• 余った家を買えー出稼ぎ農民の新使命ー

    by  • December 23, 2015 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2015年12月17日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/e8Bjc

    12月11日に中国の不動産市場には十分な買い手が不在だと指摘した「★中国不動産ー買い手はどこにいるの?★」http://heqinglian.net/2015/12/13/real-estate-2/  を書いたばかりなのですが、まさかその3日後に開かれた中共中央政治局会議によって、中国経済のL字型脱出のために山の様に売れ残る住宅在庫一掃の重責が新たに「農村が都市を包囲する(*毛沢東の戦略)」よろしく出稼ぎ農民に負わされるとは思ってもみませんでした。

    ★市場は誰の言葉を聞く?

    政治局会議の言い方ですと「住宅など不動産の在庫を一掃するためには出稼ぎ農民の都市市民化を通じて、新市民の出発点としての住宅制度改革を推進し、有効需要を拡大し、不動産市場を安定させる」というのです。メディアの見出しは更に昔の解放戦争当時のようで「来年の経済方面の4つの大戦の詳細解説;出稼ぎ農民の市民化が都市の住宅在庫を解消する」でした。

    さまざまな文書やメディアの記事はよどみなくあれこれ無数の”重大な意義”を伝えていますが、大体の意味はこのプロジェクトは出稼ぎ農民に対して巨大な恩恵をあたえる徳政であって、すなわち出稼ぎ農民の生涯の夢である都市新市民になれるのだ、ということです。前提は「住宅制度改革」で、政府の呼びかけに応じて住宅を購入したり贈与したりすれば都市戸籍が与えられ、それによって穏やかに確実に不動産の将来を安定させ、不動産投資の持続的な下落の危険がすべての領域に広がり金融危機を招くこと防止、経済が安定するというものです。

    「出稼ぎ農民が不動産在庫問題を解決する」というのは聞けば聞くほど素晴らしくて、長年推進してきた都市と農村の格差戸籍問題が解決し、農民は都市の戸籍を手に入れ、政府は不動産の在庫を消化する手助けができ、銀行は金融危機を解消できます。つまり一言で言えば農民が住宅を購入しさえすれば、革命当時の歌同様「♪満天の黒雲は吹き飛びさ~、アイヨー、真っ赤な太陽が東から昇るだよ~♪」というわけです。

    しかし、出稼ぎ農民が不動産在庫を解消するには少なくとも二つの前提がなければいけません。ひとつは不動産のある場所に就職チャンスがあること。就職できてこそ出稼ぎ農民は未来の収入が保証されて、住宅を必要とします。二つ目は経済的な力があること。つまり出稼ぎ農民の家庭の貯金が十分にるかどうか、です。ちょっと考えただけでも英明な中国共産党中央のすすめるこの新制作はアリスの不思議の国の物語のようです。

    中国で中共政権が出来てからのち、内モンゴルのパオトウのような資源型都市や湖北省の十堰などの建設の歴史を含む世界の都市発展の歴史のルールはみな『資源の利用や開発、産業の発展が就職の機会を与えることによって人口が集中し始めて都市が建設される』という歴史をたどっています。中国人にはニューヨークや北京の成立過程などという話は昔話すぎるでしょうから、中共時期の資源型都市と工業都市の歴史をみても現在、中国の資源型都市は118都市あり、そのうち67市が枯渇衰退状態にあって若い人々は止むを得ず別の場所に仕事のチャンスを求めて出て行かざるをえないのが現状です。

    中国の中小都市や町には就職の機会はずっときわめて稀で、主な職場は中共の党関係の事務職の公務員や水、電気、石炭などの公共事業です。こうした就職先は地元ではほとんど世襲制となっており、普通の市民は探し当てることはとても難しいのです。ツテやコネのある人は公共事業にかかわる消費やサービス業をやってそうした公務員たちのためのサービスを行うことによって生存・発展のチャンスをうかがいます。もし出稼ぎ農民が三四級都市で在庫の不動産や住宅を買って政府を助けるとすれば就職の機会を得ぬままに農村で失業していたのが、お金をつかって都市に来て市民となって失業するだけになります。

    中共は一貫して全国人民に党のいうことを聞けばどんな困難でもなんとかなって家を持てるといいますが、農民が住宅を買うということはその間に家の売買というマーケット原理が挟まるわけで、マーケットが中共のいうことを聞かないというのはもう今年の株式市場が実例で証明しており、別にこの上の証拠などいらないでしょう。とはいえいくらなんでも中国政府が住宅購入を愛国行為だとして「家を買わない農民は非国民」などというスローガンを掲げたりもできますまい。

    ★出稼ぎ農民の財布はペッチャンコ

    英明なる中共中央は明らかに出稼ぎ農民の兄弟の財布を高く評価しています。不動産の在庫がはけないで積み上がったままの都市の多くは三四級の都市で家の価格は大変安く「平米あたりたった3.4000元」でマンション一部屋でざっと30万元から40万元で買える、とよく言われます。

