• 中共「反腐敗」はいくつかの難所にさしかかっている 

    by  • June 22, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年5月26日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Z3ric

    5月8日から10日まで、習近平の懐刀で「反腐敗」の指揮官の王岐山は浙江省で一部の省や市の規律委書記と座談会を開き、「地方はさらに力を入れて腐敗摘発に力をいれよ」と強調し、中紀委のネット上にはたくさんの地方の反腐敗に関するニュースが掲載され、3月から高らかに始まったハイレベルでの反腐敗摘発はここで兵を収め、矛先は地方に向かい、すでに囚われの周永康の裁判も延期されました。このニュースに対する外の世界からの反応は当然のようにトップレベルの反腐敗の摘発が障害にぶつかり、地方の腐敗摘発をもってその幕引きを図ろうとするものだろうという見方でした。

    《トップレベルの反腐敗の引き時;危険なバランスの達成》

    外界のこうした観測は間違っていません。習近平、王岐山も少し前にあいついで「一党執政が腐敗を防げないとは信じない」と言っていますから、その余韻がまださめやらぬうちに幕引きをするにはやはり”間奏ミュージック”は必要なので、「反腐敗」は中央編から地方編に移ったのです。

    ハイレベルの反腐敗が終わりを告げたことは確かに各種のシグナルから読み取れます。3月に流されはじめた「慶親王」(*清の王で「罪によって処罰されない鉄帽子の主」、ここでは実力者の曽慶紅を指す)をやっつけるらしいという情報の後、わたしは「習近平と曽慶紅の戦い;お飾りの「帝王」は真っ平だ」(http://u888u.info/lm4p)で指摘しましたが、3月下旬、国家安全委のトップだった馬建(*曽慶紅系)の系統のビジネスマン・郭文貴が表立って会見を開き”反撃”したことは世界中の注目のマトになりましが、それが馬が牛耳っていた国家安全委系統の後ろ盾(*つまり曽慶紅)への王岐山による攻撃を阻止するのに役立ったとはおもえません。全体の状況から言えば、これは習近平が胡錦濤式の「名ばかりの皇帝」にされるのを拒否する最後の悪戦苦闘で、この激戦で双方はいまや「あやうい平衡状態」を達成したのでしょう。

    そのシグナルは5月19日に習近平が5月19日に国家安全機関の総合表彰式大会に出席して、特に「16文字要求」(要总结经验,从严管理,努力打造一支坚定纯洁、让党放心、甘于奉献、能拼善赢的干部队伍”;「経験を総括し、管理を厳格にして、しっかりとした清潔さを打ち立て党を安心させおおいに貢献して、一生懸命正しい幹部の隊伍を整えよう」と言いました。この中の「清潔さ樹立」と「党を安心させ」などは今後の国家安全系の仕事において、国家安全系統のリーダーだった馬建ら何人かの高官を巻き込んだハイレベルの権力闘争がもたらした各種のトラブルの総括を考慮したもので、「この経験を総括して」というなかの「経験」という言葉の意味が何を指すかは関係者ならだれでもわかるものです。

    「党を安心させよ」という意味は、過去において国家安全系列の期間において、誰かさんが党を安心させなかったけれども、いまやそれは懲罰を受けたので、皆、その経験を教訓として最高指導者を安心させるべし、という意味です。こうした談話は、国家安全系列のトップ失脚の”大地震”後に人心を収攬させる場合にのみ語られる言葉ですから、ここからうかがえるのは習近平はすでに長い間、国家安全系統を牛耳ってきた「慶親王」とのあいだに「あやういバランス」ができたということでしょう。

