• シリア難民の与えた中国への”啓示”

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年9月14日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Lkcjc

    シリアの大量難民は続々と欧州に向かっており、はるかに欧州諸国の受け入れ能力を超えてしまいました。シリアの一幼児の不幸な死が引き起こした同情は現実の巨大な混乱の中で咲いた一輪の月下美人の花のようにはかないものです。日曜日にドイツ政府は姿勢を急旋回させ国境での検査を復活し、難民は自由に避難国家を選ぶことはならない、と声明をだし、これに続いてオーストリア、オランダ、チェコ、ハンガリーなどの国々も次々に国境検査を復活し、「欧州に国境はない」というEUの”欧州一体化”の夢はついに打ち砕かれてしまったのです。

    人類が「地球村」に突入した今日、シリア難民という巨大な蝶のはばたきが起こした風は、中国をもその中に巻き込んで未来を変えていく運命となるかもしれません。

    ★批判される中国の冷淡な態度

    NYタイムズ9月10日の「中国は移民危機に冷淡、西側の自業自得だという」という記事は中国がシリア難民に対して何もしようとせず冷淡な態度であることを二つの点で責めています。一つは中国は金を出そうとしない、他の国にくらべて2012年以来、中国がシリアの”内部動揺”に出したのはわずか1400万米ドルで、世界各国の組織がだした140億米ドルのうちわずか0.1%で第32位、日本にも及ばない(日本は第9位ですでに4.45億米ドルを拠出し、さらに2400億ドルを約束)。二つ目は多くの中国人がシリア人受け入れを婉曲に批判していること。そして香港自由新聞の報道の「中国人は中国は中東の混乱の責任を取る必要はないと思っており、多くの中国人は依然として貧しく生活も苦しい。さらに難民も中国に来たくないだろう」という記事を引用しています。

    この批判は理解できます。国際社会の大多数の人々は中国が現在、世界第二の経済大国であり、3兆ドル以上の外貨準備高をもっていることは知っていても、中国にはまだ多くの難民よりさらに悲惨な社会底辺層の人々がいることを知らないのです。私はただこの批判の中で当たっているのはひとつだけだとおもいます。

    それはこの批判で中国の経済援助が少なすぎる、という点です。中国政府はたしかにもっと多くのお金をだすことを考慮すべきです。今年、中国経済は右下がりで地方財政は困難で、民生費にも手が回りきらないとはいえ、軍事費のうちから数千万限をだすことは国際人道への配慮から当然なすべきことでしょう。

    この記事が的を得ていないとおもうのは批判が中国にシリア難民を受け入れさせようとしている点です。中国は世界人口最大の国で、2005年に早くも1.8億の生態難民が生まれており、そのうち1.5億人は行き場がない状態です。(これは時の環境保護部の潘岳副部長が2005年に「南風窓」の取材時に明らかにした数字です)。

    新疆ウィグル族の衝突と経済矛盾、就職差別、宗教信仰問題は新疆情勢を大変緊張させています。中国政府がシリア難民を受け入れたいと願ったとしても、その待遇を聞いたらおそらく難民のほうが逆に中国に来たがらないでしょう。中国は人口制限の計画出産育児政策をとっており、よしんば彼らに少数民族同様の優遇政策で第二子、第三子をうむ許可を与え、生活保護(最高の上海地区で毎月700元、約110米ドル)を支給したとしても、シリア難民の母国での生活状況、人権状況は中国での特別優遇制度よりはるかに良いものですから、難民は「中国にいくことこそが本当の苦難なんだ」と気がつくかもしれません。シリア難民は中産階級で子供は天の賜物であると信じており、強制された計画出産などという基準はなく、シリアのGDPは中国とは比べものにならないとはいえ、彼らの生活費は一ヶ月110米ドルなどということはありません。

    ですから、難民と中国政府や各民族の人民との矛盾がおきぬよう、また難民自身の福祉のために、中国は頑張ってお金をだしてそれでおしまいにしたほうがよろしいのです。中国人の中には「俺たちだって金はないよ」という人々がいるのは当然ですが、中国は大国でありやはりいささかの義務は尽くさねばなりませんし、難民の潮がこれほどの人道的な災難になっているときに少し多くのお金をだすことについては中国人も了解すると私は信じております。

    ★中国の難民の潮に関する世界の予想

    大量難民の発生についての予想にはすくなからぬ中国を主役とした想定があります。王力雄(*作家、1953年5月2日 〜)の有名な「黄禍」がその代表作で、中国で一旦内乱がおきたら、中国人は四方に流れ散り、各国がそれに耐えかねて「しらみ退治隊」をつくって対応する、というものです。中国人口は世界の5分の1をしめ、合法、非合法とも全世界にあまねく存在し、「太陽の照ところ華人の汗があり、月が照ところ華人の涙がある」といわれ、ずっと移民を歓迎してきたカナダやオーストラリアでもこの2年ほどで華人にたいする移民の敷居を高くしています。

    米国はずっと中国(政府)に「責任ある大国」となることを求めてきましたが、その意味は色々で、中国政府が人権面改善をやめないことや、社会内部の緊張を緩和すること、中国人の大量逃亡出国をさせて世界的な圧力とならないこと、などが「責任を負う」という内容の一部です。

    中国語の世界に伝わる笑えないお話は、鄧小平が米国を訪問したときに米国の大統領が中国の産児制限が人権にもとっているといったとき、鄧小平が「それなら私どもは毎年、あんたの国に数千万人の人口を差し上げたいのだがいかが?」と返したので米国大統領は黙ってしまった、というものです。

    この話は「カーター回顧録」ですが、すでに直されております。カーター回顧録の213ページには

    I outlined the ploblem with the most-favored -nation legislation that it would create an imbalance if we included his country and not the Soviet Union. Deng informed me that there was no equating China and the Soviet Union on emigration question,and added “if you want me to release ten million chinese to come to the United States,i’d be glad to do so.”And of course .everyone laughed.

