしている、だから、中国はあるいはパキスタン国内で最も不安定な地域の経済発展を促進させることによって自らの裏庭の安全を確保する試みているというものでした。「ウォール街ジャーナル」は中国はパキスタンのグワーダル港からカシュガルまで道路、鉄道、パイプライン、光ケーブルの「4位一体」の道を築いて、中国は大量の援助プロジェクトを過激派組織の活動地域に行おうとしている、と指摘しました。

    この中・パ合作の中国側の主要な目的は政治的な考慮からであり、経済的なものではありません。パキスタンにとっては経済的な考慮が主です。前述の侠客島氏はマラッカ海峡の重要性を極力いいたてていますが、故意に二つの点には触れないようにしています。一つは中国のタンカーはマラッカ海峡を通過しないでも、南からインドネシア、マレーシア、フィリピンを迂回して中国の沿岸各地に到着できるという事実と米国が突然、シンガポールの支配下にあるマラッカ海峡を占拠して、中国に制裁の打撃を加えるなどということが起こる可能性は極めて低い、ということです。中国自身が米国を重要な戦略的協力の相手だと言っているいま、この種のまず起こりそうにない事件のために何百億米ドルの投資を行うというのは、「地政学的戦略意義」という真実の意図を国内メディアでは故意に薄めようというものです。

    《テロ組織;パキスタンの暗い影》

    中国ではパキスタンがテロ組織活動の基地になっていることは強調されませんが、だからといって北京がそれを考慮していないということではありません。中・パ鉄道の路線予想地図をネットでみますと心配になってきます。中・パ両国が本気でこの鉄道を作ろうというのなら、本当に心配にならないのか?と。もし中国がここに鉄道を作るなら、沿線のテロ組織は「鉄道襲撃隊」をつくらないかと。パキスタン政府が仮に「鉄道建設保安部隊」を作って鉄道建設にあたる中国人労働者を保護したとしても、テロ組織からすれば生き残るためにはしょっちゅうこれを壊しにかかるでしょうし、線路に爆弾を置いてさっと引き上げるなどということはかつての毛沢東のゲリラ戦術が「敵が来れば我は退き、敵が退けば我は攻める、止まればかき回し、疲れたらやっつける」の類で安全確保の経費は底なしにかかるでしょう。中国はそんなものに巨額の金銭を投じていこうというのでしょうか?

    4月22日、中国国家鉄道局のネットで発表されたニュースですと、「中・パは中・パ間の経済回廊鉄道プロジェクト協力文献に署名」には、中国側はパキスタンが自国の一号鉄道路線向上化を援助して国境の「クンジュラブ」からカシュガルに北延するのを援助するとあります。これは北京がはっきり、第三の勢力は厄介なので、本当に建設するのはテロ組織の恐れのない部分の鉄道だ、ということです。

    習近平が署名した協議の枠組みでは、中パ鉄道の現段階はパキスタンが現有する1号鉄道路線(その北端は今まだ国境から数百キロも隔たっている。*とんでもない高山地帯でもある)をアップグレードする時間を短縮することで、中国内でホットな話題となったグワーダル港建設と中国新疆カシュガルからその港までの鉄道計画は「目下検討中」となっています。ですから、この鉄道は相当な期間、青写真のままでおいておかれる可能性があります。つまり、1号鉄路はパキスタンが過去数年来、中国の反テロに協力してきたお礼、ということであり、また今後の協力の手金なのです。

    《パキスタンとの「鉄の友情」は一日にしてならず》

    パキスタンはずっと中国政府の「良き友」でした。しかし、この友情は長い間、金を注ぎ込んで作られたものです。簡単に2008年以後だけふりかえってみましょう。
    パキスタン経済は2008年、世界金融危機の爆発前にすでに深いトラブルに見舞われており、国内政局は安定せず、多くの地区が遅れ、貧困とテロ勢力の組織に支配さ、一部の地域では東トルキスタン運動に隠れ家を提供しておりました。「中国とはテッパンの友情」のパキスタンでどうしてそんなことになったのか?という疑問がわきます。