    たしかにこれは北京や上海、といった一級都市に比べたらすごく安いですが、しかし出稼ぎ農民にとっては高すぎます。出稼ぎ農民のふところは貯金と、現実か予定かもふくむ各種の収入です。まず貯金からいえば2012年、農民一人当たりの収入は7917元でした。年住民の平均貯蓄は46041元で、農村居住人民のそれは8507元でした。2014年、政府が食料購入の補助金を出したので農民の平均収入はいささか上昇して9892元に達しました。貯蓄率を3割としても二年後、高く見積もっても農民の平均貯蓄は多くても1.5万元でしょう。一家五人と計算しても7万元ちょっとです。農民の家庭は老人医療や養老年金などの社会福祉はありませんから、このお金は医療や教育などの支払いのためです。ですから、出稼ぎ農民たちがすべての貯金をはたいて中共の呼びかけに応えて都市の家屋を買うというのは実際、現実的とはいえません。

    さらに収入についていえば、今年の出稼ぎ農民の失業は大変深刻で、世界の工場の中心的存在だった東莞はすでに企業流失で空洞化していますし、それが意味するのは出稼ぎ農民たちは財布の紐をさらに締めるだろうということです。国内メディアもバカではありませんから「統計によれば県クラスの都市で家屋購入する層の7割は農民がしめるが、問題は都市に住んでいて金のある農民や出稼ぎ農民はすでに住宅をもっており、まだ家を持たないのはお金がないか、都市にすむ準備ができていない人たちだ」と書いています。

    政府も当然それはわかっており農民の家屋購入を後押しする政策のなかには補助金や税の減免、利息の補助などが含まれていますが、農民の収入は不安定な上、就職のチャンスもないとなれば銀行がお金を貸したくたって、貸した金が返せなくてもその住宅を取り上げたりしないと約束するか政府が肩代わりを約束でもしないかぎり、農民も収入が不安定で家を買ったりはしないでしょう。

    さらにひとつの可能性を考えなければなりません。もしせっかく家をかっても都市に就職するチャンスがなければ出稼ぎ農民たちは他へ出稼ぎにいかねばなりませんから家は空き家になってしまいます。清華大学中国金融研究センターの「2015中国家庭金融調査報告」によると、現在農村戸籍の家庭の93%はすでに持ち家があるのです。出稼ぎ農民が都市に家を買うというのは農村の自分の家を空き家にするということになります。そして都市に住んでも他所へ出稼ぎにいくとなれば新たに購入した都市の家まで空き家にしなければならないとするなら、出稼ぎ農民は一体なんのために家を買うと言うのでしょうか?

    ★家を買うのは土地改革ではない。金銭の力は中共の呼びかけよりも強い

    明らかに英明なる中共中央は数億の農民に土地を変えと後押しするにあたって都市形成と発展の法則を無視しており、住宅を提供する都市は必ずや十分な就職の機会を与えねばならないということを顧みることなく、あまりにも高く農民の財布を見積もって、戦争に動員するのと同じようなやり方で市場経済を管理しようとしています。中共中央が手を振って方向を指し示しさえすれば全国人民はそう努力するにちがいないとばかりに。党のこのやり方が妥当かどうかを別としても、共産党と現実の人民の関係をみるに、人民は必ずしも党が行けと言った方向にいうことをきくとは限りません。

    中共の歴史においては中共の運命は農民とその子孫の出稼ぎ農民にふかく関わって、いつも危機にさいしては農民たちは中共から新たなる使命を与えられてしまうのですが、中国の農民はいつも党の期待に応えてきました。中共は農民の数にものをいわせて凶を吉に変え、難を幸運に転じ、思い通りにしてきました。例えば1927年から37年の土地革命の発動で革命の力を発展させ、国共内戦の時期の三大戦役にあたっては農民に手押し車で輜重役を命じて軍の供給ラインを維持し国民党軍を打ち破り、1950年には土地改革を発動し地主階級を打倒して赤色政権を樹立しました。中共政権樹立後の工業建設もまた農民の食い扶持を搾取して工業建設を支えさせ、改革解放後は出稼ぎ農民の安価な労働力としての貢献によって80年代には多くの郷鎮企業や輸出産業を支えさせました。21世紀になると「世界の工場」としての10年の繁栄を支えさせたのです。農民の支持がなければ中国共産党政権と赤い中国は存在しえないといっていいでしょう。

    しかし、中共政権はとっくに変質して紅色貴族の利権集団が自分勝手に金儲けをする政権になっており、中共と農民の関係も今では昔と比べるべくもありませんで、革命当時の血肉の関係がいまや深刻な利益の対立の関係になっています。ですから、この度の北京が出稼ぎ農民にあたえた「住宅の在庫一掃」なる新使命が、ぺちゃんこの疲れ切った農民の財布からなけなしの金で、本当に必要でもない家屋を買って中共中央の「住宅在庫一掃」を援助して供給側を助けるというのは昔の農民を動員して地主をやっつけたことより、その難しさは天地ほども違うのです。(終)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:农民工荣获新使命:消化库存房 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-farmers-buy-houses-20151216/3106622.html

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