• 騎虎の勢いの株市場救助に向かって、虎の背中からどうやっておりる? 

    by  • September 5, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年7月24日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/DwDic

    7月初め、北京のトップ層は断固として株式市場の救出に動き、中国株式市場は世界の奇観を呈しました。わずか3%の上場会社株が取引されたのに4500ポイントの目標に到達せず、しかし数日のうちに指数は3900から4000ポイントの間になんとか維持されました。そしていま、政府はついに株式市場を救うのに騎虎の勢いとなってから、これを正常化させるのは大変厄介な問題だと気がついたのでした。

    《”国家部隊”が手を引きそうになると各種株式指数は全部暴落へ》

    今回、株式市場を救った主役は中国の証券金融企業です。中国メディアによると、証券金融会社の資金は1.3兆元で、二つの部分があり、ひとつは21の証券会社が2015年6月末に純資産15%を出資し、これが合計1280億元。もうひとつは証券会社が銀行システムからゲットした資金で、「財経」雑誌のインタビューによると「事情通」はこの部分の資金は1兆元を超えるといいます。それでもこの資金額ですとブルムバーグの推定規模の5000億米ドル(3兆余人民元)よりあきらかにはるかに低い数字です。

    外資が二の足を踏むことで、株式市場は「羅漢さん回しゲーム」をやる資金が十分でなく、命を受けた”国家株式市場救援部隊”は危機に臨み命がけで資金をつぎ込み株式市場を支えましたが、もうかなり長く留まっていたのでこれからいかに安全に撤退するかを考えています。で、7月20日、中国改革ネットが「証券管理者がいかに流通市場から救済資金を引き揚げるかを考えている」というニュースをながしました。すると市場は直ちに強烈な反応をしめし、午前10時半、市場が高値をつけていたときに突然、暴落し大引けまでずっとそれがつづき、複数の指数も朝の高値を回復することはありませんでした。午後になって証券監督管理委員会がこの噂を否定したので、連続して下落することにはなりませんでしたが、市場の熱気は大幅に下がりました。ですから、政府の救済資金がもしすぐに撤退するなら、中国株市場はまた値下がりして、この前の救済努力が無に帰してしまうことが予想されます。

    中国国内の大多数の個人投資家は今年の株式市場で惨敗を喫しており、一説には今回の暴落で60万人の中産階級が消滅したといわれます。それでもひきつづき多くの一山当てようとする人たちはいますが、しかし市場の内外で規制がかかっており、自分たちの麗しい夢を実現するのは困難です。大規模な受け皿がないということは政府資金は手を引くわけにはいきません。株式市場救済の資金が「虜囚」になって動かせないようになるというのは、今回の株式市場救済の計画した人たちは予期していたのでしょうか?

    《無理やり救済の三大後遺症》

    中国政府が株市場を救済したやり方は国際金融市場のゲームの規則とは大違いでしたから、その結果中国には以下の3大後遺症が残りました。

    第一に、A株がMSCI指数の対象として認められるかどうかに直接影響します。ロイターは4月末に、モルガン・スタンレー社がつくる新興市場指数でインタビューしたときには前世界規模のMSCI指数を指標とする創始金額は1.7兆ドルあるとして、もし中国A株がその対象となれば、4000億ドルの資金が流れ込んでくると見積もりました。6月には中国A株は指数の対象にはならないという決定がだされましたが、しかし数年後には必然的に対象となるだろう、とも言わました。しかし、今回の政府による株市場救済後によって、多くの外国の機関投資家の見方はいささか変わってしまいました。彼らは中国株の急騰以後の大規模な取引停止や空売り禁止のやり方が深刻に中国の信用を傷つけ、中国A株は事実上、もう投資してはならない市場だということになったのです。

    資産管理会社のGAMの投資総合マネジャーのミッチェル・レイはファイ何シャルタイムズに対して「過去数週間に起きたことは多くの投資家にまざまざと中国は政府の政策によって動かされる市場だと注意を喚起した」と語り、人民元を上海、深圳の量株式市場のMSCI指数の対象とする予定を2016年2017年に延期する決定をしました。

    第二にはWTOが中国を「市場経済国家」と認定するのに影響を与える可能性です。WTOに2001年に加盟して以来、中国は「非市場経済国家」とされて、その期間は15年でした。中国政府はこのレッテルが気に入らず、根気強く一国、一国と説得に努力してきました。その甲斐あって、加盟10周年には世界のうちロシア、ブラジル、ニュージーランド、スイス、オーストラリアを含む81か国が中国の市場経済の地位を認めました。この「成績表」を大いに割り引いてみているのが米国、日本や欧州連合など世界の4分の3をしめる「高収入国家」で、中国の市場経済の地位を認めていません。しかし中国政府はWTOの規定によって2016年になれば中国は自動的に市場経済国家となれるのでそんなことはおかまいなしでした。しかし、今回の株式市場救済は実に「市場化」とは程遠いものでした。来年、WTOが関連討議を行うに際しては米国、日本、欧州連合各国が無理やりハエを飲み込むように目をつぶらない限り、「自動的に市場経済の地位を獲得」するのは難しいでしょう。

