• TPPはなぜ中国を仲間はずれに?

    by  • October 12, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年10月7日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    http://twishort.com/bIljc

    何年も協議を続けてきたTPP(環太平洋パートナーシップ協定/環太平洋戦略的経済連携協定)はやっと基本的合意に達しました。WTO(世界貿易機関)があるのに、なぜTPPが必要なのでしょうか?原因は他でもありません。中国を排除しておきたいのです。これは中国経済の減速下降の勢いが止められない時期に中国に対する影響は当然比較的大きく、どの程度になるかは最終結果をみなければなりません。

    ⚫︎ *TPPが中国を仲間にいれないいくつかの理由

    TPPが中国を仲間に入れない無数の理由はオバマ大統領の一言に尽きます。「中国に全世界経済のルールを書かせるわけにはいかない」からです。国際事情に関心のある読者の記憶力がよければ、2011年ハワイAPECサミットでの「中国は国際ルールを弄ぶことを停止すべきであり、大人の国らしくふるまうことだ」というオバマ発言が全世界のメディアに引用されたことを覚えているでしょう。あの時からいままで世界はまた4年間も待ったのですが、中国は「自分が制定に参加し、主導的な役割を担わなかった国際ルールは決して尊重しない。以前にWTOに署名参加したのはそのメンバーになるためであって、本気でルールを守るつもりなどない」という態度をずっと行動でもって示してきました。
    中国政府も別にバカでありませんから米国がTPPを言い出したときから、とっくにこれは中国をターゲットにした計画だと知っていました。TPPは別に中国を排除するという規則を設けているわけではありませんが、しかし、加入する国家はその基準に合致せねばならす、オバマはTPPのルールを制定するにあたっては政府の経済に干渉する努力を制限する方向でしたから、これは中国がやろうとしている反対のことでした。

    ⚫︎*中国は、TPPのどの条項でも条件を達成できないと知っている。

    その条件とは;貿易とサービスの自由、各種の障害設置の禁止。つまり中国が最も得意とする各種の障壁でもって経済をコントロールし、役人がうまい汁をすう道具にすること。通貨の自由交換、政府による為替レート決定の禁止です。今年8月、中国は人民元の国際化を狙って為替レートを調整するテストを行いましたが、その結果は外為市場に激烈な波紋を与え、大量の資本が流出し、しかたなく再び外為管制を強化しました。
    税制の公平、すなわち国家が企業の輸出に対して補助金をだすことの禁止(中国政府がもし補助金をださなかったら、中国の輸出企業はおおきく崩壊します)。その他、国営企業の私有化(中共はちょうど国営企業発展の潜在力をおおきくしようと成長性のある私営企業に株式参加させようとしています)。
    労働者の権利の保護(中国の労働者の「血の汗」の話は誰もが知っています)。知的財産権.知的所有権の保護(中国はパクリ大国です)、環境資源保護(中国の陸海空の汚染は加速中です)、情報の自由化(中国は長年、報道の自由の敵、であり、インターネットの敵の称号をたてまつられています)。

    以上の条項をみれば外界でははっきりと、TPPは「中国が入るのを禁止した世界クラブ」だということが明白です。9月9日、米国のシンクタンクのBrookings Institutionが開いた会議の席上、TPPが合意に達したあと、中国とインドなどさらに多くの国の参加を考慮すべきか否かに話が及ぶと、出席メンバーはTPPは次第に開放的な協力会議に発展していくだろう、しかし中国がTPPの基準に達するにはまだまだ長い時間がかかるだろうということで一致しました。また一部の中国メディアも自明のこととして「TPPは中国を排除するのを最初から目的としてつくられた貿易体系であり、現在の中国の条件では加入条件達成は不可能な貿易体系である」と分析しています。

    米国など12か国はなぜ、WTOがあるのに「別のカマドをつくる」ことにしたのか。原因ははっきりしすぎるほどです。中国がWTOに加入したこの10年間、数々の違反があり他国との防衛気摩擦は絶えず、中国は最大の厄介者になってしまったからです。

