• WTOからTPPー中共は「世界と軌を一つに」から「世界の孤児」型へ

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年10月12日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/r2mjc

    TPPが中国を仲間はずれにしたというのが大変中国人を刺激しています。中国政府はずっとTPPは米国の中国に対する陰謀だと宣伝してきましたから、この布石はしっかりと発酵期間を経て、TPP協議が基本合意に達した後は政府が前面で宣伝しないでも中国内の各界はしっかり強烈に反応しました。その唯一の共通点は中国が孤立化するという点です。でも、孤立した原因と結果についての見方は色々異なっています。これは中国人が自国と外の関係をどう認識しているかという点で外国人の理解に大変役立つでしょう。

    *意見A;中国は国際ルールを守らずに孤立化、唯一の出口は「世界と共に」。

    この種の意見の持ち主は、中国がWTOに加入してからの十数年、数々のルール違反を重ねたおかげで他のメンバー各国が中国に嫌気がさしており、だから米国などが中国を除いた別の経済組織を作ろうとしたということを認めています。ただその結果がどの程度深刻かという点では判断は三種類に分かれます。

    「中国経済はこれで衰える、最後には中共政治が動揺するだろう」という意見は海外の中国政府にプロテストするサイトでよくみられます。国内の人士はTPPが引き起こす危機感を借りて「逆に改革をせまられる」ことを願っているのですね。

    この「逆改革必至論」は財新ネット10月8日の「TPPは『経済のNATO』ではない。次の加入は早くても2017年」という記事が代表的です。これは米国戦略・国際研究センター(CSIS;Center for Strategic and International Studies)政治経済プロジェクト主任で前ホワイトハウスメンバーのMatthew Goodmanへのインタビューでこの種の「逆改革必至論」を示しています。主な観点としては「TPPは内政への浸透性を持っており、もし加入しようとするなら中国は国内改革を推進し、競争力をたかめる必要がある」というものです。そして「TPP交渉参加国には市場開放が不十分な国家、例えばベトナムのように少なからぬ例外条項のある国があって、条件を完成させるには予定された以上の時間があたえられた。もし中国が加入を希望するならこれも予定外の時間をあたえられるべきだ。これには中国には4つの選択肢があって①長期的視野からTPP参加を準備する。②地域全面経済協定(RCEP)を推進する。③米中双務投資協定(BIT)協議を加速する。④アジア太平洋自由貿易区(FTAAP)協議を加速する」と。財新のこの記事の意図は「TPP加入によって中国に逆に改革を迫る」ということです。

    ブルムバーグ・ニュースは10月7日に「TPPが落ち着くところに落ち着いたら、中国は追随しか選択肢がなくなる」という記事をのせました。この「追随」は「逆に改革を迫られる」という別の表現です。この記事だと、TPPは貿易自由化の目標以外に、サービス貿易、知的所有権、環境保護、労働者への基準・中立などの内容をふくみます。中国はWTO加入後何年もたちましたが、こうした目標を実現するすべをもちません。ですから、中国がこうしたことを短期的にみれば受け入れるのはたしかに困難です。同記事は「これは『陰謀論』ではない、として「WTO加入以前、中国は『陰謀論』で中国をこまらせるためだといっていたが、今回もそうだろう。違うところは追随しようという声は弱く、対抗しようという声が強い。しかし、前者以外の道がないことをはっきり認識すべきだ」としています。

    以上はどちらも正論で、杨鹏らが編者となった「TPP概要;歴史の局面変化に動かされる」は危機を論ずるほうにやや重点を置きすぎていますが、しかしやはり中国が危機に際してそれによって改革推進をせまられるだろうと希望をもっており、その理由はTPPの条項の最終目標は中国の進歩を促進するものだからです。

    *意見B TPPは米国の作った資本主義帝国の陰謀で、中国は引き続き「クソ壺かき回し棒」でいくべきだ。

    この種の意見はTPPに溢れる敵意をもっており、「経済的NATO」で中国封じ込めを意図しているとみます。この意見の持ち主は「investor-state dispute settlement, ISDS」(投資家対国家の紛争解決機構)に対して大変批判的で、ISDS機構というのはつまり批准国が多国籍企業にさらに大きな権力を持たせるものだとし、それが条約締結国の政府の法律や政策の変化に損失や補償要求をもたらしかねないがゆえに、多国籍企業の利益を極大に拡大するものだとしています。この原則はTPPの最も効力の強い機構で、その最大の受益者は米国だ、と。

    「wikiリークスが暴露した仰天の秘密」がこの種の論調の代表的なものです。作者は米国が自ら先頭にたってやるのは中米貿易で米国側に巨額の赤字がでているからだといいます。作者はウィキリークスの創始者のアサンジが今年早く「バラした秘密」を引用して、TPPとWTOの最大の違いは「それがカバーする範囲の広さでも、協力レベルが一層深いことでも、ましてや関税が低くなることでもなく、多国籍企業がどのような法的監督下にあるべきか、ということこそ最も肝心な問題であり、主権国家の法律がTPPの協定精神だ」(国家主権の防壁を打破し、主権国家と自国の多国籍企業がトラブルを起こした時はニューヨークの調停裁判所にのみ訴えることができる)としています。

    アサンジは取材に答えて「TPPが論じているのは自由貿易なんかではなく、多国籍企業統治なのだ。一旦この法案が米国下院を通過し、かつメンバー国の議会の同意を得たならば米国を含む各国のメンバーの法律は全部、TPP協定精神の下にはいってしまって、ニューヨーク裁判所が全世界の最高裁判所になる」としています。作者はこれを引用敷衍して、米国の今回の狙いは各国に「主権を売り渡させる」ことが狙いで、「各国で抗議の声が波のようにおきている」とし、「このようにTPPははっきりと中国を孤立させようとするもので、中国がそんなものにかかわっていられようか?多国籍企業がきめたルールが国家主権を超越するなどいうことは売国である!」とし、作者はTPPが中国を仲間はずれにしたという本当の問題を「主権売り渡し」の話にして、「中国はこのような『バーチャルなテーマに加わってはならない」としたうえで、「いかにひとつひとつをぶっこわしていくか」について原則的な指導を助言しています。

