• 中米「喧嘩しても決裂せずー経済協力がキモ」

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年9月25日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/Chgjc

    習近平の2015年の訪米はこれまでの中国の指導者の訪米とはちょっと違います。重要な舞台はシアトルにおかれました。この予定は実は現在の中米関係の本質に対するキモさえおさえればあとはどうにでもなる、という中国側の知恵の表れです。

    ★経済協力はなぜ「キモ」なのか?

    米国でホワイトハウスの政策に影響を与える存在は少なくとも3つあります。

    ひとつは両国経済関係を優先して考える財務省と商務省(これを支えるのは米国の金融界と産業界の多国籍企業)、で米国の今その時の利益を代表します。
    もうひとつは国務省を代表とするもので、クリントン時代から人権外交をスタートして、中国との接触、説得を通じて中国に西側のシステムを導入するのに影響を与えようとしてきました。この二つが「親中国のパンダだっこ派」の主体で、近年の米国の対中国政策では重要な役割を演じてきました。

    第三の勢力は「反中国ドラゴン・スレイヤー」派で地政学を強調するペンタゴンを代表としています。過去の相当長い期間、この勢力は人数からも影響力からも弱体化していましたが、この2年間ちょっと盛り返しています。これはアジア太平洋地区の地政学的な政治に変化が生じたのと軌を一にしています。東・南シナ海での強硬な立場を主張するのはこの勢力です。

    長年、ずっと「政冷経熱」が中米関係の特徴でした。中米関係は長年「喧嘩しても決裂はしない」』態が続いてきたのは米国のビジネス界、金融界というこの「中米関係の民間の柱」(洪博培/ジョン・ミード・ハンツマン元駐中国大使 )によって支えられてきたからです。この度、習近平が訪米のポイントをシアトルにしたのは明らかに熟考した上でのことです。ここはかつてボーイングの総本部で、現在も数万の従業員をかかえています。ボーイングと中国は極めて密接な協力関係にあり、同社が先月発表した中国市場への展望年度レポートによると中国には2034年までに6330機総計9500億米ドルの民間航空機の需要がある、としています。「お客様は神様です」から、巨大な財布を持っている中国元首となればもう神様の中でもトップクラスであります。ここでひらかれた中米起業家座談会は、ワシントンのネット攻撃や南シナ海の利益衝突、人権に関する言論などとくらべて、まず「炎と氷が一緒に並ぶ」ような相反するものなのです。

    習近平のシアトルでの講話は、例えば中国は人民元を切り下げて輸出を刺激することはしない、とか2013年以来の経済改革を推進するとか、外国企業を差別したりしない、とか中国は将来も市場経済改革の方向を堅持するとかで、こうした言葉は米公の朝野に対するナデナデする言葉でした。習近平は特に米国94位のCEOがホワイトハウスにだした連名のレターに回答して、早期に双方の投資協定をそれぞれの国家の投資家のさらに公平な競争環境の創造のためによびかけました。

    つまり、中米は戦争状態にさえならずに米国ビジネス界の人士が中国のためにロビー活動をすればどんなに巨大な暗雲でも結局は晴らすことができ、たとえば、2013年以来の冷え切った中米関係も、現在、氷がとけるようにとけはじめています。なぜなら政府の財政、税収も、NGOも、すべてビジネス界と金融界の支持がなければたちいかないからです。

    ★北京はこのところずっと「中米関係の民間の柱」を傷つけてしまっていた

    クリントン時代からはじまって米国の対中国外交政策は簡単な言葉で総括できます。つまり「接触、説得、影響、経済協力を通じて中国市場を開放し、中米法律協力プロジェクトを通じて外国NGO組織を大量に中国に進出させ、トリクルダウン(水が上からしみこむように)式に中国の政治をゆっくり変えていこう」というものでした。

    これに対して、中国側は経済協力を強化し、西側的価値観の浸透を断固防ぐ、です。20世紀90年代初めから中頃まで中国は金欠状態だったので、経済協力と同時に米国の法律援助をうけたり、NGOの中国進出を許しました。しかし2010年代になると、外資が潮のごとく流入し、中国の財政収入はどんどん増えたので北京は「カラー革命反対」を開始し、外国NGOの活動を制限し、「はした金で妥協なんかしない」となりました。同時に今後は外資を中国側が選別し次第に外資を締め上げる政策をとり、2008年には正式に「両税合一」で外資の税制優遇を取り消しました。

    2013年からは、中国政府は外国企業を贈賄容疑と反独占容疑という両側から挟撃し、そのリストにあげられる槍玉対象企業はどんどん増えました。2013年8月、マイクロソフトが反ダンピング容疑で、クライスラー、ドイツのVWーアウディが反独占で調査されました。そして同時に、国家発展改革委員会が数十の外資系ミルク会社に反独占で調査にはいり、6企業に6.68億ドルの巨額の罰金を払わせました。国際医薬業界の巨頭であるグラクソ・スミスクライン中国、投資会社のGSKなどに対しても厳重な贈賄調査を実施し一部高官の経済犯罪関与で調査しました。こうした外資政策が厳しさを増すにつれ、米国資本は次々に中国から撤退しました。

