• 米国に逃亡の令計劃の弟・令完成はどうなるのか?

    by  • September 5, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年8月6日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/SHJic

    中国の富豪が米国に逃げる話は数知れずあります。しかし中南海を困らせるほどの人物となると、いまは令計劃の弟の令完成と郭文貴(*中国人大富豪。北京盤古氏投資有限公司・北京政泉控股有限公司“ホールディングス”代表、曽慶紅系で米国に逃亡 参考;http://jfss.gr.jp/news/shibuya/20150413.htm))でしょう。令完成は令計劃(*胡錦濤の秘書、息子がフェラーリ衝突事件を起こし、失脚、党籍剥奪され獄中にある)から預かった2700件の機密文書をもって外国に逃げ、身を隠しました。郭文貴は「自分は中国の最高機密を握っている」と称し、度々記者会見を開き、疑惑を投じたあと姿を消しました。いまや郭文貴の姿はみえなくなりましたが、令完成の行方はNYタイムズの大記者・傅才德(Michael Forsythe)によって白日のもとにさらされ、中国内の財新ネットでもこの情報をもとにグーグルマップでの検索結果をあわせて画像として全中国人に提供しました。http://gdb.voanews.com/4F3AF575-B13F-4613-8DAB-0F0F43CB9B98_w640_r1_s_cx0_cy53_cw0.png

    これまでにわかったこと。
    以下の詳細はソースをつけてますので参考まで。

    1;令完成の豪邸の詳しい資料

    傅才德は「令計劃の弟が米国に密かに逃れ、政治的庇護を求める?」の中で住所はあきらかにしていませんが「不動産記録から、令完成はネバダ山脈に725平米(約220坪)の住宅を持つ」としています。しかし、令完成の豪邸の住所は別のテキストで明らかにされています。今年3月、国内の「新浪海外名簿」の姚鸿恩が「米国豪邸、タダでも住めない」(http://blog.sina.com.cn/yaohongen)の中でその豪邸を「Wang Cheng(完成)の名前で検索すると「カリフォルニア州のルーミス市に、所有権が Li Pingと半々の共有住宅があり、Wang ChengとLi Pingって誰?当然、有名人で…」「住所は 6105 Terracina Ct, Loomis, CA 95650。Loomis市はカリフォルニア州サクラメントの東北にある」とあります。
    この文章が明らかにしたのは、令完成が米国で使っているパスポートはWang Cheng名義で令完成ではないこと。財新ネットの保王道によれば、みな令完成は通商「王誠」でビジネスをしており、その妻の李平は山西人で元中央電子台のアナウンサー。このふたりが令完成夫妻であることは疑いないでしょう。

    2;中国から逃げた時間は2014年9月以前

    財新ネットの今年8月4日の記事では;56歳の北京のビジネスマン令完成は2014年秋に行方をくらまし、当時のニュースでは兄の令計劃の子、令狐剣と一緒に米国に行ったといわれました。

    私はこれをどうも信じられるとおもうようになりました。以下の事実がその証拠になるかと。

    ;財新ネット2014年11月26日付で「令完成が金持ちになった話」のなかで、「二番目の兄の令政策は2014年6月19日に中央規律監査部のネットで「深刻な党紀違反で4月以後、組織的な取り調べを受けており、55歳の北京のビジネスマン令完成も自由をうしなった」とされています。この説明は「外国逃亡説」を否定するのにつかわれました。あるいは財新は「自由を失った」というのを海外に逃れて首を亀のようにひっこめている、という意味で使ったのかもしれません。騒ぎが大好きな中国人野次馬のなかには移民の暮らしを「民間の監獄にいるようだ」とみなす人もおおいのです。

    財新ネットで今年8月4日のワシントン駐在記者の張遠岸の「令完成は米国にある725平米のカリフォルニア州の豪邸に潜む」という記事にある詳細から、令完成夫妻が米国に逃れた事件を推定する材料があります。それには不動産販売ネットのニュースとして令完成夫妻は2013年9月に250万ドルで購入後、わずか半年後の2014年1月22日に389万ドルで売りに出し、売れなかったため2014年5月23日に取りやめ、2014年9月16日に再び275万ドルで売りに出したがやはり売れなかったので2014年11月3日に取りやめたというものです。令一家のに番目の兄である令政策は6月19日に取り調べをうけましたから、その二ヶ月後び9月16日には令完成はすでに米国に姿をみせ、不動産を売ろうとしていたということになります。

    より事態をはっきりさせそうなヒント。

    1;令完成が実際に米国のどこにいるかについては具体的な情報はない。

    令完成がいまどこにいるかは本人以外、米国政府の関係部門しか知らないというべきでしょう。傅才德はテキサス州にいるかもしれないと推断していますが、それは電話番号を根拠としたものです。しかしワシントンでニューヨークで登録されたケータイを使えますから、個人のケータイから位置が推定できる特別な技術部門をのぞいては、一般人は彼がどこにるかを特定することはできません。

