• 中国株式市場;政府の操る搾取マシン

    by  • July 5, 2015 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    2015年7月2日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/3r5ic

    6月12日以後、中国株式市場の「不安定要因」は中共の宣伝マシンのマスコミによって天下に「中国株を売り、利食いした外国資本」である、と主張されました。もしちょっとまえに名指しされたいくつかの外国投資機関をご存じなくても、6月28日の株価下落の主犯は中共宣伝マシンによってかの有名なゴールドマンサックスであるということはご存じでしょう。このようなアラビアンナイト的なお伽話が大損した人々の慰めになれば結構ですが、やはりわたしは中国の宣伝マシンが絶対に永久に触れようとしない真実、中国の株式市場というのは本当は誰が操る搾取マシンなのかということを指摘しておきましょう。

    《我が国の株式市場は国有企業に対する現金自動支払機》

    株式市場は「国有企業の意のままの現金自動支払機」なのです。朱鎔基総理のころきめられた「株式市場は国有企業が困難を克服するべきである」という基調です。簡単に言えば、当時、中国政府の株式市場は国有企業を生かすための存在で、さらにいえば経営不振乃至は事業継続すら困難な国有企業を「3年間で困難から脱出させる」のを目標にした道具なのでした。

    ですから政府の主導のもとに株式をつくって上場するというのはかなりの長いあいだ、国有企業にしか許されていませんで、非国有企業が上場し資金を得るのは極めて困難でした。政府の奨励のもとで国有企業は株式市場を「金のでてくる水道」として、親会社は上場した子会社を「現金自動支払機」としたのです。研究者によるとこうして中国の株式市場の規模は「10年で外国の100年分を完走した」ことになりました。

    陳東昇は「朱鎔基が始めた混合所有制、国有企業の上場」という文章で回想しています。;「朱鎔基はさらに大変なことをやりとげた。すべての企業をみな上場したのだ。そのころの資本市場改革ははっきりしていてひとつの省で一億、が目標でありすべてが上場をめざし、5社、6社と。中国の今日の資本市場はどうしてできたか?最初の資本市場は国有企業のために金をかせぎ困難からたちなおらせるためだった。今日においてもそれは同じことだ。ではなぜ資本市場はうまくいかないのか?今も同じだからだ。新華国有有限公司(*保険会社?)が総理のツルの一声で上場される。こうした事実が存在するのだ」と。

    これ以後、国有企業改革はこの路線に沿って進みました。今年の6月12日、第一経済日報は「国有企業に改革の流れ;株主が頻繁に利ざや稼ぎの現金化をするのは地方政府の財政難が原因」という記事でまたしてもはっきりと中国の株式市場は国有企業の現金自動支払機であるという事実をあきらかにしました。外開放政策を実行するために中国の株式市場はこの現金自動支払機としての機能を、時には外国資本にも利用させました。

    中国銀行、建設銀行、工商銀行はかつてウォール街に大展開の絵図を描き、IPO(株式新規公開)で上場し資金集めしようとして、シンガポールのTemasak、スイス銀行、バンカメ、スコットランド銀行など多くの外国銀行や香港の李嘉诚ファンドを「戦略的投資者」として株をもたせ、米国のお気に召す形にして「現金自動支払機」にしようとしました。しかし、当時の米国証券監査会のコックス会長の姿勢が厳しく、中国資本の銀行はやむをえず香港と大陸で上場せざるをえませんでした。外国資本の銀行もそれと行動を共にし、中国政府が提供する数々の優遇策を得て、香港、中国の株式市場で大儲けし、その後3年間の固定期間が過ぎると、持ち株を処分しました。中国にはこれに対して大いに腹を立て、外資銀行が国有企業の株を買って中国株式市場で売り抜け、いい思いをしやがって、ということでかつての中国金融業界が国有資産を安売りした件について追跡調査すべきだという声をあげる人もいましたが、しかし腹立ちは所詮腹立ちにすぎずこの調査は永遠に行われません。

    《株式市場は国有企業高官達のマネーロンダリングマシン》

    中国国有企業の重要な改革のひとつは「社長の持ち株制度(Management Buy out,简称MBO)」(*管理職=当然、共産党幹部=優遇持ち株)でした。これは外からは国有企業の管理層が国有財産をつまみ食いする制度だとみなされており、新華ネットには2006年2月16日に「ハイレベル管理者が株丸儲けの非難は免れ難い」という文章が掲載され、李小琳(*李鵬の娘、電力女王)ら国有企業のトップの紅色貴族とその家族が国有企業改革のなかでもっとも丸儲けしたと疑義がだされました。しかし疑義は疑義どまりで、国有企業のトップの持ち株や特別高い報酬は「改革の成果」とされ、その制度はずっと続いてきました。習近平の「反腐敗」によってついにこうした「結構な日々」は終わりになりました。この2年来、中国当局は何度も党が国有企業を指導する最終的な権限を持つと強調し、2014年11月には「国務院国有企業改革指導小組」がつくられました。

    中共18大会以後、「反腐敗」のなかですくなからぬハイレベル管理職が失脚したので彼らは自分たちが濡れ手の泡で手に入れた特権的な株を「腐敗行為」と指弾されかねないと心配になって、次々に株式市場で売り払ったのです。統計によると、2014年10月17日、中国の上場企業の社長、重役などハイレベル層の持ち株は大幅に減り、473.31億元が現金化され2015年の前半だけで国有企業ハイレベル層の持ち株現金化は5000億元になり史上最高です。