    ⚫︎*中国はWTO加盟後、トラブルメーカーとなった。

    中国はWTO協議にサインしたその日から、真面目に協議条項を実行しようという気持ちはありませんでした。朱鎔基総理がサインして帰国してほどなく、国務院内部の講話で、要点はWTOの条項に対して研究をかさね、臨機応変に運用していくことだと。この「臨機応変に運用する」というのはあからさまにいってしまえば「穴をみつける」ということです。このあと、全國各地でWTO学習班ができて、その主な内容はまさにいかにして穴や隙間をみつけるか、たとえばどこどこの国の税関の役人は賄賂を受け取るから通関は簡単だ、といった情報までふくめて研究がはじまったのです。ある国に直接輸出できないときは、周り道をしてまずその国の輸入割当国であるB国経由でレッテルを張り替えて、金額、数量の関税減免措置を受けると迂回コストをはらってもペイするといったことです。もし当時、中国がWTOに加盟するのに大いに力を貸した米国人がこういう講座を傍聴していたら、まったく自分がやったことはアホだったとおもったことでしょう。

    結論から言えば、中国はWTO加盟後、そのルールや優遇政策を利用して大量の経済利益を獲得し、中国経済の大発展に貢献しました。2004年以前、中国は加盟後すぐだったのでテストケースとして用心深くやっていたのですが、2004年には有毒のプラスチック玩具など各種の劣悪な品質の輸出品があいつぎ少なからぬ訴訟を引き起こしました。WTO内部でも中国政府が為替レートを操縦し、国営企業に大量の補助金を出し、人為的に輸出商品価格を操作し、知的財産権を侵害し、重要プロジェクトの入札を操作しているといった批判の声もおこりました。米国が中国相手に提起した訴訟だけでも輸出振興補助金、コピー商品、中国の自動車、タイヤ、、さらに有毒パネル板など沢山あります。

    中国はまだまだほかに多くの国からの連合訴訟に直面しています。2012年、米、欧、日本は中国の希土類の輸出制限措置中国が一方的な貿易保護措置をやめるようにWTOに提訴しました。これは中国がWTOに加入して以来、「原材料輸出制限事件」後にまたひとつふえた鉱産資源輸出制限事件なのです。米、欧、日本は中国が焦炭(コークス)、萤石、镁(マグネシウム)、锰(マンガン)、金属硅(金属シリコン)、碳化硅(炭化ケイ素)、黄磷、锌(亜鉛)など9原材料の輸出割当、輸出税、価格と量の制限で中国が2001年にWTO加入時に約束したことに違反し、世界のその他の国々の鋼材、アルミ材、その他の化学製品の生産と輸出において不利にするものだと訴え、2104年8月、WTOで中国は敗訴しました。

    しかし、WTOの争議解決の主要な目的というのはルールにしっかり合わせていこうということであって、事故が起きたときに補償させるという性質のものではありません。たとえばWTOのルールでは違反国家は合理的期限内にそのルール違反の政策をやめればよく、懲罰はありません。たとえ罰をうけたとしてもその懲罰は過去に遡及しません。ですから、訴訟上で勝利しても経済的な勝利にはならない、損害は回復されません。負けても別に損をするわけではないのです。これでは中国のような名誉はどうなろうと全然平気で、実利だけを考える国家にたいしては拘束力が最初からないようなものです。これがつまり中国がなぜ、何度もなんどもWTOの採決では破れても全然平気でいままでのやりかたでやっていく原因です。

    中国のこのような穴や隙間を狙うやり方は他の国々にしてみればたまったものではなく、たしかに世界の多くの国々はもうたくさんだ、とおもっており、ますます多くの国々が中国を除いた別に公平、公正、高能率のあらたな世界経済組織を作りたいとおもうようになりました。これがTPP成立の過程で参加国が一致同意して中国をのけ者にしようということになった原因です。

    ⚫︎*TPPができたら、中国はどうする?

