• 人民元SDR入りー春風は堅い氷を溶かせないー

    by  • December 8, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年12月5日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/5P6jc

    中国では人民元がIMFの特別引き出し権対象通貨バスケット(SDR)に加わったのでバンザイの大騒ぎですが、中国中央銀行のトップ、周小川の易網ネット上の発言は冷静ですね。これは「プロは冷静、シロウトは騒ぐ」見本のようなものです。門外漢からみると人民元SDR入り頑張って中国の強さを示して面目を表したようにみえるのですが、プロからみれば権利もさることながら、重要な責任をおったわけで、そのなかには金融開放、市場の透明度向上がふくまれ、この開放と透明化というのは中国にとっての「安全ではない要素」がぐっと増えたことにもなるのです。

    ★プロとシロウトの見方

    中央銀行トップの周小川は苦い話を先にとばかり人民元のSDR通貨入りの前日、人民日報上に5600文字の長文「金融体制改革の深化ー党の18節5中全会精神を貫徹することを学べ」というのを発表し、そのうちの5000文字近くは中国は必ずや、人民元の資本項目の兌換性確保など金融業を双方向の開放新体制に構造改革をしなければならないということに使われました。最後の第6節でやっと「思想のギリギリのラインをしっかり堅持し、国家金融管理システムとシステムの現代化を実現せよ」として「国家金融の安全体制とシステム的な金融の危険発生の防止、極端な状況の元で外国からのわがほうの金融への攻撃や制裁に有効な対応を」という話をつけたしています。

    この行間から重点を探っていくのが伝家の宝刀の中国メディアですから、一軍のメディアは、「周小川;海外の金融攻撃に対応できる有効な措置を完全に実施せよ」といった見出しをつけ、それはバカでないかぎりわかるでよう、周氏の「金融攻撃」への心配を十分に報道しました。人民元の「SDR入り」の条件は金融開放の実現と人民元の自由交換であり、こうしたことを実現する約束というのは中国金融市場が閉鎖されていたときには直面することがなかった危険、例えば外国勢力の「金融攻撃」の類だということです。

    「金融攻撃」についてはプロが補足しています。中央銀行の前顧問・余永定は「第一経済日報」で「一般的に言って、あらゆる国家はすべて外部や内外結託した金融攻撃に警戒心をもたねばならず…、発展途上国は1997年から1998年のアジア金融危機の期間、英国は1993年、日本は20世紀の90年代にすべてこうした攻撃を受けた。米国も20世紀の60年代から70年代には免れなかった」と述べています。余のいう意味ははっきりしています。このような「金融攻撃」は別に外国勢力が特定の国家に狙いを定めて行うといったものではなく、これは一国の金融が国際的開放に向かう必然的な代償なのです。

    ★中国政府;「必要なときには手出しする」

    読者はあるいはSDR加入に入って中国が双方向の開放金融体制をつくると、中国が外部の金融攻撃を心配しなきゃならんのなら、一体SDR入りってどんないいところがあるんだ?と疑問に思うかもしれません。それを理解するには前連邦準備制度理事会のバーナンキ氏の言葉をみないと。

    12月1日、バーナンキは「中国は金紙の星を獲得」という文章を発表して、人民元のSDR入りはただ「小学生が宿題をよくやって、そのうえに金紙の星をくっつけてもらったのと同じだ」とただ象徴的な意味があるだけだといいました。バーナンキはIMF内部の会計以外に、SDRの実際の用途は限られており、「人民元がSDRに加わったといってもそれは別になにか重大な意義をもつ特別な力や権力を中国にもたらすといったものではない」と述べています。中国がこれを何か特別なもののようにみているということに対してバーナンキは「中国政府は中国が全世界で経済大国として認められることについて切迫した希望をもっているので、この象徴的な出来事をものすごく気にしているのだ」といいます。

    12月1日の午前中に開かれた中央銀行による人民元SDR入りのブリーフィングでは中央銀行副頭取兼外国為替管理局局長の駅綱サイトの表現はさらに簡単明瞭で、人民元がSDR入りしたから人民元が値下がりするという心配はないとして、「我々はオンショアとオフショアのマーケットを持っており、できるだけ可能な条件下で我々はマーケットの需要供給関係の決定的な力を尊重するだろう。しかし、そうした波が一定の幅を超えたとき、あるいは国際通貨基金組織が討論している国際収支に異常なことがおきたときや、国際資本の流動に異常な事態がおきたときには中央銀行は適当な関与をおこなうであろう」といいました。この話はつまりはこういう意味です。;「人民元はSDRに加入してメンツを保った。しかし危険がおきることもあるので、みな浮かれてばかりいないでほしい。でもみんな安心してほしいのだが、政府は外部勢力が金融攻撃してきたときにはしっかり手出しする」ということです。

    ★IMFの期待と中国政府の権力の手

    IMFは人民元のSDR入りの主要目的は中国経済と金融改革の推進だとしています。人民元がSDR入りには二つの条件を満足させる必要があって、一つはIMF加盟国メンバーのなかで輸出が盛んなこと。中国は世界最大の輸出国ですからこの条件はオッケーです。第二には通貨が自由に交換できること。中国のためにIMFは特別にゲームのルールを変更して、「自由に使えること」としました。ロイターによるとこれはChristine Lagarde・IMF総裁の賢明なアイデアだったそうです。

    11月30日にIMF会議が開かれる前に、中国中央銀行はサイトを通じてIMFが人民元をSDR入りさせるという分析に賛同して、同時に「我々は大いに期待しており、かつ執行理事会の決定を実行することを尊重する。将来、中国は経済改革を深化させ金融の対外開放を促進する」といいました。

