• 中国株の「ブル」(強気)市場は政府によって作られる

    by  • May 1, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年4月18日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/NUdic

    最近、中国の株式市場は半年近くずっと猛烈な上げ相場で、様々なメディアがこれを結構なことだとしていますが、同時にこれが「政策相場」であるとも認めています。経済方面の要素とは無関係で経済の専門知識で説明がつかないといわれます。中国の株市場が経済と無関係で政策とだけ関係するなら、国際金融の評論家は見物しているだけで、何もいえません。なぜなら、この現象は完全に業界の専門的理解の外にあるからです。

    《中国の論理;株式市場が世界の企業ランキングを変える?》

    株式市場刺激政策は実はだいぶ前からそっと行われていました。例えば、2014年10月28日から数えて、上場証券指数は半年で72.8%値上がりし、世界に目を向けるとこれは世界の資本市場のトップです。ただ「経済の基本面が好調に向かっている」といった言い方は中国の株式論評の項目からは消え失せており、ただ市場価格と、株式市場の繁栄指標があるだけです。いかに最近でたばかりのニュースをあげましょう。

    「不動産株は急騰し、トップ10の総規模は兆を突破」という記事の趣旨は株式市場の「超強気」が不動産業に勢いを与えて「都市政策が次々に打ち出されてブランド不動産企業の株もちょー人気」と。筆者は;世界中が中国の不動産バブルを懸念しているのは無駄であって、中国政府が支えている限り大丈夫で、利ざやを稼ぎにくい株でもオッケー、利ざやを稼ぎやすい株はもっといける、というイケイケドンドンぶりです。

    以前は株式市場の質を保証するために売買が制限されていた上場企業も解禁されています。上海や深圳の取引所は2015年に115社の上場企業の株式売買を解禁し、その規模は2500億元にのぼります。これによって投機的売買のターゲットはおおいに増加し、株式市場の大ワニたちは「成長株」をでっちあげる余地がさらに広がり、突然、ある株価を釣り上げ売り抜け、大衆投資家たちが狂ったように大騒ぎ、という場面が増えました。2014年、香港と上海の株式市場相互乗り入れ制度によって、香港の株式市場は完全に祖国の株式市場とおなじになりました。「香港株式市場の急増は世界の企業ランキングを変えた建築業界の市場価値はモルガンを超えた」というニュースは、中国株式市場が世界の企業ランキングを書き換えたといいます。

    それは過去1ヶ月、香港株の全体の値上がりが17.6%で、今年の世界中でA株をのぞいて最高の商いだった、というのです。香港株の総価値は4月10日に初めて30兆香港ドルの大台を超え新記録を樹立しました。香港株の急上昇にしたがって中国の建設業界の株の市場価値はJPモルガン、Facbook、シェブロンを超えたのです。このニュースでは「これでわかるように、香港株の大上昇は全世界の大企業ランキングを書き換えた」といいます。この言い方をきけば人々は翻然と世界経済はこれでバーチャル時代に突入し、上場企業の実際の業績などはもはや重要ではなく、肝心なことは株式市場での株転がしできるかどうか、ということだ、とおもうでしょう。
    中国の建設業界は特にその経営方針が変わったわけでもないし、相変わらず不良負債は山のようですが、しかし政府の援助のもとで、各筋の株転がしの大軍が値上げさせてくれるので、もはやモルガンなどの有名企業を超えた、と。

    《株急騰;経済ではなく政府の後押し》

    この株価の高騰はまさに中国の各経済指標が悪化したときでした。4月10日に発表されたばかりの数字は、中国の輸出が15%減、第1期GDPは去年の第四期の7.3%より7%に低下。6年来の最低です。中国メディアも「株市場の基盤面をみると、このブル傾向を支える基礎や論理はみあたらない。マクロ的には経済の下降圧力の継続は引き続き増加しており、産業でも不動産でも、鉄鋼も、自動車、石炭業界もおしなべて不景気であり、企業利益は普段に下降している。実業に従事する企業は気息奄々で商売は不振。かつては景気のよかった銀行も利益はさがりつづけている。経営状況がよくないのに、株価があがるのは何が一体支えているのか?」と認めています。

    答えは簡単です。これは政府によって勧められている「政策的ブル相場」にほかなりません。

    2014年の7月、中国政府はそっと「積極的株価政策」を採用して、10月以後の景気動向の波はこれによるものです。政府の株価刺激策を人々のひそひそ話しでしたが、今年の3月12日の人民代表大会期間中にある記者が中央銀行総裁の周小川に「通貨緩和政策が株式市場への資金流入となるのはどうするのか?」と聞かれて、その答えは「資金が株式市場へ流入しても、別に実体経済を支えないということにはならない。なぜなら、株式市場の上場企業の大部分は実業にかかわっているから」でした。株式市場の問題についうてこのようにはっきりいうというのはきわめて珍しいことで、これは中央の制作部門の株式市場に対する共通認識ができていることを示しています。

    政策の指導のもとに、中国経済管理部門と金融機構は株式市場への水門を開き、「国家部隊」がそれぞれに自らの資金を続々と株式市場に投入しはじめたのです。その中にはすくなからぬ金融機構そのものが大量の社会資金を市場に投入し、いっしょになって当面の「ブル」市場を生み出したのです。この半月の、中国の株市場の毎日の取引成立量は12000−15000億元で、世界の株市場のトップです。

