• 中国不動産ー買い手はどこにいるの?

    by  • December 13, 2015 • 日文文章 • 1 Comment

    何清漣

    2015年12月6日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/ye9jc

    習近平総書記が11月10日に「不動産の在庫を解消して健全な業界の発展を」と述べたので各地方政府はここぞと反応を示し、メディア上には専門家がどっとあらわれ「不動産の”繁栄”が再び訪れる」と予測しています。でもお気の毒ですが不動産マーケットの景気は権力者の指揮棒のままに良くなるものではありません。今回は中国政府がなぜ不動産マーケットを救助しなければならないのか、ということと誰が中国の不動産の顧客になるのかをみてみたいとおもいます。

    ★中央政府はなぜ不動産業界を助ける?

    中央政府が不動産業界を助けるのは、地方政府の財政を救うためです。総合国土資源部、国家統計局、財政部のデータによると2004年から2013年の10年間に中国の土地を売り出して得たカネが地方財政部の収入に占める割合はどこでも4割を超えていました。最高だったのは2010年で69.4%にも達し、以後毎年、2011年59.3%、2012年43.6%、2013年59.8%です。2014年の不動産業界の情勢は厳しいものでしたがそれでも全国の土地を売った収入は依然として4.29兆元でした。

    例えば米国の不動産マーケットですと、不動産の供給というのは需要によって決定されることが多いので、一旦供給過剰になって不動産の滞貨が生じると不動産業者は開発をやめます。原因は簡単で誰も買わないとなれば業者も銀行に借金を返せませんし、破産してしまうからです。しかし中国ではそうではありません。地方政府の財政需給によって土地の供給量がきまり、国有商業銀行の融資は地方政府の政策のためのサービスですから、不動産開発業者に資金提供するわけです。これだと新しい供給は普段に生まれ、最後には大量の住宅が売れ残り、「幽霊タウン」が国中に現れるということになります。

    不動産の在庫がどれほどあるかは諸説紛々です。国家統計局のデータでは現在全国の年で4.3億平米の在庫があり、建設中の住宅が44.4 億平米で合計48.7億平米。しかし12月3日に「21世紀経済報道」が「宅地の真実の在庫は98億平米あって、消化には10年かかる」というのを発表しました。それによると政府のデータからみて、国家統計局の毎月交付する「販売用住宅の今後販売される面積」が在庫の概念に近いようですが、しかしそれも真実からはほど遠いようです。原因はふたつあって、ひとつは一部の企業が購入した土地でまだ工事にかかっていないけれども最後には宅地販売されるものも供給にいれるべきですし、ふたつ目は開発中のプロジェクトは在庫にいれられていないことです。このふたつも考慮にいれると比較的真実に近い在庫の数字になります。つまり98.3億平米でそのうちもう完成していてまだ売り出されていないものが6.86億平米、未着工の企業所有地が42.3億平米、建設業者の在庫が49.1億平米となります。

    注目すべきはこの滞貨不動産の主要部分は2009年から2013年の5年間にできたことです。2009年というのはちょうど外資が続々と中国から撤退して行った時期で、中国経済はすでに基本的に不動産という馬に景気の馬車を曳かせるようになっていたということです。この5年間、国有地の売り出し金の総額は13.49兆元に達しています。中国政府が経済テコ入れに投入した4兆元と地方の融資プラットフォームが投入した数十兆元は基本的に不動産業にいきました。業界人士によると中国はこの間に今後20年間の需要の住宅を作ってしまったといいます。

    以上のように中国の不動産業がこうした過剰供給をうんでしまったのはマーケットの需要からではなく政治上の必要からでした。この巨大な不動産バブルが弾けないでいるのは完全に政治的需要であって、マーケットの需要からではありません。その一番おおきな理由は地方政府の財政のお財布だったということです。その次は中国人の金持ちのなかで不動産に対しての比重が高すぎてもしバブルがはじけでもしたら政治の安定にまで悪影響を及ぼすからです。

    ★中国の誰がまだ家を必要としているか?

    不動産物件の在庫解消のためにはまず「需要」となる方を探し出さねばなりません。つまり購入希望者です。中国では今、家を持っていないという家族はさほどおおくありません。清華大学の中国金融研究センターの「2015中国家庭金融調査報告」によると現在農村戸籍の家庭の93%はみな住む家を持っています。都市戸籍の住民の家庭は一戸あたり平均家族は3人で1.2戸の住宅を持っており、その69%が一軒の家を持ち、15%は2棟、3.6%は3棟以上です。

    都市の12.4%の家を持たない家族は購入する力のない都市の貧民層でしょう。北京大学の中国社会科学調査センターがかつてだした「中国民生発展報告2014」というのがあります。中国のトップ1%の家庭が全国の三分の一以上の財産を持っています。同レポートによると中国家庭の消費モデルは二極化しており、全部で5種類のパターンに分類されます。貧乏で病気型、アリさん型、カタツムリ型、まずまず型、ウハウハ型です。全国状況からみると消費しないか、抑制している家庭(アリさん型)か、貧しくて教育と住居費の負担が重すぎる(カタツムリ型、貧病型)が大多数を占めます。別の方面では少数ですが家庭物質享楽のウハウハ型もいます。