    2;どうやって逃げたか、どの国のパスポートを使ったかははっきりしない。

    令完成が米国で使用しているパスポート名義はWang Chengですが、どこのパスポートを使っているかはわかりません。「令完成はどうして金持ちになったか」という記事では「2003年度の外国資本法人企業年検報表」では令完成は「王誠」という新しい名前で、九洲ネット有限公司の社長として登場している。「10年以上前に、令完成は”外資企業”の社長となって香港のパスポートやたの国々のパスポートをもっているというのはもっともなことだ」とあります。薄熙来の妻の谷開来はシンガポール国籍をもっていました。

    令完成の別名が王誠だという情報を国家安全部門が掌握していたということからみれば、令完成がその兄の政策も取り調べを受けたあとに、王誠名義のパスポートを使って大陸を脱出するというのはあまりありそうなことではないとおもいますから、そうなると可能性は三つです。

    第一の可能性;令一家の命運に暗雲が立ち込めてきたとき、先を見越して国外にでた。令完成夫婦は2013年9月に250万ドルで不動産を購入したのも手筈の一つ。2012年令計劃は中国共産党中央委員会事務局主任から中央統一戦線部長に移動になって、令計劃の出世街道には暗雲が濃くたちこめました。いささかでも政治経験のある人間ならなんらかの備えをしないはずがありません。

    もし令政策が規律違反に関する厳しい取り調べをうけたあと、令完成が不幸にしてちょうど大陸にいたとなれば、逃げ出す方法は以下の二つの方法しかありません。ひとつは国家安全系統が特別にはからったケース。しかし当時はまだ国家安全部の副部長の馬建(http://heqinglian.net/2015/05/01/state-secret-ministry-japanese/)は活動できていましたし、令計劃人脈ではなかったですから、そんなことはしなかったでしょう。二つ目は高いお金を払ってマカオか香港かビルマの密輸ルートで国境を越えて米国に飛んだ。このルートはお金があって、令完成が密輸ルートの人間に自分の真の身分を隠して極めて重い政治責任のかかることを知られさえしなければ可能なことです。

    《令計劃の持ち出した秘密文書の価値はどれほどあるか?》

    NYタイムズの見方は;令完成の持ち出した機密文献は中共に対して”殺傷力”がある、という見方で「令完成の財産と家族の地位からみて自由に中国のエリート階層のサークル内を動けた。だから習近平の現在や以前に役人とやりとりした文書などを握っている可能性がある」としています。
    RFI(フランス国際ラジオ)中国ウェブサイトは今年5月2日に「令計劃、2700以上の機密文献を盗んだ、と指弾」のなかで、博讯ネットの情報を引用して「令計劃は各種の手段を通じて前任や現任の中共の国家最高指導者のネタを集めた、と疑われている」「当局の調査によれば令計劃は失脚するまえに2700件の中共の政治、軍事、経済、文化方面にかかわる機密文献を盗み出し、その一部は弟の令完成が米国に持ち出して中南海に対する切り札になるとみられている」と書いています。

    私はこの持ち出された文献の価値についてはいささか疑問におもいます。というのは令計劃の命運がわかれたのはあの2012年3月18日の有名な息子のおこした「フェラーリ事故」(*息子が裸の女性をのせたフェラーリで北京で事故死)からですが、この後、5ヶ月にわたり、つまり2019年の9月初めに中国共産党中央委員会事務局主任の地位を追われ中共中央統一戦線部長に転任します。

    この二つの地位は同列なのですが、権限とパワーはまるでちがいます。令本人は胡錦濤の秘書長だったし、中国共産党中央委員会事務局主任には4年もつとめましたから、胡錦濤など最高指導部がみられる機密文献は全部みられました。フェラーリ事故以前は令計劃の前途は輝ける道でしたし、あくまで慎重で用心深かった令の”野心”は中央政治局委員になることでしたから、そのころ毎日、積極的に各種の文献をあつめて、自分の身が危なくなった時のカードにしようなどとはおもっていなかったでしょう。そんなことをすればそれこそ危険きわまりないことで、バレようものなら大変な災いを身に引き寄せることになりかねません。でも、統一戦線部長になってからでは集めうる資料には限界がありますし、切り札にはなりますまい。ですから、令計劃の「文献を盗める」はずの期間というのは2012年3月のフェラーリ事故から9月に中央委員会事務局主任を解任される間の数ヶ月ということになります。