    《株式市場は個人投資家の金を喰らうマシン》

    1992年からいままで中国の株式市場は10数回もアップダウンを繰り替えしました。中国の個人投資家の歴史を見ると損した人々が多く、勝者はほんのすこしです。しかし、それでも博打で大金を設けたいと思う人の数はまだまだおり、何度負けても楽に株で金儲けしようという願いは消えることなく、すっからかんになりまでやりたがるのです。ここに2008年以後の個人投資家の成績表をのせておきましょう。

    ;2008年のA株は70%の下げ幅で株式史上にのこるものでした。上海証券報連合証券の星は「2008年投資家生存現状調査」をおこない全国の25110人の投資家がこの調査に回答し、その結果、9割をはるかに超える投資家が損をしました。その中には損害が7割を超えた人々が6割おります。調査時点で儲かったと答えた人はわずか6%でした。

    2013年中国の株式市場は「アジアでもっともダメな株市場」といわれました。新浪ネットの「2013年中国株式投資家の大々的な損失」(2014年1月)には2013年に株で損をした人は65%でそのうち26.3%は2割から5割の損。7.5%は8割以上の損失で株のために生活水準が下がったというひとが32.2%、9%が生活が困難になったとこしています。

    今年はまだ半年しかたっていませんが、投資家の損害はおどろくべきものです。「2015年上半期の投資家はどれぐらい損したか」という文の統計数字は;5月下旬以後の2週間ですでに13.26兆元の市場価値が消失し、わずか6月26日の1日で4.5兆元が蒸発しました。投資家の数で計算すると一人当たりの損失は14.7万元。給料の全国平均は年収で5万元ですから、つまり投資家はこの二週間で3年間の給料を損したことになり、これは2007年5.30の大暴落の損失に匹敵します。

    《中国株式市場が集中的に体現している強奪型経済の特徴》

    中国株式市場の上述のような特徴はまさに、経済発展における制度が一国の貧富において巨大な働きを持つという制度経済学の有名な診断指標であるところの検証となるものです。米国の新制度経済学者のAcemogluとトマス・ロビンソンの共著「権力、繁栄と貧困の根源、なぜ国家は失敗するか?」の中で国家の繁栄と貧困の根源にあたる二つの重要な概念、すなわちinclusive institutionsとextractive institutionsについて言及しております。
    前者は多数のひとが参加し、利益を分け合い、人々が労働と創造への積極性をもっている多元的制度で、後者は権力と富が高度に集中して少数者が多数を搾取、独裁しているケースで大多数の人々は労働に創造的な積極性はありません。筆者らの膨大な研究によると、世界のすべての国家・地域で前者を選んだ国々がみな経済の持続的発展と人民の生活水準が継続して高まっているのに対して、後者はまったく反対の結果になっています。

    中国の株式市場と西側のそれのいくつかの本質的な違いは、すなわち

    ;①中国の株式市場には投機者しかおらず、中長期の投資家はいません。誰も企業の本当の経営状況など気にしていません。気にかけているのはこの株がどこかの機関投資組織か投機者によって値上がりするかどうか、だけです。株価は完全に企業経営の業績や財務状況とは無関係でいつでも投機かや影で操るものの行為で乱高下します。西側の株式市場には短期の投機者もいますし、中長期の投資家もどちらもいます。そして企業経営で利益が上がっているか否かが株価の基礎となります。

    ②中国政府が株式市場の操り手です。さまざまな方法で株価を高騰させたり暴落させたりします。米国政府は株式市場のただの監視人で成熟した法規によって株式市場を管理し、中国政府のような行為は絶無です。

    ③ 多くの大衆が参加しているということは別に中国株式市場が多くのひとが利益を分けあっているところだということを意味しません。実際の参加者は投機目的であって企業の営業利益とか配当をみてはいません。全世界でただ中国の株市場だけが絶対多数の投資者の血の出るようなおもいの元金が戻ってこないところです。

    結論は;中国の株市場は国有企業の現金自動支払機であってかつ国有企業のハイレベルの既得権者が不正に得た財をクリーニングする場所であり同時に利益関係者が政策や内部情報といった有利な立場を利用して金を儲ける搾取マシンなのです。

    何清漣氏@HeQinglian: ★中国株式市場;政府の操る搾取マシン★(44) そしてこうした特徴は果然んい略奪型経済の政府と少数の人間が多数の利益を強奪するというextractive institutions に符合するものです。中国の株式市場を分析すれば、その特徴がはっきりとわかるでしょう。(終)

    付録;「権力、繁栄と貧困の根源、なぜ国家は失敗するか?」,英文名:The Origins of Power, Prosperity, and Poverty: Why Nations Fail,(Daron Acemoglu)(James A. Robinson)合著。

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は;中国股市:一台由政府操控的财富榨取机 http://www.voachinese.com/content/china-stock-20150702/2846008.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

    Share Button

    About

    One Response to 中国株式市場;政府の操る搾取マシン

    1. Pingback: 中国株式市場の不安定要因は外国資本。中国バブル否定はゴールドマンサックスの時間稼ぎ。 - 日本を守るのに右も左もない

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *