• 金融反腐敗⑴ー”株式市場救援隊”のリーダー連一網打尽

    by  • November 24, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年11月17日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/FWzjc

    11月10日、習近平中共総書記主催の中央経済指導小組の第11回会議で「不動産業の健全な発展を持続させるために在庫をなんとかせよ」という提案がなされました。これを聞いた国内のメディアはいよいよ皇帝自ら不動産問題の解決に御出駕だ!中国不動産業界は重荷から解放されて蘇った!と歓呼の声一色に包まれました。それならここで習総大将が自ら国家救援隊を率いた今年の中国株式市場における国家権力 vs 資本の悪戦苦闘を総括しておく必要がありましょう。というのはこれは今後、中国の国家権力と資本の関係をどう再構築するかに関係するばかりか、不動産をめぐる利益集団の命運にも関わることだからです。

    ★高々とそびえる「悪意の空売り」という罪名

    世界の大きな株式市場は中国以外、どこだって投資と投機、仕手筋と空売りの勝負が行われていないところはありません。投機筋がどうあれ、株式市場というのは企業のための金融という役割の他に、中小の投資者に一定の利益をもたらします。政府と株式市場の関係でいえば、政府は基本的には監督者にすぎず政府が株式市場を国有企業の救済のための「現金支払機」扱いするとするなどいうことはまずありませんし、ましてや政府首脳が思いつくままに株式市場の値上がり、値下がりを左右するなどということはありえません。

    しかし、中国では違うのです。政府の力は限りなく強大で大自然と市場に挑戦するというのは中国共産党の古き良き伝統なのです。2015年7月A株マーケットを救援したとき、わたしは「7月のA株市場救済;権力と市場の対決」(http://heqinglian.net/2015/09/05/stock-market-1/)で1949年5月以後、陳毅、陳雲が上海において「違法な奸商」(実際にはマーケットの力)に対決して勝利したという”栄光の歴史”を紹介しました。1990年代に中国株式市場が新たな装いのもとに再登場してからも政府は株式市場に干渉する権力を放棄していませんでした。しかし、その干渉力は今年のような政府が株式市場をあおり、ピンチになると救済し、値上がりは許すが値下がりは許さない、仕手筋はいいが空売りはダメだ、などという全面的かつ徹底的なものではありませんでした。

    「悪意を持って中国に空売りを浴びせた」という前代未聞の罪名が登場したのは株式市場の平均ポイントが最高指導者の予想した10000ポイントに達しなかった時でした。中国政府が大量の資金で株式市場を救済するという政策から「内部に潜む悪い奴ら」を粛清する方向に変わったのは2015年9月でしょう。

    9月16日、それまで「A株救済の三軍総司令官」と呼ばれていた中国証券監督管理委員会の主席補佐・張育軍が深刻な規律違反の容疑で取り調べをうけ、さらに多くの同委員会の役人が打倒されました。10月には中央巡視組は31社の中共党組織に専門調査を行い、いわゆる「一行三会」(4つの金融監督機関。中国人民银行、中国银行业监督管理委员会、中国证券监督管理委员会和中国保险监督管理委员会)、4大国有銀行、中信集团公司( *鄧小平のお声掛でできた最初の証券会社である元中国国际信托投资公司),上海深圳両証券取引所に対し「監獄の門を大々的に開き」次々に大幹部らを投獄したのです。

    ★権力とマーケットの大激戦でマーケット関係者が続々”落馬戦死”

    国内のある人は今回の金融界における「反腐敗」では、王岐山・中国共産党中央規律検査委員会書記は三種類の人間をターゲットにしたと総括しています。

    第一番目は「公権力を私の資本とした」監督者たち、です。

    中国証券監督管理委員会は多くの役人が調査をうけ、そのうち今年、習近平の勅命によって株式市場を救済せよと命じられた三人の高官のうち、すでに退職した一人をのぞいて二人の「勅命大将」だったのは同委員会副主席の姚剛と主席補佐の張育軍です。姚剛はかつてA株市場の新規上場を審査するという大権力を13年間にわたって握り続け、「審査皇帝」と呼ばれていました。一方、A株市場救済部隊の司令官とみなされていた張育軍の罪名は大変具体的で「国内トップの証券会社と国外証券ファンドと結託し、融資・証券ローンと証券担保ローンを野放しに成長させ、A株市場を健康なるブル相場から”ホルモン注射”による不健康なブル相場に変えてしまい、せっかくの”狂った牛相場”(*急激な上昇相場)を”狂った熊相場”(*急激な下り相場)にしてしまった」というのです。もし2015年のあのA株の奇怪千万な相場がすべて一連の仕掛けられた罠だったというのなら、張育軍は自らせっかくのA株の値上がり相場を屠殺してしまったということになります。もしメディアが報じる罪名が本当であれば、張育軍の罪は到底許されないもの、になるでしょう。