    鄭永年(シンガポール国立大学アジア研究所長)は「TPPは新たな全世界的な資本統治帝国をもたらす」という一文で、現在形成されつつあるTPPは事実上、一種の主権国家を超越した資本運営方式であると考えています。その資本帝国は従来の資本グローバル化とは違って、一層高次元の資本帝国であり民族国家を超越した存在であり、民族国家の影響をうけず、あるいは民族国家の影響から逃れる力を持った資本の帝国であるとしています。

    王江雨(シンガポール国立大学副教授)は「大中華自由貿易区から汎太平洋貿易協議」という長い講演で、TPPには二つの被害者がおり、ひとつは中国で、二つ目はWTOであるとしています。だから、中国は対応措置として積極的に多くの国々と多くの自由貿易協定を結び、中日韓の貿易協定の他に、中国はTPPにも参加して、その目的は俺たちはおまえのところに「クソ壺かき回し棒」となって高いものにつくようにしてやる。価格協議には賛成せず、できるだけ協議の時間を長引かせかきまわせ」と言っています。

    さらに「TPPを深く理解し、中国当局はいかに局面を打開するべきか」という文章も「かく乱戦法」を主張していますが、「クソ掻き回し棒」というような品のない表現は使わず、「TPPは決して破らなければならない牢獄のようなものではない」としつつ、ただ「Huband Spokes」(車輪車軸)の形をしたFTAのネットワークであることは銘記すべきだとしています。TPPは12の国々による構造で、中国の輸出は下降するかもしれないが、輸入はもっと減る、ということは多くの国々は中国の市場における分け前を失うわけだ。中国にしてみればTPPに加入しないでも、こうした国家と別々に似たような協議協定を結び、例えばオーストラリアやペルーなどと。同然、こうしたやり方は中国とこの二つの国家に限るわけで、オーストラリアとペルーの間には同様の関係はうまれないから、自転車のスポークのようなものになり、中国はその車軸になってそのまわりに山のように署名した国々が取り囲む、こうした構造が車軸-車輪型のFTAのネットワークになる」としています。

    これらの論考はみな正論とはいえません。中国がWTOに加入して規則のゆるやかな点や穴をさがして、世界中のまともな国々からうんざりされて、TPPが中国を仲間はずれにした、という事実をこれらの人々はまったく検討しようとせず、かえって中国が今後も「クソ掻き回し棒」となることを希望しています。長い目で見ればこれは中華民族の前途を失わしめるということです。

    *「チャイナドリーム」の実現化?「世界の孤児」になるか?

    表面的にはTPPというのはただの経済組織で自由貿易を論じ、完全を免除して新しいルールをつくろうというものですが、実際にはこれは米国が自分たちの価値観をしっかり守ろうというものです。オバマ大統領が語ったように「95%の潜在顧客が暮らす私たちの国境の外において、私たちは中国のような国家に全世界の経済ルールをきめさせることはできない。我々がこうした規則をきめるべきであって、米国の商品が新しいマーケットを開くと同時に、労働者と環境を守る高い水準をもうけるべきだ」と。TPPは「投資家ー政府のトラブルを解決する機構」というのはつまり政府の経済に干渉する権力を制限するということです。

    私が引用した「意見B」はたしかに中国政府にとって「痒いところに手が届く」ものです。「こうした政府の権力を制限しようとするTPPになんで俺たちが入らないといかんのだ。入ったとしてもそれはかきまわしてやるためのものにすぎない。なぜなら中国政府にとって権力は生命線であり、だからこそ何年もかかって一歩一歩、政府の経済干渉力を強めてきたのだから」(TPPはなぜ中国を仲間はずれに? 2015年10月7日 http://twishort.com/bIljc)ということです。

    中国政府は当然、TPPの各条項を研究し、米国の「平和的に中国を変えようとする新たな陰謀」にほかならなないと思い込んでいます。中共の習近平総書記は最早「世界と軌をいつにして歩んでいく」政策をきれいさっぱり終わらせて、「別のやり方で新しいカマドをつくる」という意図をいささかも隠していません。

    10月10日、北京大学で開かれた「世界マルクス主義大会」では2年に一度ひらく定例の会にするといい、10月9日には朝鮮労働党成立70周年記念祝賀活動に、劉雲山を招きに応じて派遣し金正恩と親書を交わしました。政府側の微信ネットの不完全な統計によると、これは18大会以来、習近平と金正恩の間にかわされた13回目の「相互連絡」だそうです。

    いま、”社会主義陣営”は僅かにいくつかの、表面は一緒だが中身は違う”昔からの兄弟”しかいません。キューバは米国と国交回復してしまい、ベトナムはTPPに”家出”してしまいましたから、兄貴分としての中国と弟分の北朝鮮がのこるだけで、”兄弟”はしっかり急いで「連絡」を取り合い、中国を世界のマルクス主義のあらたなセンターにしようと努力しようということです。「共産党のおいしい天下」を維持継続するためなら、「世界の孤児」になっても怖いものなんかありません。ましてやTPPにいれてもらえるかどうか、などは北京の眼中にはいささかの大事でもありません。(終)

    拙訳御免。
    原文は;从WTO到TPP:与国际接轨到当世界孤儿 http://www.voachinese.com/content/he-qinglian-from-wto-to-tpp-lonesomeness-defined/3001539.html

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