    それは簡単にいうとこの20年間政治が動揺続きで、民主政治から専制政治へ逆戻りした典型だからです。ムシャラフは1999年10月にクーデターで民選の大統領を捕らえ、これに変わりました。就任後は民の信用を得ようと一つには反腐敗の清潔イメージをつくり、二つには経済発展をはかりました。この経済発展の各種の中身のひとつが海外援助のとりつけでした。貧困地区がアルカイダに基地を提供していたため、「反テロ」の名で米国に援助を求め、2001年には反テロに協力した米国は200億ドルの援助をあたえ、2010年から2014年の間に75億ドルの援助を与えています。しかし、この期間中、米国がパキスタン国境の内側で再三アフガン辺境のイスラム武装勢力にミサイル攻撃を仕掛け、米パ両国間は緊張状態となりました。2011年には米特殊部隊がビンラディンの隠れ家に奇襲特攻をかけ殺害して以降はほとんど反目状態でした。こうした状況のもとでパキスタンは中国をもうひとつの重要な金主とみなすようになったのです。

    2008年8月、ムシャラフ大統領は腹心の部下によって退位を迫られ辞職し、北京五輪の開幕式にも出席できませんでした。10月15日ウォール街ジャーナルは「パキスタン破産寸前ザルダーリー大統領中国に救援を求める」と書きました。ザルダーリーの妻は前の総理で「中国人民の老朋友」であるベーナズィール・ブットー夫人(* 2007年12月27日暗殺された)です。記事は「中・パ両国は数十年間の友誼は武器輸出、エネルギー援助と全天候的な地政学上の同盟関係の上になる」としていますが、中・パ双方の役人は当時、いかなる援助協定が結ばれたのかの細目はあきらかにしなかった」とあります。その「商談」の中身は中国のそれからの関連報道から大雑把に読み取れます。

    パキスタンの部族地域がテロ組織のために東トルキスタン勢力を庇護しているというニュースは2001年からしばしば中国のニュース報道にあらわれました。2001年11月3日中国う新聞社は二つの関連ニュースをだしひとつは国際連合人権高等弁務官のロビンソン夫人がメディアに対して、約1000人の中国ウィグル族がアフガンで訓練を受けていることをあきらかにしたで「東トルキスタン勢力はずっとビンラディンの支持と訓練を受けている」と。「パキスタン内政大臣『東トルキスタン勢力に重大打撃を与えた』と発表(環球時報2010年5月8日)とか、『東トルキスタン勢力はまだ多大な力保有」(国際在線、2010年3月5日)といった報道があらわれるようになります。こうした報道ははっきりとパキスタン軍が南ワジリスタンで掃討作戦中に「東トルキスタンイスラム運動」武装分子と銃撃戦を行い、その勢力の活動範囲を狭めているとのべています。ザルダーリー大統領も昆明の3.01事件や同様の事件に際して「テロ、分離主義、宗教急進主義」が中国の安寧を害していると非難声明をだしています。疑いなく、パキスタンは「東トルキスタン勢力」の情報を大量に持っています。またこれを攻撃し抑制する力ももっています。それは北京が協力して使いたい力であります。

    時に応じてパキスタンとの反テロ協力関係での積極性を維持し、激励するほうが中国が国内で単独行動するよりはるかに望ましいわけです。ですから、北京からみたならば、パキスタンの一号鉄道路線への援助というのは完全に一種の必要な戦略的投資ということです。中・パの経済協力というのは、第三のテロ組織の恐怖があって、北京にとっては経済的ではなく、政治的なソロバン勘定からでたものです。ただこうしたことを国内の一般大衆に知られるのはまずいのです。そうなると、またしても「金で安定を買った」という批判をあびるからです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;《中巴合作幕后的第三方魅影》http://www.voachinese.com/content/china-pakistan-20150425/2734264.html (地図あり)
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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