    この「あやういバランス」は実は力づくでつくられたものです。郭文貴のこの戦法は泥臭くてみっともないけれども、中国の朝野の戦いでは結構有効なのです。郭文貴は「全てはこれからだ」と脅し文句を並べたあとNYタイムズは続けさまに「万達帝国・王健林ービジネスと権力貴族のはざまで」(4月28日)、「万達帝国の背景の秘密の株主」(4月29日)で中国の最も権勢ある政界人物の親戚やそのビジネスパートナーを暴露しました。そして習近平の姉の斉橋橋の名前も再び報道上に登場し、かつ具体的な数字や時間まで書かれました。この二編の筆者の傅才德(Michael Forsythe)は以前、ブルムバーグ社におり、王健林関連記事を書きました。しかしブルムバーグ社は2012年6月の習近平の一族の財産に関する報道をしたあと、北京、上海の支局を強制捜査され、以後、中国の政治報道には関わらないことを宣言したため、傅才德は同社を辞めざるを得ず辞めるときにも秘密協議で他のメディアに執筆しないという約束をさせられたといわれます。そして以来、2年半の時間を経て、この報道はついにNYタイムズによって暴露されました。

    メディアはただ提供されたネタの真実性だけを問題にして、ニュースにします。ネタ元の目的は気にしません。仮にNYタイムズに反対側からネタが持ち込まれたなら、それもきちんと報道することでしょう。ですから習近平の敵がNYタイムズを利用しようとしたというのなら、これもなかなかの高等戦術なのです。この二つの報道がでたあと、郭文貴は引き続き5月初めにもNYで記者会見をするといっていましたが、結局姿をみせませんでした。

    《反腐敗の地方版》

    今年の5月前に、中共の反腐敗はハイレベル中心で、何十人かの中央省庁級の役人や数百人の庁局級の役人が関係し、中には幾人かが銃殺刑になるようなケースもあるでしょうが、だとしてもそれは彼らが中央のビッグボスとさまざまな関係をもっていたからです。あるテレビ番組で何人かの視聴者が感想をのべていましたが、こうした中央の大物より自分たちが関心があるのは地方役人の腐敗だ、といっていました。というのは彼らにとって中央クラスの役人がいくら腐敗していても自分たちにはさほど関係ないのですが、地方の役人の腐敗となると毎日毎日の暮らしの中でその連中に痛めつけられているからです。一人は自分の村では村長の腐敗に対しての村民の恨みは骨髄でどうしようもない。村民の有志が上部に連名で訴えたら逆にそこのボスが村長と通じており、村長に雇われたならず者に殴られた、と。

    私の当時の回答は;高層レベルの権力闘争はちょっとやさっとで終わらないし、この習近平の「反腐敗」なるものの目標は政治的 ライバルを倒すことであって高層レベルのことが終わってからやっと下部に及ぶだろう、と。さらに重要なことは村長や村の共産党書記などは”国家公務員”とも呼べるような存在ではないので紀律委員会のやっている「反腐敗」のプログラムにそんな低い話を入れること自体が大変難しいだろうし、やはり村民が自分たちでたちあがって団結して腐敗を暴いて反対するしかないだろう。もし「天から太陽の光が差し込んでくる日」など待っていたら、いつになることやらわからないでしょう、というものでした。

    地方の反腐敗をすすめること自体は別にむずかしくなく、何十組かの巡察班を派遣してちょっとした大きな芋ズルをつかんで順番にやっつけていけば成績は十分あがるでしょう。たとえば5月25日の中央規律委のネット上には寧夏で8項目の規定精神に違反した問題で383件、908人が処分された、とか吉林省の人民代表大会農業と農村委員会の元主任の藍軍が党から除名及び公職を解かれる、とかでています。中央がちゃんとやらなければならないのは問題の反腐敗の尺度と範囲と刑法に定められた「柔軟性ある基準」で、20年も前からもよく言われたように『すべての役人を”皆殺し”にすればたぶん冤罪者がでるし、そこから一人づつ選んでいけば、少なからぬ悪役人が網の目から逃れてしまう』のです。

    《一党独裁の反腐敗が遭遇するいくつかの大問題》

    ① 第一の問題は「自ら浄化する難しさ」です。習近平も王岐山も「一党独裁でも反腐敗はやれると信じている」と口ではいいますが、誰もが嘘っぱちだと知っています。実際に、王岐山自身が4月23日のフランシス・福山との会見で、自分がまったくそんなことを信じてないことを表明してしまいました。彼は「長期執政党が自身を監督し浄化せねばというプレッシャーは大変なもので自分もこの問題を考えてみたが、医学で自分を手術した唯一の例はネットで調べたらロシアのシベリアのある外科医が自分で盲腸を手術したのが唯一の例だった。ということは自分で自分をキレイに保つのは大変難しい、ということだ、と。この話は自分で自分を浄化するのは無理だと認めたと同じです。中共の腐敗は盲腸炎どころの話ではなく、全身にまわった末期ガンのようなもので盲腸の千万倍どころではない重症なのですから。

    ② つぎの問題は汚職役人用の「天網恢恢疎にして漏らさず」の網がなかなかうまくいきません。中共は反腐敗のためには世界各国に逃亡した汚職役人の退路を断たねばなりません。で海外逃亡者を追うのにAPECやG20など多国籍機構の粗い網をつかって各国の協力をとりつけたいわけです。そして2014年には中央規律委が音頭取りして、最高裁、最高検、公安部、外交部など10部門で全世界逃亡汚職官僚追跡室(全球追逃办公室)を作りました。世界各国も中国の面子をたててやらねば、ということで中共政府の国際指名手配書を受け取ることにして、カナダでも強制送還しても死刑にならないのならそうしようということにしました。しかし、あいにく汚職役人の最大の隠れ場所は米国で、中国政府は米国政府に司法制度の「裏口」をあけてくれというわけにはいきません。数ヶ月前に王岐山が訪米するという話があったのですが、最近、無期延期になったという報道がありました。米国の著名な法律家の孔傑栄はVOAの取材に対して、中共の反腐敗の指導者である王岐山が現在訪米するなら、米国のすべての注目は中国の不公正な刑事司法制度に集まるだろう。また米国は好き勝手に人を罪におとせる国家に引渡し協定など締結するのは不可能で、中国はその刑事司法制度と理論、立法と実践を改善しなければならない、と指摘しました。

    ③ 三つ目の問題はいかにして政府内部のインセンティブを打ち立てるか、です。毛沢東のイデオロギー統治は文革の末期にすでに破産しており、鄧小平の「全人民が中産階級になり、先に富んだものが後のものを富ませる」という方針は共産党紅色貴族階級が国有財産私有化という道を通じて荒稼ぎするというインセンティブとなりました。これは江沢民時代に「党員は黙っていても大金持ちに」ということに成り果て、上下一体となって国家の利益を私化する吸い上げ制度になりました。胡錦濤の時代はまさにこの制度が極大になり、「共産党に入って財産を築く」というのが中共の全党員のおおっぴらな奮闘努力目標になったのでした。習近平と王岐山の「自分たちが選んだ政敵に打撃を与える」式の反腐敗キャンペーンんであっても確かにアリババと40人の盗賊たちがやり放題だったこれまでの制度を打ち破り、そのうちの何人かの大泥棒をやっつけ、党内の他の大泥棒、小泥棒を短期間のうちに恐れさせることにはなりました。が、その反面、底辺政府部門の連中は仕事には精出すことをせずサボるようになってしまいました。

    これによって発生する問題は、中共は党政システムにおいて、いかに新しいインセンティブを作り出して、党員、とくに官僚連に効き目のあるものにするのか?ということです。党の宣伝機関は依然として「理想」とかのお話を流していますが、しかしいまや物欲のカタマリとなった役人たちにとってはいまの「相手を選んで政敵をやっつける」反腐敗なぞ、やむをえず辛抱してはいるものの、まったく信じてなどはいませんから、そうした連中にこれから何をインセンティブにしていかにやる気をおこさせるというのでしょうか?(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;中共反腐难越几道铁门槛 http://biweekly.hrichina.org/article/28180

    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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