• 「国営企業改革法案」の目的地は「公」か「私」か?

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年9月20日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/epejc

    長年温められていた「中共中央・国務院の国有企業改革深化に関する指導意見」(通称国営企業改革法案)が出され、論評が山のようにどっさりでましたね。ある人はこの目的は国営企業を大いに発展強化するものだといい、別の人は政府は市場化を通じて私有化を推進させるのだといいます。同じプランで見方は両極端に違ってしまう原因はこのプランが極めて強い「習近平色」に染まっているからです。つまり、毛沢東と鄧小平の特徴、左右のいいとこ取りをした結果、多くの相互に矛盾する表現が出現したのです。

    ★「プラン」のキー

    「国営企業改革方案」は全文10141文字、8章30条あり、最初の趣旨説明では「国営企業は全人民所有に属し…我が党と国家事業発展の重要な物質的基礎と政治的基礎である。この精神はプランの中に最初から終わりまで貫徹しており、以下はいくつか軽視してはならない重点である」としているところ。

    1;「プラン」のハイライトは”混合所有制”です。論評者たちの「公」と「私」の分かれ目はこの”混合”の理解が異なることによっておこります。ある人々(外国の専門家も含めて)”混合”の文字をみて、これは私有化を奨励するものだとおもいました。しかし、「プラン」の元の文章は;「積極的に他国の資本や各種の非国有資本を導入し株主の権利の多元化を実現し、国有資本は絶対の株支配、相対的な株支配ができるし、株を所持し力強く全体を上場できる」とあります。「プラン」策定者は誤解をおそれたのか、第2条の「基本原則」に特に記述を加え「公郵政が主導的な地位を持ち、強固に、かつ発展させる重要ポイントであり、非公有(*つまり私企業資本側)は従属的地位である」「基本的経済制度を完全に堅持することは国有企業改革が必ず掌握しなければならない根本的要求である」としています。

    ですから、いわゆる「混合所有制」とはつまり私企業は国営企業の株を買うことができ、株主にはなれるけれども、株券の配分比率は国有資本が主要な部分で、私営企業は従属的地位で政策を決めたりするときに意見を言ったり決定したりする権利はないということです。社会の誤解をまねかぬよう「プラン」が発表された後、新華社は「私有化反対の旗幟を鮮明に」を発表しています。

    2;国営企業の”市場化経営機構”を養成するにあたって、また中共の指導を強化しなければならない。「プラン」のなかで14カ所で「私有化」について言及されていますし、あたかも市場かが主旋律のようです。しかし第24条をみると;国有企業の党組織の政治核心作用を十分に発揮させる。党の指導と完全な企業経営を統一して、党建設の仕事全体を国営企業のルールとし、国営企業党組織を企業法人の管理機構のなかでの法的地位をはっきりさせる」とあります。

    「党が一切を指導する」というのは毛沢東時代の政治経済の生命線でした。「市場化」は鄧小平執政以来の国営企業改革の主旋律です。趙紫陽総書記が大変な苦労をして政治と企業をなんとか分けて、さらにうまくいったらより一層党政を分離をひろげようしたのですが、すべての努力は1989年の天安門事件で水の泡になってしまいました。

    中共統治の60余年の経験は中共のコントロール下では;国営企業は党の庇護のもとで大きくはなっても、決して強くはならなかったということでした。企業が強くなるというのは企業が経営能力と管理レベルを高め、合理的なバランスのとれた生産を、市場の独占で分け前を得ようとするのではなく、市場の競争を通じて実現していこうというものですが、これはまさに中国の国営企業がなしえないことです。

    3;「発展の潜在力が大きく、成長性が強い」民営企業が国営企業改革にあたって、ぜひともお越しいただきたいという主要目標です。「プラン」の第18条は;「様々な方式で国有企業に民間企業の株を持たせることを激励する。それを国有資本の投資、運営、企業の資本の運営のプラットフォームとして作用させ、市場方式を通じることによって公共サービス、ハイテク、環境保全、戦略的産業を重点領域として、発展の潜在力の大きな、成長性の強い非国営企業に対する株式投資をおこなわせる」とあります。

    つまり、発展の前途がよろしくない民営企業は大いに安心していいのです。国営企業はあなた方に用はありません。しかし、収益性が素晴らしい前途あるマーケット、となれば、国営企業は呼ばれなくてもやってきて、自分から一部の株式を買い上げ、あるいは資源を売ってくださるわけです。これは嫌だと言っても逃げられません。

    ★中国当局はなぜ国営企業を発展強化させたがるのか?

    政府が企業を援助するのはどんな利益があるのかというのがポイントです。民主国家では一般に雇用が優先されます。例えば中国が買収した米国最大のスミスフェルドは4.8万人の雇用者をもち、新たに1300人増えました。現地の政府も住民ももこれを歓迎し、資本の所有者が中国人であることを気にしません。

    中国の私企業が中国人に提供する雇用の数はとっくに国営企業を超えています。政府側の資料では2007年、工業企業の人員で国営企業は9.2%、私営企業が44.4%をしめています。2011年1月の全国工商聯合が出したレポートによれば、中小企業が全国企業総数の99%以上を占めており、郷鎮企業の7割以上と新たに増えた就業者の9割を吸収し、2014年の国家工商局の発表した個人経営、民間企業の新増就業人員は全国城鎮新増就業人口の9割を占めます。