    2010年代にはいってから、米国ビジネスロビー団体(American Chamber of Commerce in China)は年度報告で中国の投資環境は悪化しており、米国資本の中国への信頼は下降していると指摘。今年2月に発表されたレポートでは過半数を越す米国企業は中国の保護主義が最も心配なことだと回答しました。

    ★北京はようやく「ビジネス界を怒らせると、あとが怖い」と悟った。

    中米経済協力関係が日増しに衰えていき、中米関係も悪化するにつれて、南シナ海での衝突やネット攻撃がここ数年の中米関係のキーワードになりました。しかし中米関係を熟知している人たちは心中、中国の”成り上がり者”的態度が米国企業という「柱」を傷つけたがために、中米関係の最良の潤滑剤をなくしてしまったのだ、とわかっていました。

    私は「中国ロビー活動の道はせばまっている」(2013年7月,http://u111u.info/o8Zr)で、中国が米国のロビー活動文化をうまく利用したと指摘しました。米国ではロビー活動は合法的な政治活動であり、大シンクタンク、ロビイスト集団、広報企業、民間組織がワシントン北部のK街にワンサと集まって「K街政治」をつくっています。中国政府は多くのロビー会社を雇って、米国政界での説得工作をつづけており、キッシンジャーの会社はその最も有名なもののひとつです。今回の習近平のシアトル行きについてももう90歳近いキッシンジャーが露払いをしました。

    さらに重要なことは、過去20年間以上、中国は一銭もはらわないでロビー活動部隊を雇っておけたのです。それがとりもなおさず中国に投資している各種の巨大多国籍でした。その主力はマイクロソフトであり、ゼネラルモータースであり、ボーイングなどの米国企業と、米国のシティバンクなどの金融界の巨人たちでした。彼らは一貫して自分から米国政界において中国政府のためにロビー活動を展開し、その効果たるや中共が巨額の金でやとったK街ロビイストよりさらにはるかにすごかったのです。

    中国がWTOに加盟する前、こうした企業は毎年米国政府に対して、中国に対する最恵国待遇を無条件で延長するように求めていました。中国の劣悪な人権状態に対して、彼らのロビイングの論理は「経済発展はやがて必ず中国の政治改革を促す」「ネットの普及は中国に言論の自由をもたらす」などでした。

    2000年(つまり中国がWTOに加入した年)、ボーイングなど米国の数百の多国籍企業は団体を結成して、きわめて後半な大々的ロビー活動を繰り広げました。参加者には各企業の政府関係の専門家や、同業組合のロビー機構や、共同で雇い入れた専門ロビー説得企業があり、ついに成功したのでした。このときの総費用は1.12億米ドルでした。これ以前の米国ビジネス界の集団行動の最高記録は北米自由貿易区の設立のためのロビイングでしたが、その総額は3000万ドルにすぎませんでした。

    こうした多国籍企業は自分たちの「中国政府の老朋友」の地位に自信満々だったのでした。マイクロソフト、ゼネラルモータース、VWアウディなどの企業は北京政府の調査に積極的に協力する態度をしめしました。ゼネラルモータースは2012年以来、上海・ゼネラルモータースは一貫して中国発展改革委員会の価格監督と反独占曲の要求に対して積極的に協力しており、さらには自動車業界の調査研究もたすけてきた、といっています。しかし、マイクロソフトが中国で反独占違反の指摘をうけ巨額の罰金を科せられて以後、こうした企業も中国政府に内心きわめて批判的になり、基本的に中米関係の緩和にたいして積極的ではなくなり、中米両国はこのへんから摩擦が多発する時期にはいったのでした。

    ★そして習近平訪米前に北京と米国ビジネス界では互いに「友好の合図」を送り合った。

    2年以上の摩擦をへて、北京はついに在華米国企業に対して”友情”を傷つけるような態度をとると「双方共倒れ」の結果になるということを認識しました。かくて北京はワシントン政治において米国のビジネス界という「民間の柱」を必要とし、「友好」のサインを送り、一方ずっと北京が回心することを我慢強く待っていた米国ビジネス界もこれに対して積極的に呼応しているのです。

    9月16日、ワシントンのシンクタンクの人士たちや政界の大物が次々に中国のネット侵入や人権状態を批判し、南シナ海の衝突の北京の責任を追及しているとき、「94米国企業CEOが中米双方の投資協定を締結する呼びかけ」はまさにちょうどいいタイミングで発表され、かつて中国と衝突したメディア界の巨人、マードックの旗下にあるウォールストリートジャーナルがつづいて習近平の独占インタビューを掲載し、マードック本人も中国の財新ネットの取材をうけ、自分が中国の経済姿勢に好感をもっていることをあきらかにしました。こうして、もともとは習近平の訪米にはきわめて批判的だった言論界の雰囲気がいまや、変化しつつあります。

    1989年以後の中米関係についていささかでも理解していれば、米国のビジネス界という「中米友好の民間の柱」がいかに重要かはあきらかです。ですから、北京はしっかりと「経済協力がキモであって、そこさえ押さえればなんとでもなる。米国ビジネス界の”老朋友”さえいれば中米関係は『喧嘩はしても破綻には至らない』のだ」ということをしっかりキモに銘じておくことが必要なのですね。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;中美“斗而不破”之秘:以经济合作为纲
    http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-us-china-20150924/2978179.html

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