    令計劃が盗みだせた機密は、おそらく軍事機密ではないとおもわれます。胡錦濤は軍事委員会主席ですが、その文献は別のルートで胡錦濤に届くわけで、令計劃を通じる必要はありません。またネット戦争にかかわる資料もありそうにないでしょう。というのはネット戦争にかかわる機関はおもに軍事機関の総参謀本部第3部米国局やその下の61398部隊といったところで、令計劃とこの種の核心的機密は接触はありません。経済方面では大した秘密もありますまい。分析のエキスパートにいわせれば公開データが十分にあるといいます。文化方面では中共がいかにメディアをコントロールしようとも価値はたいしたことはなく、令計劃だってそんなものを集めなかったでしょう。ですから、主要なものといえば対外宣伝方面のデータでしょうが、そのなかでもメディアの名称などは重要ではありません。メディアの文章というのはそれ自体が自分の帰属を表明しているわけで、あったとしてもたぶんいくつかの西側国家の中国語メディアや大学、研究機関の協力者や協力にかんするものでしょう。政治方面では「ブラックボックス」のなかで政策がきめられる過程や、各トップレベルの政治家の家庭の秘密に関する資料でそこにはいかにして財産を築いたかも含まれるでしょうが、そのうちの少なからぬ部分はすでに噂となってネットに流れています。

    というわけで私は令完成は確かに「中国のもっと殺傷力のある逃亡者」だとしてもスノーデン事件が米国に及ぼした破壊力にくらべるととてもくらべものにならないとおもいます。令完成がもちだした機密文書は総体的にいえば、中国政府の「体面」にはかかわるものでしょう。中国ではこうした「体面」に関するデータはみな「国家の安全」という範疇にいれられています。しかしスノーデンのもたらしたデータは米国のネットの安全を破壊したのです。当時、米国の安全部門の役人は「スノーデンは米国のネットワークの安全に巨大な危険をもたらし、再建には途方もない金がかかった、といいました。この点はのちに事実となったことでもあきらかで、もともと中国のハッカーは米国から多くのデータを盗み出していましたが、スノーデン事件以後は「自分の庭を自由に往来する」ように盗み放題で、数百万人にのぼる連邦職員のデータもみな盗まれてしまいました。

    《令完成はいかに結末をつけるのか?》

    令完成がいかに自分の人生のストーリーを完成するのかという鍵は彼自身にあるのではなく、米国の態度と中米関係にあります。この点は傅才德も記事のなかで書いていることなので、ここでは私の見方を述べます。

    令完成のもちだした情報価値はスノーデンより低いとはいえ、王立軍(*薄熙来の部下)よりははるかに高いでしょう。なにしろ自分が米国にいるのですから、中国内の米国領事館にいるのとはまるでちがいます。しかし、米国も中国もこの方面で実りのないことがわかっている泥仕合をするわけにもいきません。いわゆる「情報」とが米国側に漏れたか否か、ということは北京は自分たちがスノーデンのもたらした無数の機密資料にどう対処したかを考えてみれば、米国がいかに令完成の手にある数千の機密文献を扱うかということは想像がつくでしょう。

    しかしワシントンは畢竟、北京のようにスノーデンを利用するだけしてそのあとは”人道的”にロシアにほうりだすというようなことはできません。令完成が中国に帰国させられたときに待ち受ける運命はスノーデンが米国でうける裁判どころではないわけで、米国としては人道的な出発点からもそうした悲惨な運命に令完成をまかせることはしないでしょう。

    8月5日の記者会見でホワイトハウスは令完成が米国に身を隠していることに関して「米国は逃亡者の庇護場所ではないし、いかなる国の汚職摘発行為を妨げるつもりもない。米国は汚職摘発の方面では国際的な指導的役割を演じており、我々は世界の仲間と協力して汚職摘発を行う」と。この談話は事実上、ボールを北京に投げ返したわけで、その意味は「貴国が十分、令完成は腐敗分子だということを法的に証明するに足る資料をだせば米国は令完成の送還に協力する」ということです。

    しかし、令完成は官僚ではありません。ビジネスマンです。一ビジネスマンが富を築くにあたって汚職にかかわるとしたら賄賂を送る側になるしかありません。そして令完成のかつての身分からするとそんなことをしなくても各種の特権は得られたはずです。ですから中国側にとって令完成の有罪を立証するのは、先に逮捕しておいてあとで罪をでっちあげる中国ならどんな罪名をつけるのも簡単なことです。しかし西側ではあきらかにちがいます。最近、カナダで、中国の「世界指名手配100人」の一人である程慕陽の引き渡しが連邦裁判所で証拠不十分だとされたのが良い例です。

    しかし、令完成は今後米国で「余生を過ごす」しかありません。財産があるので他の一般移民のような苦労はしないですむでしょうが、中共政府が存在する限り、彼もまた前国家安全局の高官・俞强声(*1986年米国逃亡、消息不明。消された説もある。第18期中国共産党中央政治局常務委員・兪正声の兄)の教訓をくみとり自らの行方を隠すでしょう。ですから彼は通常の暮らしをすることはできず、かといって中国でブイブイ言わせていたような人生も今後はおくれません。かつて中国ビジネス界を縦横無尽にいきていた令完成は米国で寂しい隠居生活を送るわけで、それなら多かれ少なかれ「自由を失っている」とは言えるかもしれません。(終)

    節約御免
    原文は;令完成将如何“完成”他的故事?http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-lingwancheng-20150805/2903640.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

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