• 中国階級構造からみる社会転換の失敗 

    by  • June 22, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年5月23日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/ZTpic

    たまたま資中筠女史が「(*中国は)百年経ったが進歩なし。上は慈禧(西太后)、下は義和団」といってるのを目にして、この簡明は言い方が中国社会のモデルチェンジの失敗をよく説明していると思いました。この「失敗」は中国社会階層の中にしめる底辺層の数が膨大すぎ、中産階級の比率があまりにも少ないことをさします。

    《中国社会階層構造のモデルチェンジ失敗》

    社会のモデルチェンジは政治、経済、社会などいくつかの分野があります。ひとつの社会の社会的階層構造に変化が起きたのちには、消費構造(生産構造が連動)、文化形態、価値観などすべてに深い変化が生じます。中国の現在の最大の失敗は社会階層構造のモデルチェンジ失敗でつまり、底辺層を中心として中産階級に転化することができなかった、ということです。

    「慈禧(西太后)」というのはみなさんおわかりのとおり、政治の変化の核心部分、つまり政治体制がいまにいたるまで質的な変化がないということです。権力者は相変わらず政治暴力をいたずらに信じ、そのうえいまや慈禧太后時代にはなかったような思想コントロールシステムまで加えました。「下は義和団」は表面的には毛左派や社会底辺層が日増しに暴力的になる傾向を指します。しかしこうした暴力的な傾向の源は社会の人々の失望感から生まれたもので、人口のすくなくとも6割をしめる中国人は「繁栄のバス」に乗ることができぬまま、社会のピラミッドの底辺の一部をなしていることです。

    改革開放の始まりの頃、鄧小平は誰もが中産階級になることを約束しましたが、そのときから21世紀の最初の10年、中国政府は社会階層構造を中産階級を主とするまんなかのふくらんだ樽型の社会を目標としこのために資金をだした国家あげての課題はたくさんありました。もっとも中国的特色のあるものは2001年に中国社会科学院が「現代中国社会階層研究」のテーマで区分けした「十大階層」説です。このレポートは西洋の社会学のような社会的地位や経済収入、職業の制帽などを基準としたものではなく、かといって政府のマルクス主義的な「搾取階級か被搾取階級か」という分類法でもなく、国家や社会の管理階層か、経理階層か、私企業経営者か、専門技術者か、産業労働者か、農業労働者かといった階層別の基準で区分したもので馬だかロバだかわからないどっちつかずのもので、政府の宣伝でも10年も経たないうちに消えてしまいました。

    2010年2月には中国科学院は「現代中国社会構造変遷の研究」というテーマで結論を公表して 中国の中産階級の規模は人口の23%前後であり、毎年1%の速度で増えている、としました。当時の状況から見ると中国科学院2010年報告はまあ、まだ信用できるといえるでしょう。

    しかし、一部の外国研究機関の研究はむちゃくちゃで、中国の現実からはるかに乖離したものでした。もっとも無茶苦茶なのはアジア開発銀行のレポート「アジア・太平洋地区2010年関係指標」でした。これは中産階級の定義として、毎日2ドルから20ドル消費する人々、としておりこれを根拠にすれば中国の中産階級は8.17億人になり、そのうちの3.03億人は中産階級の下ということになります。これが報道されたとき、中国国民はみな「無理やり中産階級にされてしまった」という感じを持ちました。

    毎日2ドルというと14元以下ですから、毎月では420元から430元、中国の発展した地区の最低の生活基準に相当し、中国の大部分の都市の最低賃金基準より低いものでした。人々は、一人当たりの毎日の消費が1.25元を貧困基準にし、毎日2ドルが中産階級とする世界銀行はまったくあてにならない、と指摘しました。

    現在の状況は、世界銀行の数年前のデータですと中国人の一人当たり1日消費金額が1ドル以下の人口は3億をしめ、それに加えてアジア開発銀行の計算でいう「底辺中産階級」の3.03億人をくわえると中国の貧困人口のほとんど半分(その中には温家宝前総理が2010年3月に出席した中国発展ハイレベルフォーラムで提起した2億人の失業者がいます)。ここ数年、さらに状況は悪化の一途で、外資撤退と実体経済の沈滞でさらに1.24億人が職を失いつまり、中国社会底辺(貧困.半貧困人口)は約6割以上に達しています。中国は少数の億万長者を生み出すと同時に、生産者数の相当膨大な量が貧困階層であり、つまり社会階層の構造転換に失敗したのです。

    《社会構造の転換失敗の原因は分配制度の不公平》

    社会階層構造の改善の決定的な要素は社会の分配制度です。ひとつの社会の収入分配制度とは収入分配交換ルールの総和なのです。すなわち法律と規則でつくられたそれぞれの分配主体の間の権利と利益関係です。現代の市場経済の条件下では収入分配の主体は一般に三大利益グループから構成されます。すなわち労働力、雇い主、政府(各労働所有権、生産材所有権、公共政治権力)です。

    この三者が共同で国民収入を分割するのですが、中国における主要な問題とは

    ❶ 人力資本の貢献する富の分配要素がまさに弱化しており、労働者の報酬は社会分配の中で占める割合が比較的小さく、ますます少なくなっていること。これは官製データに間にも争いがあります。中華全国総工会の役人・張建国が数年前中工ネットの取材に列挙したデータだと、中国の労働報酬がGDPに占める比重は1983年の56,5%をピークとしてその後下降しつづけており2005年には36.7%と22年間に2割ちかく減りました。これは財政部により深刻すぎると否定されております。後者は中国社会科学院の出した社会青書;2013年中国社会形勢分析と予測」の2004年の50.7%から2011年の44.9%とされます。(米国のこの10年だと58%~60%)

    ❷ 資本報酬比重はGDP中で増加中;張建国は同じ取材のなかで1978年から2005年まで労働報酬は持続的に下降するのと対照的に、資本報酬は2割上昇しているとしています。しかしそれがGDPに占める割合については語っていません。しかし北京大学のCCER中国経済観察グループの「経済成長と資本報酬率の変化ー中国改革開放時期の資本報酬計測(1978~2005)では資本としての権益は1998年から2005年のあいだに6.8%から17.8%に上昇したとしています。このような結果がでた原因について研究者は一般に

    1;政府財政収支の資本収入額に対する明確な増強作用。
    2;国民収入の一次分配構造のなかで、政府財政が想像されるより重要な働きをしていること。
    3;権力資本の暴利が拡大し、中小企業、一般庶民の利益空間が圧縮されたとしています。

    中国人はみんな「権力資本の圧迫」とはなんのことかよくわかっています。腐敗汚職官僚が年々増え、賄賂の額も百万から千万、億と増え、多くの役人が審査権限や人事抜擢権で巨額の財を築いたり、各種の企業の株の分け前で、保護する企業が暴利を得ると同時に、通常の道を歩む普通に法を守る企業がますます苦しくなり、社会全体の運営効率が大々的に低下してしまい、社会の富の分配の流れを変えてしまったのです。

    全世界の大多数の国家はジニ係数を収入格差を計測するのに使っていますが、中国には「家庭純資産ジニ係数」というのがあります。これは北京大学中国社会科学調査センターが「中国民生発展報告2014」で提言したものでその2012年中国家庭純資産ジニ係数は0.73で、トップ1%の家庭が全国の3分の1以上の財産を占有し、底辺25%の家庭の所有する財産は約1%です。この報告が家庭純資産ジニ係数を設定したのは中国資本のGDPにしめる割合が多すぎて、すでに社会の富の分配のなかで極めて重要な要素を占めていることを考慮したものでしょう。

    《社会階層構造を改善する積極的要素はすでに消失》

    中産階級が中国社会の政治面に対して働きかけることはずっと抑圧されてきました。これについては私は何編かの文章ですでに分析していますので、ここではただ数的意義の上での階層構造に触れるだけにしておきます。これについても数年前に《虚幻的自我安慰:中产阶级队伍在扩大》(幻想のなぐさめ。中産階級の拡大)(BBC,2010年3月1日)で指摘してありますが、中産階級の数が増えるには二つの条件が必要で、まず現代部門の就職人数の増加(農民工の収入は低いのでその数の増減は中産階級の人数に大きな影響は与えない)第二に、就業人口の賃金増加。中国の現状から見るにこのふたつの条件は出現していません。

    大事なことはこの10余年来、職につく道がますます困難になっているため、中国社会のメンバーの向上ルートは深刻に糞づまり状態になっておりその結果もたらされたものは、社会エリート選抜で「血統の良さ」(*中共幹部につながる家系か否か)が大変重要な働きをもって、他の成功の条件は後退してしまったことです。この種の「血統の良さ」が社会構成メンバーの身分について”伝承”されるという機会の不平等は最も根本的な社会の不公平であり、その結果の富の分配の不公平というものはさらに劣悪にして深刻なものになります。

    最近おきた徐純合事件(*鉄道駅で82歳の老母と3人の子をつれた徐という男が警察に射殺された)では、中国の民間世論はほとんど一辺倒の現象をあらわし、それは中国人の公権力にたいする子続いの恨みを反映したばかりか、さらに深いところでは中国社会階層間の巨大な亀裂を露呈したものです。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;从中国阶层结构看社会转型的失败  http://u666u.info/lfZT

    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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