    大意は;カーターが最恵国待遇(移民法案を含む)の話で中国に適用するとソ連が不満があるといったら、鄧小平は移民問題ではソ連と同じにする必要はない、といい「もしアメリカが望むならよろこんで1000万の中国人をアメリカによこすけど」といったらみな笑った。

    なにはともあれ、鄧小平のこの話は彼が大多数の国家が東南アジアの隣国で常にに中国人排斥のブームがくるという警告を理解し、中国人の大量進入を喜ばないということを知っていたということです。できるだけ中国人口が大量に外国にあふれでて世界を困らせるようなことのないように、世界各国がこれ以上いわないでもおわかりでしょうから、中国政府も頑張ってできるだけ中国人の出国の門を制限してくれ、という話です。しかし、今回のシリアの世界難民の潮流はアラブ世界によって幕開けされたのですが、中国を含む世界に対する影響はおおきなものがあります。

    ★中国政府と民間の反応

    シリア難民危機の中国への啓示は政府と民間で違います。「人民日報」の海外版に載った「米欧は難民潮流の根源を反省せよ」には政府側の考えが現れています。
    記事はリビアとシリアは「アラブの春」によって「国家滅亡」の境に落ち込んだ残酷で痛恨の教訓であるとし、「この種の悲劇が生まれるのは一部の原因はこうした国家の少数の”民主派”によって安定していた権威主義統治が覆されたからだ、と。その主な原因は米欧がチャンスをみて「政権交代」を行い、国外勢力が結託してこうした国家を破滅滅亡させ、中産階級を難民化したのである」とし、「難民の潮流は米欧国家に、自らの対外政策を反省し『己の欲せざる所を他に強制するなかれ』なのである」としています。中国を含む発展途上国家では「安定が一切に優先する」ということを十分理解し、「国家が強大であってこそ個人の幸せもあるのだ」という基本道理を深く理解すべきだ」としています。
    この話には二重の警告が含まれており、国民に対しては「権威主義統治は当然欠陥もあるが、しかしもし民主政治への要求を無理やりしたならば一番大きな可能性は国家が混乱してお前らは難民になっちまうぞ」といい、米欧国家に対しては、「もしお前らが中国をひっくり返そうなどとおもうなら、もっとすごい難民の津波が生まれて、どうしようもなくなるぞ」というものです。

    というこの話は、つまり中国当局はぜったいに民に権利を返して地方自治を通じて社会の安定をはかる民主政治をやるつもりはない、もし民間が民主を要求するならば玉も石もともに燃やして、互いに闘って共倒れになり、善も悪もいっしょくたに滅びてしまうぞ、ということです。

    民間の見方は「シリア中産階級の同じ轍を踏むなかれ」が代表的で、難民2015年1月から6月、地中海をへて欧州へ逃れようとした13.7万の難民のうち3分の1がシリアからだ指摘。そしてこれらシリアの難民は以前は政府公務員、エンジニア、医師、企業や店舗の経営者などの中産階級か、ときにはそれ以上の地位にいた人々だとして、そこから中国の中産階級に警告します。

    「シリアの中産階級は自分たちがいる場所が上は統治の中心、下は貧苦にあえぐ庶民の真ん中で国家と社会の安全、安定した中流階級はその柱であり、エリートで民族の未来の希望だとおもっていた。しかし彼らは下層の苦しむ庶民たちの訴えには無関心で、いかに中産階級として専制にくっついて甘い汁を吸おうとしてアサドにくっついて変革などしようとはおもわなかった。そしてついに”アラブの春”の後、自分たちはは屁のようなもので、どっちつかずであることを発見し、悲惨な境遇になって難民になったのだ」と。

    この文章が示唆する色彩は強烈すぎるものがあるので、すが、私はこれがどれぐらいシリアの中産階級の実情を反映したものかは知りません。しかしこの文章が中国の中産階級に対して風刺して叱咤しているということはまず間違いないでしょう。文章の趣旨はつまり、「中国の中産階級よ、おまえたちが立ち上がらないなら、シリアの中産階級のように難民になり下がるぞ」というものです。

    政府側の警告には中産階級があげられて、民間の警告のなかにも中産階級が嘲笑の対象とされています。しかし、中国の中産階級は実のところ大変弱い存在で、こうした責任を負う力はありません。専制政府と新プロレタリアートの巨大な矛盾の挟撃にあって、沈黙するか移民するしかないというのが大多数の中産者の現実的選択です。
    今年の中国の資本の海外流出は非常に深刻なもので、今回、シリアの難民の潮が発生したことは、移民できる条件のある中国の有産階級にとって逃げ出すのを早めるだけでしょう。(終)

    拙訳御免。
    何清漣さんの原文は;叙利亚难民潮的中国“启示 http://www.voachinese.com/content/voa-qinglian-he-20150914/2964136.html

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