    第2番目は「公共資本を権力を利用して私的金儲けにした投資者」

    この方面ででの典型的な悪役は私設ファンドの泽熙投资CEOの徐翔(*インサイダー情報による株価操作容疑で2015年11月1日に逮捕された)で、彼は「もし中国株式市場に神がいるとしたらそれは彼だ」と言われた人物です。徐の罪名は大変興味深いもので「内部情報を利用し、底値で買って高値で売り抜けた」というものです。中国株式市場というのは政策でどうにでもなる市場ですから、内幕情報マーケット、各社の公募基金、私設ファンドと金融会社はどこもここもそれぞれのパイプで内部情報を手に入れていますから、徐が内部情報を手にできたことは別に不思議ではありません。不思議といえばいつも災い転じて福となし、底値で買って最高値で売り抜けていたことですが、いまとなっては徐の罪名がなんだろうと別に重要ではありません。重要なのは徐の40億元の個人資産がすべて没収されて国庫にはいることです。株暴落で中国市場から消えてしまった4兆ドルを埋め合わせするには足りませんが、最高指導者の鬱憤をいくらかは晴らすことができるでしょうね。

    第3番目は「中国の資本を外国資本となし、悪意の空売りをした中国の証券会社」

    「中国の証券会社ナンバーワン」とか「中国のゴールドマンサックス」と自ら称した中信証券が真っ先にやられました。今年の7月のA株マーケット救済作戦中、政府は中信をその大黒柱に据えたのですが、…まあ、なんということでしょう、彼らは皇帝陛下自ら出馬なさっているときに、その大御心に背き、危険をおかしてしまったのです。これが許されるなら許されないものなどないぐらいの罪ではありませんか?

    ですから、中信証券はただちにそのトップの座から叩き落とされ、8月からいままでに中信の執行取締役の半分ちかい連中が「皇帝の牢屋」に放り込まれました。たとえば理事長の徐剛、劉威ら4人のトップ連は「インサイダー取引」容疑で刑事勾留されました。その罪名は「インサイダー取引」以外にも「内部情報漏洩」や牢獄入り必至の「国外の機関と連絡を取り合って故意に空売りし、マーケットを救う作戦を利用して違法に利益を貪った」のです。「司度」なる国際貿易会社が最大の疑惑の焦点となっており、この会社は欧州ルクセンブルクの国際貿易会社によって登記されており、バックは国際ヘッジファンドの巨頭であるCitadelだといわれ、その大株主は中信証券の傘下の直接投資会社に固い投資をしており、あらゆる証拠が中信証券のトップの程博明をさしています。

    あまたいる証券株式評論家たちに対しては、王岐山書記が自ら動くのを待たずに、とっくに公安部が行動をおこしており、2015年9月1日「デマを流した」ということで197人を取り調べました。そのうち最も有名なのは「財経」の王暁璐記者です。王は中国証券監督管理委員会が株式市場救済につぎこんだ治安維持資金を引き揚げることを考慮しているという報道をして、その日のうちに株式指数は全面的に値下がりしたことがあります。王は逮捕され、中央テレビを通じて罪を認め、自分が株式市場について書いた記事は反響効果ばかりを考えて無責任だった、と言いました。

    ★彼らはなぜやられたのか?

    上述のそれぞれの果たした役割をみると中国が株式市場を再構築して以来、中国の株市場とともに生きてきたものたちです。A株市場、一級市場、第三者割当増資市場、さらには海外市場でもその影は株式市場のいたるところにあります。中国株式市場の顧客の8割をしめる一般投資家はただこうした「血にうえた資本」の後ろにくっついて株式市場が上がればそのおこぼれを頂戴して、株が下がれば彼らのショックを和らげる『座布団』となるだけなのです。

    この特徴については歴代の江沢民、胡錦濤二代の中共指導者による20余年にも、指導者たちはその弊害を十二分に承知していながら自分たちの子供たちをそこに、たとえば大量の私設ファンドや投資会社をやらせて参加させていましたから、なんで今回、急に中共の指導者が変わったらダメだということになったのでしょう?