    誰もが、この株市場は政策的なものだと知っています。しかし関わっている人ビチはカネさえ儲かればそれでいいので、それが経済状態を反映した株価であろうが政策的なものであろうが、「ブルはブル」、というわけです。中国内の論評でも政府が積極的に株価を上げるという政策は中国の株式市場始まって以来、前代未聞のできごと、と言っていますが、そんな言い方は保守的にすぎるでしょう。より正確にいうならば 人類社会が株式市場を発明していらい、政府の政策として「株価の繁栄」が自己目的として行われるというのは中国政府だけがなしとげた”偉業”の類なのです。

    《政府はなぜ極力株価を上げたいのか?》

    これは誰しもおもうことですが、しかし、はなはだあやふやな問題です。ある人は「ブル相場は根拠があるのだ。さもなければどうして毎日1.3億、1.5億もの取引が生まれる?政府はただ適切な指導をしているだけだ」といいメディアにははっきりと「中国は現在、ブル相場を必要としており、株価を刺激しなければいけない理由は多々ある。まず新たな状況のもとでの中国市場で最も簡単に刺激できるのは株式市場であり それは政府が自信のほどを示す必要があり、それには適切な資金を投入して推進するのがいいのだ、と。さらには「中国人の現在の最高指導部への信用が今回の上げ相場をささえている」という説。

    三番目のわけのわからない理由は、株式市場を刺激すれば財富を生み、社会効果もある、という説。この相場で多くの投資家が大儲けしたから、その効果は未来において低くない。株をうまくやれば社会的効果がある。なぜならば中国の投資家はおおくが個人投資家であり、株価があがればみんなハッピーだからふつうの株をやる人間たちが現金を印刷しているようなものだ、というのです。

    株式市場は国家の重要な資本マーケットであり、実体経済のバロメーターです。しかし遺憾ながらこの常識は中国の株式市場の常識ではありません。中国の株はとっくに政府のルーレット盤になっています。政府にとって麻雀の親を続ける利点は税収です。全世界の120以上の国と地域で証券取引勢をとっているのは約20か国ですが、そのうち豪州と中国(香港も)だけが株取引の双方向で課税しています。

    政府が「親」になっているおかげで、2014年の証券取引勢の印紙税収入は667億元になります。しかし、これっぽっちのために政府が大々的に株価を引き上げているというのは、ケチな見方にすぎるでしょう。もっと大事な理由はホットマネーを動かし続け、流動性の現象が中国金融秩序を直撃するのを避けようとする点にあります。

    ここ数年来、中国は世界最大の通貨印刷機になっています。2003年から2010年の10年間に基礎通貨の増加は88兆人民元で、外貨資産は3.4億米ドルで基礎通貨投入の増加分はすべて外貨準備増加に伴う自国通貨の放出からきています。2014年末までに外貨資産は中国中央銀行の総資産の8割を占めています。その次は政府債券と中央銀行の借款です。

    中国の通貨政策は完全に外貨準備にたよっており、自身の独立性を失っているので、預金準備金利率の調整は中央銀行が外貨流入を相殺する主要な政策手段なのです。2004年以来、預金準備率調整は40回の多きになっています。この二年間の国内貯蓄の増加、投資の原則は、流動性過剰の苦境に拍車をかけました。相殺する手段にこまった中国の金融情勢に深く精通している中央銀行総裁の周小川はついにひとつの相殺方法を編み出したのです。それが彼が2010年11月5日に経済サミットで提案した「池理論」です。

    その概要は「短期的な投機的資本、すなわちホットマネーの流入に対処するために防波堤を強化すべきであり、すでに流入しているホットマネーに対しては遊水地を築く」というものです。この「池理論」は経済界の広範な注目を浴びました。この理論は深いものではなくわかりやすいです。簡単な比喩でいえば「長江は万里もあり、各種の災害がいつもおきる。だから洞庭湖や鄱阳湖のような洪水にそなえた遊水地をつくる必要があるが、それでもやはり常時、河川改修、堤防やダム建設をして洪水にならないように流れを誘導しなければならない。同様に、流動性過剰は中国の金融に洪水災害をおこすので、中央銀行は遊水地をつくらねばならない、ということです。

    この「池理論」は中央銀行とその通貨政策が直面する深刻な苦境が生み出したもので、それはうまく近年来の中国通貨政策が直面する”流動性過剰”を解決しました。通俗的なわかりやすいいいかたをすればこの池、というのはつまりこの10年、不動産業が流動性過剰を解決し、それが停滞にはいると、こんどは株式市場をその代わりの池にしよう、というものです。

    「池」の中の水は増えたり減ったりします。池の中で水を求める人々は当然、儲かるものも損するものもいます。中国人が株式市場のなかでよく損をして文句をいいますが、その原因は中国の株式市場というのは誕生してからずっと、政策による市場だったからであり、一部の内部情報に接触できるものだけが、勝ち続ける場なのです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;中国股市成“牛” 皆因政府之手 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-china-stock-20150417/2724787.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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