• 貧乏マルクス主義者と金持ちマルクス主義者は一緒になって仲良くやれるのか?

    by  • May 17, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年5月2日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/f8iic
    マルクス・毛沢東の旗印が再び中国の空に翻っています。権力者も貧乏人もこの旗の下に集まりたいようですね。信じられないならちょっとみてくださいな。

    《権力者も金持ちも貧乏人もみんなマルクス・毛沢東信者になった》

    権力者がマルクス・毛沢東主義を崇め奉るのは依然として今でもイデオロギーの主流です。4月28日に北京・人民大会堂で全国の労働模範と先進的労働者に対して最高レベルの表彰式が行われ、習近平はそこでの講話で強調したのは「労働者階級が指導階級であり、労働者階級が零落しているというのは 誤った認識であって、有害である。中国共産党は心のそこから労働者階級に依拠するという根本方針を忘れるべきではない」と。これは中国が36年ぶりに最高レベルで労働模範を表彰したのです。

    中国の「紅い資本家」の中に毛沢東熱愛派がいるのは別に新しい話ではなくて、史玉柱,狄云久といった実業家や、南街村の紅色億元村の神話はまだ衰えていません。それにいまそれに新たに新メンバーが加わりました。4月23日5、アモイの博彩ホールディングズ常務理事の遊技場王・何鴻栄の親戚が数百人の従業員を連れて中共革命の聖地・江西の井崗山で小学校を見学しそこで三日間の愛国訓練を受け、その期間にみんなで井崗山北山の烈士の墓に花束を供え、革命の先輩に詣で、紅軍の子孫たちを訪ねてためになるお話をきいたのでした。

    すくなからぬ社会の底辺層の中に熱烈にマルクス・毛沢東を愛する人々がおります。近年日増しに左傾化する杨鲁军は「共産主義の幽霊が上海を彷徨う」で、毛沢東の秘書・だった戚本禹が彼に語った経験を書いています。それは上海で偶然、湖南省の青年が「共産党宣言」を探しているのに出会い、そのわけをきいたところ、かれはこういったというのです。

    「オラは湖南からきたんだ。学歴小卒で、上海で建築のバイトしている。もう十年になるだ。100年近く前に毛沢東が北京で革命の道を探している時、田舎者と馬鹿にされたでしょ?おらもいま、革命の道をさがしてるだよ。いまの貧乏人はみなこの社会は間違ってるとおもとるだよ。俺らの会社の600人の農民出稼ぎ労働者が全員、飲まず食わずで働いても社長の儲けの3分の1にもならねだよ。貧乏人はなんの望みもねえし、永遠に良い日はこねえ。金持ちはどこまでいっても金持ち。こんな社会は直さねばなんねえだ。なおせねば、革命をやらねっかなんね。おらの田舎の書記さんが革命やんなら「共産党宣言」よまねばなんねつうから…」と。

    習近平は中共の総書記で最高代表です。紅色資本家は中国国内だろうが香港、マカオだろうが、こうした湖南省の青年が所属するグループからみたらみな搾取し圧迫する者たちです。そして、この三者がみなマルクスと毛沢東を崇拝尊敬しているわけで、その違いといえば前二者は金持ちのマルクス主義者で、後者は貧しいマルクス主義者だということです。誠に奇妙な構図ですが、中国の未来前途に興味のある人はこれを見て見ぬ振りをするわけにはいきません。

    《毛沢東左派の主体は一体どの社会階層なのか?》

    中国には学問の自由がありませんので、毛左派の主体がどの階層に属するのかというのはいままでちゃんと調査されたことがありません。しかし国内の記述、国外の調査からある程度補ってみえるでしょう。作者不明の「毛左派毛ファンはどんな人?」という文章で作者は4種類に分類しています。第一は社会最底辺のルンペンプロレタリアートで、中国にもう一度毛が現れて彼らを率いて「地主をやっつけ田んぼを分け与える」ことを期待している人々。第二は社会のハイクラスの毛ファンで大卒以上の学歴をもち、教授や現在の高い身分の人々。作者は彼らを本物ではなく、だた政治的必要からそんなフリをしているだけだとしています。第三は低収入のグループで自分の労働で生きていますが、社会が深刻に不公平なので巨大な心理的な、学歴的にも経済条件にも落差がある人々。第四には一時的な毛ファン。高校出ぐらいの学歴をもち、良識も正義感もある。作者はこのグループはまだすれておらず、前の3者ほどコチコチに固まって考えを変えられない人々ではないとみています。

    これはすくなからぬ人々が日常生活で感じていることと同じです。多くの人は自分と毛左派が論争するときは相手が労働者や退職労働者、それに少数の退職幹部(*下級公務員)、生活状況のうまくいってない人だとしています。重慶人にはいまだに薄熙来と、その「重慶方式」モデルでうけた”サービス”をなつかしがっています。上述のことは毛沢東左派に中国人が感じている構造的な感じなのですが、しかしそれ以上のことを知ろうとするならやはり学術的研究レベルの調査が必要です。