    予想できることは、今後中国の閉鎖的な金融体制は幾つかの大きな挑戦に直面します。そのひとつは金融情報の透明度を向上させる問題です。いわゆる「国家機密」が大量に漏れることになります。例えば、金融情報の公開化では中国金融システムの真の不良貸付率は今のような「国家機密」であり続けるわけにはいきません。今年9月から10月の間に、国際金融業界と投資業界の中国政府の公表した銀行不良貸付率の真偽について激烈な論議が起こりました。中国銀行監査会の発表した不良貸付率は1.5%だったのに大使、海外の分析ははるかにそれより高いもので、リヨン証券は8.1%、7.5兆元で中国のGDPの十分の一を超えるものでした。金融情報の公開化にともなって、中国金融システムの「ボロボロの中身」の真相を覆い隠すのは難しくなります。

    さらに大きい衝撃となるのは人民元資本の開放です。IMFは今回採用された「自由に使用できる(FU)基準は二つの要素があり、「国際貿易で広範に使用されていること」と「外黒為替市場で広範な交易が行われていること」としており、「広範に使用されている」という指標は、当該通貨が各国の外貨準備のなかでの金額(それと、外貨準備中、その貨幣をつかっている国の数)、国際再建証券に占める総額、国際銀行の債務のなかの金額、「広範な交易」を図る指標はその通貨が外国為替市場での交易の規模、だとしています。

    事実上、人民元のSDR加入後は、中国はかつてWTO加入後におこなったような「猫じゃらし」方式のインチキを続けるわけにはいきません。IMFのルール設計はそれほど隙だらけではないのです。私は「★人民元のSDR入りーそれは強心剤?それとも鎮痛剤?★2015.12.02 https://twishort.com/Rj5jc で書きましたが、IMFは188のメンバー国が必ずSDRバスケットのなかの通貨比率で外貨準備をすべし、などという規定はありません。

    ですからもし今後、人民元が自由に交換できないなら、各国中央銀行はその外貨準備のうちの人民元分を増やすなどということは不可能ですし、機関(個人ファンドも)投資家も溜め込んだりはしないでしょう。中国はこの実施を三年間繰り延べできますが、永久にそうすることはできませんし、延ばせば延ばすほど人民元の価値に不利な影響をこうむります。

    易網ネットもこれはわかっており、中央銀行のブリーフィングの場でもはっきりと長期目標はclean floating、つまり政府が干渉せず、だといっています。その意味は現在は現在は政府の管理下にあるdirty floatingだ、ということです。しかし易網ネットは特に「SDRは五年ごとに見直されるということを忘れてはならず、ある貨幣が条件に合致すればSDRに入れるが、条件が合致になくなったら退出しなければならない。これをしっかり覚えておかなければ。だから改革開放は絶対必要なのだ」と言っています。

    ★中央銀行と中央宣伝部のラッパの響きの音色の違い

    中国共産党中央宣伝部のお仕事は要するにメンツをピカピカにしておくことですから、人民元のSDR加入を「一里塚」として「米ドルの覇権の地位に対する挑戦」などと大いに人民に吹いてさえいればばよいわけですが、中央銀行の副行長は実際のお仕事ですから、中身をみなければならず、その直面する課題もよくわかっており、だから短期と長期の両面から対応への考え方を打ち出し、IMFの規則改正が人民元のSDR入りをもたらし、この「春風」が中国金融システムの硬い氷を溶かして改革をせまってくれることを願っているのです。

    しかし、中央銀行のトップといったところでたかだか「業界の長」にすぎませんでその力は小さすぎるのです。今年の6月以来、中国政府が巨大な手で株式市場に干渉したことを思い出すだけで、未来が予見できるでしょう。世界の株式市場はみな値上がりしたり値下がりしたりしています。しかし、中国の指導者の眼中には中国株は値上がりするべきであって、値下がりはゆるされないのです。もし値下がりしたらそれは、国外勢力と国内勢力が手をとりあって「中国空売り」の陰謀をやってる、となります。

    数ヶ月にわたる権力と市場の対決の結果、株式市場はその力のなさを暴露し、勅命で買支えにはいるはずだった全軍の指揮官はことごとく牢屋にほうりこまれてしまいました。今後、外為市場も株式市場同様の目に合わないとは限りません。人民元の価値があがれば、俺たちの人民元は素晴らしい、立派だとなりますし、少しぐらいの波風なら政府も我慢して、手出ししないかもしれません。しかし、「異常発生」となれば、例えば人民元の交換率が低下し、大量の資金が米ドルに交換されて「資本が外国へ逃避」するようなことになったら、政府はきっと「こりゃまずい、なんとかせい」と大声をあげるでしょう。そうなったらまさかIMF総裁がボーイングにのって北京にきて朝廷政府に説教でもするのでしょうか?

    米国企業研究所はこんな予測をしています。;もし中国経済がずっと下り坂のままだったら2016年9月(つまり人民元がSDR入りの効力発生の直前)、中国は資本コントロールを強める必要にせまられ、ふたたび通貨市場に干渉する。となれば人民元が「自由な通貨」であるかどうかということが問題になるだろうと。

    私の結論は;中国金融体制の欠陥は生まれつきのもので、もうとっくに改善されているべきでだった。しかしIMFが中国の改革と中央銀行の約束に対する希望が本当にそうなるかどうかは、中国政府が事故の権力の手を果たして使うのをやめるかどうかにかかっている、ということです。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:人民币“入篮”春风难化体制坚冰 http://www.voachinese.com/content/voa-qinglian-he-rmb-20151204/3088462.html

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