    第三は人民減の国際化の進展が危ぶまれます。 WTOのいわゆる「市場経済の地位」に比べて、人民元の国際化の進捗に障害となるというのは中国政府の管理層に対してもっと心配なことです。なぜならIMFは今年の末に特別引出権、(*SDR;加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産。 SDRの価値は主要4大国・地域の国際通貨バスケットに基づいて決められ、自由利用可能通貨との交換が可能)に関して五年に一度の見直しをおこない、人民元がIMFが認める世界的な準備通貨として認可するか否かをこの会議で決めるのです。この機会を逸するとまた5年後になります。もし中国経済が5年以内にまた何か予想外のことがおきると人民元が国際準備通貨になるチャンスは永久にうしなわれかねません。

    7月18日、2015年国際通貨フォーラムが北京で開催され、IMFの首席駐中国代表のアルフレッド・シプケはSDRのバスケットに入るためには少なくとも4つの次元の評価があり、通貨がある国の輸出における扉のような働きをするかどうかの他に、自由に使える通貨か、将来それにふさわしい借款を提供できるかの他に、北京が一番自信に欠ける「IMFによる一連のシステムチェックの指標に関して、IMFメンバーがきて評価する」という項目があります。

    中国金融業のトップ層は上述の基準についてしっかりわかっております。ですから、今回、中央銀行、銀行、証券、保険の監督管理委員会、国有資産監督管理委員会、証券会社などの各機構が政府の命令で連動して株式市場救助をおこなったあと、「A株の強引な救助は人民元の国際化をダメにする」と承知しており、今回の「救出株市場」が中国資本市場の弱点、すなわちマーケットの透明度と安定性がまったくないことを暴露してしまったので「政府の株式市場への干渉は政府の深度と流動性ある金融市場づくりへの努力をだいなしにし、人民元を準備通貨にしようと努力してきた管理者レベルの努力を無にした」といわれています。

    ブルムバークは人民元がIMF準備通貨になるためにはさらに開放的になり、使用上の制限が減らされなければ、と指摘していました。しかし今回の株式市場救済措置は、新規株上場(IPO)を暫時停止し、中央企業が持ち株を増やし、企業のトップ層は6ヶ月間株売買禁止するなど、すべてが国家がいかに市場に対して力を振るえるかということをまざまざとみせつけました。中国政府に対して一貫して比較的好意的だった米国の全財務長官ポールソンは今回の中国の株式市場救済措置については批判的で、中国は発達した経済体だが、「資本の配分がおかしく、価格が不当な封鎖的な金融体系」だとして、中国がまだ完成していない金融改革を継続するように望んでいます。

    最後に一つ回答を要する問題があります。後遺症がこれほど大きいにもかかわらず、中国のトップ層はどのような思惑で株式市場救済にのりだしたのでしょうか?

    外国のチャイナウォッチャーは中国政府の市場救済は完全にやりすぎだとみています。ファイナンシャルタイムズは「株式市場総合病にご用心」という一文で「株式市場は中国国内での金融では小さな役割しかもっていない。中国の株式市場の市場価値はそのGDPの三分の一である。これは多くの発展した国家では100%を超えている」と分析しています。

    しかしこの論者は、他の発展した国々の株式市場は開放的であり、とりわけ米国では世界中の国々の資本がウォール街やナスダックに様々な方法で出たり入ったりしているのに対して、中国のそれは自国資金であり外資は4%しかないのです。ですから、中国の株式市場が自国の経済に与える影響たるや他国の株式市場のそれよりはるかに大きいのです。さらに重要なことは一国の経済の「アキレス腱」はいったいどこにあるのか?ということを内部の人々は外部の観察者よりはっきりわかっています。

    中国ではいまあらゆる産業部門が不況に苦しんでおり、株式市場だけが繁栄しているのです。中国政府が銭金を惜しまず株式市場を「値上げ相場」にしたのは、まさに銀行の不良債権を消して苦境から脱出させ、地方債務を減らすなどすべてを中国株式市場に押し付けているのです。だから6月の株下落で救済にはいったまま資金を引き上げられずにいるのは国家株買支え部隊なのです。ですから株式の値下がりが中国経済に深刻な影響を与えるのを軽視してはなりません。

    中国内のある論者は政府の株市場救済を弁護して、もし援助の手をさしのべなければ、それは農民が春の植え付けの前に牛を屠ってしまうようなものだ、といいました。この話はつまり「今、株式市場を助ければ、明日にも(*悪い)影響はでるかもしれない。しかし救わなければ今日、おしまいになる」で、今日がなければ明日は当然ないのです。

    さらに言えば、習近平・李克强体制がもうすぐ三年になりますが、高層指導者レベルの争い、反腐敗で傷ついた内部の人間はあまたおり、いつか習近平が失敗するのを心待ちにしている者も実に多いのです。このような状況のもとで、株式市場はいったんことがおこれば全身の命取りになる可能性があります。コトが国家や中共の運命、指導者自らの運命にかかわるとなれば救わないわけにはいきませんでしょう?これが株式市場を救うというのは「トラの背中に乗るようなもので乗るのは簡単だが降りるのは大変だ」とわかってはいても、歯を食いしばってガンバらねばならかった理由です。その利害関係というものは中国国内のウォッチャーにははっきりわかっていますが、外人のウォッチャーからみると茫漠としてみえにくいのでしょうね。(終)

    拙訳御免。
    何清漣氏の原文は; 政府救市成骑虎 虎背易上却难下 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-china-stock-market-20150723/2876585.html
    何清漣氏のこれまでの論考日本語訳は;http://heqinglian.net/japanese/

     

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