    それは習近平がこうした権力官僚的資本はダメだから、というのではなくこの何種類かの人間たちが習近平のマーケット救済の大作戦と習が描いていた中国経済発展の大計画の青写真をダメにしたからなのです。つまり今後の経済発展は株式市場がさらに良くなることによってうまくいくはずだったのがオシャカになってしまったからです。

    この度の習自らのマーケット救済行動というのはその理想とする目標があったのでした。今年5月26日、習近平が杭州の海康威视数字技术股份有限公司を視察したときに、女性記者の質問に答えて「株式投資は好調だね。すぐ10000ポイントになるよ」と言ったのです。この話が一度ひろがると、民間では「皇帝陛下が口にした金言」となって株式市場が万を超すというのはテッパンの既定事実になって、われもわれもと乗り遅れまいという動きになったのでした。ところがまことに残念なることに天は味方せず、5000ポイントの大台で株価は散々に腰折れしてしまい、最後には「強気の猛牛」が「弱気のクマ」相場になりさがって中国株式市場からは4兆米ドル分の価値が蒸発してしまい、過去3ヶ月の全世界の株式市場から蒸発した9兆米ドルの45%をしめ、60万人の中産階級が破産し、習近平総書記は全国人民の前で大恥をかかされてしまったのです。

    かくて権力はマーケットには勝てませんでした。が、しかし、マーケット参加者にならば勝てるのです。ですから英明なる中共中央は証券界の反腐敗の大行動に打って出ました。長年来、あっというまに大金持ちになった中国証券利益集団がついに習近平・王岐山の正義の利剣の下に倒された、というわけです。

    王岐山が捕まえた連中はメディアの記者・株式評論家以外は確かに中国株式市場のプロであり、プロモーターでありその動きを左右できる人たちでした。しかし彼らがいかに優秀で能力があるといったところで株のマーケットには値上がり・値下がりという動きの法則があります。また株式市場というのはもともとシテや空売りの戦いの場であり、資金が不断に流れ込無必要があるわけで、こうした人々の「能力」といったところで株式市場の本質的な特徴である勢いがあればそれにのった策をとり、さらに株を値上がりさせ、そのなかから徐翔のように漁夫の利を得るわけです。そうはいっても彼らとて神様ではありませんから資金流入が途絶えてしまうような状況のもとで株式をどんどん値上がりさせて10000ポイントにするなどということはできようもないことです。

    ですから、「外国勢力と結託して『中国を空売りした』から『株の売国奴』」だというのは上述の3種類の人間たちの罪ではありません。ただそうはいってもでは彼らが清廉潔白かといえばそんなことはありませんで、たとえば「株売国奴第一号」にされた姚元にしてもその職掌からして企業株上場で便宜を提供できる立場ですから、彼がその時にうまくやるというのは当たり前のことであって、職務権限を使わずに利をむさぼらない、などということはほとんど不可能なことです。北大方正グループのCEO李友はかって姚剛の息子の姚亮に金を貸して方正の株を3000万買わせて巨額の利益を上げさせました。「株の売国奴第2号」になった張育軍は上海・深圳の株式市場、中国証券監督管理委員会総事務所の3箇所で長年すごしていますから叩けば埃がでることは間違いないでしょう。中信証券トップの程博明は株価操作で有名ですし、たとえば彼は「怪しげな株」の神州泰岳と暴風科技の関係ははっきりと彼がかの交通事故死した令計劃の息子と新興証券市場で連携してうまくやっていたことを示しています。

    つまり、中国の株式市場というのは最初から「原罪」を背負っているマーケットであり管理者、証券会社、機関投資家はみな手が汚れているのです。しかしです、皇帝自ら先頭に立って株マーケット危機を脱する大事な戦いの最中に、あえて市場管理者や、皇帝陛下の勅命で株式市場救済を命じられた証券会社トップ連が、「敵方」と結託して大もうけしようとした、というのはいかにも信じ難いことです。なぜなら連中が儲けるチャンスなどいくらでもあるのですから、わざわざこの危機の真っ只中において、龍の逆鱗に触れ、虎の髭をひっぱったりして自分たちのせっかくの家業をめちゃめちゃにしてしまうような危険を冒すものでしょうか?(続く)

    拙訳御免。
    原文は;2015年金融反腐(1):救市三军尽入狱 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-2015-finance-china-20151116/3061218.html

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