• 中国政府の”財布防衛戦

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年9月6日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/kMWic
    世界は中国政府が株式市場防衛戦を闘ってることは知っていますが、少数の人だけが知っているのは別の事実。8月から主戦場は株市場ではなく外国為替市場に移り、経済犯罪は「悪意ある空売り」より「悪意ある外貨稼ぎ」となりました。そして「敵」は”外部勢力”ではなく、中共政府と「皮と毛のように」一体の関係にある政権内部の紅色貴族、官僚、ビジネス界の富豪たちなのです。

    ★政府のお財布のお金がドンドン流出へ

    中国政府が世界で広く歓迎されている理由はパンパンに膨らんだ財布を握っているから、つまり外貨準備です。このお金は別に中国政府の資産というわけではなく、中央銀行が外国為替制度を利用して、中国の外国企業や外国貿易企業、そして各種の外国為替所持機関、個人口座から”借りてきた”ものです。しかし長い間にわたって低コストで借用できてきたところから、中国政府も外国投資者も、中国人の絶対多数の人々もこのお金は中国政府の資産であり「中国の民間財産だ」と思うようになりました。かつて、誰かが「外貨準備金を平等に全中国人民にわけよ」と主張したことがあって、中央銀行の周小川総裁はしかたなく「外貨準備のお金というのは一銭のこらずみな中央銀行の負債なのです」とわざわざ説明したのですが、誰も信じようとはしませんでした。

    いま、この「貸借関係」がやっかいなことになっています。というのは貸方である様々な”神々”が中国の形勢を芳しからずとみているからです。6月の中国政府の強力な「株式市場救済」から、神々は現政権が肝心な時には”英雄的本質”を発揮してマーケットのルールに従わないんだ、ということを発見してしまいました。そして”期せずして一致した行動をとる”で外貨市場でドルを買い始め「貸金を回収」しはじめたのでした。かくて中央銀行のお財布の中の米ドルは奔流のように外部に流出し始め外貨準備が急速に細りだしたのです。

    正常な状況のもとでは中国の外国為替は毎日100億米ドルを上下するぐらいで、2014年6月の中国の外貨準備高は3.99兆米ドルでしたが、今年の7月末にはこの外貨資産はすでに3.69兆米ドルになり、3000億ドル減りました。今年の8月11日以後は、外国為替市場の売買高はずっと毎日300億米ドル以上です。8月下旬の三日間の記録は仰天もので;8月26日489.87億ドル、8月27日385億ドル、8月28日は512億ドルになりました。

    もしこのような快速で流出することが常態となれば中央銀行は外貨枯渇常態に直面し、通貨流動性を緩和することはできません。続いておこることは資金で支えられている株式市場は資金ショートに直面し、不動産バブルも崩壊してしまいます。そのような破局を回避するために、中央銀行はやむをえず各種の方式で資金流出を減らそうとしています。一方で市場に人民元を注ぎ込み、市場の流動性を保証し、もう一方で人民元の為替レートを維持するために大量の米ドルで人民元を購入することを迫られています。政府のブレーンたちはさらになんとかさまざまな方法で何度を増す外国為替換算に知恵をしぼる羽目になっています。

    9月1日、中国中央銀行は投資家が人民元の空売りをするコストを増やすために外国為替の先物取引に付加条件をつけることを宣言しました。客のために新たに長期先物取引をする金融機関が中央銀行に収める外国為替危険準備金を積み増しすることにして、準備金を20%にし、凍結期間を一年間としたのです。この規定は10月15日に発効します。この規定は事実上、空売りをするものは8:1の比率で米ドルを買うということになります。

    メディアが中国銀行、中国資本銀行の幹部連の言葉として伝えたところによると、中信銀行をふくむ一部の大型中国資金金融機関はいま、企業顧客に対しての大口為替取引の内部審査を強化しています。同時に中国金融監督機関と執行部門は違法な手段で他人の資金を海外に逃がす代理機関に対して全力で打撃を与えようとしています。
    以上、すべての措置は金融危機防止のためです。