    このふたつのデータを対比してみると、家を持たないのは多くが貧病型の家庭で、アリさん型の絶対多数とカタツムリ型の家庭は69%の一家で一戸の家を持っている人々にはいるでしょう。現在の中国の不動産価格ではこの二種類の家庭はおそらく不動産を買いましする経済的余力はないでしょう。マズマズ型の家庭の絶対多数は2棟以上の家を持っているでしょうし、ウハウハ型の家庭の大多数はトップ1%に属する人たちで基本的に中国国内に多くの不動産を持っているとおもわれます。

    こうした国内にすでにたくさんのマンションや一戸建て住宅をもっている金持ち層の人々はもっとたくさん不動産を買い込むでしょうか?数年前、メディアが暴露した不動産所有一家は十数戸、数十戸の、なかには100を超える不動産をもっていた人々がおり、不動産オヤジや不動産オバさん、不動産アネゴといった人々ですがまあ、これが必ずしも中国の大金持ちの実態とまではいえないかもしれませんが、投資資産の割合としてはごく普遍的な状況でもあるといえるでしょう。

    先進国の投資家の資産分散として不動産所有は一般的に1割以下で、この三年間でそれが5〜8%に下がりました。これに比べると中国のそれは不動産比率が非常に高く60%を超えています。このデータが物語ることはたくさんマンションや一戸建てをすでにもっている中国の金持ちが引き続き不動産を購入し続ける余地はあまり大きくないということです。外国からの購入があるかといえば、これもまたビビたるものです。なぜなら人民元は下がり続けていますから、あまり外国資金をもってきて中国の不動産を買う人はいないでしょう。

    ★中国の金持ちは世界中に財産を分散

    不動産業者は深刻な過剰に悩む不動産を消化できるのは中国の金持ちだけだと知っています。北京の将来の不動産価格の見通しを買いたものによると、第六環状線の外側で1平米6万元を超え、4環状の内側なら15万元が普通の値段です。2014年の北京人の平均収入は全国第二位で43910元で、不動産業界の願う在庫消費軍の主力軍はそうしたハイクラス人士や中産階級の上端だけがなれます。

    ただ残念なことに、今年の中国のお金持ちの資産投資は米ドル、国外不動産投資、移民出国が三つのキーワードです。中国の政治環境の不安定さにたいする懸念からすくなからぬ中国の金持ちは投資移民の道を選択しました。これによって自分の所有する不動産を処分して、人民元を米ドルに替えるというのが彼らの第一の選択肢でした。こうして流出した金持ちの資産はどれぐらいあったか?外貨準備高からわずかにうかがえることは2014年6月末から2015年11月に中国の外貨準備高は3.99兆元から3.44兆元となり、5500億米ドル分減っています。

    フォーブス中国語版の「2015中国ハイクラス人士生命保険白書」のレポートですと、中国のハイソな人々は毎年10万人ずつ増えており、2015年には112万人になります。そのうちの47%のハイクラス人士はすでに3割以上の資産を海外に投資していて、インタビューをうけた42%の人々が米国を選び、続いて香港、豪州、カナダ、英国とつづきます。

    こうした全世界に流れていく資金の多くの部分はよその国の資産になってしまいます。メディアの資料によると過去三年でポルトガルの「ゴールド居留許可」(*居住権付き新投資査証 2012年に開始。主な対象者は50万ユーロ以上の不動産を購入する外国人。
    本人以外に配偶者と子供も居住権が得られ、また100万ユーロ以上の事業投資または10
    名以上の現地雇用を行う場合も発給対象。尚、5年経過後に永住権の申請資格が、
    6年経過者にはポルトガル国籍を選択する機会が得られる)を得たのは合計2502人、うち不動産投資者は2368人で2502人の投資者のうち中国が1996人を占めました。
    また、よく引用される統計では2014年に中国人が米国で不動産を購入した金額は300億ドル近くになり、カナダについで米国の不動産購入の二番目になっています。

    自国の富豪たちがみな海外資産に転換しようと大忙しのこの時期に、どうやって外国のハイクラスの人々が毒スモッグ汚染にまみれた中国の不動産など買いに来るでしょうか?

    2016年を展望すると、人民元の下落はとまりますまい。富豪の諸氏はみな資産を世界各地に分散投資するのに忙しく、不動産バブルはいつはじけてもおかしくありません。98億平米以上の不動産の供給過剰状態をなんとかしてくれる需要は天から降ってくるものではありません。どのような見方をしても中国政府が現在行っている不動産市場救済は時の勢いに逆行するもので勝算は乏しく、最後には中国銀行システムがさらにおおきな帳簿上の泥沼に陥ることでしょう。(終)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:中国房地产之愁:千万买家无处觅 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-china-real-esate-20151211/3099566.html

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