    しかし中国ではこうした調査はしようがないので、ハーバード大學のJennifer Panとマサチューセッツ工科大の徐轍青はオンライン調査をおこないました。NYタイムズが今年4月16日の「青い沿海、赤い内地;中国政治調査」という記事にこの調査が紹介されています。この調査は2014年にネット上の中国外のサイトで行われました。回答者は例えば「人権は主権より上」とか「現代中国社会は儒家思想が必要」とか「同性愛結婚に賛成だ」とかいう項目にマルバツで答える方法でおこなわれました。大多数の回答は生活水準の高い沿海地区(北京、上海、広東)の若い男性大学生でした。ジェニファ・パンによると、17.1万人以上が回答し、彼女はイデオロギー的にはっきりした分野がわかれることを発見しました。「紅色」保守省ではだいたい貧しい農村地区の内地であり、豊かな、都市化した「青色」は沿海地区でした。

    同時に、中国の保守主義社は政府が強大な国家をつくることを支持しており、同時に政府が経済管理の上で強い力を発揮することを望んでいました。一方、中国の自由主義者はより多くの市民の自由と、自由な市場の資本主義を望んでいました。そして上海が中国では最も自由の観念の強い地域で、次に豊かな沿海地区の広東や浙江でした。そして相対的に貧しい内陸の省では往々にして最も保守的傾向がみられました。中共の党新聞・人民日報の下にある環球時報が火曜日に発表した英文の社説はこれを批判し「このレポートの数字はまったくハーバードやMITの学術水準に達しておらず、その政治目的はもっぱらためにするものであると疑わざるを得ない」としています。

    この報告の回答数は十分に膨大なのですが、欠点としては対象調査地域があまりに偏っていることです。しかしながら結論と現実の感じはたしかにぴったりです。もし可能なら、中国国内の学者は同様の調査をすべきでしょう。それは今日であろうと将来であろうと必要なことです。

    《民衆の毛沢東出現への願いは屹立したものかどうか?》

    人類の歴史上、社会危機の解決方法はたった3種類しかありません。ひとつはマルクス主義で、すなわち暴力革命で世の中をひっくり反す方法。1919年以前の中国で進めてきた革命は農民革命でした。2番目は帝国主義的な、対外拡張戦争で局面の打開をはかるもの。3番目はケインズ主義が出現してからの国家の関与のもとで資本主義の危機を解決していこうというものです。後者二つに比べると、政府イデオロギーであれ、民間の価値観からいっても中国社会は第一にもっとも近いでしょう。

    中国のこの20年間の権力貴族たちによる公共財の誰憚らぬ収奪のほどは貧富の差をはっきりと生み出しました。社会の富の偏在状況は北京大学の「中国民主発展報告2014」によると、ジニ係数は0,73に達し、トップ1%が全国の3分の1以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は全部あわせても1%程度です。
    マルクス主義のこの現象に対する解釈は大変簡単で、一切の危機の根源は絶対多数の民衆が搾取され、収入が低すぎる。少数のもの貧しい人が多すぎると必然的に消費不足となり、市場は疲れて力がよわくなり、経済は必然的に苦境に陥り崩壊します。もしこの種の周期性危機や長期不況はごく少数部分が大部分を搾取した必然的な結果だとするのであれば、それなら解決方法は統治階級を消滅し、社会秩序を打破し、再建する、ということになります。

    もし中国で大規模な調査を行うことができたら中国の貧しいマルクス主義者と民主自由を希望する人々の誰が主流をしめ、未来の中国の社会がどこへいくかという判断にきわめて重要です。

    中国では貧しいマルクス主義者も富めるマルクス主義者も同じ旗を掲げています。マルクス主義への信仰や毛沢東崇拝は、権力者にとっては、これを捨てては共産党の合法性が失われます。それが習近平が「すべてを労働者階級に依拠する」と発言する理由です。富めるものは中共の顔色を読んで、一種の政治的保険としてそうします。しかし、社会の底辺の必要とするものは実質であり、

    すなわち、搾取するものを搾取し、結果の平等を追求するものです。ですから、習近平の請け負ったお話は中身のない空っぽなもので、実質的なものになりえません。もしほんとうにそうしようというのならば富めるものはその財産を差し出さなければなりませんから、それは中共の絶対多数の役人たちの命を断つに等しい話で、中共の論理からいえば、ゴルバチョフがやってことよりさらにひどい裏切りとなります。

    このような現実をみれば、貧乏と金持ちのマルクス主義者がはたして一致点をみつけられるかどうかは、権力者と富めるものが自らの命を絶って自分たちの財産を投げ出して「共産党宣言」の理想を実現するかどうかということが前提となります。貧乏なマルクス主義者がみんな「共産党宣言」を読むときに、富めるマルクス主義者たちはもはや「♫ああインターナショナルわれらがもの〜」などとちょこっと歌う程度ではごまかしきれなくなりますよ。(終)(ジジ注;きっと人民大会堂で歌ったんでしょうね、ありゃ気持ちがええ歌じゃからw)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;中国的穷富马克思主义者能合流吗? http://www.voachinese.com/content/heqinlian-20150501/2744518.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

     

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