    ★貸方の神々は「反腐敗」にビクビクの恐怖症

    中国政府が外貨流出をコントロールしようとするには自ずとひとつの論理があります。政府から見ればこうして借りているお金は「貸方」であるそれぞれの”神々”の財布に属するものではありますが、正真正銘の外国人を除いて、その他の「貸し主」たちはみんな中国政府とどこかでしっかり骨肉のようにくっついていて、中国政府という巨大な樹があってはじめて今日のような大儲けができたんじゃないか、ということです。国営企業の経営者、民間の企業か、そして汚職でたんまりもうけた官僚…みんなわが政府が片目をつぶってみてみないふりをしたからこそ、今日のように肥え太ったんじゃないのか?これまで我々政府の懐がいっぱいだったときには外国為替以上の上流に一銭も使わなかったくせに、いま国家経済がピンチになったとたんにおまえら、自分の足の裏に油を塗ってこっそり逃げ出そうというのか?そんなことはさせないぞ!、というわけです。

    しかし、貸方のさまざまな”神々”たちにも自分たちの論理があります。現在、中国経済情勢はますます楽観を許されないようになっており、さらに「反腐敗キャンペーン」はかれらを不安にしています。外国資本は中国への投資はもう儲からないとみており、いま撤退しなかったらいつするんだ?というわけです。余裕を持って撤退の連中は粛々と、持ち出すものはもうしっかり持ち出してしまっており、残っているのはちょっとした機械類と借りていた工場や建物で、いずれ折を見て人減らしや解散を言えばいいのですが、そうした外資は去年減った3000億米ドルの十分の一ぐらいで、これは外貨準備高の減少の主要な原因ではないでしょう。

    外貨準備高を激減させているのは、中国政府と「皮と毛の如く一体の関係」である国営企業の高級管理職、汚職官僚、そして民間企業部門の人々です。彼らが資産を転移させるにはそれぞれ自分で儲かるソロバンを弾いています。

    汚職官僚は習近平王の反腐敗キャンペーンに死ぬほど怯えて恨んでいる、といえます。逃げ出したくてもパスポートは”上納”させられており、税関の監視も厳しく容易ではありません。ですから、せめて資産だけでも外国に移したいのです。地下銀行の多くはこうした人々の商売です。国営企業の高級幹部も反腐敗キャンペーンには汚職官僚と同様、憎みかつ怯えていますが、しかしお金を動かすルートはもっとたくさんもっております。特に巨大国営企業はとっくに沢山の海外支店を開いていますし、こうした機関の腹心たちははやくから、ご主人様の財産を海外移転させる任務を帯びているのです。

    中国民営企業の起業家たちも、制度環境がそうですから大多数は「政商結託」の道を歩んでいます。彼らの財産は市場からきたものではありますが、市場からであれ、経営からであれどのみち権力のお世話になっていたわけです。

    山西省の政商関係はこうした資源産出地区の典型で、石炭産業は政府のコントロール下にあるわけですから、あくどい権力を利用した金儲けができる余地はやまほどあり、政府が経営の決定権を持ち、何度もおこなわれた石炭改革も行政権力の強制介入でした。私営鉱山経営者として採掘権をえたければ「白い手袋のお役人」と仲良く互恵関係を結ぶしかありません。ですから山西省の金持ち商人たちが2014年の反腐敗キャンペーンで(*令計劃関連の摘発)倒壊したケースは特別多かったのでした。《山西政商的灰色朋友圈:培养了一批巨富煤老板(山西省の政商灰色交友圏;生み出された巨富の炭鉱経営者たち)》という記事には大変率直に;失脚した役人一人の背後にはすべて一群の経営者が関係しており、つかまった経営者一人にはそれぞれ大量の役人がくっついていた」というわけです。