    TPP協議が合意に達したならば中国にとっては大変不愉快なことでしょう。未来の実際の利益のことはともかくも、現在の政府の面子も深刻に傷つきます。せっかく官製メディアが中国の国際的地位がいかに重要で、世界はいかに経済的に中国から離れられないのかと嘘八百を鼓吹しているときに、TPPというこの中国を締め出した国際組織が成立してしまうことは中国政府の綺麗なお顔に猫の爪でひっかいたような傷がつきましょう。中国政府の現在の希望はすなわち米国議会がTPP協議を認めないことです。米国各界のTPPに対する反応はまちまちで、労働組合は反対に傾いています。他の国家もそれぞれ異なった条項の上で態度を保留しています。こうしたことから中国の反応は比較的穏やかで、かつてTPP協議が始まったときのような激烈に「米国の陰謀」を指弾するといったものではありません。

    TPPの成立は世界の経済構造に驚天動地の変化をおこさせ、中国はふたたび鎖国状態にもどってしまうかもしれない、とおもっているひともいますがこれはちょっとおおげさにすぎましょう。ソロバン勘定にたけた中国政府はとっくに一連のきめこまかい計算をして、商務部の国際貿易経済協力研究院国際マーケット研究部の任白明副主任は「TPPはある程度まで中国の世界経済における利潤を薄めるかもしれないが、別段びっくりするほどのものではない。12カ国のメンバーのうちシンガポール、ベトナム、ブルネイ、マレーシアは中国のASEAN自由貿易地域の枠組みで中国と自由貿易関係を結んでおり、オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、チリも中国と双務自由貿易協定を結んでいる。中日韓自由貿易区の協議も純町にすすんでおり、のこるはNAFTAの米、カナダ、メキシコの三ヶ国だがこれも長い付き合いのある相手だ」としています。

    この談話の意味は;中国は中国式知恵を駆使して隙があればそこをついて、TPPは別に中国を困らせない。TPP体系は中国を排除しようとするもので、もっとも深刻な結果は中国がいままでのように米国から巨大な輸出超過による利益を得られないことだが、しかし中国は自国と他国の関係をうまくつかって回り道をして米国と商売をつづけることができる。たとえば米国が中国に対して軍事技術の輸出制限をしたところで、中国は米国の重要な軍事技術協力の相手であるイスラエルから軍事技術と武器を獲得できる。米国軍事技術にかんしてはイスラエルは武器の85%から90%の輸入と40%の輸入という大国ですから、中国はイスラエル経由でやすやすとすくなからぬ米国が中国に提供しない軍事技術をゲットできるのです。米国は大変怒っていますが、しかしイスラエルが中国相手に設けるのを止める手立てはありません。

    TPP成立というこの国際的大事件の中で中国が本当に汲みとらねばならない教訓は、ひとつは自身の長期的利益からかんがみても本当に国際ルールを守ることです。コソ泥のようなことをしているのは自ら国際社会から切り離すことで、他の国々は仲間はずれにするという形で自分たちの深い軽蔑をあらわしますし、国家の面目がきずつくのです。
    ふたつには自分の国際的な立場をしっかり把握して、「国際ルールを決める身分」になりたいのであれば、お金をばら撒くだけでは無理で、自らより高いレベルをめざすことを呼びかけ他国がそれに呼応するというような力が必要なのです。そうした条件なしに無理やり求めても、嫌われるだけでしょう。(終)

    拙訳御免。

    何清漣氏の原文は; TPP为何不带中国玩?http://m.voachinese.com/a/heqinglian-blog-tpp-china-20151006/2994186.html

    何清漣氏のこれまでの論考の日本語訳は;http://m.voachinese.com/a/heqinglian-blog-tpp-china-20151006/2994186.html

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