    今、外資の撤退につれて、農民工が大量に帰省していますし、大学卒業性の半分以上が就職先がなく親に頼っています。道理からいえば、政府は私営企業を発展させ、いかに就業率を高めるかが考慮すべき主要なことになるはずです。それなのに当局はなぜ就業先が比較的少ない国営企業を「発展強化」しようとし、「国営企業を盛んにして、民間企業を退かせる」ような”改革”の策略をやろうとするのか?これには二つの点から考えられます。

    1;経済が下降し、中国政府は極めて大きな財政的な困難に直面しています。政府発表データで公共財政の貢献をみると、現在中国の企業戸数、資産、主要営業収入の占有率のなかで、私企業がすでに多数をしめ、国営企業はすべて劣勢です。しかし国家へおさめる税金の比率では2012年、私営企業はわずかに13%で、国営企業は70.3%でした。もともとあった税源が日増しに痩せて枯れていく状況のもとで、国営企業は公共財政を支える支柱ですから、これだけでも十分、政府が助けようとする理由になります。国営企業の雇用貢献率はすでに政府が優先して考えるものではなくなっています。李克强総理はすでに億に達する「仕事先が見つかるのを待っている人々」に対して「自主起業」の道を示しましたね。

    2;「プラン」のなかで、「企業全体を株式市場に上場する」が最終目的になっています。国営企業の負債率は大変高く、2015年7月末の中国国営企業の平均資産負債率は65.12%で、その債務の来原はひとつ、主に国有銀行です。こうした銀行と起業の関係はもし国営企業がピンチになれば国有銀行も共倒れになる運命にあります。過去20年来、国営企業が苦境を脱出する主な方法は朱鎔基元総理が考え出した妙手である「株式市場上場による資金調達」でした。

    しかし今年になってこの妙手は突然、効果が切れてしまい、「国家部隊」が政府に無理やり株市場救済に駆り出されてのち、ほとんどすべての資金が「塩漬け」になってしまいました。ですから、「国営企業改革プラン」は別の一手を考え出す他はなく、それが;国営企業改革は民間企業と混合所有制を実現した後「新たに株式市場に重点的に上場する」です。というのは資産を合併させたあと、企業は新たな名前で株式市場に新規上場(第一回公募)できるからです。

    ★民間企業は国営企業と”混合”したいだろうか?

    混合所有制の提起は、はやくも2014年の国営企業改革を深化させる指導意見」と「完全公有性の実現方式に関する指導意見」が公開草案になったときに社会に知られました。しかし民間企業は全く熱を示しませんでした。私は「国営企業改革;官民双方が弾くソロバン」(2014年9月06日;http://heqinglian.net/2014/09/10/soe-reform-japanese-2/)で、すでに民営企業がみんな「混合所有制」を罠だと見なしているということを紹介しました。いかに混合し、民営企業が支配圏を握れず、ひっぱりこまれたあとはうまく懐柔利用され、最悪だと、「門をしめて犬をぶちのめす」ような目にあいかねないと。

    万達集団の理事長・王健林は新浪の取材に対して「もし”混合”したいのなら、民営企業が支配権をにぎるべきで、すくなくとも相対的にでも(*多く株を持って)そうあるべきだ」「もし国営企業が過半数の株式を握るなら、それは我々民営企業のお金で国営企業を助けるだけの話だろう?そんなことしたら俺はアホだろ。できないよ」と答えました。「混合所有制;民間企業が国営企業株をもつ6大危険」という文章には集中的に何人かの民営企業経営者が混合所有制をどう見ているかが紹介されていますが、その主なものは;国営資本の責任者は資産に対して責任を持つ必要がない;国有資産の流失は高圧線のようなもので民営企業の株主に対して使われかねない;国営企業の株主は民間企業の株主よりはるかに権力を持っており、協力は無理;などでした。つまり、民間企業は国営企業と合作はできず、合作するというのは罠にかかりにいくのに等しい、ということがわかっているのです。

    民営企業が”混合”したがらないという姿勢がはっきりしています。しかし、政府側の”混合”への熱意は強烈なものがあります。中国の民営企業家は誰もが「世間の辛い思い」など山のように体験していますから、政府がこうして混合させようとする姿勢をみて、とっくに大量の「海外逃資」をはじめています。三十六計逃げるに如かず、です。今年8月以来、北京が外国為替管理を強化したのは、小額の外国マネーを持っている人々をどうこうしようというのではなく、資産移転をはかろうとする金持ち商人たちを狙ったものといったほうがいいでしょう。「中国の空洞化」は現在では「新たに登場した罪名」なのです。

    民間企業を安心させるために、政府が「おばあさんに化けた狼」にみえないように「プラン」の第16条には「現地の政策に基づき、業界の、起業の施策にもどづき、自立性を重んじ、控えるべきは控え、参加するべきに参加し、合併や連合を矯正してはならず、すべてを覆うようなことはせず、タイムテーブルを敷いたりせず、ひとつが成熟したらひとつづつすすめ、改革は法規にしたがい、厳格に過程を守り、公正公開で確実に混合所有制企業の各種出資人の利益を保護し、国有資産の流失をなくす」とあります。

    本当の問題は、中国政府はこれまで法律は民衆を束縛する道具だとこころえてきており、この種の「公有性の主導的地位」「国有資産の流失をなくす」という制度改革とは何かということを民間企業側は皆はっきり何のことか解っているということです。これからの「制度改革」では国営企業に見込まれてしまった民営企業がはたして「赤頭巾ちゃん」にされないかどうかをみなければなりませんね。(終)

    拙訳御免。
    原文は;《国企改革方案》的风姓公还是姓私? http://www.voachinese.com/content/voa-news-guoqi-reform-20150919/2971063.html

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