    周永康事件に関連してひっかかったケースは周の役人時代の経歴にそっていたるところにありました。四川省では彼に抜擢された省部(大臣級)級の高官であった李春城、郭永祥、李崇禧が失脚し、道連れになって入獄した四川のビジネスマンはやまほどいます。漢龍集団の理事長だった劉漢の他、戴晓明、汪俊林、张俊、邓鸿、李广元、吴兵ら十数人はすべて大変、地元では影響力のあった金持ちのビジネスマンでした。

    山西省の商人や四川省の商人の政商関係というのはおよそ中国の民営企業と政府の役人の関係の縮図であり、彼らが全滅したことはあらゆる中国の金持ち商人たちをふるえあがらせ、自分たちの資産をなんとか外国にうつしたいという願いを大いに刺激したのでした。

    ★猿大王は猿山から逃げ出す子分たちをなんとか止められるか?

    中国政府は絶対に今回の財布防衛戦に勝利して海外への外貨流出を減らさなければなりません。もし2015年の中国の外貨準備がこのまま3000億~4000億元流出し続けたならば、中国経済は深刻な資金流出に直面し、人民元の価値下落、中国国内の貨幣供給量へも影響して、政府の経済刺激能力も大々的に低下してしまいます。

    しかし、中国政府はせいぜい達成できたとしても目的の半分程度まででしょう。これまでの経験からみて、政府がいかなる制限を行ってもなんとかできるのはせいぜい一部の人間だけです。資金移転のパイプを熟知する”成功者”たちからすれば政府の制限をかいくぐることなど全然難しくないのです。

    多くのメディアも資金移転の各種の方法を紹介してきました。その中でも一番よくみるのは留学プロジェクトです。中国の留学仲介機関の半分以上は地下銀行に別の会社を持っており、外国に資金を送金するのはその日常業務です。二つ目は企業の海外支店部門に送金することです。中国の企業は海外に数百万の支店をもっており、これらの支店を送金に使えます。第三は偽の合資企業をつくることで、すくなからぬ企業が虚構の外国との合併会社をつくり利潤を海外投資としています。4番目は銀行の虚構の業務で違法に送金してしまう方法です。この4種類のサービスの中ですくなくとも4割は実際にはおこなわれていないサービスでただうそっぱちの計画で資金を移転するためのものです。

    一部の外国メディアは、外貨の大量流出は「中国外国為替管理局、銀行監査会、および他の監督機関がほとんどこうした資金流出の規模がどれぐらいかということを認識しないうちに」起こったとみています。

    私はそうではなく、外国為替管理局や銀行間界、その他の機関の役人たちはみなぞれぞれの子供達を海外に留学させており、家もあるのでこうした外国への資金移転のパイプを利用する必要があるので、当然、真面目に監査しようとせず、監査の盲点になっている、というものです。

    昔の国共内戦時に、国民党が共産党に敗れた原因のひとつにすくなからぬ中共党員が国民党の心臓部に潜入して戦っていた、という事実があります。例えば金元券改革(*国民党が戦争末期に出した紙幣で不評、中共勝利の一因と言われる)のアイデアをだした中京スパイの経済学者・冀朝鼎は周恩来の直接指揮下にありました。 また、長期にわたって蒋介石に重用されていた国防部参謀次長のの劉斐、作戦部長の郭汝隗もいます。今、政府が頼りにしている金融監督関係の役人の大部分はその財産を外国に移転する必要があるわけで、その影響はかつての中共が国民党の奥の院で果たしていた役割と似ています。

    中共というこの巨大な樹はまだ倒れませんし、この樹の実を食べる猿の家来たちは懐にその果実を抱え込んで、機会をみて他の樹々に移って別のカマドをたてようとしています。それを監視する猿王とその助手たちには2つの目玉と4本の手足しかありませんから、すべての猿の子分たちを見張りきれません。さらにしんどいのはちょっと目を離すと、たちまち猿の子分たちは前任の猿王の”寛容と慈悲”を懐かしがり、口をそろえて現役の猿王の暴政を口々になじりはじめることです。(終)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:中国政府的“钱袋保卫战” http://www.voachinese.com/content/voa-qinglian-he-20150905/2949718.html

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